JPH0144616B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は紙加工機、特に輪転印刷機に使用し、
紙を自動的に供給する自動給紙装置における揺動
式の予備グリツパ装置に関する。

（従来の技術及びその課題） 上記印刷機の予備グリツパ装置は、紙差台上に
ある縁の揃えられた紙を掴み、加速して正確に次
の給紙胴に受け渡す作用を行う。

ドイツ民主主義共和国特許第122239号明細書に
よつて、下方から作動するようにした揺動式の予
備グリツパ装置は公知である。この予備グリツパ
装置は、グリツパとグリツパストツパとを有する
紙把持部材を備えており、その際この紙把持部材
を上端に備えたグリツパリンクは円形軌道上を導
かれる。

上記従来の予備グリツパ装置の欠点は、紙把持
部材の慣性力がかなり大きく、しかも例えばグリ
ツプの開閉等のグリツパ制御によつて、大きな加
速が生じてしまうため、円形軌道の接線方向の振
動ないし捩じれを惹き起こすことにある。この慣
性力を小さく保つために、紙把持部材を適宜小さ
な半径上を導くようにすることが行われている
が、この場合、著しく湾曲した軌道上を紙が動く
ことになる。このように、著しく湾曲した軌道
は、極めて厚い印刷材料（板紙）や極めて薄い印
刷材料（印刷用薄葉紙）を印刷加工する場合に極
めて不利である。

この種の予備グリツパ装置は、紙差台の平面が
次の給紙胴を切断する位置にある場合にのみその
機能を発揮することができる。

ドイツ連邦共和国特許第1163342号明細書によ
れば、紙把持部材が吸引装置として形成されてい
る予備グリツパ装置が公知である。

この吸引装置は、大きな慣性力の発生及びグリ
ツパを制御する際の大きな加速の発生に関して、
上記機械的な挾持グリツパの持つ欠点を除去し
た。しかし、この装置においても、紙は著しく湾
曲した紙軌道上を移動して給紙胴に供給され、こ
のため印刷材料（板紙及び印刷用薄葉紙）の加工
に対して限界が生じてしまう。

更に、次の給紙胴に対して紙差台をこのように
配置することは、次の紙の縁を揃える上で欠点を
伴う。

円形状の紙の軌道を描きながら、グリツパに設
けた紙当てに紙を当接させてこの縁を揃えつつ、
紙をその前端部を吸引して運び、しかる後に、こ
の時の紙の軌道の下方位置を旋回して元に戻るこ
とによつて紙の運搬を行い、これによつて行きと
戻りの行程での干渉を防止する必要があるため、
紙の軌道と紙当ての先端との間に紙揃え基準線か
ら遠く離れた切断点が生じる。このため、紙当て
を制御し、紙を揃えるためだけに相当に大きな回
転角が必要となつてしまう。

本発明の目的は、比較的簡単な構造で、紙差台
から給紙シリンダにあらゆる種類の印刷材料を供
給することができ、しかもこの供給時に紙を損傷
してしまうことがない、下方から作動する揺動式
の予備グリツパ装置を提供することにある。

本発明の課題は、僅かな固有重量を有し、紙把
持部材の制御によつて惹き起こされ勝ちな大きな
加速度の発生を防止し、紙差台から給紙胴に紙を
供給することが可能な、下方から作動する揺動式
の予備グリツパ装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本発明によれば、上記課題は、紙差台１から給
紙胴１０に紙を搬送する上下動自在な吸引装置６
と、この吸引装置６を上端に備えるとともに下端
を揺動自在に支承したグリツパリンク５と、この
グリツパリンク５を駆動する駆動装置とを備えた
自動給紙装置における予備グリツパ装置におい
て、上記グリツパリンク５の上端と、下端を回転
自在に支承した被動レバー８の上端とを夫々ヒン
ジを介して連結棒７で平行四辺状に連結するとと
もに、上記連結棒７と上記吸引装置６とを剛結
し、更に上記給紙胴１０と同期して回転する略楕
円形状の偏心カム１４に当接する揺動ローラ１５
を一端に備え、他端は回転自在に支承したローラ
レバー１６を引張ばね２６を介して偏心カム１４
の方向に付勢させ、このローラレバー１６と上記
グリツパリンク５に固着して横方向に突出させた
水平リンク５ａの突出端とを補助レバー１７で
夫々回転自在に連結することによつて達成され
る。

