JPH0141742B2 - - Google Patents

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JPH0141742B2
JPH0141742B2 JP58084481A JP8448183A JPH0141742B2 JP H0141742 B2 JPH0141742 B2 JP H0141742B2 JP 58084481 A JP58084481 A JP 58084481A JP 8448183 A JP8448183 A JP 8448183A JP H0141742 B2 JPH0141742 B2 JP H0141742B2
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fiber
fibers
nonwoven fabric
polymer
entangled nonwoven
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JP58084481A
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Kunio Kogame
Yoshihiro Tanba
Masaru Makimura
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は伸縮性に優れた繊維絡合不織布に関す
るものである。更に詳しくは、本発明は繰り返し
伸長変形を行つても実質的に構造変形を生じな
い、すなわち伸縮性および繊維絡合性に優れ、か
つ柔軟で充実感のある風合いを有している繊維絡
合不織布に関するものである。更に、腰がある人
工皮革の基体として適したシート状物に関するも
のである。 〔従来の技術〕 従来、伸縮性に優れた絡合不織布として、ポリ
ウレタンをフラツシユ紡糸して得た短繊維を堆積
し、自己膠着などの方法で繊維交点を接着した不
織布や、あるいは特開昭52−81177号公報に記載
の如く、スパンポンド方式により得られたポリウ
レタンの長繊維不織布などが知られている。しか
し、これらポリウレタン繊維の不織布では、繊維
自身の弾性が強く且つ柔軟すぎるため、ニードル
パンチングや流体噴射方式など従来公知の絡合方
法では十分な繊維絡合体を形成することは困難で
ある。従つて、これらの方法では、繊維絡合性の
良好な不織布を作ることができない。 また、伸縮性があり且つ強さのある不織布とし
て、たとえば特開昭48−18579号公報には、弾性
繊維5〜80重量%を非弾性繊維に混綿して得た不
織布が提案されている。しかしながら、弾性繊維
は非弾性繊維とは比較にならないくらい剛性およ
び伸長弾性挙動が異なるため、これら繊維を十分
に混綿すること及びカード機にかけて良好なウエ
ブを得ること、更には良好な結合を得ること等が
極めて困難である。また特開昭52−85575号公報
には、非弾性ポリマーと弾性ポリマーからなる複
合繊維を用いて絡合不織布を作り、その後に各成
分ポリマーに剥離する方法が記載されているが、
この方法では弾性ポリマーと非弾性ポリマーが同
じ状態で拘束されてしまうため、構造的にも十分
な伸縮性を有するものはできない。また、特公昭
40−2792号公報には、弾性ポリマーと非弾性ポリ
マーからなる混合紡糸繊維と非弾性ポリマーから
なる混合紡糸繊維を混綿して不織布とし、得られ
た不織布を構成している該繊維中の非弾性ポリマ
ーの少なくとも一種を溶解させた後、この非弾性
ポリマーを不織布内で再度凝固させる方法が提案
されている。この方法を用いた場合には、良好な
絡合性を有する不織布が得られるが、その反面、
この不織布の伸縮性は非弾性ポリマーからなる繊
維により支配されているため、この不織布は十分
な伸縮性を有するものではない。すなわち、この
不織布を無理に伸ばした場合には、不織布の絡合
が外れ、構造破壊を生じることとなる。 〔発明が解決しようとする課題〕 従来知られている不織布の製造方法では、いず
れも絡合性および伸縮性を兼備した繊維絡合不織
布を得ることはできなかつた。 本発明の目的は、弾性繊維と非弾性繊維が十分
に混綿されており、繊維絡合不織布としての強
さ、均一な伸長弾性、極めて柔軟で、かつ充実感
のある風合を有する繊維絡合不織布を得ることに
ある。更に、柔軟で腰がある人工皮革の基体とし
て適したシート状物を提供することにある。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、主として弾性ポリマーからなる変成
された繊維(以下繊維Aと称す)と主として非弾
性ポリマーからなる繊維(以下繊維Bと称す)か
ら主として構成された繊維絡合不織布であつて、
該繊維Aは繊維絡合不織布内において緊張した状
態にあるのに対してBは弛んだ状態にあることを
特徴とする伸縮性に優れた繊維絡合不織布であ
る。 このような繊維絡合不織布は、弾性ポリマーと
非弾性ポリマーからなる繊維(以下繊維Cと称
す)および非弾性ポリマーからなる繊維(以下繊
維Dと称す)を混綿してウエブを形成し、結合処
理を施して不織布を作製し、次いで以下の工程(1)
および(2)、 (1) 繊維Cが収縮する条件で不織布の面積を10〜
