JPH017770Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、タイルを壁面や床面等の下地面に
接着するのに使用されるタイルアンカーに関する
ものである。

建築物において、その壁面や床面を形成するた
めの表装材料としてタイルを用いてその表装面の
仕上げを格調高くおこなうことがしばしば行われ
る。

このタイルを下地面に接着するに際しては、混
和剤入りのモルタルをあらかじめ下地面へ塗り付
け、このモルタルの部分にタイルを押し付けて張
る圧着工法や、タイルをあらかじめ型わく面に配
列固定しておいてコンクリートを打設する先付け
工法などがある。このようなタイルの接着におい
て、その接着強度が十分であるように、表面に面
積が大きいタイルの場合には、その裏面側にリブ
等の凹凸部からなる裏あしをつけることが行なわ
れる。

しかしながら、裏あしをつけたときでも、例え
ば上記圧着工法においてタイルをモルタルに押し
付けた場合に、モルタルが裏あしの隅部まで十分
に入り込まず、空隙部分ができて十分な接着強度
が得られないことがあるという問題を有してい
た。

この考案は、上記したような従来の問題点に着
目されてなされたもので、タイルに簡単に且つ強
固に固定することができると共に下地面に対して
タイルを良好な接着強度で接着することができる
タイルアンカーを提供することを目的としてい
る。

この考案のタイルアンカーは、タイルの裏あし
との掛止部を少なくとも三箇所に有する弾性アン
カー本体と、前記弾性アンカー本体と共にモルタ
ル類塗付部中に埋設されるアンカー部とをタイル
面と平行な方向にずらせた状態でそなえたことを
特徴としている。

以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

第１図はこの考案の一実施例によるタイルアン
カーを示し、第２図は第１図のタイルアンカーを
展開した状態を示す図であつて、このタイルアン
カー１は、タイルの裏あしとの掛止部２，３，４
を両端部分および略中間部分に有する弾性アンカ
ー本体５と、前記弾性アンカー本体５と共にモル
タル類塗付部中に埋設されるアンカー部６とをそ
なえたものである。

このようなタイルアンカー１は、第２図の展開
図に示すように、長方形状の板状素材１ａの底辺
側の両端部分および略中間部分に突出部２ａ，３
ａ，４ａを有すると共に、頂辺側にこれと略平行
に切欠部６ａを形成した板材を折曲することによ
つて形成される。すなわち、中間の突出部３ａを
紙面後方側に折曲してタイルの裏あしとの掛止部
３を形成すると共に、両端の突出部２ａ，４ａを
紙面前方側に折曲してタイルの裏あしとの掛止部
２，４を形成し、前記切欠部６ａと掛止部２，
３，４との間を弾性アンカー本体５としてこれを
前記中間の掛止部３側にわん曲し、これと同時に
前記切欠部６ａと板材１ａの頂辺側との間をアン
カー部６としてこれを前記弾性アンカー本体５と
反対の向きにわん曲することにより、前記弾性ア
ンカー本体５とアンカー部６とで扁平リングが形
成されるようにしてなるものである。このとき、
中間の掛止部３の先端部と両端の掛止部２，４の
先端部との間の間隔ｄは、タイル１０の裏あしと
しての突条部１１の幅Ｗよりも小さくなるように
している。

次に、上記したタイルアンカー１をタイル１０
に固定するに際しては、第１図ｂに示すように、
まず、凹凸状の裏あしを有するタイル１０の突条
部１１の立上り部分に、前記タイルアンカー１の
両掛止部２，３が掛かつた状態で置く。次いで、
上記タイルアンカー１の残りの掛止部４側端部を
第１図ｂの上方に押し、弾性アンカー本体５の弾
性力に抗してその曲率をさらに大きくし、掛止部
４が突条部１１の第１図ｃ上辺側に掛かる位置ま
で移動させたのち、中間の掛止部３を突条部１１
の下辺側壁部に、両端の掛止部２，４を突条部１
１の上辺側壁部にそれぞれ掛止した第１図ｄ，ｅ
に示す状態とすることによつて、タイルアンカー
１をタイル１０に固定させる。このとき、タイル
アンカー１は、弾性アンカー本体５とアンカー部
６とがタイル面と平行な方向にずれた状態にあ
り、且く板状の両者がタイル面と直交する方向に
突出した状態になる。

このようなタイル１０を例えば壁面に接着する
に際しては、第３図に示すように、壁面１５にま
ずモルタル１６を塗り付けたのち、このモルタル
１６に、タイル１０をタイルアンカー１と共に押
し付ける。したがつて、タイルアンカー１がモル
タル１６内に埋め込まれた状態となり、とくに、
弾性アンカー本体５と反対方向にわん曲させたア
ンカー部６が互いにずれた位置でモルタル１６内
に埋め込まれた状態となつているため、モルタル
１６との食い付きがきわめて良好になるので、タ
イル１０の接着強度が著しく高いものとなり、タ
イル１０の落下のおそれをなくすことができるよ
うになる。

