JPH0150018B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、回転ヘツドを有する磁気記録再生
装置のワウ、フラツター測定装置に関する。

この発明は、ヘリカルスキヤン方式の回転２ヘ
ツド形VTR（ビデオテープレコーダ）に適用する
ことができ、第１図及び第２図には、VTRのテ
ープ走行路の異なる例が夫々示されている。これ
らのVTRでは、例えばテープカセツトから引き
出された磁気テープ１がテープ案内ドラム２を含
むテープ走行路に位置した状態で矢印方向にキヤ
プスタン３及びピンチローラ４によつて所定速度
で送られ、映像信号及び音声信号の記録或いは再
生がテープ案内ドラム２と関連して設けられた回
転ヘツドによつて行なわれる。第１図に示す
VTRでは、供給側のテンシヨンスタピライザ５
とテープ案内ドラム２との間に全幅消去ヘツド６
が設けられ、テープ案内ドラム２とキヤプスタン
３との間に間に音声消去ヘツド７及び音声コント
ロールヘツド８が設けられ、キヤプスタン３及び
ピンチローラ４からの磁気テープ１がテープガイ
ド９，１０，１１を経て巻取側に導かれるように
されている。第２図に示すVTRでは、テープ案
内ドラム２の入口側に近接してテープガイド１
２，１３及びインピーダンスローラ１４が設けら
れ、その出口側に近接してテープガイド１５，１
６及びインピーダンスローラ１７が設けられてお
り、インピーダンスローラ１４とテープガイド１
８との間に全幅消去ヘツド６が設けられ、インピ
ーダンスローラ１７とキヤプスタン３との間に音
声消去ヘツド７及び音声コントローラヘツド８が
設けられている。

第１図のVTRの場合では、第３図に示ように
固定の上ドラム２ａ、固定の下ドラム２ｂ、両ド
ラムの間に位置して回転する中ドラム２ｃによつ
てテープ案内ドラム２が構成され、これらの周面
に傾斜して磁気テープ１が繞らされる。中ドラム
２ｃの周面で180゜の角間隔の位置に２個の窓１９
が形成され、この窓１９を夫々通じて回転ヘツド
２０が突出し、磁気テープ１と摺接するようにな
される。

第２図のVTRの場合では、図示せずも、固定
の下ドラムと回転する上ドラムとによつてテープ
案内ドラム２が構成され、上ドラムの周面に形成
された窓を通じて回転ヘツドが突出するようにな
される。

かかるVTRでは、記録再生時のワウ、フラツ
ターが大きいと、再生音声信号及び再生映像信号
の品質が劣下するので、VTRの完成後にワウ、
フラツターの量が許容値以下かどうかの検査を行
なうのが普通であつた。ワウは、例えば２Hz以下
の成分を指し、フラツターは、例えば200Hz以下
の成分を指し、ワウ、フラツターは、この両者の
成分を包含している。

VTRに関する従来のワウ、フラツター測定法
は、同一のVTRによつて基準信号例えば3kHzの
正弦波を磁気テープ１の長手方向に延びる音声ト
ラツクに記録し、これを再生し、再生基準信号の
周波数変動によつてワウ、フラツターを測るもの
で、このような測定法を以下の説明では、自己録
再法と呼ぶことにする。自己録再法は、被測定
VTRによつて基準信号を記録し、巻戻しを行な
つてこれを再生する操作を必要とし、このように
工数が多いことは、大量生産における品質検査に
不向である。のみならず、自己録再法では、正確
にワウ、フラツターの量を測ることができない。
これについて以下に説明する。

ワウ、フラツター測定法の他のものとして、テ
ープ案内ドラム、回転ヘツドを含まず、ワウ、フ
ラツターがない標準の装置によつて音声トラツク
に基準信号を記録して基準テープを作成し、この
基準テープを被測定VTRによつて再生する方法
（ここでは、このような測定法を基準テープ法と
呼ぶことにする。）が考えられる。この出願の発
明者は、複数被測定VTRについて、上述の基準
テープ法、自己録再法の夫々を用いてワウ、フラ
ツターの測定を行なつた。第４図は、例えば５台
の被測定VTRについて、（Ａ：基準テープ法）
（Ｂ：自己録再法）（Ｃ：自己録再法でトラツキン
グつまみを最大限まわしたとき）の各測定方法に
おけるワウ、フラツター量を示している。この第
４図から分かるように、自己録再法で測定される
ワウ、フラツター量が最も小さく、基準テープ法
で測定されるワウ、フラツター量が次に小さく、
自己録再法でトラツキングつまみを最大限まわし
たときのワウ、フラツター量が最も大きい。然
も、この三者の間での相関が特に認められない。

なお、トラツキングつまみを最大限まわすこと
は、VTRの再生時のドラムサーボ及びキヤプス
タンサーボがかかつている状態で、回転ドラム
（回転ヘツド）の回転位相と磁気テープのコント
ロール信号との位相を同期状態からずらすことを
意味している。

