JPH021442Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、カムシヤフトに補機類駆動用ギヤが
取り付けられているエンジンのカムシヤフトの構
造の改良に関するものであり、カムシヤフトを利
用して補機類を駆動する補機類駆動装置に応用で
きるものである。

（従来技術） 従来から、エンジンのカムシヤフトには、たと
えば、実開昭51−43402号公報に開示するように、
補機類駆動用ギヤを設ける構成としたものがあ
る。この実開昭51−43402号公報に開示のものは、
補機類駆動用ギヤとしてのオイルポンプ駆動用ギ
ヤをカムシヤフトに設けて、カムシヤフトを利用
してオイルポンプを駆動する構成のものである
が、ところで、近時エンジンの軽量化の一環とし
て、カムシヤフトの軽量化が要請されつつあり、
これに応えるために、カムシヤフトをその全長に
わたつて中空形状の構成とすることが考えられる
が、補機類駆動用ギヤをカムシヤフトに設けたも
のにあつては、カムシヤフトが軽くなりすぎてそ
の回転中の振れが大きくなり、このカムシヤフト
の振れが大きくなることによつて補機類駆動用ギ
ヤとこれに噛合するギヤとの衝突が大きくなり、
補機類駆動用ギヤの摩耗が大きくなるおそれがあ
るために、カムシヤフトの軽量化を図り難いもの
となつている。とくに、補機類駆動用ギヤをカム
シヤフトの端部に設けたものにおいては、そのカ
ムシヤフトの軸受けから遠いところに補機類駆動
用ギヤが位置することとなるので、そのカムシヤ
フトの振れが一層大きなものとなる。

（考案の目的） 本考案は、上記の事情を考慮してなされたもの
で、その目的とするところは、カムシヤフトに補
機類駆動用ギヤを取り付けたものにあつても、そ
のカムシヤフトの軽量化を図ることのできるエン
ジンのカムシヤフト構造を提供することにある。

（考案の構成） 本考案の特徴は、カムシヤフトを中実形状部分
と中空形状部分とから構成し、中実形状部分の少
なくとも一部を少なくとも２つの軸受けにより支
持させ、その少なくとも２つの軸受けにより支持
されている中実形状部分に補機類駆動用ギヤを設
けて、補機類駆動用ギヤが設けられているカムシ
ヤフト部分の振れを極力抑制することとしたもの
である。

（実施例） 以下に、本考案に係るエンジンのカムシヤフト
構造をOHC方式のＶ型エンジンに適用した実施
例を図面を参照しつつ説明する。

第１図なし第３図において、１はOHC方式の
Ｖ型エンジンであり、Ｖ型エンジン１は、Ｖ字状
に左右に配設されたバンク２，３を有しており、
そのＶ型エンジン１のシリンダブロツク４には、
その下面にオイルパン５が取り付けられ、このオ
イルパン５とシリンダブロツク４の下部とによ
り、クランクケース６が構成され、そのクランク
ケース６には、クランクシヤフト７が設けられて
いる。シリンダブロツク４の上面には、シリンダ
ヘツド８，９が気密に接合されて設けられてお
り、そのシリンダヘツド８，９には、カムシヤフ
ト１０，１１がそれぞれ設けられている。このカ
ムシヤフト１０，１１は、その前縁部１０ａ，１
１ａがクランクシヤフトに連係され、カムシヤフ
ト１０，１１は、クランクシヤフトによつて回転
されるものとなつており、その回転伝達要素とし
てのタイミングプーリ１２，１３がカムシヤフト
０，１１の前端部１０ａ，１１ａに固定されてい
ると共に、クランクシヤフト７の前端部にクラン
クプーリ１４が固定されており、タイミングプー
リ１２，１３とクランクプーリ１４とにはタイミ
ングベルト１５が掛け渡されており、なお、１
６，１７，１８はアイドラである。

