JPH0140889B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、予熱しないで使用することができ、
しかも耐用性に優れた真空脱ガス装置用浸漬管に
関するものである。

（従来の技術） RH式またはDH式の真空脱ガス装置において、
溶鋼を真空槽へ吸引−排出する浸漬管は、溶鋼流
の作用を受けて損耗が著しい。そこで浸漬管は、
内張り耐火物の残存が少なくなるとフランジ部か
ら取外し、別に準備した浸漬管と交換している。

従来の浸漬管の一般的な構造は、例えば特開昭
57−110630号、特開昭59−96211号に見られるよ
うに、金属製円筒に対して内周に耐火レンガ積
み、外周に不定形耐火物がそれぞれ設けられてい
る。金属製円筒の内周を耐火レンガ積みにするの
は、浸漬管の内孔は溶鋼の流通で損耗が激しく、
不定形耐火物では材質的に十分対応できないから
である。

（発明が解決しようとする問題点） 浸漬管を使用するにあたり、従来は800〜1000
℃程度の高温で予熱している。予熱をせずに直
接、溶鋼を通すと熱衝撃で内張りした耐火レンガ
にキレツが生じるからである。しかし、この予熱
は浸漬管の交換毎に行わねばならず、真空脱ガス
装置の稼動率低下の原因となつていた。

また、真空脱ガス装置は操業時に内部を減圧さ
れるが、浸漬管は構造上、気密を完全に保つこと
ができず、浸漬管内孔にガスリークによる異常損
耗が生じることがあつた。これは他の工業窯炉で
は見ることのできない現象である。

（問題点を解決するための手段） 本発明は予熱を必要とせず、しかもガスリーク
による異常損耗を防止した浸漬管を提供し、上記
従来の問題点を解決するものである。その要旨
は、金属製円筒に対して内周を耐火レンガ積み、
外周を不定形耐火物で構成した浸漬管において、
前記耐火レンガ積みの内周を不定形耐火物の薄層
で被覆した真空脱ガス装置用浸漬管である。

本発明を図面にもとづいて説明する。

まず第１図において、１はフランジを上端に備
えた金属製円筒であり、浸漬管の骨格的役割をも
つ。金属製円筒１の内周に耐火レンガ積み２を設
ける。この耐火レンガ積み２は、固定のために、
その背面部へ不定形耐火物を介在させておくのが
好ましい。耐火レンガ積み２の目地には、必要に
より耐火モルタル、有機樹脂などを介在する。

耐火レンガ積み２は、金属製円筒１の内周面に
突起させた受金物３で支持する。この支持手段は
特に限定するものではなく、受金物を使用する以
外にも、レンガの背面に形成したテーパー部分を
不定形耐火物で支持するなどの方法でもよい。

耐火レンガ積み２の材質は、従来公知のものを
使用することができ、例えばアルミナ質、アルミ
ナ−クロム質、マグネシア−クロム質、マグネシ
ア−カーボン質、マグネシア−カーボン−炭化珪
素質、スピネル質、マグネシア質、カルシア質、
カルシア−カーボン質、アルミナ−カーボン−炭
化珪素質、マグネシア−ドロマイト質などが挙ら
れる。

金属製円筒１の外周に不定形耐火物４を設け
る。図示していないが、不定形耐火物４を強固に
支持するため、金属製円筒１の外周面にスタツド
を植設するのが好ましい。不定形耐火物４の材質
は、何んら限定するものではなく、例えばシリカ
質、アルミナ質、高アルミナ質、マグネシア質、
アルミナ−マグネシア質、マグネシア−カーボン
質、マグネシア−カーボン−炭化珪素質、アルミ
ナ−クロム質、マグクロ質、マグドロ質、ジルコ
ン質などが挙げられる。なお、これらにはフアイ
バー類、分散剤、酸化防止剤などが必要に応じて
添加されることはいうまでもない。

本発明では、耐火レンガ積み２の内周を不定形
耐火物の薄層５で被覆する。薄層５の具体的な厚
さは特に限定するものではなく、適宜決定すれば
よいが、好ましくは２〜50mmである。２mm未満で
は被覆による効果が不十分であり、逆に50mmを超
えると浸漬管内孔が狭くなつて溶鋼流量に影響す
る。材質は、金属製円筒１の外周に設ける不定形
耐火物４として例示したものを使用することがで
き、何んら限定するものではない。耐火レンガ積
み内周面に対する上記不定形耐火物の被覆は、コ
テ塗り、手塗り、吹付けなどの塗着、鋳込みなど
で行うことができる。

