JPH0143941Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、シート移動装置、特に支脚として
機能するリンクの枢着回動により車両などの床に
設置したシートの座部をほぼ水平に保たせながら
シートを前後方向へ移動するようにしたシート移
動装置の改良に関するものである。

支脚として機能するリンクの枢軸回動により、
シートの前後方向の移動を行い後方へのリンク回
動を規制する従来構造のものとしては、例えば、
実公昭50−12813号公報（第３図）に示されてい
る。

この考案は、前記のようなシート移動装置にお
いて、支脚として機能するリンクの動き、特にシ
ートを最後移動位置へ移動する操作の際、その移
動が確実で、最後移動位置として設定されたシー
ト位置をシートが占め、その位置をオーバーラン
することがないようにしたシート移動装置を提供
することを目的とするもので、この目的におい
て、この考案は、支脚として機能するリンクの枢
軸回動により、前後方向へシートを移動させる移
動装置であつて、一対の取付基部に軸設したリン
ク回動軸の両端それぞれにラチエツト部材を取付
け、該ラチエツト部材に歯合するツース部材を各
取付基部に配設すると共に、これらツース部材の
歯合を制御する操作レバーを一方の取付基部に軸
設し、他方の取付基部に操作レバー連動軸を介し
て、他方の取付基部側に位置するツース部材に操
作ピンを介して枢着する作動レバーを取付け、こ
の作動レバーを操作レバーに連動させると共に、
作動レバーとツース部材の操作ピンに案内溝孔を
介して一端が連結する操作回転角規制リンクの他
端をリンク回転軸の端部にクランク結合し、前記
操作回転角規制リンクは、シートが最後移動位置
に達する時に、最後移動位置を規制するラチエツ
トへ歯合するようにツース部材を回動させる長さ
に設けられた構成からなる点を要旨とする。

つぎに、この考案を図示の実施例により詳細に
説明する。

図示の実施例は、この考案を座部の位置が前後
方向および上下方向に移動し、バツクレストも起
伏自由になつている自動車搭載用のシートに実施
したものであり、シート１の座部１１は、床面に
固定した一対の取付基部２Ａ，２Ｂに、それぞれ
が支脚として機能する前側一対のリンク３Ａと後
側一対のリンク３Ｂ，３Ｃを介して支持され、前
記のように、前後方向、上下方向に移動するよう
になつている。

このような移動は、前記したリンクの枢軸回動
により行われるもので、これらリンクの枢軸回動
は、取付基部２Ａ，２Ｂに軸支されている後側の
リンク３Ｂ，３Ｃのリンク回動軸４に対するロツ
ク機構を取付基部２Ａ側に取付けた操作レバー５
により解除することにより、後側のリンク３Ｂが
枢軸回動し、前側のリンク３Ａも追随して回動
し、この結果、シート１は、第１図に示すような
多段の状態で、Ａ位置、Ｂ位置、Ｃ位置、Ｄ位置
の内の適宜位置へ動く。

前記したロツク機構は、リンクの回動を規制す
ると共に、その移動位置の制御作用をなすもの
で、前記した操作レバーのほかに、互いに歯合す
るラチエツト部材、ツース部材から構成される。
操作レバー５は、一方の取付基部２Ａ側に設けら
れるもので、左右両側に位置する一対の取付基部
２Ａ，２Ｂに軸設された操作レバー連動軸５１の
取付基部２Ａ側の一端に取付けられ、操作レバー
５のカム溝孔５２に対し、取付基部２Ａの内側に
枢着されたツース部材６Ａから突出している操作
ピン６１Ａが嵌合している。ツース部材６Ａは、
後側のリンク３Ｂのリンク回動軸４に嵌合してい
るラチエツト部材７Ａのラチエツト７１Ａに歯合
するツース６２Ａを有している。そして、このよ
うなツース部材６Ａ、ラチエツト部材７Ａと対を
なすツース部材６Ｂ、ラチエツト部材７Ｂが他方
の取付基部２Ｂとリンク３Ｃに通されたリンク回
動軸４に取付けられており、操作レバー５を第２
図矢印ａ方向へ引上げると、左右一対のツース部
材６Ａ，６Ｂは、前者は操作レバーの動きによる
操作ピン６１Ａのカム溝孔嵌合によるカム運動で
ラチエツト部材７Ａのラチエツト７１Ａから外れ
（第２図矢印ｂ方向）、後者は、操作レバー連動軸
５１の回動により前者の動きに連動する。

このツース部材６Ｂが前記したツース部材６Ａ
と連動するようにするため、取付基部２Ｂ側にお
ける操作レバー連動軸５１の端部に作動レバー８
を枢着し、この作動レバーの一端とツース部材６
Ｂとを操作ピン６１Ｂによりピン結合し、操作レ
バー連動軸５１が操作レバー５の動きにより回動
すると、作動レバー８も回動し、ツース部材６Ｂ
のツース６２Ｂがラチエツト部材７Ｂ（リンク回
動軸４に嵌合、固定）のラチエツト７１Ｂから離
脱し、かくして左右の取付基部２Ａ，２Ｂにおけ
るそれぞれのツース部材６Ａ，６Ｂ、ラチエツト
部材７Ａ，７Ｂの歯合は解除され、ラチエツト部
材７Ａ，７Ｂ、したがつてリンク回動軸４はツー
ス部材６Ａ，６Ｂから釈放され、フリーとなり、
後側のリンク３Ｂ，３Ｃは自由に第２図矢印ｃ，
ｄ方向へ回動し、その動きに前側のリンク３Ａも
追随して回動する。

