JPH0135578Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は、例えば電子機器等の回転駆動源に用
いられる、減速体内蔵小形電動機に係り、さらに
詳述すれば、リング状に巻装された固定子巻線が
電動機カバーを兼ねる固定子ヨークの円筒部内周
側に固着され、上記固定子ヨーク円筒部は上記固
定子巻線よりも軸方向外方に延長されて固定子磁
極を形成すると共にこの延長部外周部で減速体ケ
ースに連接しており、上記減速体ケースの壁面に
片持状に固定保持される固定軸により回転自在に
支承される永久磁石回転子の外周面が前記固定子
磁極の内周面と空隙を介して対向し、上記回転子
の小軸径部の外周には歯車が切られ、この歯車の
の回転が上記減速体ケース内の複数組の歯車列に
より減速されて最終出力軸を介して外部に取出さ
れる構成を備えた減速体内蔵小形電動機の構造改
良に関するものである。

〔考案の背景〕

従来技術とその問題点を第３図、第４図により
説明する。第３図は従来の減速体内蔵小形電動機
で永久磁石回転子を備えた例の断面図を示し、１
が電動機、７が減速体、７−２が最終出力軸であ
る。３は固定子巻線で、リング状に巻装されてお
り、この固定子巻線３が、電動機カバーを兼ねる
固定子ヨーク２−１の円筒部内周側に固着され、
固定子ヨーク２−１の円筒部は固定子巻線３より
も軸方向外方に延長されて固定子磁極２を形成す
ると共に、この延長部の外周面が減速体ケース７
−１に連接している。５は固定軸で、その一方の
端部の軸固定部５−１において減速体ケース７−
１の壁面に固定保持されており、この固定軸５に
より回転自在に支承される非磁性剛体材料製の回
転子６の外周部に半径方向に磁化された永久磁石
６−１が取付けられ、この永久磁石６−１の外周
面が固定子磁極２の内周面と小空隙を介して対向
するようになつている。なお、２−２は固定子ヨ
ーク２−１の端面中心部に形成される中空孔、２
−３はその孔面である。回転子６の小軸径部の外
周部には歯車が切つてあり、この回転子６と一体
的な歯車の回転が、減速体ケース７−１内部に設
けられている複数組の歯車列（図示省略）により
減速されて最終出力軸７−２を介して外部に取出
される。

固定子巻線３を励磁して固定子ヨーク２−１を
介して固定子磁極２を磁化することによる交番磁
界と、回転子６の永久磁石６−１の直流磁界との
相互作用で回転力を得るが、この両磁界の作用
で、第４図に実線矢印で示すように吸引と反撥の
力が固定子磁極２と永久磁石６−１との間に働
き、この力が破線矢印に示すように、回転子６を
支承する固定軸５に伝わり、その軸端５−２が回
転子６と連動して、もみ摺り状態を呈して振動す
ることになる。

従来構造では、固定軸５と、中空孔２−２の孔
面２−３とは、組立作業の容易性の面からゆるい
嵌合として、固定軸５はいわゆる片持状に固定保
持されており、また、固定軸５自体は回転子６の
内径との摺動摩耗に耐えるべく高硬度に処理され
ている。このため、硬度の高い固定軸５が振動す
ることにより、固定軸５と中空孔２−２の孔面２
−３とが衝撃的に接触し、騒音の原因になると共
に、相対的に軟質の磁性鋼より成る孔面２−３が
摩耗により中空孔２−２の孔径を拡大することに
なる。

このように、従来構造には、振動衝撃による騒
音発生の問題があり、さらに、摩耗による中空孔
径の拡大進行で固定軸の軸端５−２を支承する用
を果さなくなると同時にこの部分の摩耗は磁性材
の粉末を発生させることになり、この磁性粉末が
回転子６の永久磁石６−１に吸引され、永久磁石
６−１に付着し、固定子磁極２と永久磁石６−１
の間の空隙に挾まれる等、回転動作の障害となる
危険を含むという問題があつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、従来構造での上記した問題点
を解決し、騒音の発生源とならず、回転子の振動
に起因する固定軸の振動が固定子ヨーク中空孔の
孔径を拡大させることのない構造を備えた減速体
内蔵小形電動機を提供することにある。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するために、本考案では、片持
状に固定保持されていた固定軸の自由端を弾性材
より成る軸受で支持し、この軸受の外周を固定子
ヨークの端面中心部に形成されている孔面で保持
させる構成とすること、また、この軸受を、その
回転子と対向する方の端面に潤滑剤を含んだ保油
材が装着された軸受とする構成を採用する。