80%収縮させる工程、 (2) 繊維Cから非弾性ポリマーを除去し、弾性ポ
リマーからなる変成された繊維Aとする工程、 を、工程(1)→工程(2)、工程(2)→工程(1)または工程
(1)と工程(2)を同時に行ういずれかの工程順序で処
理することを特徴とする伸縮性に優れた繊維絡合
不織布の製造方法である。 次に本発明の繊維絡合不織布について上記した
製造方法にもとづいて詳しく説明する。 まず、本発明の伸縮性良好な繊維絡合不織布を
構成する原料として、弾性ポリマーと非弾性ポリ
マーからなる繊維Cと非弾性ポリマーからなる繊
維Dが用いられる。このように同一繊維内に弾性
ポリマーと非弾性ポリマーが相溶性を有さずに存
在している形態の繊維Cを使用することにより、
繊維Cの伸長挙動、剛性等が非弾性ポリマーから
なる繊維Dのそれらと極めて近似したものとな
る。従つて、混綿性が良く、かつニードルパンチ
あるいは流体噴射による結合方法により良好な繊
維絡合状態を得ることができる。 なお、本発明において弾性ポリマーとは、該ポ
リマーを繊維に成形し、この繊維を室温において
50%伸長した場合の1分後の伸長弾性回復率が90
%以上であるポリマーを意味しており、また非弾
性ポリマーとは同様にして測定した伸長弾性回復
率が50%以下または室温において限界伸長率が50
%に達しないポリマーを意味している。 本発明の方法に用いられる繊維Cを構成してい
る弾性ポリマーとしては、たとえば、ポリエステ
ルジオール、ポリエーテルジオール、ボリエステ
ルエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポ
リカーボネートジオールなどの平均分子量500〜
3500のポリマージオールから選ばれた少なくとも
一種と有機ジイソシアネートと活性水素原子を2
個有する鎖伸長剤とを反応させて得られるポリウ
レタン類、ポリイソプレン、ポリブタジエンなど
の共役ジエン重合体あるいは共役ジエン重合体ブ
ロツクを分子中に有するポリマー類、その他紡糸
可能な上記したゴム弾性挙動を示すポリマー類が
あげられる。 一方、繊維Cを構成している非弾性ポリマーは
上記した伸長挙動を示し、かつ溶剤に可溶なある
いは分解剤で分解されるポリマーであり、たとえ
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレ
ンなどのポリオレフイン類やオレフイン共重合
体、ポリスチレンまたはスチレン共重合体、ポリ
塩化ビニルまたは塩化ビニル共重合体、ポリエス
テル類、ポリカーボネートなどが挙げられる。 そして、弾性ポリマーと非弾性ポリマーの組合
わせは、特定溶剤に対する溶解性あるいは特定分
解剤に対する分解性を異にする弾性ポリマーと非
弾性ポリマーの組合わせの内から、熱成形温度範
囲が重なつているもの、または共通溶媒あるいは
相溶性のある溶媒で溶解でき且つ溶解状態におい
て紡糸に要する時間内ではこれらポリマー間で紡
糸に支障を生ずる反応や相互作用を及ぼさないも
の等が用いられる。組合わせ例としては、たとえ
ば、ポリウレタン−ポリオレフイン、ポリウレタ
ン−ポリスチレン、ポリウレタン−ポリオレフイ
ン/ポリスチレン、共役ジエン重合体−ポリスチ
レン、共役ジエン重合体−ポリエステルなどがあ
る。繊維Cに占める弾性ポリマーの比率は30〜80
重量%、好ましくは40〜70重量%である。 これらポリマーから繊維Cを得るには湿式紡
糸、乾式紡糸または溶融紡糸が適用できるが、好
ましくは溶融紡糸である。繊維Cは、弾性ポリマ
ーと非弾性ポリマーを同一溶融系または同一溶解
系で溶融または溶解して紡糸する方法、弾性ポリ
マーと非弾性ポリマーを異なる溶融系または溶解
系でそれぞれ溶融または溶解して紡糸頭あるいは
紡糸口金で合流して混合流を形成して紡糸する方
法などにより得られる。繊維Cは、必要に応じて
乾熱あるいは湿熱または温水などの条件下で延伸
される。好ましくは紡糸した原繊維長の少なくと
も2倍の繊維長に延伸された繊維を使用すること
である。また必要により捲縮を掛けたり、更に適
宜の長さ、好ましくは20〜100mmに切断するなど
の処理が付されていてもよい。このようにして得
られた繊維は、繊維内に弾性ポリマーと非弾性ポ
リマーが共存一体化しているため弾性繊維として
の挙動が抑制されており、弾性繊維特有の伸長挙
動、弾性回復性、柔軟性を有していない。 また、本発明方法に用いられる非弾性ポリマー
からなる繊維Dまたは繊維Bを構成している非弾
性ポリマーとしては、たとえばポリエチレンテレ
フタレートまたはそれを主体とする共重合体、ポ
リブチレンテレフタレートまたはそれを主体とす
る共重合体、脂肪族ポリエステルまたはそれの共
重合体等の可紡性ポリエステル類、ナイロン−
6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−
12で代表されるナイロン類、その他可紡性ポリア
ミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
チレンなどのポリオレフイン類、アクリル系共重
合体、ポリビニルアルコールがあげられる。その
他繊維Dとしては、レーヨンなどの再生繊維、あ
るいはセルロースアセテートなどの半合成繊維、
その他綿、麻、羊毛などの天然繊維も用いること
