JPH0135219B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はドラムブレーキの制動間隙調節装置に
関するものである。

［従来の技術］ 例えば実開昭51−85179号公報に開示されるよ
うに、１対のブレーキシユーの間に介装したスト
ラツトに設けられていて、これを伸長させるため
のねじ軸と一体の爪車を、ブレーキ作用時調節レ
バーにより回転させる形式のドラムブレーキの制
動間隙調節装置では、ブレーキドラムが変形する
ほどの過大なブレーキ作用時、ブレーキドラムの
変形分だけ余分に制動間隙が調節され、ブレーキ
シユーがブレーキドラムに接触したままとなり、
ブレーキシユーの引き摺り状態を引き起す。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明の目的は上述の問題に鑑み、過大なブレ
ーキ作用時、調節レバーの調節作用が中断される
ドラムブレーキの制動間隙調節装置を提供するこ
とにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明の構成は一
方のブレーキシユーに支軸により作動レバーと調
節レバーを支持し、一方のブレーキシユーから突
出する作動レバーの一端を液圧シリンダ装置のピ
ストンに係合し、作動レバーの他端と他方のブレ
ーキシユーとの間に伸長可能のストラツトを係止
し、一方のブレーキシユーの端部とピストンの端
部とに所定の間隙を存し、ストラツトの伸長を許
すねじ軸と一体の爪車に調節レバーの端部を噛み
合せ、調節レバーが作動レバーのブレーキ作用方
向の回転運動に追随する方向に、所定のブレーキ
力になると伸びる過調節防止ばねにより、作動レ
バーへ付勢係合されるようにしたものである。

［作用］ 液圧シリンダ装置７により作動レバー２を介
し、これに支軸５により連結された一方のブレー
キシユー２１をブレーキドラムに押し付けると、
この時作動レバー２が支軸５を中心として時計方
向に回動し、過調節防止ばね１６に引かれて調節
レバー１８も同方向に回動する。調節レバー１８
により爪車１９と一体のねじ軸が回転され、スト
ラツト６が伸長される結果、１対のブレーキシユ
ー２１の戻り量が制限され、これにより制動間隙
が適正な値に縮小される。

過大なブレーキ作用時は、過調節ばね１６が伸
びて作動レバー２の回転が調節レバー１８へ伝達
されなくなるので、制動間隙調節作用が中断され
る。これにより、過大な制動間隙調節によるブレ
ーキシユーの引き摺りと損耗が回避される。

［発明の実施例］ 第１図に示すように、ドラムブレーキは裏板２
０と、これに固定支持した液圧シリンダ装置７
と、１対のブレーキシユー２１とからなる。裏板
２０は中央部に設けた穴１１を車軸が貫通するよ
うになつており、穴１１の周縁部をボルトにより
懸架装置の非回転部分に固定される。裏板２０の
上方部分に固定した液圧シリンダ装置７は、１対
のピストン１を嵌装しており、ピストン１の外端
部に設けた割溝へ、左側のブレーキシユー２１の
ウエブ１５の上端部が係合され、右側のブレーキ
シユー２１のウエブ１５の上端部は後述するよう
に接近しているだけである。

裏板２０の下方部分にリベツトなどによりアン
カ部材１２が固定され、この両端部に設けた割溝
へ、１対のブレーキシユー２１のウエブ１５の下
端部が係合される。上述の係合状態は、１対のブ
レーキシユー２１のウエブ１５の間に掛け渡した
上下２個の戻しばね９，１０により維持される。

１対のブレーキシユー２１はほぼ左右対称なも
のであり、円弧状に湾曲された帯板からなるリム
４の外面にライニング３を結合する一方、内面に
三日月状の板からなるウエブ１５を結合してな
る。ウエブ１５の中央部分が公知のばね案内装置
１３により裏板２０へ軽く支持され、リム４の一
側縁が裏板２０に沿つて摺動できる。

右側のブレーキシユー２１のウエブ１５の上端
部に支軸５により作動レバー２が回動可能に支持
され、この上端がピストン１の割溝へ係合され
る。作動レバー２の下端はリム４の内面に衝合さ
れる。左側のウエブ１５と作動レバー２の下端部
との間に、ストラツト６が戻しばね９の力により
係合される。ストラツト６の両端は二股状となつ
ており、左端がウエブ１５に設けた切欠部へ係合
され、右端が作動レバー２に係合される。

第２図に示すように、ストラツト６は実際には
左右２つの分割体６ａ，６ｂからなり、これらは
爪車１９と一体のねじ軸２３により結合される。
ねじ軸２３の右端部２３ａは、分割体６ｂに遊転
可能に支持され、ねじ溝を有する左端部が分割体
６ａのねじ穴に螺合され、爪車１９の回転により
ストラツト６が伸長される。

本発明による制動間隙調節装置は、作動レバー
２の回転運動に追随して、爪車１９を回転するた
めの調節レバー１８を備えている。調節レバー１
８は作動レバー２の上側（紙面について）に重ね
合され、支軸５によりブレーキシユー２１のウエ
ブ１５に回転可能に支持される。調節レバー１８
のストラツト６とほぼ平行に延びる先端部が爪車
１９に噛み合される。

調節レバー１８の基端部に設けた突片１８ａの
先端は紙面に向つて下側へ折り曲げられ、作動レ
バー２に設けた切欠縁部２ａへ付勢衝合される。
このため、突片１８ａと作動レバー２の下端部と
の間に過調節防止ばね１６が掛け渡され、この過
調節防止ばね１６により調節レバー１８が支軸５
を中心として時計方向に回転付勢される。

