JPH0211528Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、結露し難く、又は結露を基として木
材よりなる柱や間柱に対する含水率の上昇を原因
とする腐敗を防止し、しかも施工も簡単な断熱壁
構造に関する。

従来、建築物の壁の全部又は一部に対して各種
の断熱壁構造が採用されている。このうち、第１
図に示したものはこのような断熱壁構造の一例で
ある。この従来例は、柱ａ、間柱ｂ間に繊維系断
熱材ｃを内装するとともに、柱ａ、間柱ｂ外面側
に硬質発泡合成樹脂板ｄを位置付けし、その表面
に縦胴縁ｅを介して金属系や窯業系等の外装材ｆ
を取付けたものである。この例において、室内側
の防湿施工が満足にできていない場合には、繊維
系断熱材ｃを通過して湿気が該繊維系断熱材ｃよ
りも湿気を通し難い硬質発泡合成樹脂板ｄの内面
側、即ち壁体内において高湿度状態となつて、こ
れが結露したり、又はこの湿分が木材よりなる柱
ａ、間柱ｂに含水され、これら柱ａ、間柱ｂの含
水率が上昇して腐敗の原因となつたり、かび発生
の原因となつたりしている。

本考案は、このような従来の結露現象や柱、間
柱の含水率上昇、そして施工上の問題点に鑑み、
施工容易で結露防止がなされ、しかも強度的に大
なる断熱壁構造を提供せんとするものである。

第２図にはこのような本考案における断熱壁構
造の一例を示しているが、ここでは柱、間柱に取
付ける断熱材として、板状の硬質発泡合成樹脂体
の両側端部の角部を相対向して切欠し、両側方に
取付片を突出形成して該柱、間柱を受け入れるた
めのＬ形段部を対設するとともに、両Ｌ形段部に
おける少なくとも取付片より先端側に位置して該
柱、間柱間に嵌め込まれる部分には該Ｌ形段部に
沿つた長さ方向に適数の開口幅を有するスリツト
を設けたものを利用するのである。

即ち、本考案にかかる断熱壁構造は建築物の壁
において採用されるものであり、柱１，１間や柱
１と間柱２間の壁体形成用の空間に図中３として
示される断熱材が内装されて断熱壁構造が構成さ
れるのである。この断熱材３は、発泡ポリスチレ
ン、発泡ポリウレタン等の硬質発泡合成樹脂体が
利用される。発泡ポリスチレンの場合は発泡倍率
５〜30倍程度のもの、又発泡ポリウレタンにあつ
ては10〜40倍程度のものが利用される。そして、
この柱１、間柱２間に取付けられる断熱材３は、
図示したように板体の両側端部の角部を相対向し
て切欠し、両側方に取付片を突出形成して該柱
１，間柱２を受け入れるためのＬ形段部４，４を
対設するとともに、両Ｌ形段部４，４間における
少なくとも取付片より先端側に位置して柱１、間
柱２間に嵌め込まれる断熱材部分３ａには該Ｌ形
段部４，４に沿つた長さ方向に適数の開口幅を有
するスリツト５…が設けられている。この両側端
部に形成した取付片は前記柱１、間柱２をＬ形段
部４で受け入れられるようにそれら柱１、間柱２
の表面における幅の略1/2の幅を有する大きさに
形成し、これら断熱材３…を横方向並びに上下方
向に適当枚数、釘打ちや従来と同様に各種の胴縁
６…等で取付けることによつて、柱１、間柱２に
断熱材３を取付けるものである。そして、図示し
た実施例では、この断熱材３のＬ形段部４を設け
た両側面は取付片よりも先端側に位置する部分両
側が、第３図に示すように取付片側よりも横幅
ｔ，ｔだけ両側方に向けて突出した傾斜面７，７
を形成している。即ち、取付片より先端側に位置
して前記柱１、間柱２間に嵌め込む断熱材部分３
a′における幅を先端側を基端側よりも大とするこ
とによつて、その硬質発泡合成樹脂体の有する弾
性とこの傾斜面７，７の該柱１、間柱２間への喰
込みにより、柱１、間柱２間への取付け強度が向
上するようにしている。この傾斜面７は、第３図
に示すｔ，ｔが、それぞれ５mm程度になるように
するとともに、その間に形成されるスリツト５…
の開口幅合計は両側面の傾斜面７，７を形成する
ためのｔ，ｔの合計値、即ち図示したものにおい
ては10mm程度のＬ形段部４，４間の圧縮が可能な
ようにスリツト数並びにその開口幅を設定するこ
とが考慮される。