ができる。 なお、本発明において非弾性ポリマーからなる
繊維Bが原繊維を処理して得られるものにあつて
は繊維Dとして、少なくとも二種の非弾性ポリマ
ーからなる繊維を用い、伸縮性の繊維絡合不織布
を製造する工程の途中において繊維Dから少なく
とも一種の非弾性ポリマーを除去し、少なくとも
一種の非弾性ポリマーを残存させる処置を行つた
場合には、得られる繊維絡合不織布が一層伸縮性
および柔軟性に優れたものとなる。このような繊
維を構成する非弾性ポリマーとしては、上記した
合成非弾性ポリマーの組合わせの他に、最終的に
除去される非弾性ポリマーとしては、例えばポリ
スチレンまたはスチレン共重合体、ポリ塩化ビニ
ル、エチレン共重合体、その他可紡性ポリマーと
の共存下において紡糸性を有するポリマーの組合
わせなどが挙げられる。少なくとも二種の非弾性
ポリマーからなる繊維は、これら非弾性ポリマー
の内から特定溶剤に対して溶解性を異にするある
いは特定の分解剤に対して分解性を異にする関係
にある二種以上のポリマーの組合わせを選び出
し、さらにこれらの内から熱成形温度範囲の重な
つている組合わせ、または共通溶媒あるいは相溶
性のある溶媒で溶解できる組合わせを選び出し、
これらの組合わせのポリマーを湿式紡糸、乾式紡
糸または溶融紡糸することにより得られる。具体
的なポリマーの組合わせ例としては、ポリエチレ
ンテレフタレート−ポリエチレン、ナイロン−6
−ポリエチレン、ナイロン−6−ポリスチレン、
ポリエチレンテレフタレート−ポリスチレン、ポ
リプロピレン−ポリスチレン、ナイロン−6−ポ
リビニルアルコールなどが挙げられる。なお、非
弾性ポリマーからなる繊維BまたはDには、後に
詳しく説明する工程(1)において、繊維BまたはD
が弾性ポリマーを含んでいる繊維(すなわち繊維
AまたはC)と比べて収縮がはるかに少ないなら
ば、弾性ポリマーなどを含んでいてもよい。 繊維Dとして二種以上の非弾性ポリマーからな
る繊維を用いる場合、これら繊維の具体的な紡糸
方法としては、同一溶融系または同一溶解系で溶
融または溶解して紡糸する方法、異なる溶融系ま
たは溶解系で溶融または溶解して紡糸頭または紡
糸口金で合流して混合系を形成して紡糸する方法
などがあげられる。繊維Dは通常の延伸方法で延
伸され、捲縮・切断されて短繊維とする。 次に繊維CとDを混綿する。好ましい混綿比率
は、繊維Dが後にそれを構成している非弾性ポリ
マーの少なくとも一種を除去するか否かによつて
異なる。すなわち、繊維Dを構成している非弾性
ポリマーの少なくとも一種を後に除去する場合に
は、繊維Cと繊維Dの混綿比率は繊維Cが15〜85
重量%、特に25〜70重量%となる割合が好まし
く、繊維Dにこのような処理を行わない場合に
は、繊維Cが20〜90重量%、特に35〜85重量%と
なる割合が好ましい。なお繊維Cとして弾性ポリ
マーと非弾性ポリマーからなる繊維を二種以上混
合してもよく、また繊維Dとして一種の非弾性ポ
リマーからなる繊維を二種以上、あるいは一種の
非弾性ポリマーからなる繊維と二種以上の非弾性
ポリマーからなる繊維を併用してもよい。 繊維Cと繊維Dは所定の比率で混綿されたの
ち、カードで解繊され、ウエバーでランダムウエ
ブまたはクロスラツプウエブに形成される。ウエ
ブは必要に応じて積層し、所望の重さにする。ま
た混綿比率の異なるウエブを積層することもでき
る。ウエブ重さは指向する用途により異なるが、
一般に100〜3000g/m2の範囲が好ましい。 次いで公知の手段で繊維絡合処理を施して繊維
絡合不織布を形成する。好ましい絡合処理はニー
ドルパンチング法または/および高圧水流噴射法
である。ニードルパンチング数および条件は、使
用針の形状やウエブの厚みで異なるが、一般に
200〜2500パンチ/cm2の範囲で設定される。ニー
ドルパンチ条件が強すぎる場合には繊維の絡合効
果よりむしろ繊維の切断が増加することとなり、
構造破壊を生じ、ウエブ面積の拡大をまねくた
め、伸縮性に好ましくない結果をまねくことにな
る。また絡合が少ない場合には十分な伸縮性を付
与できないことになる。 本発明で繊維絡合不織布に十分な伸縮挙動を付
与するためには、繊維絡合不織布(バインダー樹
脂を含んでいてもよい)を収縮させなければなら
ない。収縮の程度は、収縮処理前の不織布の面積
に対して10〜80%の面積収縮を生じる程度であ
る。しかも、このような収縮処理は、弾性ポリマ
ーを含んでいる繊維が弾性ポリマーを含んでいな
い繊維より大きく収縮する条件下に行わなければ
ならない。一般に弾性ポリマーは非弾性ポリマー
より低温において収縮する傾向を有している。し
たがつて本発明において、収縮処理を行う際の具
体的条件としては、弾性ポリマーを含んでいる繊
維は収縮するが弾性ポリマーを含んでいない繊維
は実質的に収縮しないかあるいは収縮してもその
程度が弾性ポリマーを含んでいる繊維と比べては
るかに少ない収縮しか生じないような温度条件下
で行うのが好ましい。 このような収縮処理を行うことにより、最終的
に得られる繊維絡合不織布内において、弾性ポリ
マーからなる変成された繊維Aは収縮しているの
に対して非弾性ポリマーからなる繊維B(繊維D
として単一非弾性ポリマーからなる繊維を用いた
場合あるいは二種以上の非弾性ポリマーからなる
繊維を用いても、その一種の非弾性ポリマーを除
