JPH0142859B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車両の制動力保持装置に関するもので
ある。

トルコン車では、信号待ち等で停止時フードブ
レーキによつてブレーキングをするか、トルコン
レンジをニユートラル又はパーキングにするかし
ないと、クリープ現象により低速で前進してしま
う。

従来も、例えば実公昭56−20272号公報に示す
ような車両の制動装置が提案されている。これは
ブレーキペタルを踏み込んで車両が停止すると、
電磁石が励磁され吸着板に吸着してブレーキペタ
ルの踏み込みを保持するようにしたものにおい
て、車体に固定した吸着板にピンを植設し、これ
に外周に歯が形成された回動部材を支持させ、該
部材に設けた突出部分にブレーキペタルに連動す
るロツドをピンにより連結し、前記回動部材に係
合する他の回動部材を前記吸着板上に植設したピ
ンで支持させ、前記他の回動部材に一端を固着し
た腕金の他端に電磁石を取付けてなるものであ
る。

しかしながら前記従来装置は、大きな吸着板が
必要であり、また外周に歯を設けた２個の回動部
材、夫々の支持ピン、腕金等の多くの部品を要す
るばかりでなく、大きなスペースが必要であつ
た。

本発明は前記従来の欠点を解消するために提供
されたもので、ブレーキペタルの円弧運動を回転
運動に効率よく変換することにより、小型軽量で
操作性に優れた、ブレーキペタルを固定すること
によつてブレーキ作用をある時間にわたつて継続
せしめる制動力保持装置を得ることを目的とする
ものである。

この目的を達成するために本発明は、外周にネ
ジが形成され、ブレーキペダルに一端を枢着され
て該ペダルの移動によりブレーキペダルと共にそ
の軸線方向に前後進可能なロツドと、該ロツドに
螺合されるネジを内周に有し該ロツドの前後進に
応じて回転されるワンウエイクラツチの内筒と、
前記ロツドの前進時には該内筒と共には回転しな
いが、該ロツドの後進時には該内筒と共に逆回転
するワンウエイクラツチの外筒と、該外筒とスプ
ライン係合するクラツチ板と、該クラツチ板と僅
かな隙間をおいて車体に固設され、通電すること
により該クラツチ板を吸着固定するソレノイド
と、該クラツチ板及びソレノイドを回転自在に枢
着する車体に取付けられたブラケツトとを備え、
前記ワンウエイクラツチはソレノイドの通電時
に、前記ロツドの前進時における前記内筒の回転
を許容するが、該ロツドの後進時における前記内
筒の回転を阻止する構成であり、制動をかけるた
めにブレーキペタルを踏み込むと、この移動に同
調してロツドが前進し、該ロツドに螺合する回転
部材はその取付け位置において回転し、同時にク
ラツチ板も回転するが、この時制動力を保持する
ためにソレノイドに通電すると、クラツチ板は該
ソレノイドのヨーク端面に吸着されて回転できな
くなり、従つて回転部材を介してロツドも回転す
ることができないので、ブレーキペダルの踏圧力
を除いてもロツドと共にブレーキペダルはその踏
み込み位置に固定され、制動力は保持される。

以上のように本発明では、外周にネジを形成し
たロツドを介し、ブレーキペタルの円弧運動をク
ラツチ板の回転運動に変換することが可能とな
り、併せて増速させることができるため、小さな
電磁ブレーキで大きな制動力を得ることができる
と共に、部品点数も少なく、またスペース的にも
有利である。また本発明では、ペダルの踏み増し
を容易に可能にすることができると共に、ペダル
の円弧運動を螺子により回転運動に変換している
ため、回転部材の回転を阻止するために必要な力
を螺子のリード角に変えることにより、大きなス
ペースを要することなく小さくする（ソレノイド
の小型化が図れる）ことができ、保持装置の小型
化を図ることができる。

以下図面の実施例について本発明を説明する
と、第１図は本発明装置の第１実施例を示す側断
面図、第２図は第１図のＡ矢視図である。図にお
いて１は車体で、ペタルブラケツト２を介してブ
レーキペタル３がピン４により前後に揺動可能に
吊下げられている。ブレーキペタル３には外周に
多条ネジ５を有するロツド６がピン７により枢着
されている。

ロツド６の多条ネジ５にはワンウエイクラツチ
８の内筒９の内周面に設けた多条ネジが螺合して
おり、ロツド６が前後進すると内筒９が回転する
ようになつている。１０はワンウエイクラツチ８
の外周で、ロツド６の前進時には内筒９の回転は
伝達されないが、ロツド６が後退する際には内筒
９と共に回転するようになつている。

