JPH0139142Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は苗植付機構に連動連結した往復回動軸
に土寄せアームを取付け、該土寄せアームの下降
揺動によつて植付苗の基部に土を掻寄せるように
構成した田植機に関する。

一般的に田植機は、一定ストロークで循環駆動
される植付アーム先端の植付爪によつて苗のせ台
に載置された苗を一株づつ取り出して泥面に植付
ける構造となつているもので、特に苗のせ台が後
方に傾斜しているものに於ける植付爪は、軌跡が
機体の走行速度と合成される結果泥中で泥をやや
前方に掻く傾向になり、このため植付苗の背後の
泥面には必然的に凹部が形成され、苗の植付姿勢
の悪化や成育不良につながつていた。そこでこれ
を改善するため、苗植付装置に前記凹部を埋めも
どすための土寄せアームを装着していた。

ところが、軟質の泥面に苗を植付けた場合、前
述同様に植付苗背後には凹部が形成されるが、軟
質泥は流動性に富んでいるため、苗が植付けられ
ると凹部には直ぐ泥が流入し凹部は平坦化し、前
述のような弊害は生じないため、土寄せアームは
不要になり、又、土寄せアームが軟質泥に下降作
用すると泥のハネが周囲に飛び散つて装置や作業
者の衣服を泥してしまう問題があつたため、従
来、軟質の泥面に苗を植付ける場合には土寄せア
ームを取外していたものである。

これは第７図に示すように、断面形状円形の揺
動部材１２に断面形状円弧状の部材３３をボルト
３４で固定するものであり、この円弧状の部材３
３に左右一対の土寄せアーム８が固設されている
というものであつた。この構造のものは、土寄せ
アーム８の位相角がボルト３４の締めつけによつ
て設定されるものであるため、又、円弧状部材３
３の貫通孔３５の径がボルト３４の径より大に穿
設されているため、位相角を定めるのに手間を要
し、駆動力が前記夫々の部材１２，３３の圧接部
に伝わるため、ボルト３４の僅かな緩みで、駆動
力が確実に伝わらないばかりでなく、位相角も狂
つてしまうものとなつていた。

本考案は上記実情に鑑みて為されたものであつ
て、土寄せアームの取付け、取外しをするにあた
つて、位相角を正確に、又、駆動力が確実に伝わ
るようにし、これらの事があまり手間を要するこ
となく行えるようにする点に目的を有する。

本考案の特徴とするところは前記往復回動軸の
土寄せアーム取付相当箇所に扁平凹部を切欠き形
成し、前記土寄せアームの基部には前記往復回動
軸に側方より外嵌する半割り状ボスを固設すると
ともに、このボスに前記扁平凹入部に係入接当す
る凸部を形成し、この凸部と扁平凹入部との嵌合
部に連結ボルトを挿通締着するよう構成してある
点にあり、その作用効果は次の通りである。

つまり、土寄せアームの基部が、往復回動軸に
係合して連結されることによつて土寄せアームの
前記軸に対する位相が決まり、又、駆動力が係合
部を介して伝わるため、係合が僅かにずれること
があつても、位相角があまり狂うことなく、確実
に土寄せアームが駆動されるものとなつた。

又、土寄せアームの取付け、取外しに際して
は、係合部をはめ込んで行うため、あまり手間を
要することなく短時間に正確な位相に設定するこ
とが出来るものとなつた。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、機体前部にエンジン１、
その後部にエンジン１からの駆動力がベルト伝動
されるミツシヨンケース２を配設し、圃場の深さ
に対応して油圧シリンダ３によつて駆動昇降され
る走行車輪４をミツシヨンケース２からの駆動力
が伝達可能に機体左右に振り分けて配設し、又、
ミツシヨンケース２から後方に向けて左右一対の
伝動ケース５，５を片持ち状に延設し、夫々の伝
動ケース５，５には苗植付機構として植付爪６を
取付けた植付アーム７が駆動されるよう連結さ
れ、更に、この植付アーム７と連係して下降駆動
される左右一対の土寄せアーム８が伝動ケース５
に取付けられている。又、機体後部には揺動アー
ム９によつて機体横方向に一定ストロークで往復
駆動される苗のせ台１０が後傾姿勢に取つけら
れ、又、機体下方には機体全長に略等しい長さの
フロート１１を機体に連結し、機体から後方に向
けて左右一対の操作ハンドル杆を延設して歩行型
の田植機が構成されている。

