JPH0210483Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、主としてテイルト・スイングおよ
びシフト・ライズの各操作が可能となるレンズ交
換式カメラ用のエキステンシヨン・チユーブに関
するものである。

従来におけるカメラ用交換レンズの繰出し機構
は、内側ネジ部リングおよびレンズマウント取付
部と一体化したヘリコ繰出操作リングによる繰出
部と、内側マウントリングおよび外側メネジ部リ
ングとそれぞれ一体化したカメラマウント取付部
による被繰出部との螺合組付けの旋動をもつて軸
方向への伸縮だけが可能となるように構成されて
いた。従つて被写体に対するカメラアングルが単
調になつて、微妙な映写位置差とアングル差によ
る高度な映写技術を発揮することができないとい
う問題点があつた。

この考案は上記の問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、従来
の繰出し機構に映写位置とアングルの変更が可能
となる全方位エキステンシヨン機構を付設するこ
とにより、微妙な映写位置差とアングル差による
高度な映写技術を駆使して現代カメラのレベルア
ツプが達成できるレンズ交換式カメラ用のエキス
テンシヨン・チユーブを提供することにある。

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

まず構成を説明すると、第１図に示すように、
レンズ交換式カメラの前面部に取付けて交換レン
ズを着脱自在にかつこの交換レンズを軸方向に伸
縮可能に保持するために、内側ネジ部リングと一
体化したヘリコ繰出操作リングによる繰出部１ａ
と、内側マウントリング２および外側メネジ部リ
ングとそれぞれ一体化したカメラマウント取付部
による被繰出部１ｂとの螺合をもつて一括体に組
着した繰出し機構１における前記被繰出部１ｂの
マウントリング２には、第３図に示すように、そ
の後端側フランジの一端から前方の軸方向に所定
幅の直進ガイド板２ｂが突設されている。そして
この直進ガイド板２ｂの両側にあたるフランジ面
には後記する繰出直進リング３の各爪状ストツパ
ー３ｂが収嵌するガイド切欠き２ｃが設けられて
いる。なおこのマウントリング２の内径面に設け
られた２ａは、この考案のエキステンシヨン・チ
ユーブをレンズ交換式カメラの前面部に螺合する
ためのカメラ取付マウント部である。

また前記繰出し機構１の繰出部１ａにおいて、
外側のヘリコ繰出操作リングと一体化した内側ネ
ジ部リングの内径面の一端には第１図に示すよう
に、短尺で小径のガイドピン１１が径方向に突設
されている。そしてこの態様による繰出部１ａの
内径部には次に示す繰出直進リング３が、後記の
態様により一括状に収嵌組着されている。この繰
出直進リング３は次のように形成されている。す
なわち第３図に示すように、この繰出直進リング
３は前記繰出部１ａの内径部に収嵌可能なリング
体で、その周面の一端には、前記したマウントリ
ング２の直進ガイド板２ｂに対応する直進溝３ａ
が軸方向に設けられている。そしてこの溝３ａの
後部両側には周面の延長による爪状のストツパー
３ｂ，３ｂが軸方向に突設されている。なお直進
溝３ａを除く後部側周面には繰出部１ａの内径部
に突設したガイドピン１１に係嵌するためのピン
溝３ｆが周方向に設けられている。さらに前記ス
トツパー３ｂと反対側にあたる繰出直進リング３
の前部縁面対向位置には後記する保持部４のアリ
溝４ａへ摺動自在に嵌合するためのアリ溝板３
ｃ，３ｃが、和して一条となる直状態によりそれ
ぞれ固着されている。この両アリ溝板３ｃの各前
面部にはバネ板３ｅが径方向に向けて斜め起立の
状態により弾発的に固定されている。またその一
方のアリ溝板３ｃには先端部が前方に屈曲され
て、この屈曲面に後記するシフト・ライズストツ
パー９を螺挿するためのネジ孔３ｄが径方向に設
けられている。この態様により繰出直進リング３
は、前記繰出し機構１の内径部に前記マウントリ
ング２に対する直進溝３ａの嵌合と、同リング２
のガイド切欠き２ｃに対する各ストツパー３ｂの
係合により収嵌し、ガイドピン１１に対するピン
溝３ｆの係嵌をもつて周方向には回動自在とな
り、また軸方向には一体化の状態により組着され
ている。

次に保持部４は、第１図および第３図から第６
図までに示すように、加工時においては２体のリ
ング体に形成されているが、組立時に一体化した
とき、その内径部が後記するレンズ取付部５の球
状外径が収嵌可能となる一連の円弧面に形成され
ている。そして後部面の対向位置には前記繰出直
進リング３の各アリ溝板３ｃが収嵌して摺動可能
となる各アリ溝４ａ，４ａが径方向に設けられて
いる。またその一方のアリ溝４ａと接する周面の
一端には後記する金属ボール６を収納するための
ネジ孔４ｂが径方向に貫設されている。この保持
部４の内径部には次に示すレンズ取付部５が後記
する態様により一括状に収嵌組着されている。こ
のレンズ取付部５は一体のリングに形成されてい
て、第１図、第３図、第４図および第７図に示す
ように、その外径部は、所定径の球面に形成され
ている。そしてこの球状外径の周面には後記する
金属ボール６の係嵌が可能となる複数条のクリツ
クボール溝５ａが周方向に形成されている。なお
このレンズ取付部５の内径面には後記する交換レ
ンズ１０の螺挿が可能となるレンズ取付マウント
部５ｂが設けられている。この態様によるレンズ
取付部５は、前記保持部４の円弧内径部に離脱不
能の状態をもつて回動自在に収嵌されたのち、保
持部４のネジ孔４ｂからクリツクボール溝５ａに
向けて装入された金属ボール６と、このボール６
に対するスプリング７の支弾およびその外方から
の押えネジ８の螺挿保持とにより、軸心を基準と
する全周的な円弧状の揺動および規定角度毎の停
止が可能のように一括状に組着されている。上記
により内径部にレンズ取付部５を一括状に収嵌し
た保持部４は、前記繰出直進リング３の各アリ溝
板３ｃに対するその位置毎のアリ溝４ａの係嵌に
より軸方向には逸脱不能のもとで径方向への摺動
自在に組着され、かつ一方アリ溝板３ｃのネジ孔
３ｄから螺挿したシフト・ライジストツパー９に
より、限度範囲における径方向への摺動が可能の
ように設定されて、全体として１組のエキステン
シヨン・チユーブに組成されている。