（実施例） 次に、図面の実施例を参照して本発明を詳細に
説明する。

第１図に自動給紙装置を有する印刷機の印刷機
構を示す。

自動給紙装置は、前当て２及び横紙揃え装置３
を有する紙差台１と、紙把持部材として形成した
吸引装置６を上端に備えたグリツパリンク５と、
このグリツパリンク５の上端にヒンジ結合した連
結棒７と、この連結棒７にその上端をヒンジ結合
した被動レバー８と、グリツパ９を有する給紙胴
１０とからなる。印刷機構は、圧胴１１、ゴム胴
１２及び版胴１３とからなる。圧胴１１の後方に
は受渡し胴２９が設けられている。グリツパリン
ク５の駆動は、第２図に詳細に示されている。

即ち、略楕円形状で偏心位置を支持した偏心カ
ム１４が給紙胴１０の側面に固定されている。そ
して、この偏心カム１４からの揺動が、揺動ロー
ラ１５、ローラレバー１６及び補助レバー１７を
経てグリツパリンク５に固着して横方向に突出さ
せた水平リンク５ａ、ひいてはグリツパリンク５
に伝達され、その際揺動ローラ１５と偏心カム１
４とが、この間に介装した引張ばね２６の弾性力
で圧接するよう構成されている。

第３図は、ばね吸引装置としての吸引装置６の
構成を示す。吸引装置６は、連結棒７に強固に結
合したシリンダ１８と、ねり２１によつて結合し
た可動部分としてのピストン１９及び管２０と、
この管２０に接合した吸引ヘツド２２からなる。
ピストン１９は、圧縮ばね２３の弾性力によつ
て、その下方位置に保持される。図示しない吸引
空気発生器及び制御弁との結合は、吸引管２４に
よつて行われる。

本装置の作動は以下の通りである。

紙差台１の鱗状に供給された紙４は、公知の方
法によつて前当て２でその前端縁が揃えられ、横
紙揃え装置３によつてその側縁が揃えられ、吸引
装置６を備えたグリツパリンク５によつて給紙胴
１０のグリツパ９に供給され、次いで圧胴１１に
送られて印刷され、しかる後に受渡し胴２９に供
給される。

グリツパリンク５の上端、及び下端を回転自在
に支承した被動レバー８の上端に連結棒７が夫々
ヒンジ結合されて、いわゆる平行運動機構が構成
され、吸引装置６がグリツパリンク５に回転可能
に取付けた軸２７を介して連結棒７に強固に結合
されていることにより、吸引装置６は、グリツパ
リンク５の揺動運動に伴い、グリツパリンク５の
上端に連結され、しかもこの軸線が常に一定の方
向に向いた状態で平行移動する。

吸引装置６が、上記のようにばね吸引装置とし
て形成されていることにより、シリンダ１８内の
空気を吸引する作動を停止すると、吸引ヘツド２
２による吸引作用も停止する。

第４図にグリツパリンク５の上端の移動過程を
示す。吸引装置６が紙４を掴む作業位置にあると
き、グリツパリンク５の上端は紙差台１に接近し
ている。吸引管２４を介してシリンダ１８内の空
気を吸引することによつて、圧縮ばね２３の弾性
力に抗して吸引装置６の吸引ヘツド２２が吸引行
程２５だけ上方に動き、これによつて吸引ヘツド
２２が揃えられた紙４．２を掴むとができる。吸
引装置６で紙を掴んだ後、グリツパリンク５は加
速された揺動運動を行い、これによつて紙は同図
一点鎖線で示す紙の受渡し位置に運ばれ、ここで
接線方向に同じ速度で回転する給紙胴１０のグリ
ツパ９に受渡すことができる。

