JPH0210838Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案はドラムブレーキに用いられるブレーキ
シユーアツセンブリに関するものである。

従来技術 ドラムブレーキにおいては、一般に、帯状かつ
円弧状のシユーリムを有するブレーキシユー本体
と、そのシユーリムの外周面に沿つて固着された
ライニングとを備えた一対のブレーキシユーアツ
センブリが配設されている。そして、かかるブレ
ーキシユーアツセンブリの一種に、ライニングが
接着によりシユーリムの外周面に固着されたもの
がある。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、かかるブレーキシユーアツセン
ブリのシユーリムの外周面は、通常、比較的平滑
であるので、ライニングとの接着面積を充分に確
保し得ないとともに、特に、接着作業時に各接合
面間にエアが混入した場合等においては、その接
着面積が一層減少して接着強度が著しく損なわれ
るという問題があつた。

問題点が解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であり、その要旨とするところは、帯状かつ円弧
状のシユーリムを有するブレーキシユー本体と、
そのシユーリムの外周面に沿つて固着されたライ
ニングとを備えたドラムブレーキ用ブレーキシユ
ーアツセンブリにおいて、前記シユーリムの外周
面に、そのシユーリムの幅方向に延び且つそのシ
ユーリムの幅方向中央から幅方向両端に向かうに
従つて深くなるとともにその幅方向両端において
それぞれ開口する溝を複数設け、その溝を含むシ
ユーリムの外周面において前記ライニングを接着
するようにしたことにある。

作用および考案の効果 このようにすれば、シユーリムの外周面に、そ
のシユーリムの幅方向に延び且つそのシユーリム
の幅方向中央から幅方向両端に向かうに従つて深
くなるとともにその幅方向両端においてそれぞれ
開口する溝が複数設けられているので、その溝を
含むシユーリムの外周面においてライニングを接
着することにより、従来に比べて両者の接着面積
を一層増大し得るとともに、接着時におけるライ
ニングのシユーリムに対する加圧に伴つて各接合
面間に存在するエアを前記溝に沿つてその両端部
から比較的容易に排出し得るため、エアの混入に
伴う接着面積の減少を効果的に抑制し得る。この
結果、両者の接着強度を従来に比べて大幅に向上
し得る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第５図は本考案が適用されたブレーキシユーア
ツセンブリを備えたドラムブレーキの要部を示す
図であつて、１０はバツキングプレートである。
バツキングプレート１０上には、一対のブレーキ
シユーアツセンブリ１２，１４が拡開可能に配設
されており、その各一端はバツキングプレート１
０上に固定されたアンカ１６の両側面にそれぞれ
当接させられているとともに、その各他端はバツ
キングプレート１０上に固定されたホイールシリ
ンダ１８の両端にそれぞれ係合させられている。
かかるドラムブレーキにおいては、ホイールシリ
ンダ１８によりブレーキシユーアツセンブリ１
２，１４がそれぞれ外周側へ押し出されて、それ
等の外周面が図示しない回転ドラムに押し付けら
れることにより制動が行われる。

ブレーキシユーアツセンブリ１２，１４は、帯
状かつ円弧状のシユーリム２０，２２とそのシユ
ーリム２０，２２の幅方向中央部に溶接等により
固着されて内周側へ突き出すシユーウエブ２４，
２６とから成るブレーキシユー本体２８，３０
と、そのシユーリム２０，２２の外周面に長手方
向に沿つて接着され、たとえば石綿および樹脂等
から熱成形されたライニング３２，３４とを備え
ている。なお、これ等ブレーキシユーアツセンブ
リ１２，１４は略同様に構成されているため、以
下、一方のブレーキシユーアツセンブリ１４につ
いてのみ説明する。

ブレーキシユーアツセンブリ１４のシユーリム
２２には、その幅方向両端縁部であつて長手方向
両端部近傍および中央部がそれぞれ内周側に湾曲
させられることにより、バツキングプレート１０
上に形成された図示しないレツジ部と摺接する摺
接部３６が本実施例においては６個（第１図およ
び第５図においては幅方向一端縁部側の３個のみ
図示）形成されている。そして、シユーリム２２
外周面の各摺接部３６の間には、第１図および第
２図に示すように、シユーリム２２の幅方向に延
び且つそのシユーリム２２の幅方向中央から幅方
向両端に向かうに従つて深くなるとともに幅方向
の両側端面３８においてそれぞれ開口する溝４０
がシユーリム２２の長手方向に沿つて複数形成さ
れている。かかるシユーリム２２を有するブレー
キシユー本体３０はたとえば次のようにして製造
される。

