JPH021275Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は組立式貯槽の中仕切板の補強構造に
関する。

（従来の技術） 複数の底パネル、側パネル、屋根パネルを互い
に接合して組み立てた組立式貯槽において、その
内部に中仕切板を配設して貯槽の内部を仕切るこ
とが行なわれている。而してこの中仕切板は、通
常、外周縁部にフランジを備えたパネルを接合す
ることによつて、側パネルとほぼ同じ高さで構成
され（厳密には底パネルの厚さ分だけ側パネルよ
りも低い）、そしてその上端と下端とが貯槽の屋
根パネルと底パネルとにそれぞれ固定される。そ
の際、屋根パネルから内面側に突出する下向きの
フランジとの干渉を避けるために、中仕切板にお
けるパネルとパネルとの接合部の最上端部が切り
欠かれ、この切欠内に屋根パネルのフランジが入
り込むようにされる。第４図はその具体例を示し
たもので、図中１００は側パネルと同じ形状・サ
イズのパネルで、これらパネル１００が接合され
ることによつて中仕切板１０２が構成されてい
る。この中仕切板１０２においては、貯槽内部の
高さに合せるために上端の一定量が切り取られる
とともに、パネル１００とパネル１００との接合
部の最上端部が切り欠かれ、この切欠１０４内に
屋根パネル１０６のフランジ１０８を入り込ませ
た状態で、その上端部が、中仕切板１０２に沿つ
た、即ち中仕切板１０２の板面と平行方向の屋根
パネル１０６のフランジ１１０にボルトにて締結
されるようになつている。

（考案が解決しようとする問題点） ところでこの中仕切板は、第５図に示すように
これによつて仕切られた貯槽内部の室の圧力差に
基づいて圧力の低い側に膨出し、そしてその圧力
差がなくなれば元へ戻るといつた変形を繰り返す
ため、中仕切板を一部切り欠いてしまうとその周
辺部が強度的に弱くなつて、そこから亀裂が入つ
たり、割れたりし易くなる。中仕切板は、上下の
中央部及びパネルとパネルとの接合部で変形が大
きい一方、パネルの上端部は屋根パネルのフラン
ジに固定された状態にあつて変形はそれ程大きく
ないために、強度的に弱い切欠周辺部が局部的に
大きく変形してストレスがかかり、このためここ
から亀裂が入り易くなるのである。

（問題点を解決するための手段） 本考案はこのような問題点を解決するために為
されたものであり、その要旨は、前記中仕切板の
板面より直立する縦フランジの内面に沿つて補強
プレートを配設・固定するとともに、該補強プレ
ートの前記切欠部位に位置する上端部を、該切欠
内に入り込んだ屋根パネルの前記中仕切板の板面
に対して直角方向のフランジに締結したことにあ
る。

（作用） 即ち本考案は、中仕切板の縦フランジを補強プ
レートによつて補強すると同時に、従来夫々独立
であつた中仕切板の縦フランジと対応する方向の
屋根パネルの下向きフランジとを、かかる補強プ
レートにて互いに連結したものである。

これにより中仕切板及び屋根パネルにおける、
中仕切板の板面と直角方向のフランジが中仕切板
の上端部において補強プレートを介して互いに連
続した状態となり、従つて中仕切板の上端部の切
欠周辺部が十分に補強されることとなつて、切欠
周辺部の局部変形、集中的ストレスの発生が抑制
され、中仕切板が膨出変形を繰り返した場合に
も、切欠部より亀裂が入つたり、割れたりするの
が防止される。

（実施例） 次に本考案の実施例を図面に基づいて詳しく説
明する。

第２図において１０はコンクリートベースであ
り、その上に、複数のFRP製底パネル（図示省
略）、側パネル１２、屋根パネル１４を、それら
の外周縁部に形成したフランジにおいて互いに接
合して組み立てた貯槽１８が、架台１６を介して
設置されている。

貯槽１８の内部には、複数のパネルを接合して
成る中仕切板２０が配設されている。中仕切板２
０は、第１図に詳しく示すように、側パネル１２
と同形状、同サイズのパネル２２を縦フランジ２
４，２６において横方向に接合して構成したもの
であつて、上縁部の横方向のフランジを含む上端
部分が底パネルの厚さ分だけ切り取られている。
尚、一方のパネル２２の縦フランジ２６は先端部
分がＬ字状に折り曲げられている。この折曲げ部
２８は、縦フランジ２６の剛性を高めるためのも
のである。

この中仕切板２０は、パネル２２と２２との接
合部の最上端部が矩形状に切り欠かれており、こ
の切欠３０内に屋根パネル１４の下向きのフラン
ジ３２（第３図参照）を入り込ませた状態で、そ
の上端部がボルト穴４４において屋根パネル１４
のフランジ３２に締結・固定されている。尚、図
示は省略するが、この中仕切板２０の下端部はフ
ランジを残したままであり、このフランジがボル
トにて底パネル上に固定されている。

