JPH0145441B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は接着剤を含有する工業用材料、製品の
微生物劣化防止を目的としたジメチルジチオカル
バミン酸のアルカリ塩あるいは亜鉛塩の少なくと
もひとつと、２―ピリジンチオール―１―オキシ
ドのアルカリ塩あるいは亜鉛塩の少なくともひと
つからなる工業用殺菌組成物に関する。アート
紙、コート紙などの紙加工用塗料、感圧紙用塗
料、紙、合板用接着材、墨汁、絵の具その他の工
業用材料、製品の糊剤としてカゼイン、ニカワ、
ゼラチン、大豆タンパク、アルブミンなどの接着
剤が広く用いられている。これらは微生物の恰好
の栄養源であり、微生物の繁殖による品質劣化が
重大な障害となつている。 しかしながら、多くの殺菌剤は接着剤成分によ
つて活性が著しく低下するため、上述のような接
着剤を含有する工業用材料、製品の微生物劣化を
防止するには、極めて多量の殺菌剤を添加する必
要があつた。このことは、単に経済的な不利益の
みならず、対象材料、製品の変色や接着強度の低
下など副次的な悪影響を増大することにもなり、
未だ満足しうる劣化防止方法の得られていないの
が実情である。 本発明者らは、接着剤を含有する工業用材料製
品の微生物劣化防止方法を研究し続けた結果ジメ
チルジチオカルバミン酸のアルカリ塩あるいは亜
鉛塩の少なくともひとつと、２―ピリジンチオー
ル―１―オキシドのアルカリ塩あるいは亜鉛塩の
少なくともひとつとからなる組成物が、接着剤の
存在下においても少量の添加で強い殺菌力を示
し、それぞれ単独の効力からは予期し得ない相乗
的効果の発現されることを見いだし、本発明を完
成した。ジメチルジチオカルバミン酸のアルカリ
塩および亜鉛塩の抗菌作用は古くから知られてい
るが、その作用は概して強いものでなく、また耐
光性が劣るため、多量に添加すれば対象材料、製
品の変色を来たすなどの欠点がある。一方、２―
ピリジンチオール―１―オキシドのアルカリ塩あ
るいは亜鉛塩も低毒性の殺菌剤として市販されて
いるが、高価であるうえ、多量に添加すればそれ
自体のもつキレート作用のために、しばしば対象
材料、製品中に不純物として含まれる各種の金属
と有色の塩を作り、着色を来たすなどの欠点があ
る。 しかるに本発明組成物では、その相乗的効果に
よつて添加量が少量で済み、このような欠点も軽
減されることから、それぞれ単独で使用する場合
に比べて著しく実用性が高められる。 本発明組成物における有効成分の使用割合は任
意に変化させうるが、ジメチルジチオカルバミン
酸のアルカリ塩および／または亜鉛塩１重量部に
対し、２―ピリジンチオール―１―オキシドのア
ルカリ塩および／または亜鉛塩を0.05〜0.3重量
部とするとき、とくに相乗効果が顕著であるの
で、かかる範囲で使用するのが望ましい。 なお、ジメチルジチオカルバミン酸のアルカリ
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモ
ニウム塩および各種のアミン塩などがあげられ
る。 また使用に際しては、該化合物をそのまま対象
材料、製品に加えてもよいが、適当な液体または
固体担体と混合するか、あるいは更にこれらに分
散剤、懸濁剤、浸透剤、湿潤剤、増粘剤安定剤な
どを添加して、たとえば水性剤、水和剤、粉剤、
ペースト剤、懸濁剤などの剤型として使用するこ
とができる。また他の殺菌剤を配合して使用する
こともできる。 次に、本発明の実施例および試験例を示すが本
発明はこれに限定されるものではない。 なお、以下の説明においては化合物名を次のと
おり略記する。 ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム
：MSL ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛 ：PZ ２―ピリジンチオール―１―オキシドナトリウ
ム ：SPT ２―ピリジンチオール―１オキシド亜鉛
：ZPT 実施例１ 水性剤 MSL20部、SPT2部を水78部に混合溶解して水
性剤を得る。 実施例２ 懸濁剤 PZ25部、PZT2.5部、ポリオキシエチレンスチ
リルフエニルエーテル（エチレンオキサイド付加
モル数20）1.5部、ジオクチルスルホサクシネー
ト１部、ホワイトカーボン４部、ザンサンガム
0.15部、水65.85部を混合し、湿式粉砕分散機を
通して懸濁剤を得る。 実施例３ 水和剤 MSL40部、ZPT2部、ポリオキシエチレンオク
チルフエニルエーテルサルフエート（エチレンオ
キサイド付加モル数15）５部クレー53部を粉砕混
合して水和剤を得る。 実施例４ 水和剤 PZ25部、SPT5部、ポリオキシエチレンノニル
フエニルエーテル（エチレンオキサイド付加モル
数14）５部、リグニンスルホン酸カルシウム３
部、ケイソウ土62部を粉砕混合して水和剤を得
る。 対照例：MSL，PZ，SPT，ZPTの単剤をそれぞ
れ対照例として用いた。 MSL，SPTは水性剤、PZ、ZPTは水和剤の
剤型として供試した。 試験例１ カゼイン溶液の防腐 カゼイン15部、尿素５部、アンモニヤ1.5部、
水78.5部を混合、加温、溶解しカゼイン溶液とし
た。これに別途調製したカゼイン溶液の腐敗液を
２部接種してポリビンに分注し、それぞれに所定
量の殺菌剤を添加、30℃の恒温器に保存して、５
日後および10日後の細菌数を、寒天稀釈法により
測定した。また、殺菌剤添加によるカゼイン溶液
の着色の有無を肉眼により観察した。 結果を第１表に示す。

