JPH0135090Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、エンドレスベルトやエンドレスチ
エン等の巻掛け伝動部材の張力を設定された張力
に保持する密封式オートテンシヨナに関するもの
である。

〔従来の技術〕

内燃機関に組み込まれたベルト伝動装置におい
ては、機関運転時の機関本体の熱膨脹によるプー
リの芯間距離の変化やトルク変動等によつてベル
トのテンシヨンが変化するため、普通、第１図に
示すように、エンドレスベルト３１の弛み側にテ
ンシヨンローラ３２を接触し、このローラ３２を
支持する揺動可能なローラアーム３３にオートテ
ンシヨナTAの調整力を付与して、上記ローラ３
２をベルト３１に押し付け、ベルト３１の張力を
一定に保持するようにしている。

上記オートテンシヨナの従来技術として、例え
ば特開昭59−208251号公報に示されたものがあ
る。

上記公報に示されたテンシヨナ（間隙排除ユニ
ツト）は、ハウジングの内側にシリンダをスライ
ド可能に挿入し、そのシリンダの内側にプランジ
ヤを軸方向に位置調整可能に設け、上記プランジ
ヤとシリンダとの間に組込んだスプリングにより
シリンダを押し出して、テンシヨンローラを有す
るローラアームを偏向し、上記スプリングの弾力
をベルトのテンシヨン調整力として使用してい
る。また、シリンダとプランジヤとの間に形成さ
れたプレツシヤチヤンバおよびプランジヤとその
内部に設けた空気袋との間のサプライチヤンバの
それぞれに油を封入し、上記プレツシヤチヤンバ
の圧力上昇時にプレツシヤチヤンバの油をシリン
ダとプランジヤの摺動面間に形成された隙間から
サプライチヤンバに漏洩し、プレツシヤチヤンバ
の圧力低下時にプランジヤに形成され、チエツク
弁によつて開閉される弁孔からサプライチヤンバ
の油をプレツシヤチヤンバに供給して上記油によ
りシリンダに作用する衝撃荷重を緩和させるよう
にしている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上記のテンシヨナにおいては、ハウ
ジングの内側にシリンダを単に組込むと、ハウジ
ングからシリンダが抜け出るおそれがあるため、
シリンダを抜け止めする必要がある。また、プラ
ンジヤを軸方向に位置調整するための機構を必要
とするため、部品点数がきわめて多く、しかもハ
ウジングの内側にシリンダ、そのシリンダの内側
にプランジヤを順次組み込む必要があるため、組
立てに非常に手間がかかるという不都合がある。

そこで、この考案は上記の不都合を解消し、部
品点数の少ない組立ての容易な密封式オートテン
シヨナを提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、この考案は、筒形
ボデイの端部に設けたロツドカバーにロツド挿入
孔を形成し、そのロツド挿入孔にスライド可能に
挿入したロツドのボデイ内部に位置する部分の外
側に伸縮自在のブーツを外装し、そのブーツの一
端をボデイの内周面に固定し、他端をロツドの後
端部に固定し、上記ボデイの内部にピストンをス
ライド可能に組込んでピストンの前後にサプライ
チヤンバとプレツシヤチヤンバとを設け、上記両
チヤンバに流体を封入し、両チヤンバ間には連通
路を形成し、ピストン後部のプレツシヤチヤンバ
には、ピストンロツドの後端に押し付ける調圧ス
プリングを収容し、上記ボデイの内周面に摺接す
るリツプを有するシールを上記ピストンの外周面
に装着した構成としたのである。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第２図に示すように、筒形ボデイ１の一端は閉
鎖し、他端にはロツドカバー２が取付けられ、そ
のロツドカバー２に設けたロツド挿入孔３にロツ
ド４がスライド可能に挿入されている。

上記ロツド４のボデイ１の内部に位置する部分
の外側には、蛇腹筒から成る伸縮自在のブーツ５
が外装され、そのブーツ５の一端の厚肉円筒部６
は、ロツドカバー２と、ボデイ１の内周面に設け
た段部７とで挾持され、また、ブーツ５の他端の
厚肉円筒部６は、ロツド４の後端部に設けた小径
軸部８の外側に嵌合され、その外側に巻き付けた
バンド９によつてロツド４に固定されている。

上記ボデイ１の内側には、ピストン１０がスラ
イド可能に組込まれている。そのピストン１０の
組込みによつて、ピストン前後にサプライチヤン
バ１１とプレツシヤチヤンバ１２とが設けられ、
両チヤンバ１１，１２に流体が封入されている。
流体としては任意のものを用いることができる
が、ここでは油を封入している。

また、ピストン１０の外周面にはシール溝１３
が形成され、そのシール溝１３に嵌着したシール
１４は、ピストン１０後方のプレツシヤチヤンバ
１２に向けて拡がりをもつた円錐形のシールリツ
プ１５を外周部に有し、そのシールリツプ１５の
大径側端部がボデイ１の内周面に密着している。

さらに、ピストン１０の軸芯位置には通路１６
およびオリフイス１７が形成され、上記通路１６
はピストン１０の先端面に形成した凹入状の球面
座１８において開口している。球面座１８に対向
する前記ロツド４の後端面は球面になり、その後
端面に径方向の溝１９が形成され、この溝１９、
通路１６およびオリフイス１７を介してサプライ
チヤンバとプレツシヤチヤンバ１２が連通してい
る。