以上の構成になるドラムブレーキにおいて、液
圧シリンダ装置７の中央の液室へ圧液を供給する
と、１対のピストンによりブレーキシユー２１が
アンカ部材１２に係合する下端部を支点として互
いに外方へ押し拡げられ、図示してないブレーキ
ドラムの内周面に押し付けられて制動力を発生す
る。

ブレーキ作用時、右側のピストン１の力は作動
レバー２の上端に作用し、作動レバー２を支軸５
を中心として時計方向に回転させ、作動レバー２
の下端側でストラツト６を左方へ押し、左側のブ
レーキシユー２１を左側のピストン１と協働して
ブレーキドラムへ押し付ける。

左側のブレーキシユー２１がブレーキドラムに
押し付けられると、作動レバー２はストラツト６
との係合部を支点として回動し、支軸５を介して
右側のブレーキシユー２１をブレーキドラムへ押
し付ける。

ブレーキ作用時、作動レバー２が支軸５を中心
として時計方向に回転されると、過調節防止ばね
１６の力により調節レバー１８も追随して回転
し、爪車１９を矢印Ｘ方向に回転させる。したが
つて、左ねじとなつているねじ軸２３が分割体６
ａのねじ穴から螺出し、結果としてストラツト６
を伸長させ、左右のブレーキシユー２１の上端部
の間隔をその分だけ押し拡げ、制動間隙を縮小す
るように作用する。

ブレーキドラムが変形するほど過大なブレーキ
力が作用した場合は、ねじ軸２３と分割体６ａの
ねじ穴との螺合部の摩擦抵抗が大きくなり、爪車
１９は回転し得なくなる。この時、ピストン１に
より作動レバー２が回動されても、過調節防止ば
ね１６が伸びて調節レバー１８は回転せず、制動
間隙調節作用が中断される。したがつて、制動間
隙が必要以上に縮小されて、ブレーキを解除して
もブレーキシユーのライニングがブレーキドラム
の内周面に接触したままとなることはない。

液圧シリンダ装置７の液圧を解放すると、戻し
ばね９，１０の力により左右１対のブレーキシユ
ー２１が互いに戻される。この時、作動レバー２
は支軸５を中心として反時計方向に回動し、作動
レバー２の下端部がリム４の内面に衝合したとこ
ろで停止する。調節レバー１８も突片１８ａを作
動レバー２の切欠縁部２ａに係合されて反時計方
向に回動され、調節レバー１８の先端が爪車１９
の歯を乗り越えて新しい歯と噛み合う。

しかし、ブレーキ作用前の制動間隙が適正値に
ある場合は、ブレーキ作用と解除の操作に対する
調節レバー１８の回動量は僅かなものであり、爪
車１９の同じ歯と歯の間で遊動するだけで、制動
間隙は縮小されない。

［発明の効果］ 本発明は上述のように、一方のブレーキシユー
に支軸により作動レバーと調節レバーを支持し、
一方のブレーキシユーから突出する作動レバーの
一端を液圧シリンダ装置のピストンに係合し、作
動レバーの他端と他方のブレーキシユーとの間に
伸長可能のストラツトを係止し、一方のブレーキ
シユーの端部とピストンの端部とに所定の間隙を
存し、ストラツトの伸長を許すねじ軸と一体の爪
車に調節レバーの端部を噛み合せ、調節レバーが
作動レバーのブレーキ作用方向の回転運動に追随
する方向に、所定のブレーキ力になると伸びる過
調節防止ばねにより、作動レバーへ付勢係合され
るようにしたから、液圧によるブレーキ作用時作
動レバーに追随して調節レバーが回動すると、爪
車が回転されてストラツトが伸長されるから、ラ
イニングの摩耗につれてブレーキシユー相互の間
隔が押し拡げられ、制動間隙が適正値に維持され
る。

ブレーキドラムが変形するような過大なブレー
キ作用時は、過調節防止ばねが伸びて調節レバー
の回動が妨げられる。したがつて、制動間隙が過
調節されてブレーキシユーがブレーキドラムと引
き摺りを起し損耗することがない。

本発明によるドラムブレーキの制動間隙調節装
置は各構成部材の形状が簡単であり、その加工や
組付けが簡単である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るドラムブレーキの制動間
隙調節装置の正面図、第２図は同装置の要部拡大
断面図である。 １：ピストン、２：作動レバー、２ａ：切欠縁
部、５：支軸、６：ストラツト、７：液圧シリン
ダ装置、９：戻しばね、１２：アンカ部材、１
６：過調節防止ばね、１８：調節レバー、１９：
爪車、２０：裏板、２１：ブレーキシユー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一方のブレーキシユーに支軸により作動レバ
   ーと調節レバーを支持し、一方のブレーキシユー
   から突出する作動レバーの一端を液圧シリンダ装
   置のピストンに係合し、作動レバーの他端と他方
   のブレーキシユーとの間に伸長可能のストラツト
   を係止し、一方のブレーキシユーの端部とピスト
   ンの端部とに所定の間隙を存し、ストラツトの伸
   長を許すねじ軸と一体の爪車に調節レバーの端部
   を噛み合せ、調節レバーが作動レバーのブレーキ
   作用方向の回転運動に追随する方向に、所定のブ
   レーキ力になると伸びる過調節防止ばねにより、
   作動レバーへ付勢係合されることを特徴とするド
   ラムブレーキの制動間隙調節装置。