JPH0133214Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、線材、棒鋼圧延設備の圧延機等にお
いて用いられる偏心カートリツジ型式の圧下装置
において、ロールハウジングに対する偏心カート
リツジの分解、組立操作を迅速、容易化したもの
に関する。

線材、棒鋼圧延設備の片持式圧延機等におい
て、上下あるいは左右に対向配置する一対の圧延
ロール間隙を、各圧延ロールに付属する偏心カー
トリツジの回動変位によつて可変とする圧下装置
は周知である。即ちロールハウジングに可回動か
つ片持状に支持される一対の圧延ロールの、前記
ハウジング内に位置する各ロール軸を囲んで、ロ
ール軸心と偏心した中心を持つ管軸状の偏心カー
トリツジを外嵌させ、このさい各偏心カートリツ
ジは何れもロールハウジングに挿脱自在に着装さ
れ、両偏心ロールの回動変位によつて、両圧延ロ
ールの間隙を大小可変とするものである。この偏
心カートリツジの所要角の回動を行なうに当り、
既知のように従来は、レバー、リンク機構を介し
てネジを回転させることによりカートリツジを回
動させているのであるが、このため例えば偏心カ
ートリツジ内のメタル軸受交換時のように、ロー
ルハウジングから偏心カートリツジを抜き取る必
要のある場合、前記したネジを予じめ抜き取つて
から、カートリツジをロールハウジングから引き
出す等、偏心カートリツジのロールハウジングに
対する分解、組立には長時間が掛つて、操作も煩
雑である。また回転手段としてネジ、ピン、リン
ク等を使用しているので、偏心カートリツジ側に
ガタ付きが生じ易く、製品精度に悪影響を生じる
等の問題点がある。

本考案は、上記のような偏心カートリツジ型式
の圧下装置における問題点を解決し、一対の偏心
カートリツジの回動によつて一対の圧延ロール間
隙を可変とするに当り、偏心カートリツジの所要
角回動手段としてウオームホイールとウオームギ
ヤによる回動手段を用いるとともに、前記ウオー
ムギヤを偏心軸を介してウオームホイールに対し
接離自在に噛合させることによつて、噛合による
カートリツジの組立回動、また離脱によるカート
リツジの挿脱を可能としたものであり、従つてそ
の特徴とする処は、一対の圧延ロール間隙を両ロ
ールに連結されるとともにそれぞれロール軸心と
偏心しかつロールハウジングに挿脱自在に着装さ
れる一対の偏心カートリツジの回転を介して可変
とする圧下装置において、前記両偏心カートリツ
ジの各外周面に設けたウオームホイールに、回動
手段を具備した中空ウオーム軸に形成した各ウオ
ームを、該ウオーム軸に可回動に挿設しかつウオ
ーム軸心と偏心した作動軸を介し接離自在に噛合
させた点にある。

以下図示の実施例に基いて本考案を詳述する
と、第１図および第２図において、図例では一対
の圧延ロールが水平で上下に対設されたものを示
しているが（圧延ロールが垂直で左右に対設され
たものでも同様である）、一対の圧延ロール３２，
３２は、ロールハウジング３の一側に突出され、
両ロール３２，３２のロール軸３２ａ，３２ａは
何れもハウジング３側に可回動に軸架支持される
片持型式のものであり、また既知のようにロール
軸３２ａは圧延ロール３２を支持する側と、駆動
ギヤ３３を有する側とは分解組立自在に接合され
る分割軸型式のものである。圧延ロール３２，３
２を支持する側のロール軸３２ａ，３２ａの外周
には一対の偏心カートリツジ１，１が、既知のた
めその構造の詳細図示は省略するが、圧延ロール
３２，３２の位置するロールハウジング３側から
挿脱自在に挿入されてロール軸３２ａ，３２ａを
囲んで外嵌されるとともに、両カートリツジ１，
１の各回動によつて圧延ロール３２，３２が同行
回転され、第１図示のように圧延ロール軸中心Ｏ
に対し、管軸状の偏心カートリツジ中心O₁が偏
心量ロで示されるように偏心していることによ
り、一対の圧延ロール３２，３２の間隙を可変と
するのであり、また一対の圧延ロール３２，３２
のロール軸３２ａ，３２ａの回転を介する圧延稼
動時には、偏心カートリツジ１，１は何れも別設
の固定手段によつて非回動に固持されるように着
装されるものである。