去するような処理を行わない場合には、繊維Bは
繊維Dと同じものである。)は殆んど収縮してい
ないか或いは該変成された繊維Aに比べてはるか
いわずかの収縮しかしておらず、その結果、変成
された繊維Aは絡合不織布内において緊張した状
態を有しているのに対して繊維Bは弛んだ状態を
有している繊維形態をした構造になる。繊維絡合
不織布内においてこのような繊維状態を有してい
ることにより、繊維絡合不織布に伸長力が掛けら
れた場合、繊維絡合不織布の伸長は専ら変成され
た繊維Aの伸びにより達成され、伸長の程度が繊
維Bが弛んだ状態から引張られた状態となる範囲
内においては、繊維絡合不織布の構造破壊、すな
わち交絡による固定や弾性繊維の膠着による繊維
間の固定あるいはバインダーによる固定が外れる
ような状態は実質的に生じないことになる。した
がつて、繊維絡合不織布は繰り返しの伸長に対し
ても実質的に構造変形を生じないことになる。 以上の説明からも明白なように、本発明の繊維
絡合不織布の伸縮性と繊維絡合不織布の収縮工程
における収縮率とは極めて密接な関係を有してい
る。すなわち、大きな収縮率を付与すると繊維絡
合不織布あるいはバインダー樹脂を含有するシー
ト状物の弾性伸長範囲が拡がることになる。 繊維絡合不織布の収縮率は収縮処理条件(温
度、時間、張力等)でも調節可能であるが、繊維
絡合不織布の潜在収縮能(最大収縮率)は、弾性
ポリマーの種類、組成比率、紡糸条件、延伸倍率
等にもとづく繊維Cの潜在収縮率、ならびに非弾
性ポリマーの種類、繊度等で決定される繊維Dの
曲げ剛性率および混綿比率により主として決定さ
れる。したがつて、これらの条件を変えることに
より繊維絡合不織布の収縮率を任意に変えること
ができる。 繊維絡合不織布に収縮を付与する工程は、(1)繊
維絡合不織布の状態で行う方法、(2)繊維Cまたは
Dから少なくとも一種の非弾性ポリマーを除去す
る工程で同時にまたはその後に行う方法などがあ
るが、いずれの方法を用いてもよく、さらにはこ
れらの方法を組合わせて行い、最終的に所望の面
積収縮が得られるようにしてもよい。収縮処理は
湿熱処理または乾熱処理で行うが、残留繊維成分
を損うことのない薬品を併用して処理してもよ
い。収縮処理を付与することによつて変成された
繊維Aの持つ繊維本質のゴム状弾性に加えて、繊
維絡合不織布の構造的な伸縮性や圧縮反撥性など
が加わり、単純なゴム状弾性挙動が抑制され、風
合い上腰のある柔軟性が付与されることになる。 本発明では、繊維絡合不織布を構成する繊維C
から非弾性ポリマーが除去される必要がある。ま
た、前述したように繊維Dが二種以上の非弾性ポ
リマーからなる繊維である場合には、その少なく
とも一種の非弾性ポリマーを除去し少なくとも一
種の非弾性ポリマーを残存させて変成された繊維
とすることにより伸縮性および柔軟性において一
層優れたものとなる。除去方法は、除去するポリ
マーの溶剤で溶解あるいは分解剤で分解などいず
れの方法でもよい。 少なくとも一種の非弾性ポリマーを除去し、少
なくとも一種のポリマーを残存させて変形された
繊維とすることにより得られる繊維A、Bは、細
デニール繊維が集束された形態、多数の微細な孔
が繊維軸方向に配列された形態、あるいはこれら
の形態が混在した形態などを有している。但し、
弾性ポリマーからなる繊維の場合には、繊維の処
理時に弾性ポリマーの膠着により細デニール繊維
間の空間や繊維軸方向に配列された孔が消失し、
上記したような明確な形態とならない場合がある
が、このような場合であつても本発明の目的は十
分に達成される。なお変成された繊維AまたはB
が上記細デニール繊維が集束された形態を有して
いる場合には、該細デニール繊維は連続したもの
であつても、また必要な製品強さを満たすに十分
な長さを有する非連続なものであつてもよい。ま
た円断面でも異形断面でもよい。このように原繊
維を処理して得た繊維を「変成された繊維」と称
することにする。 繊維Cおよび繊維Dからそれぞれ少なくとも一
成分を除去し、少なくとも一成分を残存させる工
程は、繊維Cと繊維Dとを同時に行う必要はな
く、つまり繊維Cから非弾性ポリマーを除去した
後に繊維Dから少なくとも一成分を除去しても、
あるいはこの逆の順序で行つてもよい。しかしな
がら、工程の簡略さから、繊維Cから非弾性ポリ
マーを除去することと繊維Dから少なくとも一成
分を除去することを共通溶剤または共通分解剤を
用いることにより一挙に行う方法を用いるのが好
ましい。 本発明の繊維絡合不織布を構成している繊維と
して、弾性ポリマーからなる変成された繊維Aの
みならず非弾性ポリマーからなる繊維Bもまた少
なくとも一成分を除去して変成された繊維とし
た、いわゆる変成繊維である場合には、繊維絡合
不織布が極めてしなやかでかつ伸縮性に優れたも
のとなつている。 また、本発明の繊維絡合不織布の態様の一つと
して、バインダー樹脂を含有せしめた繊維絡合不
織布がある。すなわち、本発明の繊維絡合不織布
にバインダー樹脂を付与したものは、バインダー
樹脂の性質によつて得られたシート状物(バイン
ダー樹脂を含有した繊維絡合不織布をシート状物
と称することにする)の性質を変えることができ
る。従つて、付与されるバインダー樹脂は弾性ポ
リマーでも非弾性ポリマーでも、さらにはこの両
