JPH0150600B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、熱によつて記録を行なう感熱式記録
において、凹凸を有する立体情報を伝達又は記録
しうる熱膨張性感熱記録紙に関するものである。

従来、熱エネルギーによる物質の物理的又は化
学的変化を利用して画像を得るようにした感熱記
録法は文書等の複写への応用は勿論のこと、電子
計算機のアウトプツト記録、フアクシミリの受信
記録などへの応用が、記録時に騒音を発しない、
現像定着を必要としない発色方式を採用している
等の点から展開されてきた。特に最近、多量の情
報を出来る限り高速でハードコピーとしてアウト
プツトするという近年の社会の要請に応えるべ
く、プリンター、プロツター、フアクシミリ等の
発達は著しいものがある。

感熱材料としては、従来より数多くの方式が提
案されており、例えば基材上にカーボン等の着色
顔料や染料、粉末を塗布し、その上に白色不透明
の熱可融性物質を塗布して得た感熱材料又、電子
供与体と電子受容体との錯化合物形成による顕色
方法、さらには、トリフエニルメタン系、フルオ
ラン系などの染料前駆体とフエノール性酸性物質
等とを結合剤中に分散せしめ、加熱による発色に
より記録する方法等である。しかし、上記の如き
従来の感熱記録紙によつては凹凸を有する立体情
報の記録は不可能である。

本発明の目的は、例えば盲人用の点字の感熱記
録等、凹凸を有する立体情報の記録をプリンター
或いはフアクシミリの如く電気的情報を熱的情報
に変換し得る発熱記録ヘツドで記録する第１の工
程と、該工程により上層の感熱発色層に光吸収パ
ターンを形成した熱膨張性感熱記録紙に、第１の
工程と同時又は順時に赤外線、フラツシユ光、レ
ーザー光等を露光する第２の工程により、感熱発
色部のみ選択的に膨張隆起して凹凸を有する立体
情報を記録しうる熱膨張性感熱記録紙を提供する
ことにある。

本発明による熱膨張性感熱記録紙を図面によつ
て説明すれば、第１図と第４図は本発明にかかる
熱膨張性感熱記録紙の実施態様を示す概略拡大部
分断面図、第２図は感熱発色層の光吸収パターン
形成後の概略図であり、第３図は露光により凹凸
像形成後における本発明の熱膨張性感熱記録紙の
状態を示す概略説明図である。すなわち支持体１
は、適当な強度を有するものであればその材質に
ついて何ら特別な制限がなく、たとえば普通紙、
合成紙、ラミネート紙などの紙類あるいはポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの樹
脂フイルム類がいずれも好適に使用される。

感熱発色層２は、酸と反応して発色しうる染料
前駆体と常温で固体ないし半固体の有機又は無機
酸とを適宜のバインダー剤によつて均一に分散し
た状態で一体層状に固着せしめた層である。この
感熱発色層２は、サーマルヘツドから発生するジ
ユール熱によつて分散状の前記固体ないし半固体
の酸が溶融液化し、前記染料前駆体と発色反応し
て鮮明な印字像を形成する。

染料前駆体としては、フエノチアジン系、フル
オラン系、オーラミン系、トリフエニルメタン
系、スピ呂ピラン系などの各種染料前駆体がいず
れも好適に用いられるが、光吸収パターンの形成
という観点からは酸と反応して黒色染料を形成す
る染料前駆体が特に好ましい。又、前記有機又は
無機酸としては、例えば安息香酸、酒石酸、クエ
ン酸、サリチル酸、ステアリン酸、没食子酸、ビ
スフエノールＡ、ナフトエ酸、ピロリン酸、メタ
リン酸などが好適に用いられる。熱膨張層３若し
くは顔料又は染料と熱膨張体の混合層７は、本発
明に使用しうる膨張剤としてサランマイクロスフ
エア（ダウ・ケミカル社）、ミクロパール（松本
油脂製薬）等の如き商品名で市販されている加熱
によつて膨張可能な微小球を用い適宜のバインダ
ー剤によつて均一に分散した状態で、顔料又は染
料と熱膨張体の混合層７の場合はさらに着色顔料
又は着色染料を添加分散後一体層状に固着せしめ
た層である。該熱膨張性微小球は塩化ビニリデン
―アクリロニトリル共重合体等の如き熱可塑性物
質をカプセル壁とする中空の粒子で、その直径は
約３〜200ミクロンである。この微小球はほぼ球
状で内部に空所を有し、その中にｎ―ブタン、イ
ソブタン、ネオペンタン等の如き揮発性の低沸点
炭化水素を約５〜50重量％含んでいる。この熱膨
張性微小球の膨張温度は50〜200℃、好ましくは
100〜150℃のものがよい。熱膨張性微小球は本発
明に使用する場合、該微小球の支持体への塗布量
は10〜40ｇ／m²が好ましい。

