JPH0132527Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンバインの保安用取手に係るもの
である。

一般に、機体フレームの前部に設けた前処理部
の後方に運転操作部を設けたコンバインには、運
転席に座した運転者が把持できる保安用の取手を
運転操作部の外側に設けてたものがあるが、従来
この種の保安用取手は、側方に突出した把持部を
有する取手の基端部を、操作パネルボツクスに直
接ボルト止めしている。ところが保安用取手は、
機体走行時に運転者が安定した姿勢を保つために
把持するだけでなく、機体に乗降する際に把持し
たり、コンバインが軟弱地盤にはまつてしまつた
ときに、取手を把持して機体を押し上げたりする
ので、保安用取手に大きな力がかかることがあ
る。このため、操作パネルボツクス側板に直接ボ
ルト止めして局部的に補強しただけのものでは強
度が不足して、側板が変形する惧れがあり、側板
の剛性を上げるためには、パネルボツクス全体の
板厚を厚くする必要がある等の不都合があつた。

本考案は上記の如き実状に鑑み創案されたもの
であつて、殊に、運転操作部のパネルボツクス側
板間にサイドクラツチレバーを軸支する取付座を
架設し、機体の幅員方向に屈曲して上記パネルボ
ツクス側板を遊嵌状に貫通させた保安用取手に、
上記取付座のサイドクラツチレバーを軸支する支
軸を兼用せしめると共に、上記保安用取手をパネ
ルボツクス側板に固定する緊締具を設けることに
より、保安用取手にかかる力がパネルボツクス全
体に分散するようにしてパネルボツクス全体の板
厚を厚くすることなく側板の剛性を向上させて、
保安用取手に大きな力が加わつてもパネルボツク
ス側板が変形するようなことがない保安用取手を
提供することを目的としたものである。

本考案の構成を図面に示された実施例について
説明すれば、１はコンバインであつて、２はクロ
ーラ走行部３、エンジン４を装備した機体フレー
ム、５は機体フレーム２の前方に設けられた前処
理部、６は機体フレーム２の後部に搭載された脱
穀機である。そして前処理部５の後方には運転操
作部７、運転席８が設けられている。

９は運転操作部７を形成する操作パネルボツク
スであつて、ステツプ１０上に固定されており、
該パネルボツクス９の側板１１，１１間には、左
右のサイドクラツチレバー１２，１３を回動自在
に軸支する取付座１４が架設されている。１５，
１６は上記取付座１４に固設された支軸ブラケツ
トであつて、該支軸ブラケツト１５，１６の側壁
１５ａ，１５ａ，１６ａ，１６ａ間には、サイド
クラツチレバー１２，１３の下端部に溶着したボ
ス１７，１８が挾持された状態で挿入されてい
る。

１９は運転操作部７の外側に設けた保安用取手
であつて、該保安用取手１９の先端側は側方に突
出して把持部２０が形成されており、その基端側
は機体の幅員方向に屈曲形成され、上記パネルボ
ツクス９の側板１１を遊嵌状に貫通している。そ
してパネルボツクス９内に延設された保安用取手
１９は上記支軸ブラケツト１５，１６と、ボス１
７，１８を挿通して、サイドクラツチレバー１
２，１３を回動自在に軸支する支軸２１を形成し
ている。

２２は、上記保安用取手１９を側板１１に固定
する緊締具であつて、保安用取手１９の基端側
に、側板１１の外側に位置してプレート２３が固
着されており、該プレート２３の先端に挿通した
取付ボルト２４を側板１１に穿設した取付孔２５
に締付固定している。そして上記取付孔２５は、
側板１１を貫通した保安用取手１９と同芯円弧上
に複数個設けられており、上記取付ボルト２４の
締付位置を変更して任意の取付孔２５に選択固定
することにより、上記保安用取手１９を前後方向
に回動させて取付位置を調節できるようになつて
いる。

第４図第５図は他の実施例であつて、運転操作
部２６の両側に保安用取手２７，２８を設け、側
板２９，２９を貫通した保安用取手２７，２８の
基端側を、左右のサイドクラツチレバー３０，３
１を各別に軸支する支軸３２，３３に形成したも
のである。

