JPH0212179Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、弾性板紙を用いて構成する手提げ
式容器用紙蓋に関する。

〔考案の技術的背景と問題点〕

従来の手提げ式紙容器は、容器本体の内部に例
えばカステラやデコレーシヨンケーキ等の商品類
を入れ、この容器本体に持手付きの蓋を嵌合し、
本体と蓋に紐を掛け渡すか、本体と蓋に跨がつて
粘着テープを貼着し、蓋を取れないようにして持
手を起立し、持手を把持して携帯していた。又紐
掛けやテープ粘着を施した紙容器内より商品を取
出す場合、先ず紐やテープを取外し、容器本体と
蓋の固定を解除した後、本体より蓋を取外し、本
体内に収納した商品を取出していた。しかし容器
内に収納した商品の形崩れを防ぎながら容器本体
と蓋に紐掛けするには熟練を要するし、粘着テー
プによる固定手段にあつては、その取除きが面倒
であつた。

〔考案の目的〕

そこでこの考案は、容器本体に係止することの
できる持手付きの紙蓋を工夫し、面倒な紐掛けや
テープの貼着、及び掛紐や貼着テープの取外しを
省略し得るようにすることにある。

〔考案の概要〕

本案の手提げ式容器用紙蓋は、容器本体の口部
に嵌脱可能となる蓋体と、蓋体の外周に嵌合係止
する環帯より構成され、蓋体が天板の外周に側壁
を設け、天板の表面と裏面の一方に当板を着設
し、最上板に切起し可能の持手を二片対称に設
け、環帯が蓋側壁の外周に重なる帯壁の上部内周
に、最上板の外縁上部に当接する膨出部を形成す
ると共に、帯壁の下部内周に蓋側壁の下端を越え
て内周に当接する係止部と、係止部に続いて蓋側
壁の内周に当接する末端部を設け、末端部の内周
側に係止部の内周径より僅かに大きい本体口部の
挿入空間を設けたものである。

〔考案の実施例〕

以下、本案紙蓋の構造を実施例の図面により説
明すると、Ａは上部に向けて開口する有底の容器
本体で、容器本体Ａの周壁ａは円筒状、又は上方
が広口となる円錐状を成し、周癖ａの上部外周
に、周壁ａの上端部を外周側に巻付けたカール口
部ｂを有する。１は上記容器本体Ａの口部ｂに嵌
合係止する蓋体２と、その側壁１２外周に嵌合係
止する環帯５によつて構成する本案紙蓋で、蓋体
２は本体口部ｂの上縁に当接する天板２２の外周
より下方に、本体口部ｂの外径Ｄより僅かに大口
径の側壁１２を有し、天板２２に持手３，３′を
切起し可能に設けている。この持手３，３′は、
天板２に持手３の形状に応じた切り罫け３ａと、
切り罫け３ａの両端間、即ち持手３の接続部に谷
折り用の押し罫け３ｂを設け、天板２の中央部か
ら左右に向けて切起し可能となるか、反対に天板
２の左右から中央部に向けて切起し可能となり、
両持手３，３′の頂部下方に手掛り１３を切起し
可能に有している。４は天板２の裏面に着設する
当板で、当板４は持手３，３′を除く天板２の否
起立部裏面に着設され、持手３，３′の起立によ
つて生じる空間２０を塞ぐものである。５は蓋側
壁１２の外周に嵌合係止する環帯で、環帯５は蓋
側壁１２の外周に重なる帯壁１４の上端部内周に
蓋天板２２の外縁上部に圧接する膨出部６を設
け、帯壁１４の下部内周に、蓋側壁１２の下端を
越えて内周側に折返して彎曲する係止部７と、係
止部７に続いて蓋側壁１２の内周に当接する末端
部８を有するもので、膨出部６は蓋天板２２より
上方に突出する帯壁１４の上辺４ａを内周側に巻
付けたものであり、環帯５の下部内周に設ける係
止部７と末端部８は、帯壁１４の下辺４ｂを内側
に折り返して形成するものである。環帯５の係止
部７と膨出部６は、蓋側壁１２の内面と天板２２
の外縁に当接するように、何れも帯壁１４の内周
側に設けられているため、環帯５は蓋体２の外周
に嵌着して離脱不能となる。環帯５の帯壁下辺４
ｂを折返して形成する係止部７は、弾性変形可能
となるカール状に形成され、係止部７の内周径ｄ
が本体口部ｂの外周径Ｄより僅かに小径となるよ
うに形成されており、係止部７に続く末端部８の
内周側に、係止部７の内周径ｄより僅かに大きい
本体口部ｂの挿入空間を形成するもので、紙蓋１
を構成する蓋体２と環帯５は、容器本体Ａと同様
に厚紙や弾性板紙、或は防湿や防水加工を施した
紙より形成されるものである。