シリンダブロツク４には、その第１バンク２に
偶数番目のシリンダ，，が形成され、第２
バンク３に奇数番目のシリンダ，，が形成
されており、各シリンダ〜のピストンは、コ
ンロツド（図示を略す）を介してクランクシヤフ
ト７にその前端部から後端部に向かつて順番に連
結されている。第１バンク２のシリンダと第２バ
ンク３のシリンダとは、第２図に示すように、ク
ランクシヤフト７の軸方向において、互いに他の
バンクのシリンダ間に位置する互い違い配置の構
成とされると共に、第１バンク２の前端部と第２
バンク３の前端部とはカムシヤフト方向にその前
面が揃えられ、第１バンク２の後端部と第２バン
ク３の後端部とはカムシヤフトの軸方向にその後
面が揃えられている。第１バンク２のシリンダヘ
ツド８の上面と第２バンク３のシリンダヘツド９
の上面とには、第４図、第５図に示すように、ヘ
ツドカバー１９，２０がそれぞれ設けられ、この
ヘツドカバー１９，２０にはそれぞれ開孔１９
ａ，２０ａが形成され、ヘツドカバー１９の開口
１９ａには筒状部２１が突出形成され、この筒状
部材２１の開口端には、キヤツプ２２が着脱可能
に取付けられて、オイル注油部が構成されてい
る。オイルパン５の前部には、第３図に示すよう
に凹部５ａが設けられており、この凹部５ａには
オイルポンプ２３が配置されるものとされてお
り、このオイルポンプ２３は、第４図に示すよう
にブラケツト２４を介してシリンダブロツク４に
支持されている。この補機としてのオイルポンプ
２３はオイルポンプシヤフト２３ａを有してお
り、オイルポンプシヤフト２３ａには、駆動軸２
５の一端部が連結され、その駆動軸２５の他端部
には、ウオームホイール２６が固定されている。
第１バンク２のカムシヤフト１０の前端部１０ａ
には、その近傍部分に、第２図に示すように、補
機類駆動用ギヤとしてのウオームギヤ２７が取り
付けられ、このウオームギヤ２７はウオームホイ
ール２６に噛合されて、オイルポンプ２３は、カ
ムシヤフト１０によつて駆動されるものとなつて
おり、駆動軸２５は、第４図に示すように、第１
バンク２を構成するシリンダブロツク４を上下方
向に貫通して延びており、その他端部側が第１バ
ンク２のシリンダヘツド８に支持されて、駆動軸
２５はシリンダヘツド８に対して回転自在とされ
ている。

２８は補機としてのデイストリビユータであ
り、このデイストリビユータ２８は、ここでは、
ヘツドカバー２０の側に設けられており、デイス
トリビユータ２８は、第５図、第６図に示すよう
に、開口２０ａに取り付けられている。デイスト
リビユータ２８は回転軸２８ａを有しており、そ
の回転軸２８ａには、駆動軸２９が連結されてお
り、その駆動軸２９の下端部には、ウオームホイ
ール３０が固着されている。カムシヤフト１１に
は、第２図に示すように、前端部１１ａとは反対
側の後端部１１ｂに補機類駆動用ギヤとしてのウ
オームギヤ３１が取り付けられており、このウオ
ームギヤ３１はウオームホイール３０と噛合さ
れ、デイストリビユータ２８はカムシヤフト１１
によつて駆動されるものとなつている。ここで
は、第２図に示すように、このカムシヤフト１１
はエンジンの後端側に向かつてシリンダよりも
後方に延長され、カムシヤフト１０はエンジン１
の前端側に向かつてシリンダよりも前方に延長
され、シリンダよりも前方にある第１バンク２
のシリンダヘツド８の部分は余裕部分Ａとされ、
シリンダよりも後方にある第２バンク３のシリ
ンダヘツド９の部分は余裕部分Ｂとされ、ここに
補機類駆動部が設けられるものとされて、この余
裕部分Ａ，Ｂを有効に利用して、エンジンの全長
を大きくすることなく補機類駆動部を形成するこ
とができるものとなつている。

