JPH018233Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車等に用いられるシートのパツド
に関し、特にパツドのシートフレームへの結合の
ための構造に関する。

一般に、自動車等に用いられるシートにあつて
は、シートの緩衝材を構成するパツドと、シート
の装飾表面を構成する表皮とが一体成形される構
造のものがあるが、この表皮を一体に備えるパツ
ドをシートフレーム等に組付ける場合には、シー
トフレーム上にパツドを載せ、表皮の下部周囲か
ら一体に延設された取付けしろがシートフレーム
側に引付けられつつシートフレームにクリツプに
て固定される。しかし、取付けしろがシートフレ
ーム側に引き付けられるために、パツドのメイン
部分が浮き上げられ、シートフレームに対するパ
ツドの安定した装着がなされない場合がままあ
る。

このため、従来、パツドのシートフレームに位
置される部に不織布を、パツドの成形と同時に植
付け、この不織布とシートフレームに張わたされ
たシートばねとにクリツプを掛けわたすことによ
つてパツドをシートフレームに安定される構造が
施されている。しかし、この構造においては、ク
リツプが不織布の局部をＵ字状に貫き、しかもク
リツプの素材径が比較的細いため、着座時のパツ
ドへの繰り返えされる着座者からの荷重によつ
て、不織布とクリツプの結束状態が弛緩された
り、不織布がクリツプにて切断されたりする不都
合が多い。

本考案の目的は前述した従来の不都合を解消す
るために、不織布の表裏に貫通した波状状態で心
材を不織布に装着し、この不織布をパツドの成形
時に植付けることによつて、パツドの裏面に間欠
的に露出した心材の局部を目安にしつつ不織布を
Ｕ字状に貫くクツリがパツドと不織布の間に埋め
込まれた心材を跨ぐ状態でシートばねに掛けわた
され、パツドのシートフレームへの安定装着が維
持できるシート用パツドを提供するものである。

以下、図面について本考案の施されたシート用
パツドの実施例の詳細を説明する。

第１図は本考案の施されたシート用パツドの裏
側からの斜視図であつて、このパツド１はシート
の緩衝材を構成し、このパツド１の着座面と、こ
の着座面の周囲に位置される側面からなる表面に
はシートの装飾面を構成する表皮２を備え、パツ
ド１の裏面には例えば寒冷紗等の不織布３が所定
の平面形状で植付けられている。この不織布３の
所定形状は、第２図示のように、パツド１をシー
トフレーム４に載せた際、不織布４がシートフレ
ーム４にかかるようになつている。また、不織布
３の所定部位即ちパツド１をシートフレーム４に
載せたとき、クリツプ５がシートフレーム４の固
定部材を構成するシートばね６との間に掛けわた
される部位には、心材７が設けられている。この
心材７は、第３図示のように、不織布３の表面３
ａと裏面３ｂに交互に貫通した波状状態で装着さ
れる。

一方、前記不織布３はパツド１の成形時に同時
成形にて植付けられる。即ち、成形型のパツド１
の裏面を成形する部位に心材７を装着された不織
布３を配した後、成形型内にパツド１の原料を注
入し、パツド１が所定形状に成形され、これによ
つて不織布３がその表面３ａとパツド１の裏面に
露出した状態で植付けられる。したがつて、前記
心材７の不織布３の表面３ａに間隔的に露出され
た局部は、パツド１の裏面からも露出されてい
る。

前記パツド１の裏面周囲に位置する表皮２は、
所定長の幅を有する取付けしろ８が一体的に延設
されている。

以上のように構成された前記実施例によれば、
第２図示のように、シートフレーム４にパツド１
を載せ、取付けしろ８をシートフレーム４にクリ
ツプ９にて固定させる。また、パツド１の裏面に
間隔的に露出した心材７の局部を目安にしつつパ
ツド１と不織布３の間に埋め込まれた心材７を跨
がせる状態でクリツプ５を不織布３にＵ字状に差
し込む。その後、クリツプ５の不織布３の裏面３
ｂから突出された両端の間にシートばねを挾み込
むように、クリツプ５の両端を閉じる。前記実施
例によれば、不織布３が心材７を備えつつパツド
１に植付けられているので、パツド１の成形時に
パツド１の素材が不織布３中に浸侵された状態で
硬化され、不織布３は適度な剛性を備える。しか
も、不織布３とパツド１の間に埋め込まれた心材
７にもパツド材が密着され、かつ心材７が不織布
３の表面３ａと裏面３ｂに交互に貫通した波状状
態で装着されているために、不織布３に対する心
材７の位置ずれ現象が確実に阻止される。この結
果、不織布３の剛性増加と心材３の固定装着状態
との共働によつて、クリツプ５による結束が弛緩
したり、クリツプ５による不織布３の切断等の不
都合が阻止できるので、着座者からの荷重が繰り
返えされても、パツド１のシートフレーム４への
安定装置が長期間にわたつて維持される。

また、前記実施例によれば、パツド１の裏面に
心材７の局部が間隔的に露出されているので、ク
リツプ５の装着時に、この露出された心材７の局
部を目安にすることができるので、パツド１と不
織布３間に埋め込まれた心材７の位置確認が的確
に把握でき、目隠状態の心材７にクリツプ５を跨
がせる作業を容易かつ迅速に行なうことができ
る。

なお、前記実施例においてはパツド１と表皮２
を一体成形する場合について例示したけれども、
本考案はこれに限定されるものではなく、心材７
を装着した不織布３をパツド１の成形時に植付け
る構造であれば適用できる。また、心材７側にク
リツプを用いて表皮２の端末８又は表皮の引き
紐、ボタン紐を取付けてもよい。

以上説明したように本考案によれば、パツドの
裏面に間隔的に露出された心材を目安にし、パツ
ドと不織布の間に埋め込まれた心材を跨ぎつつク
リツプをシートフレーム側に掛止めることができ
るので、パツドのシートフレームへの安定装着が
長期間にわたつて維持できるうえ、クリツプの掛
止め作業を素早く的確に行なうことができる。さ
らに心材を装着した不織布を用意するだけで、従
来のパツドの成形システムに変更を来たすことな
く、パツドの成形ができるので、パツドの生産体
制を健全に維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の施されたパツドの裏側からみ
て一部を切除した斜視図、第２図は本考案に用い
られる心材を装着した状態の不織布の一部分の斜
視図、第３図は本考案のパツドをシートフレーム
に装着した状態での断面図である。 １……パツド、３……不織布、４……シートフ
レーム、５……クリツプ、６……シートばね、７
……心材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートフレームに載せられたシート用パツドに
   おいて、前記パツドの裏面に沿わされる所定形状
   の布等のウレタン樹脂が含浸可能なシート状部材
   の表面と裏面に貫通した波状状態で心材を装着
   し、この心材を装着した上記シート状部材を前記
   パツドの裏面にパツドの成形時と同時に植付け、
   上記心材にシートフレーム又は表皮の端末等を取
   付け可能としたことを特徴とするシート用パツ
   ド。