本案紙蓋は上記構造であるから、内周上部に膨
出部６を設けた未完環帯５内に、下方より蓋体２
の天板２２を上にして挿入し、環帯５の膨出部６
に天板２２が当接するまで挿入した後、環帯５の
帯壁下辺４ｂを内周側に折返して彎曲する係止部
７と、係止部７に続く末端部８を形成し、係止部
７と膨出部６によつて環帯５を蓋体２の外周に狭
持固定し、蓋体２の外周に環帯５を一体的に設け
た紙蓋１を構成するか、帯壁１４の内周下部に係
止部７と、これに続く末端部８を形成した未完環
帯５に、上方より蓋体２の側壁１２を嵌挿し、天
板２２より突出する帯壁上辺４ａを内周に巻付け
て膨出部７を形成し、蓋側壁１２を膨出部６と係
止部７によつて狭持し、蓋体２とその外周に嵌合
係止した環帯５にて紙蓋１を構成する。

上記の如く構成した本案紙蓋１の下部内周に設
けた係止部７の内周径ｄは、容器本体Ａの口部外
周径Ｄより僅かに小径であるが、容器本体Ａと紙
蓋１は可撓性や弾力を有する紙によつて形成さ
れ、しかも紙蓋１の係止部７と本体口部ｂは変形
可能なカール状をしているため、紙蓋１の嵌込み
は容易となる。即ち紙蓋１を本体口部ｂに向けて
嵌込めば、紙蓋１の係止部７と本体口部ｂが相互
に、或は片方が一時的に撓み変形し、本体口部
bbを軽快に摺り抜け、本体口部ｂが係止部７に
続く末端部８の内周側まで嵌入し、紙蓋１の係止
部７に係止して離脱不能となる。即ち紙蓋１の係
止部７は本体口部ｂを摺り抜けた所で弾力的に復
元し、係止部７が本体口部ｂの下に係止する。

容器本体Ａに嵌合係止した本案の紙蓋１を真上
に離脱して取外そうとしても、紙蓋１の側壁１２
は帯壁１４と二重を成し、しかも下部の内周に設
けた係止部７が本体口部ｂの下に係止しているた
め、そのまま取外すことはできない。その結果、
紙蓋１の天板２２より持手３，３′を起立し、こ
れを把持して持運ぶことができる。

容器本体Ａより紙蓋１を取外すには、容器本体
Ａを把持し、紙蓋環帯５の一部を手指で下方より
こじ上げれば、本体口部ｂは係止部７に続く末端
部８の内周側まで嵌入しているので、末端部８よ
りこれに続く係止部７と、係止部７に係止する本
体口部ｂが相互に変形し、係止部７が本体口部ｂ
より軽快に摺り抜け、係止状態より一部が解除さ
れる。紙蓋１の係止を手指のこじ上げにより一部
解除すると、紙蓋１は簡単に取外し可能となる。
即ち紙蓋１は容器口部ｂに対して着脱可能とな
る。

