JPH0153760B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は放射性廃液固化パツケージの移送保管
装置に係り、特に放射性廃液処理系から移載室に
受入れられた固化パツケージを、放射線遮蔽しつ
つ移載室から冷却保管室に搬送することができる
と共に、搬送室の床面に対する移送台車の集中荷
重を防止することができるようにした放射性廃液
固化パツケージの移送保管装置に関する。

原子炉の使用済み燃料は、核燃料再処理工場で
処理され、その際に生じる高放射能レベルの廃液
は放射性廃液処理系によりガラス固化体としてパ
ツケージされ、この固化パツケージは放射性物質
の崩壊により熱を発生するため、冷却しつつ貯蔵
保管される計画となつている。

この場合、放射性物質を扱うことから、固化パ
ツケージは放射性廃液処理系から移載室に受入れ
られた後、この移載室に並設された保管室に搬入
されることになる。また、保管室は固化パツケー
ジを多量に保管する必要上、固化パツケージを重
力方向に直列に積重ねて収納するように形成され
ることから、保管室の上方に固化パツケージの搬
入口が形成され、これに合わせて移載室の上方に
は固化パツケージの搬出口が形成され、これら保
管室及び移載室の上方には固化パツケージを移載
室から保管室に搬送するための搬送室が形成され
ることになる。即ち、搬送室の床に移載室及び保
管室と連通する搬出口及び搬入口が貫通形成さ
れ、この床上に搬送手段が設けられることにな
る。この場合の搬送手段としては、第１図に示す
ごときタイヤ走行台車ａや第２図に示すごとき天
井クレーンｂ等が考えられる。

しかし乍ら、タイヤ走行台車方式にあつては、
台車ａの荷重が床ｃに直接加わり、集中荷重を受
けることから床全体を強度の強い構造としなけれ
ばならず、また床面には突起物があつてはなら
ず、しかも台車の旋回半径が大きいことからデツ
ドスペースが多くなり、荷役能率が悪い。一方、
天井クレーン方式にあつては、固化パツケージを
放射線遮蔽しつつ運搬するためのキヤスク（移送
室）ｄを落下させる虞れがあると共に、搬送中の
揺れの問題があり、また搬送室ｅの大型化を余儀
なくされる欠点がある。

また、いずれの方式も固化パツケージをキヤス
クｄ内に隔離して搬送するのであるが、移載室内
の固化パツケージをその搬出口からキヤスクｄ内
に搬入する際、及びキヤスクｄ内の固化パツケー
ジをこれより保管室に搬入するに際しては、搬送
室内にはできるだけ放射線を漏洩させない方が望
ましい。

本発明は上記事情に着目して創案されたもので
あり、その目的とするところは固形パツケージを
放射線遮蔽しつつ移載室から保管室に搬送するこ
とができると共に、キヤスクの落下や揺れの虞れ
もなく、しかも搬送室の床面に対する移送台車の
集中荷重を防止することができる放射性廃液固化
パツケージの移送保管装置を提供するにある。

以下に本発明の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第３図は固化パツケージの移送保管設備の概容
を示すもので、図において１は図示しない放射性
廃液処理系により放射性廃液をガラス固化体とし
てパツケージした固化パツケージ２を受け入れる
ための移載室であり、この移載室１の両側には固
化パツケージ２を冷却しつつ保管するための保管
庫３が並設されている。なお、固化パツケージ２
はキヤニスタと称される鋼製容器内にガラス状に
固化された放射性廃液を封入してなる。また、保
管庫３は上記固化パツケージ２を重力方向に直列
に積重ねて収納するための上方が開放された竪形
筒体状の保管室（ピツト）４を多数有している。

そして、上記移載室１及び保管庫３の上方には
仕切壁たる床５を介して搬送室６が形成されてい
る。この搬送室６は固化パツケージ２を移載室１
から取出して保管庫３内の保管室４に搬入する際
に経由させる部分であり、個化パツケージを移送
するための移送台車７を備えている。また、搬送
室６の床５には移載室１から固化パツケージ２を
搬出するための搬出口８及びその固化パツケージ
２を保管室４に搬入するための搬入口９がそれぞ
れ重力方向に貫通して設けられている。特に、搬
入口９は保管室４に相応させて多数設けられてい
る。一方、搬出口９は一個あるいは複数個設けら
れており、移載室１内において固化パツケージ２
は台車１０によつて搬出口８下まで運ばれるよう
になつている。また、搬出口８及び搬入口９には
それぞれ搬送室６側から着脱自在な開閉蓋１１が
設けられている。

上記移送台車７は床面走行クレーンからなり、
具体的には第４図乃至第５図に示すごとく搬送室
６の床５面上の両側にその長手方向（移載室から
保管室へ連なる方向）に沿つて設けられたクレー
ンレール１２と、これら両クレーンレール１２に
掛け渡されこれに沿つて走行自在に支持されたク
レーンガーダ１３と、このクレーンガーダ１３上
にその長手方向に沿つて移動自在に支持されたキ
ヤスク１４とから主に構成されている。即ち、ク
レーンガーダ１３は長手方向両端部に上記クレー
ンレール１２上に転動自在に係合された車輪１５
を有し、これら車輪１５は駆動部１６によつて回
転駆動されるようになつている。また、クレーン
ガーダ１３は幅方向中央部に長手方向に沿つて連
続した開口部１７を有し、この開口部１７の両側
には該開口部１７内に位置されたキヤスク１４を
移動自在に案内するためのレール１８が設けられ
ている。