次に作用を説明する。

上記の構成により、この考案によるエキステン
シヨン・チユーブを使用する場合は、まずレンズ
取付部５のマウント部５ｂに、第１図は示すよう
に、一般レンズ以外の無限遠と至近距離の撮影に
共通使用が可能なベローズ専用レンズによる市販
の交換レンズ１０を螺挿組着したのち、この態様
によるエキステンシヨン・チユーブを、大型カメ
ラ（ビユーカメラ）または一眼レフカメラ（レン
ズ交換式カメラ）の前面ネジ部にマウントリング
２のカメラ取付マウント部２ａによる螺合をもつ
て嵌着すると、繰出し機構１による軸方向への伸
縮操作は従来のものと同様に行えるうえ、保持部
４を径方向に摺動した場合は、アリ溝板３ｃをガ
イドにして交換レンズ１０を規定距離宛径方向に
移動することができる。またこの保持部４をガイ
ドにしてレンズ取付部５に揺動操作を与えると、
クリツクボール溝５ａに係嵌している金属ボール
６が上記レンズ取付部５の揺動で、その方位に配
置されている他のクリツクボール溝５ａ内に弾発
的に移動するため、このレンズ取付部５は、径方
向における軸心を基準とした各クリツクボール溝
５ａの配置間隔に相当した規定による角度θ宛繰
出し方向の軸心に対して全方位の角度変更が可能
となり、これによつて交換レンズ１０のカメラア
ングルを任意に設定することができる。

上記によるこの考案の特有の効果は、エキステ
ンシヨン・チユーブの保持部４とレンズ取付部５
における各操作をもつて、左右上下（テイルト・
スイング）に自由に移行することで、被写体の傾
斜および左右上下の距離差を是正し、これにより
被写体の全方位におけるピントを均一に保持する
ことができる。なお上記の保持部４は、アリ溝板
３ｃをガイドとして左右上下に移動することで、
シフトが可能となり、またエキステンシヨン・チ
ユーブ全体を90度宛回動変位しての取付けによ
り、ライズも可能となる。従つて繰出し機構を持
つ交換レンズ１０保持のエキステンシヨンにおい
て映写位置とアングルの各変更が可能となり、全
方位に対してのカメラアングルが任意かつ確実に
設定できて、微妙な映写位置差とアングル差によ
る高度な映写技術を駆使して現代カメラのレベル
アツプを容易に達成できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるエキステンシヨン・チ
ユーブの構成を示す一部縦断側面図、第２図は同
正面図、第３図はエキステンシヨン・チユーブの
要部を示す斜視図、第４図は同保持部とレンズ取
付部の嵌合要部を示す部分断面図、第５図は同保
持部の背面図、第６図は同保持部の分解図、第７
図は同レンズ取付部の一部断側面図である。 １……繰出し機構、１ａ……繰出部、１ｂ……
被繰出部、２……マウントリング、２ｂ……直進
ガイド板、３……繰出直進リング、３ａ……直進
溝、３ｃ……アリ溝板、４……保持部、４ａ……
アリ溝、５……レンズ取付部、５ａ……クリツク
ボール溝、６……金属ボール、１０……交換レン
ズ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 繰出し機構１における被繰出部１ｂのマウント
   リング２の一端から直進ガイド板２ｂを繰出しの
   軸方向に突出し、繰出し機構１の繰出部１ａと軸
   方向に一体化した繰出直進リング３の周面には、
   前記直進ガイド板２ｂに対応する直進溝３ａを軸
   方向に設けるとともに、この繰出直進リング３の
   前端には、和して一条となるアリ溝板３ｃを径方
   向に対向状に突設し、繰出し機構１の前部位置に
   は、前記繰出直進リング３のアリ溝板３ｃに対応
   するアリ溝４ａを後部面に設けた環状体の保持部
   ４を、前記アリ溝板３ｃとアリ溝４ａの嵌合によ
   り径方向への摺動が可能に配置して、前記保持部
   ４の円弧内径部には、この円弧内径部に収嵌可能
   な球状外形周面に複数のクリツクボール溝５ａを
   設けたレンズ取付部５を回動自在に収嵌し、か
   つ、このレンズ取付部５のクリツクボール溝５ａ
   内には前記保持部４のネジ穴４ｂ内に収納した金
   属ボール６を弾発的に係嵌して規定角度宛軸心を
   基準とする円弧上の揺動が全周的に可能な状態に
   組着してなることを特徴とするレンズ交換式カメ
   ラ用のエキステンシヨン・チユーブ。