前記プレツシヤチヤンバ１２には、ピストン１
０の球面座１８をロツド４の後端面に押し付ける
調圧スプリング２０と、プレツシヤチヤンバ１２
の容量を減少させる詰め物２１とが組込まれる。

実施例で示す密封式オートテンシヨナは上記の
構造から成り、このオートテンシヨナは、第１図
に示すように、ブラケツト３４にボデイ１を取付
けてロツド４の先端を揺動可能に支持されたロー
ラアーム３３に当接し、そのロツド４を軸方向に
押圧するスプリング２０の弾力によつてローラア
ーム３３に支持されたテンシヨンローラ３２をベ
ルト３１の弛み側に押し付け、上記スプリング２
０の弾力をテンシヨン調整力としてベルト３１を
緊張させる。

なお、ブラケツト３４に対するボデイ１の取付
けは、上記ボデイ１の外周面にねじ２２を形成
し、そのねじ２２をブラケツト３４に設けたねじ
孔３５にねじ係合してボデイ１を軸方向に位置調
整し得るようにしてある。

第１図に示す使用状態において、トルク変動や
温度変化によるプーリ芯間距離の変化により、ベ
ルト３１に弛みが生じると、調圧スプリング２０
の弾力によりピストン１０がサプライチヤンバ１
１の方向に移動してロツド４を押し出し、テンシ
ヨンローラ３２をベルト３１に押し付け、ベルト
３１の張力を一定に保持する。この場合、サプラ
イチヤンバ１１の油の圧力がプレツシヤチヤンバ
１２の油の圧力より高くなるため、シールリツプ
１５は縮径し、サプライチヤンバ１１の油はシー
ルリツプ１５とボデイ１内周面間に形成された間
隙からプレツシヤチヤンバ１２にすみやかに漏洩
する。

また、温度上昇に伴なつてプーリの芯間距離が
大きくなり、ベルト３１の張力が設定値より大き
くなると、ロツド４はボデイ１の内部に向けて移
動してピストン１０を後退動させる。このため、
調圧スプリング２０は収縮し、これによつてベル
ト３１の弛み側の張力が緩和される。このとき、
プレツシヤチヤンバ１２の油の圧力は、サプライ
チヤンバ１１の油の圧力より高くなるため、シー
ルリツプ１５は拡径してボデイ１の内周面に密着
し、その間をシールし、プレツシヤチヤンバ１２
の油はオリフイス１７、通路１６および溝１９に
流れてサプライチヤンバ１１に僅かづつ漏洩す
る。この油の微量な漏洩によつて、ベルト３１に
作用する衝撃的な荷重を緩和することができる。

第３図は、この考案に係るオートテンシヨナの
他の実施例を示し、この実施例は、ピストン１０
に装着したシール１４のシールリツプ１５の向き
を第２図の場合に対して逆向きとし、上記ピスト
ン１０の軸芯にサプライチヤンバ１１とプレツシ
ヤチヤンバ１２を連通させる通路２３を設け、プ
レツシヤチヤンバ１２には上記通路２３を開閉す
るチエツクバルブ２４を形成し、そのチエツクバ
ルブ２４の開放によつてサプライチヤンバ１１の
油をプレツシヤチヤンバ１２に漏洩し、ピストン
１０に装着したシール１４のシールリツプ１５の
変形によつてプレツシヤチヤンバ１２の油をサプ
ライチヤンバ１１に漏洩させるようにしている。

〔効果〕

以上のように、この考案は、ボデイのロツドカ
バーに形成したロツド挿入孔にロツドを挿入し、
そのロツドに外装した伸縮自在のブーツの一端を
ボデイの内周面に固定し、他端をロツドに固定
し、ボデイの内部にピストンをスライド可能に設
け、そのピストンの背部に形成されたプレツシヤ
チヤンバに調圧スプリングを組込んだ部品点数の
少ない構成であり、しかもボデイの端部からボデ
イの内部に各部品を順次挿入することによつて組
立てし得るため、組立てがきわめて容易である。

また、ピストンに設けた連通路、およびピスト
ンのまわりに装着したシールのリツプの変形によ
つて油の漏洩を行なわせるようにしたので、油の
漏洩がスムーズである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係る密封式オートテンシ
ヨナの使用状態を示す概略図、第２図は同上テン
シヨナの一実施例を示す縦断正面図、第３図は同
上の他の実施例を縦断正面図である。 １……ボデイ、２……ロツドカバー、３……ロ
ツド挿入孔、５……ブーツ、１０……ピストン、
１１……サプライチヤンバ、１２……プレツシヤ
チヤンバ、２０……調圧スプリング、２１……詰
め物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒形ボデイの端部に設けたロツドカバーにロツ
   ド挿入孔を形成し、そのロツド挿入孔にスライド
   可能に挿入したロツドのボデイ内部に位置する部
   分の外側に伸縮自在のブーツを外装し、そのブー
   ツの一端をボデイの内周面に固定し、他端をロツ
   ドの後端部に固定し、上記ボデイの内部にピスト
   ンをスライド可能に組み込んで、ピストンの前後
   に密封されたサプライチヤンバとプレツシヤチヤ
   ンバとを設け、上記両チヤンバに流体を封入し、
   両チヤンバ間には連通路を形成し、ピストン後部
   のプレツシヤチヤンバには、ピストンをロツドの
   後端に押し付ける調圧スプリングを収容し、上記
   ボデイの内周面に摺接するリツプを有するシール
   を上記ピストンの外周面に装着した密封式オート
   テンシヨナ。