第２図乃至第４図に示すように、植付アーム７
と連係して駆動される、断面形状円形の往復回動
軸１２には平坦状の凹入部１２ａを切欠き形成す
ると共に、この凹入部の面にはネジ孔１３が穿設
されている。又、左右一対の土寄せアーム８の基
部が溶接固定された半割状のボス１４の中央部に
は凸部１４ａが形成され、前記凹入部１２ａに係
入嵌合させボルト１５を前記ネジ孔１３に螺合さ
せ締付け固定されている。

第４図に示すように、前記回動軸１２が固設さ
れた揺動部材１６の端部にはピン１７が突設さ
れ、このピン１７が押圧することによつて横向き
軸芯Ｐで揺動するアーム１８がスプリン１９で押
圧方向と逆に付勢されて、摺動レール２０に支架
されている。又、同図では苗のせ台１０が機体左
方の移動端に至つた場合、前記アーム１８の揺動
端に作用されるよう機体外方に向けてピン２１が
突設されたリンク機構２２が苗のせ台１０に取付
けられ、このリンク機構２２が、前記アーム１８
の押圧力によつて駆動されると、スターホイル２
３の駆動軸２４に連結されたラチエツト機構２５
を駆動し、スターホイル２３がアーム１８の揺動
角に見合つた角度だけ回動されて載置苗Ｗを縦送
りする構造となつている。

尚、この構造のものは、苗のせ台１０が左右
夫々の移動端に至つた場合に苗Ｗを縦送りするよ
う、機体の左右に２箇所設けられている。又、図
中２６はアーム１８の揺動を規制するストツパー
である。

第５図に示すように、伝動ケース５には操作レ
バー２７及び揺動アーム２８が同軸２９で軸支さ
れ、更に、揺動アーム２８の端部は苗のせ台１０
が上下に移動操作が可能なように、摺動レール２
０を下方から支持するボス部３０に突設した係合
部材３１に係入されている。又、前記ボス部３０
にはピン３２が下方に向けて突設され、このピン
３２は伝動ケース５に穿設された貫通孔５ａに挿
通され、もつて、前記操作レバー２７の操作によ
つて苗のせ台１０を上下移動位置調節して苗取り
量を調節できるよう構成されている。尚、上記構
造は左右夫々の伝動ケース５，５上に配設され、
苗のせ台１０が平行に上下動するよう構成されて
いる。

第６図に示すように、前述した苗の縦送り構造
のものに於て、第５図に基づいて説明したように
苗取り量を調節すると揺動部材１６に突設したピ
ン１７が、前記アーム１８の揺動軸心Ｐに対する
押圧位置が偏位し、苗取り量が大きく調節される
と、苗の縦送り量が大きくなり、苗取り量が小さ
く調節されると苗の縦送り量が小さくなるものと
なつて、非常に都合の良いものとなつている。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の実施例を示し、第
１図は全体側面図、第２図及び第３図は土寄せア
ームの平面図及び断面図、第４図は土寄せアーム
及びスターホイルの駆動系の側面図、第５図は苗
取り量の調節部の側面図、第６図は苗取り量の調
節時の側面図、第７図は土寄せアームの取付けの
従来例の側面図である。 ７……苗植付機構、８……土寄せアーム、１２
……往復回動軸、１２ａ……扁平凹入部、１４…
…半割状ボス、１４ａ……凸部、１５……ボル
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 苗植付機構７に連動連結した往復回動軸１２に
   土寄せアーム８を取付け、該土寄せアーム８の下
   降揺動によつて植付苗の基部に土を掻寄せるよう
   に構成した田植機であつて、前記往復回動軸１２
   の土寄せアーム取付相当箇所に扁平凹部１２ａを
   切欠き形成し、前記土寄せアーム８の基部には前
   記往復回動軸１２に側方より外嵌する半割り状ボ
   ス１４を固設するとともに、このボス１４に前記
   扁平凹入部１２ａに係入接当する凸部１４ａを形
   成し、この凸部１４ａと扁平凹入部１２ａとの嵌
   合部に連結ボルト１５を挿通締着するよう構成し
   てある田植機。