一方、キヤスク１４は固化パツケージ２をこれ
より発散される放射線を外部（搬送室）から絶縁
すべく遮蔽して移送するための鉛等により形成さ
れた移送室であり、上記クレーンガーダ１３上の
レール１８に転動自在に係合した車輪１９を有
し、これら車輪１９はキヤスク用駆動部２０によ
つて回転駆動されるようになつている。しかし
て、キヤスク１４は底部を床５面から浮上させ
て、クレーンガーダ１３の走行と相俟ちxy方向
へ自由に移動できるように構成されている。キヤ
スク１４の底部には固化パツケージを搬入乃至搬
出するための搬出入口２１が形成されると共にこ
の搬出入口２１を開閉自在に覆うためのシヤツタ
ー２２が設けられている。このシヤツター２２は
シヤツター駆動部２３のスクリユー軸２４の回転
により両開き式にスライド開閉するように構成さ
れている。また、キヤスク１４の上部には上記開
閉蓋１１及び固化パツケージ２を搬出入口２１か
ら該キヤスク内に搬入乃至搬出すべく吊り上げ下
げするための巻上げ機２５が設けられている。こ
の場合、巻上げ機２５のロープの先端に取付けら
れたつかみ具２６としては、第６図乃至第７図に
示すごとく第１のロープ２７₁に枠体２８を吊下
げ、この枠体２８に略円弧状の爪２９を一対互に
向い合わせてこれらが開閉自在になるようピン３
０を介してそれぞれ枢支する一方、これら両爪２
９の上端部に係合してこれらを開閉操作する係合
体３１を第２のロープに吊下げてなるつかみ具を
用いるとよい。これによれば、第１及び第２のロ
ープ２７₁，２７₂の操作により固化パツケージ２
や開閉蓋１１等をつかみ、開放することができ、
特に電気的要素や油圧等を使用せず、機械的機構
のみにより構成してあるため、放射性物質を取扱
うのに好適である。

更に、キヤスク１４内には搬入された固化パツ
ケージ２及び開閉蓋１１を載置するための載置台
３２が設けられている。この載置台３２は、上記
巻上げ機２５が固化パツケージ等の被吊下物の上
げ下げしかできないので、被吊下物の搬入搬出に
際しては搬出入口２１上から離れており、被吊下
物を載置する場合及び載置状態から吊上げる場合
に巻上機２５の下方である搬出入口２１上に移動
するように構成されている。具体的には第８図に
示すごとく、断面長方形状に形成されているキヤ
スク１４内におけるシヤツター２２より上方には
レール３３を介して２台の載置台３２が長手方向
に移動自在に設けられ、両載置台３２は搬出入口
２１を挾んで両側に待機するようになされてい
る。そして、載置台３２の両側には移動方向に沿
つてスクリユーロツド３４が回転自在に支持さ
れ、各スクリユーロツド３４の基端部にはこれら
を別個に回転駆動するための駆動部３５が設けら
れると共に、各スクリユーロツド３４には載置台
３２がナツト３６を介して各々連結されている。
したがつて、被吊下物の搬出入に合わせて各台車
３２を別々に移動操作できるようになつている。

また、キヤスク１４の底部には被吊下物を搬出
入するに際してキヤスク１４と床５面との間をシ
ールするためのシール部材３７が設けられてい
る。即ち、シール部材３７はキヤスク１４の底面
と床５面との間の距離以上の長さ及び被吊下物が
通過し得る内径を有する円筒体状に、鉛等によつ
て成型されている。一方、キヤスク１４の底部に
は上記シール部材３７を収納するための収納室３
８がシール部材３７の軸芯と搬出入口２１の軸芯
とを一致させて形成され、この収納室３８には収
納されたシール部材３７を床面上に降下させた
り、再び収納させるためのジヤツキ３９が設けら
れている。また、シール部材３７及びジヤツキ３
９はシール部材３７を床面上に降下させた際、キ
ヤスク１４の荷重を支えるに充分な強度を有して
いる。