このようなリンクの回動は、操作レバー５が設
けられていない取付基部２Ｂ側のツース部材６Ｂ
の動き、したがつて作動レバー８の動きを規制す
る操作回転角規制リンクにより、回動範囲が規制
される。これは、シート１の後方への移動を最後
移動位置Ａで強制的に停止され、オーバーランし
ないようにするための機構であり、操作回転角規
制リンク９は、シートが最後移動位置に達する時
に、最後移動位置を規制するラチエツトへ歯合す
るようにツース部材を回動させる長さに設定され
ていて、その一端９１がリンク回動軸４の取付基
部２Ｂ側の端部に固定された取付デイスク９２に
クランク結合され、その自由端９３に設けた案内
溝孔９４にツース部材６Ｂと作動レバー８とを結
合する操作ピン６１Ｂが嵌まる構成のもので、前
記のように、ラチエツト部材７Ａ，７Ｂが自由状
態となり、リンク回動軸４も回動するようになる
シート移動操作時に、シート１が最後移動位置Ａ
に達する位置関係をもつツース部材とラチエツト
部材との歯合関係が前記操作回転角規制リンク９
により自動的に保持される。これは、第４図に示
すように、操作回転角規制リンク９がリンク回動
軸４の回転（図示D₁からA₁への回転）によつて
操作ピン６１Ｂの移動ストロークを案内溝孔によ
り規制し、ツース部材６１Ｂ、作動レバー８の釈
放方向への動きを規制し、ツース部材６Ｂとラチ
エツト部材７Ｂとの歯合をシート最後移動位置に
対応させるようにしてあるからであり、このよう
な歯合関係は、他方のツース部材６Ａ、ラチエツ
ト部材７Ａへ操作レバー連動軸５１を介して伝
達、連動され、この結果、操作レバー５を引上げ
たままにしておいて、シートを後方へ引いてもリ
ンク３Ｂ，３Ｃは、シート最後移動位置Ａをオー
バンランせずに停止し、シートは、所望どおり最
後移動位置Ａとなる。

以上述べたように、この考案によれば、支脚と
して機能するリンクの枢軸回動により、前後方向
へシートを移動させる移動装置であつて、一対の
取付基部に軸設したリンク回動軸の両端それぞれ
にラチエツト部材を取付け、該ラチエツト部材に
歯合するツース部材を各取付基部に配設すると共
に、これらツース部材の歯合を制御する操作レバ
ーを一方の取付基部に軸設し、他方の取付基部に
操作レバー連動軸を介して、他方の取付基部側に
位置するツース部材に操作ピンを介して枢着する
作動レバーを取付け、この作動レバーを操作レバ
ーに連動させると共に、作動レバーとツース部材
の操作ピンに案内溝孔を介して一端が連結する操
作回転角規制リンクの他端をリンク回転軸の端部
にクランク結合し、前記操作回転角規制リンク
は、シートが最後移動位置に達する時に、最後移
動位置を規制するラチエツトへ歯合するようにツ
ース部材を回動させる長さに設けられた構成から
なるものであるから、シートを後方へ移動する
際、操作レバーを引き上げたままの状態でシート
を引いてもリンクは、シート最後移動位置をオー
バンランせずに停止し、シートは、所望どおり最
後移動位置に位置調節されるものであり、オーバ
ーランによる再調節が不要であり、操作が確実で
簡単なシート移動装置を得ることができるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、シートの移動態様を示す説明図、第
２Ａ図は、この考案に係るシート移動装置の操作
レバー側の構造を示す側面図、第２Ｂ図は、同じ
く平面図、第３図は、作動レバー側の構造を示す
側面図、第４図は、操作回転角規制リンクの構成
を示す要部拡大説明図である。 １…シート、２Ａ，２Ｂ…取付基部、３Ａ…前
側のリンク、３Ｂ，３Ｃ…後側のリンク、４…リ
ンク回動軸、５…操作レバー、５１…操作レバー
連動軸、６Ａ，６Ｂ…ツース部材、７Ａ，７Ｂ…
ラチエツト部材、８…作動レバー、９…操作回転
角規制リンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 支脚として機能するリンクの枢軸回動により、
   前後方向へシートを移動させる移動装置であつ
   て、一対の取付基部に軸設したリンク回動軸の両
   端それぞれにラチエツト部材を取付け、該ラチエ
   ツト部材に歯合するツース部材を各取付基部に配
   設すると共に、これらツース部材の歯合を制御す
   る操作レバーを一方の取付基部に軸設し、他方の
   取付基部に操作レバー連動軸を介して、他方の取
   付基部側に位置するツース部材に操作ピンを介し
   て枢着する作動レバーを取付け、この作動レバー
   を操作レバーに連動させると共に、作動レバーと
   ツース部材の操作ピンに案内溝孔を介して一端が
   連結する操作回転角規制リンクの他端をリンク回
   動軸の端部にクランク結合し、前記操作回転角規
   制リンクは、シートが最後移動位置に達する時
   に、最後移動位置を規制するラチエツトへ歯合す
   るようにツース部材を回動させる長さに設けられ
   た構成からなるシート移動装置。