本考案では、上記のような一対の偏心カートリ
ツジ１，１の、圧延ロール３２，３２の間隙可変
（圧下量可変）のための回動手段として、第１図
に例示するように、偏心カートリツジ１，１の円
筒状をなす外周面の相対応する一部に、同じく円
筒状のウオームホイール１ａ，１ｂを一体に形成
するのであり、図例では偏心カートリツジの外径
とウオームホイールの外径とを略等しい状態のも
のを示しているが、これは偏心カートリツジ１，
１の外径を可及的大きくすることにより、内蔵す
るロール軸３２ａをも大径のものとすることによ
り、軸撓みを小さくしてミル剛性を向上させるた
めでもある。

この両偏心カートリツジ１，１におけるウオー
ムホイール１ａ，１ｂを駆動して、同期回動を行
なわせるために、本考案では第１図に示すような
中空ウオーム軸２を用いる。即ち中空ウオーム軸
２の外周面上に前記両ウオームホイール１ａ，１
ｂとそれぞれ噛合するウオーム２ａ，２ｂを形成
するのであり、このため中空ウオーム軸２は偏心
カートリツジ１，１の一側に両カートリツジ１，
１と直交状に配置されるのであり、中空ウオーム
軸２の中空部には、ウオーム軸２の中心O₂と偏
心した中心O₃を持つ作動軸４を軸受２７、ニー
ドルスラストラジアル軸受５を介して可回動に貫
挿し、更に作動軸４の上部はロールハウジング３
の上部側に設けた軸支部に軸受２６を介して可回
動に支持させるとともに、頭部４ａをロールハウ
ジング３の上面にリング１８ピン１９およびカバ
ー２０を介して突出させ、作動軸４の下部はロー
ルハウジング３の下部に設けた軸支部内に、ニー
ドルラジアルスラスト軸受６を介して可回動に支
持させることによつて、中空ウオーム軸２を保持
するのである。尚イは中空ウオーム軸中心O₂と
作動軸中心O₃との偏心量を示し、またハは偏心
カートリツジ１，１の各中心間距離を示してい
る。