尚、本案紙蓋は上記実施例に限定されるもので
はなく、例えば天板２２の裏面に透明な当板４を
着設すれば、収納商品の目視が可能となるし、天
板２２の裏面に着設する当板４を表面に着設し、
当板４に切起し可能の持手３，３′を設けても同
様の目的を達するし、天板２２より起立する持手
３をトナカイやパンダの如く動物、或は収納商品
に関連する意匠に似せることによつて、紙容器の
装飾効果を一段と高めることもできるばかりか、
蓋体２と環帯５の嵌合手段、及びその形状構造等
は、この考案の要旨に反しない限り適宜変更可能
である。

〔考案の効果〕

従つて本案紙蓋は、容器口部に対する嵌合は可
能であるが、一度嵌合した後は紙蓋環帯の一部を
手指でこじ上げないかない限り離脱不能となるも
のであるから、移動や輸送の途中は勿論、取扱い
中にも紙蓋は取外れることがない。しかも紙蓋は
嵌合するだけで離脱不能となるので、粘着テープ
を貼着したり目張りをして紙蓋を離脱不能にする
手数も省けるし、紐掛けする面倒もないばかり
か、紙蓋の天板より持手を切起し、これを直接把
持してそのまま持ち運ぶことができる。又上記の
如く離脱不能に係止する紙蓋であつても、紙蓋の
環帯を手指でこじ上げれば取り外し可能となるの
で、紙蓋の着脱には困難を要しないし、紙蓋や容
器本体を破損することもない。又紙蓋の側部は蓋
体の側壁と、その外周に嵌合係止した環帯の帯壁
とで二重を成すので堅牢強靭であるし、紙蓋の上
部内周に設けた膨出部と、下部内周に設けた係止
部と末端部は、紙蓋の形崩れを防ぐ補強部ともな
る相乗効果があるし、紙蓋を構成する蓋体と環帯
は紙製で接着剤を用いずに形成し得るので、金属
製の蓋や合成樹脂製の蓋より加工成形が容易で、
しかも軽く生産コストも安価になり、廃乗処分も
容易である等、本案は各種商品の包装用紙蓋とし
て、特に軽量商品の包装用紙蓋として実用面に有
益な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案紙蓋の平面図、第２図は容器本体
と本案紙蓋の関係を示す概略縦断面図、第３図と
第４図は類例紙蓋の平面図、第５図と第６図は紙
蓋の一部を切欠して要部構造を示す拡大正面図、
第７図と第８図はその嵌合例を示す一部切欠正面
図、第９図乃至１１図は持手の起立例を示す紙蓋
の一部切欠側面図である。 Ａ……容器本体、ａ……周壁、ｂ……口部、１
……紙蓋、２……蓋体、１２……側壁、２０……
空間、２２……天板、３，３′……持手、３ａ…
…切り罫け、３ｂ……押し罫け、４……当板、５
……環帯、１４……帯壁、４ａ……上辺、４ｂ…
…下辺、６……膨出部、７……係止部、８……末
端部、Ｄ……本体口部の外周径、ｄ……紙蓋係止
部の内周径。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体Ａの口部ｂに嵌脱可能となる蓋体２
   と、蓋体の外周に嵌合係止する環帯５より構成さ
   れ、蓋体が天板２２の外周に側壁１２を設け、天
   板の表面と裏面の一方に当板４を着設し、最上板
   に切起し可能の持手３，３′を二片対称に設け、
   環帯が蓋側壁の外周に重なる帯壁１４の上部内周
   に、最上板の外縁上部に当接する膨出部６を設
   け、帯壁の下部内周に蓋側壁の下端を越えて内周
   側に折り返す係止部７と、係止部に続いて蓋側壁
   の内周に当接する末端部８を設け、末端部の内周
   側に係止部の内周径ｄより僅かに大きい本体口部
   の挿入空間を設けた手提げ式容器用紙蓋。