上記紙を掴み作業位置と紙を受渡す作業位置の
間で、吸引ヘツド２２の上端は同図の上方の一点
鎖線で示した軌道２８上を動く。

運び去られた紙４．１が給紙胴１０のグリツパ
９によつて掴まれた後、吸引空気作動を停止す
る。この停止によつて、吸引ヘツド２２は圧縮ば
ね２３の弾性力で下方の元の位置に引き戻され
る。

この紙の移送後、グリツパリンク５の運動は緩
慢となり、グリツパリンク５、吸引装置６、連結
棒７及び被動レバー８は同図の点線で示す動作の
反転位置に達する。

この反転位置から上記紙を掴む位置にグリツパ
リンク５、吸引装置６、連結棒７及び被動レバー
８が戻る間、吸引装置６の吸引ヘツド２２は下方
位置に止まつて、この上端は同図の下方の一点鎖
線で示す軌道２８′を描く。

従つて、この戻りの間では、吸引ヘツド２２と
紙４．１とは接触してしまうことはない。

（発明の効果） 本発明は上記のような構成であるので、比較的
簡単なリンク機構を採用し、紙把持部材としての
吸引装置をその軸線を一定方向に維持したまま円
弧状に平行状態で移動させつつ、かつ行きと戻り
の工程での干渉を該吸引装置を僅かに偏位させる
ことにより確実に防止することができる。しか
も、紙把持部材の制御によつて惹き起こされ勝ち
な大きな加速度の発生を防止して、紙差台から給
紙胴に紙を供給することができる。

従つて、紙差台から給紙胴にあらゆる種類の印
刷材料を供給することができ、しかもこの供給時
に紙を損傷してしまうことを極力防止することが
できるといつた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動給紙装置を有する印刷機の一実施
例を示す概要図、第２図はグリツパリンクとその
駆動装置の原理図、第３図は吸引装置を詳細に示
す断面図、第４図は予備グリツパ装置の３つの作
業段階を示す図である。 ５…グリツパリンク、５ａ…水平リンク、６…
吸引装置、７…連結棒、８…被動レバー、１４…
偏心カム、１５…ローラ、１６…ローラレバー、
１７…補助レバー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 紙差台１から給紙胴１０に紙を搬送する上下
   動自在な吸引装置６と、この吸引装置６を上端に
   備えるとともに下端を揺動自在に支承したグリツ
   パリンク５と、このグリツパリンク５を駆動する
   駆動装置とを備えた自動給紙装置における予備グ
   リツパ装置において、上記グリツパリンク５の上
   端と、下端を回転自在に支承した被動レバー８の
   上端とを夫々ヒンジを介して連結棒７で平行四辺
   状に連結するとともに、上記連結棒７と上記吸引
   装置６とを剛結し、更に上記給紙胴１０と同期し
   て回転する略楕円形状の偏心カム１４に当接する
   揺動ローラ１５を一端に備え、他端を回転自在に
   支承したローラレバー１６を引張ばね２６を介し
   て偏心カム１４の方向に付勢させ、このローラレ
   バー１６と上記グリツパリンク５に固着して横方
   向に突出させた水平リンク５ａの突出端とを補助
   レバー１７で夫々回転自在に連結したことを特徴
   とする自動給紙装置における予備グリツパ装置。 ２ 上記吸引装置６を、シリンダ１８内に挿入し
   た圧縮ばね２３の弾性力で吸引ヘツド２２を下降
   させ、このシリンダ１８内の空気を吸引すること
   により上記圧縮ばね２３の弾性力に抗して吸引ヘ
   ツド２２を上昇させるとともにこの吸引力で紙を
   吸引するよう構成したことを特徴とする特許請求
   の範囲第１記載の自動給紙装置における予備グリ
   ツパ装置。