【表】

【表】 第１表の結果のごとく、それぞれ単独の成分で
は不十分な効力しか示さない添加量の、更に1/5
量づつを組合せて用いた本発明組成物では、十分
な殺菌効力が得られており、相乗的効果が明らか
である。 また、本発明組成物の添加レベルでは、着色な
どの障害も認められなかつた。 試験例２ ニカワ溶液の防腐 ニカワ15部、グリセリン1.5部、ブチルセロソ
ルブ10部、水73.5部を混合、加温、溶解しニカワ
溶液とした。これに別途調製したニカワ溶液の腐
敗液を２部接種してポリビンに分注し、それぞれ
に所定量の殺菌剤を添加、30℃の恒温器に保存し
て、５日後および10日後の細菌数を、寒天稀釈法
により測定した。結果を第２表に示す。

【表】 第２表の結果のごとく、それぞれ単独の成分で
は不十分な効力しか示さない添加量の、更に1/4
量づつを組合せて用いた本発明組成物では、十分
な殺菌効力が得られており、相乗的効果が明らか
である。 試験例３ 紙加工用塗料の防腐 カオリンUW―90 30部 トリポリリン酸ソーダ 0.03部 カチンホワイト 3.5部 カゼイン 3.5部 アンモニア水 0.35部 SB―ラテツクス 3.5部 水 59.12部 上記組成に調製した紙加工用塗料に、別途調製
した紙加工用塗料の腐敗液を２部接種してポリビ
ンに分注し、それぞれに所定濃度の殺菌剤を添
加、30℃の恒温器に保存して５日後および10日後
の細菌数を、寒天稀釈法により測定した。 また、殺菌剤添加直後の紙加工用塗料を、上質
紙に20ｇ／m²宛均一に塗布したのち、105℃で１
分間乾燥し、この加工紙に60cmの高さより３時間
太陽灯（英光社製ジユピターKC16型）を照射し
たときの変色の有無を肉眼により判定した。結果
を第３表に示す。

【表】 第３表の結果のごとく、それぞれ単独の成分で
は不十分な効力しか示さない添加量の、更に1/5
量づつを組合せて用いた本発明組成物では、十分
な殺菌効力が得られており、相乗的効果が明らか
である。 また、本発明組成物の添加レベルでは、変色な
どの障害も認められなかつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ジメチルジチオカルバミン酸のアルカリ塩あ
   るいは亜鉛塩の少なくともひとつと、２―ピリジ
   ンチオール―１―オキシドのアルカリ塩あるいは
   亜鉛塩の少なくともひとつとからなる工業用殺菌
   組成物。