第４図ａ，ｂは、この考案の他の実施例による
タイルアンカーを示す図であつて、このタイルア
ンカー１は、第１図のタイルアンカー１の各掛止
部２，３，４にそれぞれ切り起しによる孔部７を
設けた場合を示している。そして、第１図に示す
ように、タイルアンカー１をタイル１０に固定し
たのち、第３図と同様に、壁面１５に塗り付けた
モルタル１６にタイル１０を押し付けるに際し、
第５図に示すように、前記孔部７に連係線１８を
通したのち押し付ける。このようにして多数のタ
イル１０を連係線１８によりつなぐことによつ
て、モルタル１６とタイル１０との接着強度をよ
り高めることができ、仮にタイル１０が剥れたと
きでも連係線１８によつて保持されるため、落下
して危害を与えるような心配もなくなる。なお、
このような孔部７および連係線１８は、図示例の
ように三箇所の掛止部２，３，４の全部に必ずし
も設けねばならないことはない。

第６図はこの考案のさらに他の実施例を示す図
であつて、タイルアンカー１のアンカー部６をあ
らかじめ切断しておく場合を示しており、この場
合にもタイル１０の接着強度を良好なものとして
おくことができる。

第７図はこの考案のさらに他の実施例を示す図
であつて、このタイルアンカー１は、アンカー部
６をあらかじめ切断しかつ端部付近を半円状に曲
げると共に、掛止部２，３，４に孔部７を設けた
ものである。

第８図はこの考案のさらに他の実施例を示す図
であつて、タイル１０の裏あしを形成する溝部１
２にタイルアンカー１を固定するようにした場合
を示している。この場合にも、固定に際して、ま
ず、第８図ｂに示すように、タイルアンカー１の
両掛止部２，３を溝部１２の上下壁部にそれぞれ
掛け、次いで残りの掛止部４側の端部を第８図ｂ
の上方向に押して弾性アンカー本体５の曲率がよ
り小さくなるようにし、第８図ｃに示すように掛
止部４が溝部１２の下壁部まで来たところで、掛
止部４を溝部１２の下壁部に掛止させ、第８図
ｄ，ｅに示すように、掛止部４を掛止部２と同じ
壁部に掛止させる。これによつて、掛止部２，
３，４が溝部１２の上下壁面に食い込んだ状態と
なつて固定される。

第９図はこの考案のさらに他の実施例を示す図
であつて、このタイルアンカー１は、第８図のも
のと同様にタイル１０の溝部１２に内に固定する
ものであるが、アンカー部６をあらかじめ切断し
ていると共に、アンカー部６を第８図のものとは
反対に掛止部３側に向けて設け且つ弾性アンカー
本体５からタイル面と平行な方向にずらせた状態
にした場合を示している。そして、このようにし
たときでも前記各実施例の場合と同様に、タイル
アンカー１をタイル１０に強く固定することがで
き、このタイル１０の壁面１５に対する接着強度
を良好なものとすることができる。

以上説明してきたように、この考案のタイルア
ンカーは、タイルの裏あしとの掛止部を少なくと
も三箇所に有する弾性アンカー本体と、前記弾性
アンカー本体と共にコンクリートやモルタル等の
モルタル類塗付部中に埋設されるアンカー部とを
タイル面と平行な方向にずらせた状態でそなえた
ものであるから、タイルアンカーをその弾性によ
り三箇所の掛止部を介してタイルに簡単に且つ強
固に固定することができ、この状態で弾性アンカ
ー本体およびアンカー部が互いにずれた位置でモ
ルタルやコンクリート等のモルタル類塗付部中に
埋設されるため、食い付きがきわめて良好であ
り、タイルの接着強度を著しく高めることができ
るという実用的価値大なるすぐれた効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅはこの考案の一実施
例によるタイルアンカーの各々平面図、タイルへ
の取付前平面図、タイルへの取付途中平面図、タ
イルへの取付後平面図、およびタイルへの取付後
側面図、第２図は第１図のタイルアンカーの展開
説明図、第３図は第１図のタイルアンカーを固定
したタイルを壁面に接着した状態の断面説明図、
第４図ａ，ｂはこの考案の他の実施例によるタイ
ルアンカーの各々平面図およびＢ−Ｂ線断面図、
第５図は第４図のタイルアンカーを固定したタイ
ルを壁面に接着した状態の正面説明図、第６図お
よび第７図はこの考案のさらに他の実施例による
タイルアンカーの各々平面図、第８図ａ，ｂ，
ｃ，ｄ，ｅはこの考案のさらに他の実施例による
タイルアンカーの各々平面図、タイルへの取付前
の平面図、タイルへの取付途中の平面図、タイル
への取付後の平面図および取付後の側面図、第９
図はこの考案のさらに他の実施例によるタイルア
ンカーの平面図である。 １……タイルアンカー、２，３，４……掛止
部、５……弾性アンカー本体、６……アンカー
部、１０……タイル、１１……突条部、１２……
溝部、１５……壁面、１６……モルタル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タイルの裏あしとの掛止部を少なくとも三箇所
   に有する弾性アンカー本体と、前記弾性アンカー
   本体と共にモルタル類塗付部中に埋設されるアン
   カー部とをタイル面と平行な方向にずらせた状態
   でそなえたことを特徴とするタイルアンカー。