まず、矩形平板状のシユーリム部材（素材）を
用意し、ローラ成形等により曲げ加工を施す。次
いで、外周面の一部に溝４０に対応する凹凸を有
する転造ダイスによりシユーリム部材の外周面の
所定箇所に溝４０を形成する。次に、所定の金型
を用いてプレス加工を施すことにより摺接部３６
を形成する。このようにして加工されたシユーリ
ム部材の内周側であつて幅方向中央部にシユーウ
エブ部材を溶接等により固着することにより、前
記シユーリム２２を有するブレーキシユー本体３
０を得る。

以上のように構成されたブレーキシユー本体３
０のシユーリム２２の外周面に、第１図に示すよ
うに、ライニング３４を接着することにより、本
実施例のブレーキシユーアツセンブリ１４が製造
される。このとき、ライニング３４およびシユー
リム２２は、第３図に示すように、両者の間に介
在する接着剤４２が溝４０内に喰い込んだ状態で
互いに接着されることとなるので、両者の接着面
積、より正確にはライニング３４の表面に比べて
平滑であるシユーリム２２の外周面と接着剤４２
との間の接合面積が従来に比べて大幅に増大す
る。また、溝４０が距離の短い幅方向に延び且つ
中央から両端に向かうに従つて深くなるように形
成されているので、接着時においてライニング３
４をシユーリム２２に対して押圧するときに、両
者の間に存在するエアを溝４０に沿つてシユーリ
ム２２の幅方向両外側に向かつて案内して溝４０
の両端部から容易に排出しつつ接着することがで
きるため、エアの混入に伴う接着面積の減少を効
果的に抑制し得る。この結果、両者の接着強度を
従来に比べて大幅に向上し得る。

また、本実施例によれば、溝４０は回転ドラム
の回転方向に対して直角な方向に位置し、その溝
４０内に接着剤４２が喰い込んだ状態でライニン
グ３４およびシユーリム２２が互いに接着される
こととなるので、制動時にライニング３４がずれ
るのを効果的に抑制することができる。

なお、前述の実施例においては、各溝４０が、
第３図に示すように、シユーリム２２の外周面か
ら窪んだ状態で形成されているが、溝は、たとえ
ば第４図に示すように、各溝４４間のシユーリム
２２外周側の頂部４６がシユーリム２２の溝４４
が形成されていない外周面から所定寸法（図中
Ａ）突出するように形成しても良い。このように
した場合には、前述の実施例と略同様の効果が得
られるのに加えて、ライニング３４の圧着により
前記頂部４６が直接ライニング３４に喰い込んだ
状態で両者を接着し得るので、制動時におけるラ
イニング３４のずれを一層効果的に抑制し得る。

また、前述の実施例においては、溝４０はシユ
ーリム２２の各摺接部３６間に形成されている
が、部分的に形成されても良いし、また、シユー
リム２２の長手方向全長に亘つて連続的に形成さ
れても良い。なお、溝を部分的に形成する場合に
は、シユーリム外周面のライニング両端部近傍と
接着される二箇所においてそれぞれ形成すること
が好ましい。

また、前記溝は、シユーリム２２あるいはシユ
ーリム部材にプレス加工を施すことにより形成す
ることも可能である。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は第５図におけるブレーキシユーアツセ
ンブリを分解して示す拡大図である。第２図は第
１図の−視断面の要部を示す拡大図である。
第３図は第２図の−視断面に相当する図であ
つて、要部を示す拡大図である。第４図は本考案
の他の実施例を示す図であつて、第３図のシユー
リムに対応する図である。第５図は本考案が適用
されたブレーキシユーアツセンブリを備えたドラ
ムブレーキの要部を示す正面図である。 １２，１４：ブレーキシユーアツセンブリ、２
０，２２：シユーリム、２８，３０：ブレーキシ
ユー本体、３２，３４：ライニング、４０，４
４：溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 帯状かつ円弧状のシユーリムを有するブレーキ
   シユー本体と、該シユーリムの外周面に沿つて固
   着されたライニングとを備えたドラムブレーキ用
   ブレーキシユーアツセンブリにおいて、 前記シユーリムの外周面に、該シユーリムの幅
   方向に延び且つ該シユーリムの幅方向中央から幅
   方向両端に向かうに従つて深くなるとともに該幅
   方向両端においてそれぞれ開口する溝を複数設
   け、該溝を含む該シユーリムの外周面において前
   記ライニングを接着するようにしたことを特徴と
   するドラムブレーキ用ブレーキシユーアツセンブ
   リ。