本発明に使用するバインダーとして特に要請さ
れる性質は膨張剤の膨張性を害さず適度の凹凸を
形成させるのに十分な柔軟性、伸展性を有してい
ること、又、紙基体との接着性がすぐれているこ
と、および圧縮に対する復元性に優れていること
であり、これらの要請をみたしうるものならば水
溶性バインダーであろうと、有機溶剤可溶のバイ
ンダーであろうと本発明の範囲内に入る。バイン
ダーとして水溶性バインダーを使用する場合は、
天然、合成の高分子化合物で例えばゼラチン、ポ
リビニルアルコール、ポリエチレングリコール、
ヒドロキシエチルセルロース、メトキシセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピ
ロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸
などであり、又、ポリ酢酸ビニルエマルジヨン、
酢酸ビニル―塩化ビニル共重合体エマルジヨン、
酢酸ビニル―エチレン共重合体エマルジヨン、ス
チレン―ブタジエン共重合体エマルジヨン等の水
性重合体エマルジヨンも使用し得る。

又、有機溶剤可溶のバインダーとしては、ポリ
ビニルプチラール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、スチレン―ブタジエン共重合体、エチレン―
酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル―塩化ビニル共
重合体、プリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン―
アクリロニトリル共重合体、エチルセルロース、
ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、飽和ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アル
キツド樹脂などである。

膨張剤として使用する熱膨張性微小球は、バイ
ンダー組成物10重量部当り約10〜300重量部特に
好ましくは約20〜150重量部の微小球を使用する
のがよい。バインダーには、上記膨張剤の他に適
宜の添加剤、例えば粘度調整剤（でん粉、天然ガ
ム、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース等）、又、白色度、印刷適性の改良の為にタ
ルク、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カ
ルシウム、二酸化ケイ素などの無機質充てん材な
どを配合してもよい。顔料又は染料層４若しくは
顔料又は染料と熱膨張体の混合層７は、赤外線、
フラツシユ光等の光を吸収して発熱し、熱膨張性
微小球を加熱膨張させうる顔料又は染料であれば
いずれも使用可能であるが、多種の波長の光を含
む光源を使用する場合は、カーボンブラツク、ニ
グロシン、アニリンブラツクのような種々の波長
の光に対する吸収性のある黒色の顔料、染料が適
しており、特にカーボンブラツクは紫外域から赤
外域まで、全ての波長に対する吸収能を有するの
でどのような光源にも適用できるものである。
又、単一波長の光源を使用する場合は、その光色
と補色関係にある色を有する光吸収物質を使用す
るのが適している。

本発明によれば、熱膨張性感熱記録紙の最上層
には通常の感熱発色層を塗布する為、熱情報とし
て与えられるエネルギー量は通常の感熱フアクシ
ミリ、プリンター等の如きエネルギー量で十分で
あり、熱膨張性微小球を直接加熱膨張するのに要
するエネルギーよりはるかに少なくて良いので、
従来の感熱記録方法と同程度の高速度で立体画像
の形成が可能である。

通常の感熱記録方法による記録の後、本発明の
第２工程に使用され得る手段、又は機器として
は、キセノン、ハロゲン等を例とするフラツシユ
光源、タングステンランプ等を例とする赤外線ラ
ンプ、炭酸ガス、半導体、アルゴン等を例とする
レーザー光源等を挙げることができるが、中でも
望ましくは、感熱発色層に形成された光吸収パタ
ーンの場所を選択的に膨張隆起させうる為には高
強度の輻射線を照射出来るものが良い。その点で
フラツシユ光源、レーザー光源等が望ましいもの
と言える。本発明の効果を更に明確に理解する目
的で、以下、実施例を用いて説明を行なうが、本
発明の範囲をこれのみに限定するものではない。