又、スリツト５…はその深さを図示したように
Ｌ形段部４の深さと略同程度、即ち取付片より先
端側に位置して前記柱１、間柱２間に嵌め込まれ
る部分の全体にわたる深さに設けるのが好ましい
態様といえる。

以上のようになる本考案の断熱壁構造にあつて
は、柱、間柱に取付ける断熱材として、板状の硬
質発泡合成樹脂体の両側端部の角部を相対向して
切欠し、両側方に取付片を突出形成して該柱、間
柱を受け入れるためのＬ形段部を対設するととも
に、両Ｌ形段部間における少なくとも取付片より
先端側に位置して該柱、間柱間に嵌め込まれる部
分には該Ｌ形段部に沿つた長さ方向に適数の開口
幅を有するスリツトを設けたものを利用し、この
断熱材を前記柱、間柱間に内装してなるから、全
体が単一材料で構成された断熱材中における水蒸
気圧分布は飽和水蒸気圧を超えることがなく、壁
体内で内部結露を発生するおそれがないのであ
る。又、このことから、木材よりなる柱、間柱を
腐敗させたり、汚損させることも防止できるので
ある。

更に、断熱材として硬質発泡合成樹脂体を用い
るから、強度的にも向上するだけでなく、一体の
断熱材で、従来各種の材料を積層して複数層に形
成していた寒冷地向けの高断熱構造における建築
物の壁体を形成できるのである。又、結露防止に
加えて、断熱材を取付片を柱、間柱の表面に位置
づけて柱、間柱の角部にＬ形段部を係止して仮止
めができる等、取付け時の簡便さがあるうえに、
柱、間柱間に取付けたのちには材料特性やスリツ
トの存在によつてこれらへの取付け強度が高くな
るのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例における断熱壁構造の横断面
図、第２図は本考案にかかる断熱壁構造の要部を
示す斜視図、第３図は断熱材の平面図である。 １……柱、２……間柱、３……断熱材、４……
Ｌ形段部、５……スリツト、６……胴縁、７……
傾斜面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 柱、間柱に取付ける断熱材として、板状の硬
   質発泡合成樹脂体の両側端部の角部を相対向し
   て切欠し、両側方に取付片を突出形成して該
   柱、間柱を受け入れるためのＬ形段部を対設す
   るとともに、両Ｌ形段部間における少なくとも
   取付片より先端側に位置して該柱、間柱間に嵌
   め込まれる部分には該Ｌ形段部に沿つた長さ方
   向に適数の開口幅を有するスリツトを設けたも
   のを利用し、前記柱、間柱に前記断熱材を該取
   付片を該柱、間柱表面に位置づけて柱、間柱の
   角部に該Ｌ形段部を係止し、しかも柱、間柱間
   に両Ｌ形段部間に位置する部分をスリツトの開
   口幅を収縮させて押圧変形させることで嵌め込
   んでなる断熱壁構造。 ２ 断熱材として、取付片より先端側に位置して
   前記柱、間柱間に嵌め込む部分における幅を先
   端側を基端側よりも大としてなるものを利用し
   てなる実用新案登録請求の範囲第１項記載の断
   熱壁構造。 ３ スリツトの深さをＬ形段部の深さと略同程度
   に形成してなる実用新案登録請求の範囲第１項
   又は第２項記載の断熱壁構造。