１１はクラツチ板でスプライン１２を介して外
筒１０と一体に回転はするが、該外筒１０とは別
個にロツド６の軸方向に移動できるようになつて
いる。クラツチ板１１と僅かな隙間１３をおいて
ソレノイド１４のヨーク１５が配設され、該ヨー
ク１５の内周とワンウエイクラツチ８の外筒１０
の間にはローラベアリング１６が介設されてい
る。なお、クラツチ板１１は図示しないバネによ
り隙間１３だけヨーク１５の端面から離れてい
る。１７はコイル、１８はヨーク１５端面と同一
面の摩擦材、１９は非磁性材のカバー、２０はス
ラストワツシヤ、２１はスラストベアリング、２
２はネジカバーであり、前記符号８のワンウエイ
クラツチから、符号２１のスラストベアリングま
での部材により制動力保持機構を構成している。

そしてこの制動力保持機構は、カバー２３を介
し車体１に固定されたブラケツト２４，２４に、
先端にユニバーサルジヨイント２５を形成したボ
ルト、ナツト２６により枢着されている。

次に作用を説明する。先ずブレーキペタル３を
踏み込んで制動をかけると、ロツド６も同時に回
転することなく前進し、これに螺合したワンウエ
イクラツチ８の内筒９は回転するが、外筒１０は
回転せず、勿論クラツチ板１１も回転しない。

次に制動を解除してブレーキペタル３が元に戻
ると、ロツド６も第１図の２点鎖線位置から実線
位置に戻る。この時内筒９は前進時とは逆方向に
回転し、ワンウエイクラツチのローラとの噛合い
により外筒１０は内筒９と一体になつて回転し、
同時にクラツチ板１１も同方向に回転する。

ここで制動力を保持させるには、ブレーキペタ
ル３を踏み込んだ後通電する。この時は内筒９は
回転するが外筒１０は回転せず、クラツチ板１１
も回転しない。そして通電によりクラツチ板１１
はソレノイド１４のヨーク１５に吸着される。次
にブレーキペタル３の踏圧力を解除しても、クラ
ツチ板１１がソレノイド１４に吸着されていて回
転できないため、ワンウエイクラツチ８の外筒１
０も回転できず、従つて内筒９も回転できないの
で、ロツド６は後進することは出来ず、結局制動
力が保持されたことになる。

次に第３図は第１図と異なる第２実施例を示
し、ロツド６の長さを短くして車内への突出によ
る障害を除くと共に、ロツド６外周のネジ５に螺
合する内径ネジを有する筒軸２７を重合し、該筒
軸２７の外周に、ワンウエイクラツチ８の内筒９
の内周ネジと螺合する外周ネジ２８を設けてなる
ものである。

さて第３図においてブレーキペタル３を踏み込
むと、ロツド６が前進し、筒軸２７は回転しなが
ら同様に前進し、その外周ネジ２８に螺合する内
筒９が回転する。以後のワンウエイクラツチ８、
ソレノイド１４の作用は第１図と同じである。こ
の実施例ではロツド６の長さが短くても、筒軸２
７を介しブレーキペタル３のストロークに充分追
従できるロツド長さが得られるようにしたもので
ある。なお、ロツド６と筒軸２７とのネジ係合に
は、ボールネジを用いてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す制動力保持装置
の側断面図、第２図は第１図のＡ矢視図、第３図
は第１図と異なる実施例を示す制動力保持装置の
側断面図、第４図は第３図のＢ矢視図である。 図の主要部分の説明、１……車体、３……ブレ
ーキペタル、５……多条ネジ、６……ロツド、７
……ピン、８……ワンウエイクラツチ（回転部
材）、９……内筒（回転部材）、１０……外筒（回
転部材）、１１……クラツチ板、１２……スプラ
イン、１３……隙間、１４……ソレノイド、１５
……ヨーク、１７……コイル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外周にネジが形成され、ブレーキペダルに一
   端を枢着されて該ペダルの移動によりブレーキペ
   ダルと共にその軸線方向に前後進可能なロツド
   と、該ロツドに螺合されるネジを内周に有し該ロ
   ツドの前後進に応じて回転されるワンウエイクラ
   ツチの内筒と、前記ロツドの前進時には該内筒と
   共には回転しないが、該ロツドの後進時には該内
   筒と共に逆回転するワンウエイクラツチの外筒
   と、該外筒とスプライン係合するクラツチ板と、
   該クラツチ板と僅かな隙間をおいて車体に固設さ
   れ、通電することにより該クラツチ板を吸着固定
   するソレノイドと、該クラツチ板及びソレノイド
   を回転自在に枢着する車体に取付けられたブラケ
   ツトとを備え、前記ワンウエイクラツチはソレノ
   イドの通電時に、前記ロツドの前進時における前
   記内筒の回転を許容するが、該ロツドの後進時に
   おける前記内筒の回転を阻止することを特徴とす
   る制動力保持装置。