前記パネル２２のフランジ２６と２４との各内
面には、鋼材の表面を樹脂コーテイングした断面
Ｌ形状の補強プレート３８と、当て板３６とがそ
れぞれ密着する状態で配置され、且つそれら補強
プレート３８、当て板３６、更に縦フランジ２
４，２６を貫通するボルトにて互いに固定されて
いる。而して一方の補強プレート３８は、上端部
がパネル２２の切欠３０まで延び出して縦フラン
ジ２６と平行な連結部４０とされており、この連
結部４０が、切欠３０内に入り込んだ屋根パネル
１４のフランジ３４の内面にボルトにて固定され
ている。

一方、中仕切板２０の裏面側（縦フランジ２
４，２６とは反対側）には、ほぼ矩形状の座板４
６が配設され、中仕切板２０の切欠３０周辺部が
この座板４６によつても補強されている。座板４
６には、中仕切板２０の切欠３０に対応する切欠
４８が中央部に形成されるとともに、その両側に
ボルト穴５０が形成されている。そして下側のボ
ルト穴５０において中仕切板２０に、また上側の
ボルト穴５０において中仕切板２０と屋根パネル
のフランジ３２とにそれぞれ締結されている。

次に本例の中仕切板の補強構造の作用を説明す
る。

中仕切板２０によつて仕切られた貯槽１８内部
の２つの室に圧力差が生じると、例えば第１図中
左側の室Ａよりも右側の室Ｂの圧力の方が低くな
ると、中仕切板２０は、それらの圧力差に基づい
て縦フランジ２４と２６の側に膨出しようとす
る。この場合中仕切板２０は上下方向の中央部及
び縦フランジ２４，２６との接合部で変形が大き
く、屋根パネル１４のフランジ３２に直接固定さ
れた上端部で小さくなる。この結果、中仕切板２
０の切欠３０周辺部での局部変形が大きくなつ
て、この部分に大きなストレスがかかる。従つ
て、中仕切板２０が上記の膨出変形及び復元（或
いは逆方向への膨出）を繰り返すと、切欠３０周
辺部に亀裂が入り、そしてこれが進行して割れを
生じるようになる。

ところが、本例の補強構造においては、縦フラ
ンジ２６の上端部、つまりパネル２２と２２との
接合部の上端部が、補強プレート３８を介して屋
根パネル１４のフランジ３４に固定されているた
め、上記圧力差が生じてもこの部分の変形は小さ
く抑えられる。この結果、切欠３０周辺部に作用
するストレスも小さくなり、上記亀裂の発生、そ
の進行に基づく割れも防止される。

尚、その際の座板４６の補強作用は次のように
なる。すなわち、中仕切板２０において、強度的
に弱くなる切欠３０周縁部分に座板４６が重ねら
れることによつて、同部分の断面係数が高めら
れ、これによつてその部分の変形が抑制されるの
である。その結果、切欠３０周辺部に局部歪がよ
り発生しにくくなり、従つて上記亀裂もより発生
し難くなる。

以上本考案の実施例を詳述したが、本考案はそ
の他の形態で構成可能である。

例えば、上記実施例において座板４６を省略し
たとしても本考案の一応の効果を奏することがで
きるし、また本考案を金属パネル製の組立式貯槽
に適用することも可能である。更に補強プレート
を上記実施例とは異なつた形態に構成することも
可能である等、本考案はその要旨を逸脱しない範
囲において、様々な変形を施して構成することが
可能である。

（考案の効果） 以上詳述したように、本考案は、中仕切板の縦
フランジに沿つて補強プレートを配設・固定し、
その上端部を中仕切板の切欠内に入り込んだ屋根
パネルのフランジに締結するようにしたものであ
る。

これにより、中仕切板の切欠周辺部に局部歪が
生ずるのが抑制され、以つて同部分における亀
裂、割れの発生が効果的に防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である中仕切板補強
構造の要部斜視図であり、第２図はその補強構造
を有する組立式貯槽の斜視図である。第３図は第
２図の補強構造の要部正面図（一部断面図）であ
り、第４図は中仕切板と屋根パネルとの従来の固
定構造を示す要部斜視図であり、第５図はその不
具合を説明するための説明図である。 １２……側パネル、１４……屋根パネル、１８
……組立式貯槽、２０……中仕切板、２２……パ
ネル、２４，２６，３２，３４……フランジ、３
０……切欠、３８……補強プレート、４０……連
結部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 複数の底パネル、側パネル、屋根パネルを接合
   して組み立てた貯槽の内部に、外周縁部にフラン
   ジを備えたパネルを複数接合して構成し且つそれ
   らパネルとパネルとの接合部の最上端部を切り欠
   いた中仕切板を配置し、該中仕切板の切欠内に前
   記屋根パネルの下向きのフランジを入り込ませた
   状態で該中仕切板の上端と下端とを屋根パネル及
   び底パネルにそれぞれ固定した組立式貯槽におい
   て、 前記中仕切板の板面より直立する縦フランジの
   中面に沿つて補強プレートを配設・固定するとと
   もに、該補強プレートの前記切欠部位に位置する
   上端部を、該切欠内に入り込んだ屋根パネルの前
   記中仕切板の板面に対して直角方向のフランジに
   締結したことを特徴とする組立式貯槽における中
   仕切板の補強構造。