者の中間領域を占めるポリマーであつてもよい。
しかし、柔軟性と弾性が大きいシート状物を希望
する場合には弾性ポリマーを用いるのが好まし
い。バインダー樹脂として用いられる弾性ポリマ
ーの具体例を挙げると、ポリエステル系ポリウレ
タン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステ
ルエーテル系ポリウレタン、ポリラクトン系ポリ
ウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンなど
のポリウレタン類、アクリル酸またはアクリル酸
エステルの重合体または共重合体類、ポリイソプ
レン、ポリブタジエンなどの共役ジエン重合体類
あるいは共役ジエン重合体ブロツクを分子中に有
するポリマー類、スチレン−ブタジエン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、酢
酸ビニル重合体または共重合体などのポリマーが
あげられる。弾性挙動の小さい樹脂をバインダー
樹脂として用いたい場合には、塩化ビニル重合体
または共重合体の可塑化ポリマー、ポリアミド類
または変性ポリアミド類、エチレン−酢酸ビニル
共重合体などのポリマーを用いることもできる。
これらポリマーのうちから一種または二種以上を
選び、不織布構成繊維を溶解または著しく膨潤さ
せない溶剤または分散剤に溶解あるいは分散さ
せ、この液を不織布に含浸させる。 バインダー樹脂の溶液または分散液を繊維絡合
不織布に含浸する順序としては、(1)繊維絡合不織
布に含浸する、(2)収縮処理後の繊維絡合不織布に
含浸する、(3)繊維Cおよび/または繊維Dから少
なくとも一種の非弾性ポリマーを除去した後の繊
維絡合不織布に含浸するのいずれの順序により行
つてもよいが、伸縮性と柔軟性と腰のある風合い
の3特長を強調したシート状物を得たい場合には
(1)または(2)の順序によりバインダー樹脂を付与す
るのが好ましい。また、伸縮性と反撥性の特長を
強調したシート状物を得たい場合には、(3)の順次
でバインダー樹脂を付与するのが好ましい。 繊維絡合不織布に含浸したバインダー樹脂溶液
または分散液からバインダー樹脂を凝固させる方
法としては、熱処理で凝固させる方法、熱水処理
で凝固させる方法、塩水溶液中で処理して凝固さ
せる方法、非溶剤または溶剤−非溶剤混合液中で
処理して凝固させる方法などが挙げられるが、バ
インダー樹脂の特性に応じ、さらには所望するシ
ート状物の風合いおよび物性に応じて適当な凝固
方法を採用すればよい。バインダー樹脂が付与さ
れていることにより、繰り返し伸長変形に対して
一層構造破壊が生じにくくなると共に、柔軟であ
つて充実感に富んだものとなり、人工皮革用の基
体層として極めて適したものとなる。 本発明で得た繊維絡合不織布またはシート状物
は所望の厚みにスライスして一定の厚みのものに
する。または複数枚に分割してもよい。本発明の
繊維絡合不織布は、弾性ポリマーからなる変成繊
維が比較的均一に混綿されているため、表面をア
イロン掛けするなどの処理で平滑化面とすること
もできる。また、表面をサンドペーパーなどによ
るバフイングや起毛処理を施すことにより非弾性
ポリマーからなる繊維Bを主体とする繊維立毛面
としたり、更に、表面に弾性ポリマーを主体とす
るポリマーを付与して造面、着色処理、エンポシ
ング処理を施こして平滑面あるいは銀面としたり
する。更に、繊維絡合不織布あるいはシート状物
を製品化するためには、柔軟剤処理、もみ処理、
染色処理、難燃化処理、撥水・防水処理、耐光候
安定化処理などが必要に応じて付与される。 本発明の繊維絡合不織布は、弾性ポリマーから
なる繊維Aが変成繊維であるためゴム感が少な
く、かつ繊維が比較的良く混綿されているか、ま
たは均一層として形成されているため、伸長に対
しても伸びむらの少ない不織布となつている。更
に弾性ポリマーからなる変成繊維は収縮処理や変
成処理の過程で繊維接触部において膠着を生じ一
部に接着点を生じている。従つて、本発明で得た
繊維絡合不織布の構造は弾性ポリマーからなる変
成繊維同士の接触部に生じた膠着接点、繊維交絡
結節点があり、またバインダー樹脂を付与したシ
ート状物では、その内部構造が、繊維絡合不織布
内において繊維の交叉点および接触点の少なくと
も一部がバインダー樹脂で固定されていて、変成
された繊維Aはそうした各種の固定点または交絡
による固定点の間において緊張した状態にあるの
に対して該繊維Bは弛みをもつて存在した構造と
なつている。 この構造状態を確認する一つの手段として、繊
維絡合不織布から一方の繊維を除去した後の繊維
絡合不織布の形状で知ることができる。すなわ
ち、弾性ポリマーからなる変成繊維Aを溶剤等の
処理で除去すると非弾性ポリマーからなる繊維B
の繊維結合不織布は収縮処理前の面積に近くまで
面積が拡大するのに対し、非弾性ポリマーからな
る繊維Bを溶剤等の処理で除去すると弾性ポリマ
ーからなる変成繊維Aの繊維絡合不織布はほとん
ど面積変化を生じないかあるいは小さな面積変化
にとどまることから知ることができる。 この状態を図によつて説明する。第1図は本発
明の繊維絡合不織布の構造モデル図である。図
中、1は弾性ポリマーからなる変成繊維Aで、ほ
ぼ緊張された状態にある。2は非弾性ポリマーか