前記中空ウオーム軸２の回転手段として、本考
案では第１図、第２図及び第４図に例示するよう
に、中空ウオーム軸２の上部にギヤ９を設け、同
ギヤ９と噛合するアイドルギヤ１０、同ギヤ１０
と噛合するアイドルギヤ１１を順次配設する。こ
のさいアイドルギヤ１１の軸受２５を介する軸２
４はロールハウジング３に支持されるとともに、
同軸２４に枢支されたレバー２２と、前記ギヤ９
にプツシユ１７を介して付設されたレバー１６と
の両者に、アイドルギヤ１０の軸２３が支持され
る。これは後述するように中空ウオーム軸２が偏
心作動軸４を介して回動変位した場合において
も、ギヤ９，１０，１１の連動関係が絶たれない
ためのものである。前記アイドルギヤ１１には自
動操作手段としての油圧モータ１５の駆動軸１５
ａ上に軸受２８を介してギヤ１２が可回動に支持
され、同ギヤ１２には手動操作手段としてのピニ
オン軸１３または圧下軸２１によつて駆動される
ピニオン１３ａが噛合されるのであり、また油圧
モータ１５の駆動軸１５ａ上には減速装置１４が
付設され、油圧モータ１５駆動時には同減速装置
１４を介してギヤ１２が駆動されるようにしたも
のである。即ち、減速装置１４は駆動軸１５ａに
連結されるウエーブジエネレータ１４ａと弾性歯
車１４ｂ及び内歯車１４ｃとからなる所謂Ｓ−Ｃ
−Ｐ形遊星歯車機構が構成されており、ウエーブ
ジエネレータ１４ａは楕円状のカムとその外周に
はめたボールベアリングにより構成され、該ベア
リングの内輪はカムに固定され、外輪はボールを
介して弾性変形される。また弾性歯車１４ｂは薄
肉の金属弾性体で、ウエーブジエネレータ１４ａ
に外嵌状に装着され、その外周には内歯車１４ｃ
と噛合する歯が形成されており、内歯車１４ｃの
歯数よりも若干少ない歯数とされている。また内
歯車１４ｃはギヤ１２上面に固定されている。
尚、油圧モータ１５はロールハウジング３側に固
定保持されている。そして油圧モータ１５の駆動
軸１５ａが回転すれば、ウエーブジエネレータ１
４ａによつて弾性歯車１４ｂを押しつけた部分で
内歯車１４ｃとの噛合いが行われ、ここに弾性歯
車１４ｂと内歯車１４ｃとの歯数差によつて内歯
車１４ｃ、即ちギヤ１２が相対的に回転される。
またピニオン軸１３または圧下軸２１の何れかに
よつてピニオン１３ａを駆動させるようにしたの
は、垂直圧延機および水平圧延機の何れにも共用
できるように、上下より操作可能としたものであ
る。

従つて上記の回動手段によれば、手動操作の場
合はピニオン軸１３または圧下軸２１を、正逆何
れかに回動することにより、ピニオン１３ａ、ギ
ヤ１２，１１，１０を介しギヤ９が連動され、中
空ウオーム軸２を正逆何れかに回動させることに
より、図例の場合、中空ウオーム軸２が回動し
て、その左右両ねじれ角を有するウオーム２ａ，
２ｂによつて、ウオームホイール１ａ，１ｂを所
要角回転し、圧延ロール３２，３２の間隙を大小
可変として、その圧下量の調定が容易に得られ、
また自動操作の場合には油圧モータ１５の正逆起
動により、減速装置１４よりギヤ１２，１１，１
０を介して同じくギヤ９を正逆回転させ、同様に
中空ウオーム軸２、ウオーム２ａ，２ｂ、ウオー
ムホイール１ａ，１ｂを介し、偏心カートリツジ
１，１を回転させ、同じく間隙、圧下量の設定が
自在に得られることになる。このさい油圧モータ
１５は遠隔作動が可能であり、また圧下力は圧延
ロール中心Ｏとカートリツジ中心O₁の偏心量ロ
の回転モーメントとなるため、ウオーム２ａ，２
ｂが圧縮側になるように配置するものである。以
上は本考案による一対の偏心カートリツジ１，１
の回動変位による一対の圧延ロール３２，３２の
間隙設定内容であるが、偏心カートリツジ１，１
をロールハウジング３外に抜き取る場合には、中
空ウオーム軸２内に可回動に嵌挿した偏心した作
動軸４を、ロールハウジング３の外部から作動軸
４の頭部４ａをハンドル等を介して180度回転さ
せることにより、中空ウオーム軸２の回動と共に
その各ウオーム２ａ，２ｂは中心O₂とO₃との偏
心量イの２倍だけ離れることとなつて、ウオーム
ホイール１ａ，１ｂとの噛合を解除することにな
る。このさいアイドルギヤ１０は先に述べたよう
に２つのレバー１６，２２により揺動自在に支持
されているので、前記のようにウオーム２ａ，２
ｂが移動しても、ギヤ系列９〜１２間の連動関係
が断絶することはない。従つて前述のようにウオ
ームホイール１ａ，１ｂをフリーの状態とするこ
とにより、偏心カートリツジ１，１のロールハウ
ジング３よりの抜取りはきわめて迅速、容易化で
きるとともに、分解補修の終つた偏心カートリツ
ジ１，１を再びロールハウジング３内に挿入して
組込むに当り、ウオーム２ａ，２ｂ側が回転して
も、ピニオン軸１３または圧下軸２１の何れかを
回動させれば、ロールハウジング３の外部から簡
単にギヤ系列１３ａ〜９を介して操作できるの
で、偏心カートリツジ１，１を挿入した後、中空
ウオーム軸２を作動軸４により寄せてウオーム２
ａ，２ｂとウオームホイール１ａ，１ｂを噛合さ
せる時、歯先が干渉してもこれを容易にずらせて
適正に噛合させることはきわめて容易である。尚
上記偏心カートリツジ１，１のロールハウジング
３よりの分解、組立は、偏心カートリツジ１，１
の最大開口時に行なうものとする。またこのさい
第３図ａおよび第８図ｂに例示するように、最大
開口距離Ｌの位置において、予じめロールハウジ
ング３側にガイド３０，３０を設けて置き、偏心
カートリツジ１，１にガイド部３１，３１を設け
ることにより、上下の両偏心カートリツジ１，１
の位相を合せるようにしてもよく、Ａはカートリ
ツジの挿入ストロークを示している。尚第１図に
おいて、中空ウオーム軸２は分割軸構造を採用し
たものを例示し、７はキー、８は締結ボルトを示
している。