第２図は、他の実施態様を示し、上記構成に加
え耐火レンガ積み２の下面６に不定形耐火物を設
けたものである。不定形耐火物４，５と耐火レン
ガ積み２との接合部が浸漬管の下面に露出する
と、接合部へ溶鋼が侵入して受金物３を溶失させ
るなどにより、浸漬管の寿命を低下させる。この
実施態様では、接続部が不定形耐火物で完全に覆
われ、浸鋼の侵入を防止してこの問題を解決でき
る。また、耐火レンガ積み２の最下段レンガを不
定形耐火物４，５で包持する形となり、レンガ脱
落防止としての効果も大きい。

（作用） 本発明によれば、不定形耐火物の薄層の被覆が
溶鋼熱を緩和し、耐火レンガのキレツ発生を防止
する。これは、不定形耐火物が組織的に断熱性に
優れ、しかもキレツが生じても不定形耐火物層で
留まつて耐火レンガ積みに伝播しないからであ
る。従つて、浸漬管を予熱することなく使用でき
ることが可能となる。

また、浸漬管は耐火レンガ積みの目地部を通し
てガスリークしやすいが、不定形耐火物の薄層を
被覆したことでこれを防止し、仮にガスリークし
ても不定形耐火物でリーク個所が分散され、従来
のようにレンガ目地部に集中しないために局部的
な損耗がない。

（実施例 １） 100tRH真空脱ガス装置用浸漬管の施工におい
て、金属製円筒に対し外周にアルミナ質不定形耐
火物を鋳込み、内側にはマグネシア−クロム質レ
ンガによる上下３分割・周方向20分割の耐火レン
ガ積みを設けた。ついで、耐火レンガ積みの内周
に厚さ20mmのアルミナ質不定形耐火物をコテ塗り
と手塗りの併用で被覆した。

乾燥後、この浸漬管を実際に真空脱ガス装置へ
取り付け、予熱をしないまま使用したが、耐火レ
ンガ積みのキレツは殆んど認められなかつた。ま
た、使用後の観察においてガスリークによる損耗
と思われる痕跡もなかつた。

耐用回数は本実施例115回以上、後述の比較例
100回であつた。

これに対し、耐火レンガ積みの内周に不定形耐
火物の薄層で被覆しない以外を実施例１と同様に
した比較例では、予熱しないと耐火レンガ積みに
著しいキレツが見られた。同比較例の浸漬管を予
熱して使用したものでも、ガスリークが原因と思
われる損耗が一部に認められた。

（実施例 ２） 実施例１の浸漬管に対し、さらに耐火レンガ積
みの下面に厚さ50mmのアルミナ質不定形耐火物を
設けたことにより、この下面の不定形耐火物と、
金属製円筒の外周・耐火レンガ積み内周の不定形
耐火物と一体化させた。

この浸漬管は、実施例１の効果に加え、浸漬管
下面の損耗も少なく、耐用回数は従来の100回前
後に比べ、140回以上であつた。

（実施例 ３） 実施例１の浸漬管において、耐火レンガ積みの
内周に対する不定形耐火物の被覆を鋳込みで行つ
た。薄層の厚さは30mmとした。

鋳込みには金属製中子を浸漬管内に設置し、振
動を付与して充填を図つた。また、この鋳込みの
際に、耐火レンガ積みの下面に厚さ140mmのアル
ミナ質不定形耐火物を鋳込み、金属製円筒の外周
および耐火レンガ積み内周の不定形耐火物と一体
化させた。

この浸漬管は、予熱しなくても使用できると共
に、ガスリークによる損耗も認められなかつた。
耐用回数は150回以上であつた。

なお、本発明で不定形耐火物の薄層による被覆
を塗着、鋳込みのいずれかで行うと、浸漬管の内
径が多少異つていても内径の変化に追随して被覆
させることができ、さらに、浸漬管に内蔵されて
いる不活性ガス管を長くしておけば、不活性ガス
噴出孔が埋もれないなどの点で好ましい。

ここでは示していないが、耐火レンガ積みの内
周に被覆した不定形耐火物の材質、厚さなどを本
発明の範囲内で変化させて行つた実験において
も、上記実施例と同様の効果が得られた。

（効果） 本発明の浸漬管によれば、予熱をする必要がな
く、しかもガスリーク防止などによつて耐用性に
優れていることから、真空脱ガス装置の稼動率お
よび耐火物原単位の向上に大きく貢献することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施態様を示す断面図、第２
図は本発明の他の実施態様を示す断面図である。 １……金属製円筒、２……耐火レンガ積み、３
……受金物、４……不定形耐火物、５……不定形
耐火物の薄層、６……耐火レンガ積みの下面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属製円筒に対して内周を耐火レンガ積み、
   外周を不定形耐火物で構成した浸漬管において、
   前記耐火レンガ積みの内周を不定形耐火物の薄層
   で被覆した真空脱ガス装置用浸漬管。 ２ 耐火レンガ積みの下面に不定形耐火物を設け
   た特許請求の範囲第１項記載の真空脱ガス装置用
   浸漬管。