らなる繊維Bでたるみをもつている。3は膠着さ
れた部分、4は結節された部分である。このよう
な構造であるため、伸長挙動は、まず非弾性繊維
の構造的な伸長変形と弾性繊維自体の伸長変形が
発生し、次いで弾性繊維による伸長変形と非弾性
繊維の伸長変形が加わるため、急激に応力は上昇
することとなる。つまり、非弾性繊維の伸長変形
が実質的に生じない伸長範囲(通常約15〜50%)
では応力が極めて低く、伸縮性が極めて良好であ
るのに対して、それ以上の伸長変形を与える場合
には、非弾性繊維の絡合効果により伸長変形にな
るために大きな応力を要するようになる。したが
つて、本発明の繊維絡合不織布は、非弾性繊維が
伸長変形を実質的に生じない程度の伸長範囲内
(たとえば約30%の伸長変形を生じさせる程度)
では、繰り返し伸長変形を行つても構造破壊を生
ずることはほとんどなく、良好な伸縮性を有して
いることになる。 本発明の繊維絡合不織布は伸縮性に優れ、かつ
柔軟性を有しているため、サボーター、バンド
類、医療用品、衣料用部品、その他多くの利用用
途を有している。 〔実施例〕 次に、本発明を具体的な実施例により説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。なお、実施例中、部および%は重量にもと
づくものである。また実施例において繊維に用い
たポリマーの伸長弾性回復率は前述の測定方法で
得た値である。 実施例1〜4、比較例1、2 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部と低密度ポリエチレン(50%伸長せ
ず)40部からなりポリエチレンが海成分となつた
2成分繊維を溶融紡糸法で作り、2.8倍に延伸し、
捲縮、繊維長51mmに切断して繊度6デニールのス
テーブル(以下繊維C1と称す)を得た。一方、
ナイロン−6(伸長弾性回復率50%未満)50部と
低密度ポリエチレン50部からなり、ポリエチレン
が海成分となつた2成分繊維を溶融紡糸法で作
り、延伸、熱処理、捲縮し、繊維長51mmに切断し
て繊度4デニールのステーブル(以下繊維D1
称す)を得た。 次いで繊維C1および繊維D1を第1表に示した
比率で混綿し、カードにかけて解繊した後、ラン
ダムウエバーでランダムウエブを形成し、針番手
#40の針でウエブを両面から交互に合計560パン
チ/cm2のニードルパンチングを行い、重さ約400
g/m2の繊維絡合不織布を作つた。この繊維絡合
不織布をテフロンコーテイングシート上に載置
し、無緊張状態で135℃の熱風中で熱処理して繊
維絡合不織布に収縮を付与した。 収縮処理した繊維絡合不織布を約80℃の熱パー
クロルエチレン中に浸漬一絞りを繰り返してポリ
エチレンを溶解除去した後、風乾して溶剤を除去
し、約130℃の熱風中で乾燥熱処理を施して、ポ
リウレタン繊維同士の接している部分に膠着によ
る接着点を形成させた。得られた繊維絡合不織布
はポリウレタン繊維とナイロン−6繊維が良好な
混綿状態で存在し、ポリエチレンを溶解した繊維
はしなやかになり結合結節点が多くできていて良
好な伸縮性が得られ、30%伸長しても構造変形を
生じなかつた。得られた繊維絡合不織布の状態を
第1表に示した。 本発明の繊維絡合不織布は柔軟性があり、繊維
絡合不織布特有の繊維質感が少ないあるいはない
ものであつた。実施例1及び2の厚物試料は表面
にアイロン掛けして平滑面とし、着色したものは
カジユアルシユーズ用として使用できる素材であ
る。また、薄物にしてサポーターに使用できる素
材である。実施例3及び4の試料は表面毛羽立て
処理して、スエード類似の素材が得られる。
【表】 上記の実施例で得られた繊維絡合不織布を拡大
して観察した結果、第1図の模式図に示した如き
構造の不織布でポリウレタン繊維は緊張した状態
にあるのに対して、ナイロン−6繊維は弛んだ状
態を有していた。一方、比較例の繊維絡合不織布
ではこのような状態が観察されなかつた。 実施例5〜7、比較例3 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)60部と変性ポリスチレン(50%伸長せず)
40部からなる2成分繊維を溶融紡糸法で作り、
2.5倍に延伸し、捲縮、繊維長51mmに切断して繊
度6デニールのステーブル(以下繊維C2と称す)
を得た。一方ポリエチレンテレフタレート(伸長
弾性回復率50%未満)50部と低密度ポリエチレン
50部からなり、ポリエチレンが海成分となつた2
成分繊維を溶融紡糸法で作り、延伸、熱処理、捲
縮、繊維長51mmに切断して繊維4デニールの非収
縮性ステーブル(以下繊維D2と称す)を得た。 次いで繊維C2および繊維D2を第2表に示した
比率で混綿し、ガードにかけて解繊した後、クロ
スラツプウエブを形成し、針番手#40の針でウエ
ブを両面から交互に合計700パンチ/cm2のニード
ルパンチングを行い重さ約750g/m2の繊維絡合
不織布を作つた。この繊維絡合不織布を約85℃の
パークロルエチレン中に無緊張状態で導入し、繊
維中のポリエチレンとポリエチレンを溶解除去と
収縮を同一処理工程で行つた。溶剤を絞液除去後
プレスして約80℃の熱風中で乾燥した。得られた
繊維絡合不織布はポリウレタン繊維同士の接して
いる部分に膠着による接着点を形成しており、更