次に上記実施例の作用を述べる。

先ず、固化パツケージを移載室１から搬出する
場合は、該移載室１の搬出口８上にキヤスク１４
を位置させると共に、搬出口８下に搬出すべき固
化パツケージ２を台車１０等により位置させる。
次に、キヤスク１４の底部に収納されたシール部
材３７を床５面上に降下し、搬出入口２１のシヤ
ツター２２を開放する。次に、巻上げ機２５のつ
かみ具２６を巻下げて搬出口８を塞ぐ開閉蓋１１
をつかみ上げ、この開閉蓋１１を載置台３２との
連動操作により一方の載置台３２上に載せる。こ
れにより、キヤスク１４内と移載室１内とがシー
ル部材３７を介して連通するので、再び巻上げ機
２５を用いて固化パツケージ２を上記移載室１か
らキヤスク１４内に搬入し、この固化パツケージ
２を他方の載置台３２上に載せた後、開閉蓋１１
を上記搬出口８に戻す。次に、シヤツター２２を
閉めてからシール部材３７を収納して後、第４図
に示すごとき状態にてクレーンガーダ１３を走行
させ、搬入すべき保管室４上にキヤスク１４を位
置させる。そして、前述と同様、シール部材３７
を降下させると共に搬入口９の開閉蓋１１を取除
き、第９図に示すように巻上げ機２５により固化
パツケージ２を吊り下げ、キヤスク１４内から搬
入口９を介して保管室４内に装入する。装入後
は、搬入口９への開閉蓋１１の返却、シヤツター
２２の閉塞、シール部材３７の収納を順次行つた
後、キヤスク１４を移載室１の搬出口８上に移動
させ、以下同様の操作を繰返す。また、保管され
た固化パツケージ２を回収する場合には前述の逆
の動作により固化パツケージ２を保管室４から移
載室１に搬送すればよい。

このように固化パツケージ２を移載室１から密
閉移送室たるキヤスク１４を介して保管室４に搬
送することと相俟ち、シール部材３７により移載
室１の搬出口８とキヤスク１４の搬出入口２１と
の間及び保管室４の搬入口９とキヤスク１４の搬
出入口２１との間をシールするようにしたので、
固化パツケージを放射線遮蔽しつつ移載室１から
保管室４にまたはその逆に安全に搬送することが
できる。特に実施例のごとく移送台車７を床面走
行クレーンにより構成すれば、タイヤ走行台車方
式のように床５面に対して集中荷重を与えること
がなく、したがつて該床面全体を強度の強い構造
とする必要はなく、しかも床面に開閉蓋１１等の
突起物があつても移動上支障はなく、またキヤス
クをxy方向に任意に移動できるので荷役能率の
向上が図れる。また、床面走行クレーンはキヤス
ク１４をクレーンガーダ１３上に支持しているの
で、天井クレーン方式と異なり、キヤスクを落下
させたり、揺れを生じさせたりする虞れは全くな
く、しかも搬送室６の大型化を余儀なくされるこ
ともない。なお、床面走行クレーンにあつては床
５面上のレール１２を設けた部分にクレーンガー
ダ１３及びキヤスク１４の荷重が作用するので、
当該部分だけ補強しておけばよく、また固化パツ
ケージ２の巻上げを行うに際しては降下したシー
ル部材３７を介してキヤスク１４等の荷重を受け
ることができるので、当該部分への集中荷重を防
止することができ、床面の耐久性の向上が図れ
る。

以上要するに本発明によれば次のごとき優れた
効果を発揮する。

(1) 放射性廃液の固化パツケージを放射線遮蔽し
つつ移載室から保管室に搬送することができ、
安全性の向上が図れる。

(2) シール部材により、床面に対する移送台車及
び移送室による集中荷重を分散して軽減乃至防
止することができ、移送台車が走行する床面の
構造の簡略化、耐久性の向上を図ることができ
る。

(3) 移送台車を床面走行クレーンとすれば、移送
室たるキヤスクを落下させたり揺れを生じさせ
たりする虞れは全くなく、したがつて安全性の
増大、荷役能率の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は搬送手段として従来考えら
れた方式をそれぞれ示す側面図、第３図は本発明
の一実施例を示す装置全体の概略的断面図、第４
図は移送台車たる床面走行クレーンの縦断面図、
第５図は第４図Ａ−Ａ線断面図、第６図はつかみ
具の側面図、第７図は同作動状態を示す側面図、
第８図は第４図Ｂ−Ｂ線断面図、第９図は本発明
の作用を説明するための断面図である。 図中、１は移載室、２は固化パツケージ、４は
保管室、７は移送台車たる床面走行クレーン、８
は搬出口、９は搬入口、１１は開閉蓋、１４は移
送室たるキヤスク、３７はシール部材である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 放射性廃液処理系により廃液をガラス固化体
   としてパツケージした固化パツケージを受入れ、
   該固化パツケージを搬出するために上部に搬出口
   を有する移載室と、該移載室に並設され、上部に
   上記搬出口から搬出される固化パツケージを内部
   に搬入させるための搬入口を有すると共にこれら
   搬入口のそれぞれの下方に固化パツケージを重力
   方向に直列に収納し、搬入された固化パツケージ
   を冷却しつつ保管するための保管室と、上記搬出
   口及び搬入口にこれらを開閉すべく設けられた開
   閉蓋と、上記搬出口及び搬入口の上方に走行自在
   な移送台車と、該移送台車に設けられ、放射線を
   絶縁すべく遮蔽され上記移載室から固化パツケー
   ジを搬入させると共に上記保管室へ搬出させるた
   めの移送室と、該移送室の搬出入口周囲に下方へ
   進出可能に収納具備され、搬出入口と上記移載室
   の搬出口及び上記保管室の搬入口との間にそれぞ
   れ介設されるシール部材とを備えたことを特徴と
   する放射性廃液固化パツケージの移送保管装置。