なお実施例中に示した部数は、特に断わりのな
い限り重量部数である。

実施例 １ カーボンブラツク10部、熱膨張性微小球として
松本油脂製薬社製のミクロパールＦ―30（イソプ
タンを主成分とする低沸点炭化水素を塩化ビニリ
デン―アクリロニトリル共重合樹脂でマイクロカ
プセル化した10〜30μの微粒子）10部をホモジナ
イザーにてポリビニルアルコール８部中に分散
し、固形分濃度25％の塗工液をワイヤーバーで上
質紙に30ｇ／m³塗布した、該塗布紙上に、さらに
感熱発色層として下記感熱組成物を８ｇ／m³塗布
し、乾燥後熱膨張性感熱記録紙とした。

｛３―ピペリジノ―６―メチル―７―アニリノフ
ルオラン ２部 ビスフエノールＡ ５部 脂肪酸アマイドＳ（日東化学〓製ステアリン酸
アマイド） ３部 ポリビニルアルコール ９部 水 30部｝ 次にチツ化タンタルを抵抗体とする薄膜ヘツドを
印加パルス巾５ミリ秒で記録紙にあてて、感熱発
色層に画像濃度0.98の光吸収パターンを形成させ
た。

次に第二工程として、キセノンフラツシユ光
（7J／cm²、１ミリ秒）を照射した所、感熱発色部
のみ選択的に膨張隆起し、高さ210μの凹凸画像
がえられた。凹凸の高さは表面粗さ計（東京精密
製）にて測定した。

実施例 ２ カーボンブラツク10部をホモジナイザーにてポ
リマセツトＣ―305（荒川化学工業製、水溶性ポリ
アクリルアミド樹脂）４部に分散し固形分濃度20
％でワイヤーバーにて上質紙に10ｇ／m³塗布す
る。

該塗布紙上に熱膨張層としてミクロパールＦ―
30，10部をポリマセツト３部に分散した塗液を固
形分濃度30％にて30ｇ／m³塗布する。該塗布紙上
に実施例１、と同じ組成の感熱発色層を８ｇ／m³
塗布して乾燥後、熱膨張性感熱記録紙とした。

実施例１と同条件で感熱発色後キセノンフラツ
シユ（7J／m²、１ミリ秒）を照射したところ高さ
200μの凹凸画像がえられた。

【図面の簡単な説明】

第１図と第４図は本発明にかかる熱膨張性感熱
記録紙の実施態様を示す概略拡大部分断面図、第
２図は感熱記録により感熱発色層の発色後の状態
を示す概略図、第３図は露光により感熱発色部の
み選択的に膨張隆起し凹凸画像がえられた状態を
示す概略図である。 図面の主要符号、１…支持体、２…感熱発色
層、３…熱膨張層、４…顔料又は染料層、５…熱
ヘツド、６…露光装置、７…顔料又は染料と熱膨
張体の混合層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 感熱発色層、熱膨張層、顔料又は染料層より
   なる熱膨張性感熱記録紙において、上層に感熱発
   色層、下層に顔料又は染料と熱膨張体を分離又は
   混合して支持体上に塗布することよりなる熱膨張
   性感熱記録紙。 ２ 感熱発色層が染料前駆動体と固体ないし半固
   体の酸とを分散させた状態でバインダー剤により
   一体層状に形成してなる層である特許請求の範囲
   第１項記載の熱膨張性感熱記録紙。 ３ 熱膨張体が熱可塑性物質をカプセル壁とする
   中空の粒子で、該粒子の内部に揮発性の低沸点炭
   化水素を熱膨張剤として含有することを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の熱膨張性感熱記録
   紙。 ４ 顔料又は染料層が、着色顔料、着色染料等の
   光吸収物質であり、強い光照射による光を吸収す
   ることにより発熱し熱膨張体を加熱し膨張させる
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の熱
   膨張性感熱記録紙。