また、基準テープ法で測定された結果をスペク
トルアナライザなどに供給すると、第５図に示す
ように30Hz，60Hz，120Hzの各周波数にピークが
存在することが認められた。

これらの測定の結果から、この出願の発明者
は、以下の結論に到達した。

第１図或いは第２図に示ようなテープ案内ド
ラム２の回転ドラムに偏心、重量バランスの不
良などがあると、回転ドラムが回転平面内で30
Hzの周波数で外周振れを起こし、これによつて
磁気テープ１の張力が変動し、したがつて30Hz
の周波数成分のワウ、フラツター量が多い。ま
た、回転ヘツド２０が第３図に示すように中ド
ラム２ｃの窓１９を通じて突き出しているた
め、回転ヘツド２０が磁気テープ１に離接する
ことにより或いは窓１９の空力的な吸引力によ
つて60Hzの周波数成分のワウ、フラツター量が
多い。この場合、30Hzの高調波成分も60Hzの周
波数成分のワウ、フラツターとなり、また120
Hzの周波数成分は、30Hz及び60Hzの両者の高調
波成分である。

これらの回転ドラム、回転ヘツドに起因する
ワウ、フラツターは、トラツキングつまみを変
えなければ、同一のVTRに関して記録及び再
生時の両者で同一となり、自己録再法では測定
されず、したがつて測定結果が不正確となり、
仮に自己録再法では、ワウ、フラツター量が少
ないVTRであつても、他の装置で記録された
磁気テープを再生すると、大きなワウ、フラツ
ター量が発生することもありうる。トラツキン
グつまみを回すと、記録時と再生時との両者の
ワウ、フラツターが重畳されてくるため、測定
されるワウ、フラツターの量が多くなるのであ
る。

基準テープ法の場合では、キヤプスタンの外
周振れ、キヤプスタンモータのトルクムラ、テ
ープガイドの不良などのテープ駆動系に起因す
るワウ、フラツターと上述のようなテープ案内
ドラム、回転ヘツドに起因するワウ、フラツタ
ーとの両者が混在したものを測定するので、測
定されたワウ、フラツター量が多いときでも、
その原因がテープ案内ドラムにあるのか、それ
以外にあるのかを区別できない。そこで、スペ
クトルアナライザを用いることが考えられる
が、装置が高価であり、その操作も面倒であ
り、大量生産を考えた場合に、実際的とはいえ
ない。

この発明は、上述の考察にもとずいて、簡単
な装置で迅速な測定をなしえ、したがつて大量
生産の品質検査工程に好適であり、しかも回転
ヘツド、回転ドラムに起因するものと、それ以
外に起因するものとを区別して測定することが
できる磁気記録再生装置のワウ、フラツター測
定装置の実現を目的とするものである。

以下、第６図及び第７図を参照してこの発明の
一実施例について説明する。この一実施例では、
第１図のようなテープ走行路を有するVTRによ
つて基準テープを再生し、音声コントロールヘツ
ド８で再生された再生信号を入力端子２１に供給
する。基準テープは、回転ヘツドを有せず、ワ
ウ、フラツターが全くない標準装置によつて作成
され、音声トラツクに3kHzの正弦波の基準信号
が記録されたものである。再生信号は、リミツタ
２２を介して周波数弁別器２３に供給され、この
周波数弁別器２３から基準の周波数に対する再生
信号の周波数変動に対応したレベルの弁別出力が
発生し、この弁別出力がアンプ２４を介してスイ
ツチ２５の一方の入力端子２６ａとフイルタ２７
とに供給される。フイルタ２７の出力が測定モー
ド切替用のスイツチ２５の他方の入力端子２６ｂ
に供給される。

フイルタ２７は、第７図に示すように、30Hz，
60Hz，120Hzの各周波数位置に回転ヘツド、回転
ドラムに起因するワウ、フラツターを充分に除去
できる例えば−50dBの利得の減衰極を有する周
波数特性のものである。このようなフイルタ２７
は、例えば上記の各周波数に夫々減衰極を有する
３個フイルタを縦続接続することによつて構成す
ることができる。

スイツチ２５は、マニユアル操作のもので、そ
の出力端子２６ｃに現れる信号がローパスフイル
タ２８に供給される。ローパスフイルタ２８は、
例えば200Hzのカツトオフ周波数のものである。
カツトオフ周波数が２Hzのローパスフイルタを設
けたり、聴感補正を行なう回路などを設けるよう
にしても良い。このローパスフイルタ２８の出力
に、ワウ、フラツターの量と対応するレベルの電
圧が発生し、これがメータ回路２９を介してメー
タ３０に供給される。メータ３０によつてワウ、
フラツター量が指示される。これと共に、メータ
回路２９の出力が表示部３１に供給される。表示
部３１は、測定されたワウ、フラツター量が許容
値以下か、許容値を越えるものかを例えば発光ダ
イオードの点灯、消灯によつて測定者に対して表
示するものである。つまり、この表示部３１にお
いては、測定されたワウ、フラツター量を許容値
と対応する所定レベルと比較する動作が行なわれ
る。このときの所定レベルがスイツチ２５と連動
するスイツチによつて切替わるようにされてい
る。フイルタ２７を通じて測定されたワウ、フラ
ツター量は、フイルタ２７を通さないときのワ
ウ、フラツター量より少ないのが普通であり、こ
れを補正して正確な判断を行なうために、上述の
ように、表示部３１内の所定レベルが切替えられ
るようにされている。

