JPH0152549B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、高層建物特に高層の住宅や商業ビル
に用いる建物の構造に関するものである。

（従来の技術） 従来の高層住宅には、例えば第１図及び第２図
のように建物の長手方向を柱と梁より成るラーメ
ン構造Ａ，Ａの二構面で、短手方向が柱と梁の間
に耐震壁を設けた連層耐震壁構造Ｂの構面で構成
され、その一住戸区画を長手方向と短手方向がと
もに各々１スパンで構成したものがある。

しかしながら、この構造では短手方向の耐震性
能が長手方向に比べて相対的に強化されているこ
とから、長手方向と短手方向の耐震性能のバラン
スを保つことが困難であつた。しかも連層耐震壁
のように剛構造で構成した場合は、建物の高さが
増すと壁厚を極端に厚くしなければならないので
非経済的であると共に、最終破壊形式が曲げ降伏
によるラーメン構造に比べてセン断降伏であるた
めに大きな耐力を必要とする等の問題もある。

また前記の問題を改善する構造として、第３図
のように建物の長手方向と短手方向の双方を各々
ラーメン構造Ａで構成して一住戸区画６を形成す
る構造もある。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、後者の構造では前者の場合より
長手方向と短手方向の耐震性能のバランスは良い
が、各主柱に長手方向と短手方向の双方の梁が取
付けられて長手方向ラーメン構造及び短手方向ラ
ーメン構造を各々構成しているので、長手方向の
主柱を増設して耐震性能が補強しようとすると短
手方向の耐震性能も補強され、耐震性能のバラン
スが最も良い状態で経済的に構造設計にすること
ができなかつた。また、短手方向を複数のスパン
にして一住戸区画６を構成すると、一住戸区画内
に余分な梁が露出して美観を損ねたり、開口部の
設置や室内の間取り計画に制約を生ずる等その処
理が大層困難であつた。

そこで本発明は、前記した従来の技術の課題を
解決する高層建物の構造を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、建物の長手方向と短手方向とが各々
柱と梁で構成されたラーメン構造による平面長方
形の高層建物において、前記長手方向ラーメン構
造を構成する柱は、前記短手方向ラーメン構造構
面と交差する位置に設けられて長手方向と短手方
向双方の梁が取付けられる各主柱と、前記短手方
向ラーメン構造構面と交差しないように前記各主
柱の中間位置に設けられて長手方向ラーメン構造
を構成する梁のみが取付けられる中間柱とで構成
した高層建物の構造である。

（実施例） 以下に本発明を第４図で図示の実施例で説明す
る。建物の長手方向は主柱１と梁２とから成るラ
ーメン構造Ａ，Ａの二構面で構成すると共に、建
物の短手方向は長手方向のラーメン構造を構成す
る柱と兼用の前記主柱１と梁４とから成るラーメ
ン構造Ａで構成され、短手方向ラーメン構造の二
構面の間に一住戸区画６が構成される。

そして、前記長手方向ラーメン構造構面には短
手方向ラーメン構造構面と交差しないように各主
柱１，１の中間位置に、長手方向の梁２に取付け
られて主柱１と協動して長手方向のラーメン構造
を構成する中間柱５が設けられている。この中間
柱５は各住戸区画６毎に各々増設されるが、同じ
住戸区画６の各長手方向ラーメン構造構面に増設
される各中間柱５，５は短手方向線上で一致して
いる場合に限らず相互に偏位していても良い。

又、前記短手方向ラーメン構造構面には、長手
方向ラーメン構造構面と交差する場所に設けらた
各主柱１，１以外に、各主柱間に設けられ前記梁
４と協働してラーメン構造を構成する各中間柱５
が各々増設されている。

このように、長手方向ラーメン構造構面に増設
された中間柱５には短手方向ラーメン構造を構成
する梁４が取付かず、短手方向ラーメン構造構面
に増設された中間柱５には長手方向ラーメン構造
を構成する梁２が取付かない構成で、長手方向が
２構面のラーメン構造で短手方向が３スパンのラ
ーメン構造の一住戸区画６の建物が構成される。

以上において、一住戸区画６の長手方向沿いに
柱が増えるため、開口部の設置が制限されてその
処理が困難なように思われるが、中間柱５は長手
方向ラーメン構造を構成する各主柱１，１間に既
設された非耐力壁である小壁部分に設けられるこ
とから、住戸計画に影響を与えることは全くな
い。

（発明の効果） 以上の構成より成る本発明は、その構成に基づ
いて次のような効果を奏するものである。

短手方向の耐震性能に影響を及ぼすことなく
長手方向の各主柱間に中間柱を増設して長手方
向の耐震性能を補強し、短手方向の耐震性能と
のバランスを容易に保つことができ且つ経済的
な施工ができると共に、各主柱間に架設する梁
を相対的に小径になし得る。

また、この中間柱は前記のように長手方向の
梁には取付けられるが、短手方向の梁には取付
けられないので、設計する場合に前記した従来
のラーメン構造のように長手方向と短手方向の
双方の水平力を考慮する必要がなく、長手方向
の水平力のみを考慮すれば良いので設計が極め
て容易である。

各中間柱には住戸区画内に突出する梁が取付
けられていないので、美観を損ねることがなく
且つ間取り計画を自由に行うことができる。

これら各中間柱は自らのラーメン構造構面の
梁とのみ結合し、住戸区画内に突出する梁がな
いので間取り計画を自由にすることができる。

更に従来からある長手方向の小壁部分に中間
柱を設け、またこの中間柱は必ずしも短手方向
へ一致させる必要がないので、開口部の設置等
間取り計画に自由に対応させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来技術を示すもので、第
１図は従来の建物を示す平面図、第２図は従来の
建物の住戸計画を示す説明図、第３図は従来型構
面を示す平面図、第４図は本発明の構面を示す平
面図である。 符号の説明、１……主柱、２，３……梁、４…
…耐震壁、５……中間柱、６……一住戸区画、Ａ
……ラーメン構造、Ｂ……耐震壁構造。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 建物の長手方向と短手方向とが各々柱と梁で
   構成されたラーメン構造による平面長方形の高層
   建物において、前記長手方向ラーメン構造を構成
   する柱は、前記短手方向ラーメン構造構面と交差
   する位置に設けられて長手方向と短手方向双方の
   梁が取付けられる各主柱と、前記短手方向ラーメ
   ン構造構面と交差しないように前記各主柱の中間
   位置に設けられて長手方向ラーメン構造を構成す
   る梁のみが取付けられる中間柱とで構成したこと
   を特徴とする高層建物の構造。