にポリウレタン繊維と極細ポリエチレンテレフタ
レート繊維束が良好な混綿状態でしなやかである
ため繊維絡合結節点が多くできていて良好な伸縮
性を示し、30%伸長しても構造変形を生じなかつ
た。得られた繊維絡合不織布の状態を第2表に示
した。
【表】
【表】 これら実施例で得られた繊維絡合不織布の繊維
の状態を拡大して観察したところ、実施例1〜4
と同様であつた。 実施例8〜11、比較例4、5 ポリエステル系ポリウレタン55部と低密度ポリ
エチレン45部からなる2成分系繊維を溶融紡糸法
で作り、2.5倍に延伸し、捲縮、切断して繊度6
デニール、繊維長51mmで低密度ポリエチレンが海
成分となつた繊維のステーブル(以下繊維C3
称す)を作つた。一方、ナイロン−6を溶融紡糸
し、延伸し、熱固定し、捲縮し、切断して繊度2
デニール、繊維長51mmの繊維ステーブルを作つ
た。次いで、繊維C3とこのナイロン繊維を第3
表に示した一定の割合で混綿し、カードに掛けて
解繊後、ランダムウエバーでウエブを形成し、針
番手#40の針でウエブを両面から交互に合計700
パンチ/cm2のニードルパンチングを行い重さ約
400g/m2の繊維絡合不織布を作つた。この繊維
絡合不織布はテフロンコーテイングシート上に載
置し、実質的に無緊張状態で135℃の熱風中で処
理して繊維絡合不織布に収縮を付与した。 次いで収縮繊維絡合不織布を約80℃の熱トルエ
ン中で浸漬−絞りを繰り返してポリエチレンを溶
解除去した後、溶剤を絞液し、約80℃の熱風中で
乾燥して、加熱状態にあるうちにプレスして得た
繊維絡合不織布はポリウレタン繊維とナイロン−
6繊維が良好な混綿状態にあり、ポリウレタン繊
維同士の接している部分は膠着による接着点を形
成しており、良好な伸縮性を有し、30%伸長して
も構造変形を生じなかつた。また、これら実施例
および比較例で得られた繊維絡合不織布の内部の
繊維の状態を拡大して観察した結果、それぞれ実
施例1〜4、比較例1、2の場合と同様であつ
た。 得られた繊維絡合不織布の状態を第3表に示し
た。
【表】 本発明の繊維絡合不織布は柔軟性があり、繊維
絡合不織布特有の繊維質感が少ないあるいはない
もので伸縮性がある。しかし、比較例の繊維絡合
不織布は繊維質感が大きく、30%伸長した場合に
は構造変形を生じ、回復率が小さいものであつ
た。 実施例12〜14、比較例6、7 ポリエステル系ポリウレタン50部とポリスチレ
ン(50%伸長せず)35部および低密度ポリエチレ
ン15部からなる3成分繊維を溶融紡糸法により製
造し、3倍に延伸し、捲縮、切断して繊度6デニ
ール、繊維長51mmのステーブル(以下繊維C4
称す)を作つた。一方、非収縮性ポリエチレンテ
レフタレート繊維(PET繊維)で、繊維1.5デニ
ールのステーブルを用いた。次いで、繊維C4
このポリエチレンテレフタレート繊維を第4表に
示した一定の割合で混綿し、カードに掛けて解繊
度、クロスラツプウエブを形成し、針番手#40の
針でウエブを両面から交互に合計560パンチ/cm2
のニードルパンチングを行い重さ約650g/m2
繊維絡合不織布を作つた。この繊維絡合不織布を
約80℃のパークロルエチレン中で浸漬−絞りを行
つて、繊維中のポリスチレンおよびポリエチレン
を溶解除去し、約80℃の熱風中で乾燥した。なお
乾燥初期に抽出後の繊維絡合不織布をプレスして
ポリウレタン繊維同士の接している部分に膠着に
よる接点を形成させた。また繊維絡合不織布は溶
剤処理および乾燥工程で収縮が生じていた。そし
てポリウレタン繊維は良好な混綿状態であり、30
%伸長しても構造変形を生じなかつた。また、こ
れら実施例、比較例で得られた繊維絡合不織布の
繊維の状態を拡大して観察したところ前述の実施
例、比較例とそれぞれ同様であつた。 得られた繊維絡合不織布の状態を第4表に示し
た。
【表】 本発明の繊維絡合不織布は柔軟性があり、繊維
絡合不織布特有の繊維質感が少ないあるいはない
もので伸縮性があつた。 実施例15〜18、比較例8 ポリエステル系ポリウレタン(伸長弾性回復率
100%)50部と低密度ポリエチレン(50%伸長せ
ず)50部からなりポリエチレンが海成分となつた
2成分繊維を溶融紡糸法で作り、2.8倍延伸、捲
縮、切断して、繊度6デニール、繊維長51mmの原
綿(以下繊維C5と称す)を得た。 一方、ナイロン−6(伸長弾性回復率50%未満)
50部と上記低密度ポリエチレン50部からなり、ポ
リエチレンが海成分となつた2成分繊維を溶融紡
糸法で作り、延伸、捲縮、切断して、繊度4デニ
ール、繊維長51mmの原綿(以下繊維D3と称す)
を得た。 次いで繊維C5を40部と繊維D3を60部を混綿し、
カードを通してランダムウエバーでランダムウエ
ブを作り、#40ニードルで両面から交互にニード
ルパンチングし、420パンチ/cm2のパンチ処理し
て、重さ約500g/m2の繊維絡合不織布を作つた。
この繊維絡合不織布を固形分濃度4%のポリウレ
タン水分散液中に浸漬した後、搾液ロールで含液
率80%に搾液した。そして、テフロンコーテイン
グを施したシート上に載置し、実質的に無緊張状
態で温度130℃の熱風乾燥機で乾燥した。乾燥し
た繊維絡合不織布は縦、横方向とも長さで約35%
収縮(面積収縮率約57%)していた。 次いで80℃のパークロルエチレン中に繊維絡合