本考案によれば、作動軸４を回動させることに
より、中空ウオーム軸２を一対の偏心カートリツ
ジ１，１より接離させ、ウオーム２ａ，２ｂとウ
オームホイール１ａ，１ｂの噛合並びにその解放
を行ない、これによつて偏心カートリツジ１，１
のロールハウジング３よりの抜取りおよび組込み
が、きわめて迅速容易に行なえ、従来の長時間を
要する分解、組立作業を簡単化できる点において
著しく有利である。このさい中空ウオーム軸２は
それ自身の回動手段を、作動軸４と分離して具備
していることにより、組込時におけるウオームホ
イール１ａ，１ｂ、ウオーム２ａ，２ｂ間におけ
る歯相互の干渉も容易に回避できるのである。ま
た圧下手段としてウオームを用いるため、その圧
下トルクも小さいとともに、圧延圧力による回転
力はウオーム軸２側で受けるため、従来のリン
ク、レバー機構によるものよりも、ガタ付きが少
なく、製品精度の向上も期せられるのであり、ま
た偏心カートリツジ１，１の外径を従来よりも大
きくでき、カートリツジ１，１に内蔵される圧延
ロール軸径もこれに応じてより太くでき、ミル剛
性の向上も期せられる等の効果も生じるのであ
り、偏心カートリツジ型式の圧延機における圧下
装置として優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置実施例における要部縦断側
面図、第２図は同全体の平面図、第３図ａ、３図
ｂは同ガイド要部の説明図、第４図はギヤ噛合状
態を示す第２図Ａ−Ａ線展開説明図である。 １……偏心カートリツジ、１ａ，１ｂ……ウオ
ームホイール、２……中空ウオーム軸、２ａ，２
ｂ……ウオーム、３……ロールハウジング、４…
…作動軸、９，１０，１１，１２……ギヤ、１３
……ピニオン軸、１３ａ……ピニオンギヤ、２１
……圧下軸、３２……圧延ロール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一対の圧延ロール間隙を、両ロールに連結され
   るとともにそれぞれロール軸心と偏心しかつロー
   ルハウジングに挿脱自在に着装される一対の偏心
   カートリツジの回転を介して可変とする圧下装置
   において、前記両偏心カートリツジの各外周面に
   設けたウオームホイールに、回動手段を具備した
   中空ウオーム軸に形成した各ウオームを、該ウオ
   ーム軸に可回動に挿設しかつウオーム軸心と偏心
   した作動軸を介し接離自在に噛合させたことを特
   徴とする圧延機の圧下装置。