カムシヤフト１０は、軸受け３２〜３５によつ
て回転自在に支承されており、カムシヤフト１１
は軸受け３６〜３９に回転自在に支承されてお
り、カムシヤフト１０は軸受け３３を境にその前
端部１０ａの側が中身がつまつている中実形状の
構成とされ、軸受け３３を境に後端部１０ｂの側
が中身がつまつていない中空形状の構成とされ
て、カムシヤフト１０の軽量化が図られており、
カムシヤフト１１は軸受け３７を境に後端部１１
ｂの側が中身がつまつている中実形状の構成とさ
れ、軸受け３７を境に前端部１１ａの側が中実形
状の構成とされて、そのカムシヤフト１１の軽量
化が図られている。ここで、軸受け３３と軸受け
３７とは、カムシヤフト１０，１１の中空形状部
分１０ｃ，１１ｃに近い側にある軸受けとなつて
おり、軸受け３２と軸受け３６とはカムシヤフト
１０，１１の中空形状部分１０ｃ，１１ｃから遠
い側にある軸受けとなつていて、カムシヤフト１
０の中実形状部分１０ｄの少なくとも一部は、軸
受け３２と軸受け３３との少なくとも２つの軸受
けでで支持されてその中実形状部分１０ｄの回転
中の振れが極力小さくなるようにされ、カムシヤ
フト１１の中実形状部分１１ｄの少なくとも一部
は、軸受け３６と軸受３７との少なくとも２つの
軸受けで支持されてその中実形状部分１１ｄの回
転中の振れ極力小さくなるようにされ、ウオーム
ギヤ２７とウオームギヤ３１とは、その取り付け
られている中実形状部分１０ｄ，１１ｄの振れが
小さくされているものであるから、カムシヤフト
１０，１１の軽量化を図つたにもかかわらず、こ
れに噛合する各ウオームホイールとの衝突衝撃が
緩和されてその摩耗が抑制されるものである。

以上実施例においては、ウオームギヤ２７をカ
ムシヤフト１０の前端部１０ａの近傍部分に設
け、ウオームギヤ３１をカムシヤフト１１の後端
部１１ｂに設ける構成としたが、ウオームギヤ２
７を軸受け３２と軸受け３３との間のカムシヤフ
ト１０の中実形状部分１０ｄに設け、ウオームギ
ヤ３１を軸受け３６と軸受け３７との間のカムシ
ヤフト１１の中実形状部分１１ｄに設ける構成と
することもできる。また、軸受け３３の近傍の中
実形状部分であつて、軸受け３３と中空形状部分
１０ｃとの間に残つている中実形状部分にウオー
ムギヤ２７を設ける構成とすることもできる。

（考案の効果） 本考案は、以上説明したように、カムシヤフト
を中実形状部分と中空形状部分とで構成し、その
中実形状部分の少なくとも一部を少なくとも２つ
の軸受けで支持して、その少なくとも２つの軸受
けで支持されている中実形状部分に補機類駆動用
ギヤを設けることとしたから、その補機類駆動用
ギヤが設けられているカムシヤフト部分の振れを
小さくすることができることになつて、補機類駆
動用ギヤが取り付けられているカムシヤフトにあ
つてもその軽量化を図ることができるという効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るエンジンのカムシヤフ
ト構造が適用されるＶ型エンジンの概略構成を示
す正面図。第２図は、本考案に係るエンジンのカ
ムシヤフト構造が適用されるＶ型エンジンの要部
構成を示す平面図。第３図は、本考案に係るエン
ジンのカムシヤフト構造が適用されるＶ型エンジ
ンの概略構成を示す側面図。第４図、第５図は本
考案に係るＶ型エンジンの補機類駆動部の構成を
示す部分断面図。第６図は、第５図の側面図。 １……Ｖ型エンジン、１０，１１……カムシヤ
フト、１０ａ，１１ａ……前端部、１０ｂ，１１
ｂ……後端部、１０ｃ，１１ｃ……中空形状部
分、１０ｄ，１１ｄ……中実形状部分、２３……
オイルポンプ、２７……ウオームギヤ、２８……
デイストリビユータ、３１……ウオームギヤ、３
２〜３９……軸受け。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) カムシヤフトに補機類駆動用ギヤが設けられ
   ているエンジンにおいて、 前記カムシヤフトが中実形状部分と中空形状
   部分とから構成され、前記中実形状部分はその
   少なくとも一部が少なくとも２つの軸受けによ
   り支持される一方、前記補機類駆動用ギヤは前
   記少なくとも２つの軸受けにより支持される中
   実形状部分に設けられていることを特徴とする
   エンジンのカムシヤフト構造。 (2) 実用新案登録請求の範囲第１項において、前
   記補機類駆動用ギヤがオイルポンプ駆動用ギヤ
   であることを特徴とするエンジンのカムシヤフ
   ト構造。