この発明の一実施例において、スイツチ２５を
第６図に示すように、入力端子２６ｂ及び出力端
子２６ｃが接続される状態で測定すると、フイル
タ２７が挿入されることによつて、回転ヘツド、
回転ドラムに起因するワウ、フラツターが除去さ
れ、他の原因のワウ、フラツターを測定できる。
また、スイツチ２５を切り替え、入力端子２６ａ
及び出力端子２６ｃが接続される状態で測定する
と、フイルタ２７が挿入されないために、総合的
なワウ、フラツターを測定することができる。

以上の説明から理解されるように、この発明に
依れば、従来の自己録再法のように、被測定用
VTRによつて測定時毎に基準信号を記録する必
要がなく、予め作成されている基準テープを用い
れば良いので、測定に要する時間が大幅に短かく
なり、大量生産の品質検査工程に適用してきわめ
て有益である。また、自己録再法のときには、測
定できなかつた回転ドラムの外周振れ、回転ヘツ
ドの離接に起因するワウ、フラツターも測定でき
るから、正確な測定を行なうことができる。更
に、回転ドラム、回転ヘツドに起因するものと、
それ以外のテープ駆動系に起因するものとを区別
して測定することができるので、ワウ、フラツタ
ーの原因を直ちに知ることができる。従来のワ
ウ、フラツター測定装置に比べて構成が殆ど複雑
とならない利点もある。

なお、テープ案内ドラムが共に固定の上ドラム
及び下ドラムで構成され、両者の間から回転板に
取り付けられた回転ヘツドが突出するVTRに対
してこの発明を適用しても良く、回転ヘツドは、
１ヘツドであつても良い。また、上述の一実施例
では、映像信号のフレーム周波数が30Hzの場合と
したが、これが25Hzであつても同様である。更に
映像信号に限らず、デジタル化された音声信号を
回転ヘツドによつて再生する装置を被測定装置と
するときにも、この発明は、全く同様に適用する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの発明の被測定装置とし
てのVTRのテープ走行路の一例及び他の例の平
面図、第３図はVTRのテープ案内ドラムの説明
に用いる側面図、第４図及び第５図はこの発明の
説明に用いる測定結果を示す略線図、第６図はこ
の発明の一実施例の構成を示すブロツク図、第７
図はこの発明の一実施例におけるフイルタの周波
数特性を示す線図である。 １は磁気テープ、２はテープ案内ドラム、８は
音声コントロールヘツド、２０は回転ヘツド、２
１は入力端子、２３は周波数弁別器、２５は測定
モード切替用のスイツチ、２７はフイルタであ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ テープ案内ドラムを含む磁気テープの走行路
   と、上記テープ案内ドラムに関連して設けられた
   回転ヘツドと、上記走行路に配された固定ヘツド
   とを備えた磁気記録再生装置のワウ、フラツター
   測定装置において、基準周波数の信号が予め記録
   された磁気テープを上記固定ヘツドにより再生し
   て得られる再生信号が供給される周波数弁別手段
   と、この周波数弁別手段の出力が供給され上記回
   転ヘツドの回転周波数の成分を除去する第１のフ
   イルタと、この第１のフイルタの出力と上記周波
   数弁別手段の出力とを切替えて出力するスイツチ
   手段と、このスイツチ手段よりの出力からワウ、
   フラツター周波数成分を出力する第２のフイルタ
   とを設け、 上記スイツチ手段の切替えにより上記周波数弁
   別手段の出力を上記第２のフイルタに供給するよ
   うにしたとき、上記回転ヘツドの回転に起因する
   ワウ、フラツター成分を測定し、 上記スイツチ手段の切替えにより上記第１のフ
   イルタの出力を上記第２のフイルタに供給するよ
   うにしたとき、上記回転ヘツド以外のテープ駆動
   系に起因するワウ、フラツター成分を測定するよ
   うにした磁気記録再生装置のワウ、フラツター測
   定装置。 ２ テープ案内ドラムが回転ドラムとされ、この
   回転ドラムに回転ヘツドが取付けられてなり、上
   記回転ドラム及び上記回転ヘツドの夫々の回転周
   波数の成分とその高調波成分とを除去する特性を
   上記第１のフイルタが有することを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載のワウ、フラツター測定
   装置。