〔考案の実施例〕

第１図により本考案の一実施例を説明する。第
１図は永久磁石回転子を備えた減速体内蔵小形電
動機の断面図を示し、第３図従来例の場合と同一
部品には同一符号を用いている。従来構造で問題
となつた、片持状に固定保持された固定軸５の自
由端の振動を抑制するには、その軸端５−２を固
定支承すればよく、例えば熱可塑性プラスチツク
等の弾性材で作られる軸受４を設け、この軸受４
の内径４−１を固定軸５に密着状に嵌合、挿入
し、軸受４の外周を中空孔２−２の孔面２−３で
保持する構造とすれば、回転子６を介して伝送さ
れる固定軸５の振動は軸受４自体の弾性により吸
収される。

第２図は本考案の他の実施例を示す断面図で、
これは、固定軸の軸端５−２を支承する軸受４を
設け、この軸受４の外周を中空孔の孔面２−３で
保持させることは第１図と同じであるが、第２図
実施例ではこの軸受４の構造として、その回転子
６に対向する方の端面に潤滑剤を含んだ保油材８
を装着された軸受構造とするものであり、この構
造とすることで、固定軸５と回転子６の内周面と
の潤滑機能が補完可能となる効果が加わる。

なお、上記実施例では回転子６の外周部に永久
磁石６−１を付着させるとして説明したが、これ
は回転子６と永久磁石６−１の代りに、一体的な
磁性鋼塊を用いても、交流磁界により磁性鋼塊に
発生するうず電流により電動機動作を行なうもの
であり、この場合も磁性粉末を空隙部や磁性鋼塊
外周面部に吸引することは永久磁石使用の場合と
同じであり、本考案はこのような構成の電動機に
対しても同様の効果を生じる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、回転子を回転自在に支承する
固定軸の一方端は減速体ケースの壁面で固定保持
し、他方端は弾性材製の軸受を介して中空孔の孔
面で固定保持する構成であるので、回転子を振動
源とする固定軸の振動は軸受の弾性により吸収さ
れ、これにより、従来構造で問題となつた騒音の
発生や中空孔の孔面の摩耗に起因する孔径大を防
止することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図はそれぞれ本考案の実施例の断
面図、第３図は従来構造の断面図、第４図は従来
構造の問題点説明用の断面図である。 符号の説明、１……電動機、２……固定子磁
極、２−１……固定子ヨーク、２−２……中空
孔、２−３……孔面、３……固定子巻線、４……
軸受、５……固定軸、６……回転子、６−１……
永久磁石、７……減速体、７−１……減速体、７
−２……最終出力軸、８……保油材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) リング状に巻装された固定子巻線が電動機カ
   バーを兼ねる固定子ヨークの円筒部内周側に固
   着され、上記固定子ヨーク円筒部は上記固定子
   巻線よりも軸方向外方に延長されて固定子磁極
   を形成すると共にこの延長部外周部で減速体ケ
   ースに連接しており、上記減速体ケースの壁面
   に片持状に固定保持される固定軸により回転自
   在に支承される永久磁石回転子の外周面が前記
   固定子磁極の内周面と空隙を介して対向し、上
   記回転子の小軸径部の外周には歯車が切られ、
   この歯車の回転が上記減速体ケース内の複数組
   の歯車列により減速されて最終出力軸を介して
   外部に取出される減速体内蔵小形電動機におい
   て、前記片持状の固定軸の自由端を弾性材料で
   形成される軸受で支持し、この軸受の外周を前
   記固定子ヨークの端面中心部に形成されている
   中空孔の孔面で保持する構成としたことを特徴
   とする減速体内蔵小形電動機。 (2) 前記固定軸の自由端を支持するように設けら
   れる軸受が、前記回転子と対向する方の端面に
   潤滑剤を含んだ保油材が装着されている軸受で
   あることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の減速体内蔵小形電動機。