不織布を浸漬して繊維C5およびD3中のポリエチ
レンを溶解除去し、約80℃の熱風乾燥機で乾燥し
た。得られたポリウレタン含有繊維絡合不織布、
すなわちシート状物はポリウレタンとナトロン−
6の微細デニール繊維の集束状繊維がよく絡合し
た重さ約630g/m2、最終面積収縮率約60%のシ
ート状物であつた。このシート状物の厚さのほぼ
中央付近をバンドマシンナイフでスライスし、2
分割した後、ポリビニルアルコール5%濃度の水
溶液を含浸し、乾燥して続いて行うシート状物の
処理における伸びを抑えた。そしてサンドペーパ
ーでスライス面をバフイングして厚みを均一にし
た後、表面をバフイングして厚み0.6mmの繊維立
毛を有する面にした。得られたシート状物を金属
錯塩染料濃度2%owf.、温度90℃、時間60分で
染色し、乾燥した後、もみ処理、表面をブラツシ
ングしてスエード調人工皮革を得た(実施例15の
試料)。この人工皮革はライテイング効果を有し、
両方向に高い伸縮性を持ち、かつ極めて柔軟性に
富んでおり、しわが生じ難いものであつた。 上記と同一の製造法において、繊維C5と繊維
D3の混綿比率を第5表の如く種々変えてスエー
ド調人工皮革を作つた。得られた人工皮革の特性
を第5表に示した。更に、各実施例の試料および
比較例の試料を30%伸長−回復を10回繰り返した
後、3時間放置して回復率を求めた結果、実施例
15〜18の試料は99〜100%回復したのに対して比
較例8の試料は58%であつた。
〔発明の効果〕
本発明の繊維絡合不織布または該不織布にバイ
ンダー樹脂を含有したシート状物は、構造物の伸
長変形が実質的に生じない伸長範囲が大きく、そ
の範囲内では伸長応力が低く、繰り返し伸縮性が
良好であるため、柔軟で充実感のある風合いを有
している製品が得られる。更に、伸縮性の大きい
人工皮革用の基体が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の繊維絡合不織布を拡大してモ
デル化したものであり、図中、1は弾性ポリマー
からなる繊維、2は非弾性ポリマーからなる繊維
である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 弾性ポリマーと非弾性ポリマーからなる繊維
    Cおよび非弾性ポリマーからなる繊維Dを混綿し
    てウエブを形成し、絡合処理を施して不織布を作
    製し、次いで繊維Cが高収縮であつてかつ繊維D
    が非収縮あるいは低収縮である条件下で不織布の
    面積を10〜80%収縮させた後、繊維Cから非弾性
    ポリマーを除去し、弾性ポリマーからなる変成さ
    れた繊維Aとすることを特徴とする伸縮性に優れ
    た絡合不織布の製造方法。 2 繊維Dが二種以上の非弾性ポリマーからな
    り、少なくとも一種のポリマーを除去して変成さ
    れた繊維Bとする特許請求の範囲第1項記載の製
    造方法。 3 弾性ポリマーと非弾性ポリマーからなる繊維
    Cおよび非弾性ポリマーからなる繊維Dを混綿し
    てウエブを形成し、絡合処理を施して不織布を作
    製し、次いで繊維Cから非弾性ポリマーを除去
    し、弾性ポリマーからなる変成された繊維Aとし
    た後、繊維Aが高収縮であつてかつ繊維Dが非収
    縮あるいは低収縮である条件下で不織布の面積を
    10〜80%収縮させることを特徴とする伸縮性に優
    れた絡合不織布の製造方法。 4 繊維Dが二種以上の非弾性ポリマーからな
    り、少なくとも一種のポリマーを除去して変形さ
    れた繊維Bとする特許請求の範囲第3項記載の製
    造方法。 5 弾性ポリマーと非弾性ポリマーからなる繊維
    Cおよび非弾性ポリマーからなる繊維Dを混綿し
    てウエブを形成し、絡合処理を施して不織布を作
    製し、次いで繊維Cが高収縮であつてかつ繊維D
    が非収縮あるいは低収縮である条件下で不織布の
    面積を10〜80%収縮させると同時に、繊維Cから
    非弾性ポリマーを除去し、弾性ポリマーからなる
    変成された繊維Aとすることを特徴とする伸縮性
    に優れた絡合不織布の製造方法。 6 繊維Dが二種以上の非弾性ポリマーからな
    り、少なくとも一種のポリマーを除去して変成さ
    れた繊維Bとする特許請求の範囲第5項記載の製
    造方法。
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DE8484104018T DE3485397D1 (de) 1983-05-13 1984-04-10 Ineinandergreifendes faservlies mit guter elastizitaet und herstellung desselben.
US06/605,642 US4515854A (en) 1983-05-13 1984-04-30 Entangled fibrous mat having good elasticity and methods for the production thereof

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