また第６図、第７図に示す他の実施例には、緊
締具３４の取付孔３５を円弧状の長孔に形成し、
側板３６の内面から上記取付孔３５を挿通したボ
ルト３７に、手動操作可能な大形袋ナツト３８を
螺着することにより、保安用取手３９を円弧状の
取付孔３５の範囲内で自由に回動させて取付位置
を簡単に調節することができる。

次に上記の如く構成された本考案の作用につい
て説明すれば、コンバイン１はサイドクラツチレ
バー１２，１３を操作して適宜機体を回向させな
がら刈取脱穀作業を行うが、直進中等のサイドク
ラツチレバー１２，１３を操作する必要が無いと
きには、運転者は保安用取手１９を把持して手を
休めることができ、機体が動揺しても保安用取手
１９に支持されてバランスを失うようなことはな
い。そしてコンバイン１が軟弱な地盤にはまつた
ときなど、作業者が圃場に降り、保安用取手１９
を把持して機体を押し上げたりして保安用取手１
９に大きな力が加わつても、側板１１，１１間に
はサイドクラツチレバー１２，１３を軸支する取
付座１４が架設され、しかも保安用取手１９が取
付座１４の支軸を兼用しているので、パネルボツ
クス９が補強されるうえ、保安用取手１９に加わ
つた力はパネルボツクス９全体に分散されて、側
板１１が無理な力により変形するようなことはな
い。また保安用取手１９の取付位置が運転者に適
切でない場合には、取付ボルト２４を固定する取
付孔２５を、複数個設けられた別の取付孔に変更
して保安用取手１９を適切な位置に前後方向調節
することができる。

また第４図第５図に示したものでは、機体の直
進時等に、両手で保安用取手２７，２８を把持し
た楽な姿勢で運転操作をすることができて便利で
あり、第６図第７図に示したものでは、別にスパ
ナ等の工具を使用することなく保安用取手３９を
手動で簡単に固定することができ、しかも微かな
量でも自由に調節することができる。

これを要するに本考案は、前処理部の後方に運
転操作部を設け、該運転操作部の外側に保安用取
手を設けたコンバインにおいて、上記運転操作部
のパネルボツクス側板間に、サイドクラツチレバ
ーを軸支する取付座を架設し、機体の幅員方向に
屈曲して上記パネルボツクス側板を遊嵌状に貫通
させた保安用取手に、上記取付座のサイドクラツ
チレバーを軸支する支軸を兼用せしめると共に、
上記保安用取手をパネルボツクス側板に固定する
緊締具を設けたから、パネルボツクスを側板間に
架設した取付座で補強できるうえ、取付座の支軸
を兼用した保安用取手に加わる力は、パネルボツ
クス全体に分散されるので、保安用取手に大きな
力が加わつても、無理な力により側板が変形する
ようなことがない等、極めて有用な実用的効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るコンバインの保安用取手の
実施例を示すものであつて、第１図はコンバイン
の全体側面図、第２図は操作パネルの縦断正面
図、第３図は同上側面図、第４図は他の実施例を
示す縦断正面図、第５図は同上側面図、第６図は
さらに他の実施例を示す縦断正面図、第７図は同
上側面図である。 図中、１はコンバイン、５は前処理部、７は運
転操作部、９はパネルボツクス、１１は側板、１
２，１３はサイドクラツチレバー、１４は取付
座、１９は保安用取手、２１は支軸、２２は緊締
具である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前処理部の後方に運転操作部を設け、該運転操
   作部の外側に保安用取手を設けたコンバインにお
   いて、上記運転操作部のパネルボツクス側板間
   に、サイドクラツチレバーを軸支する取付座を架
   設し、機体の幅員方向に屈曲して上記パネルボツ
   クス側板を遊嵌状に貫通させた保安用取手に、上
   記取付座のサイドクラツチレバーを軸支する支軸
   を兼用せしめると共に、上記保安用取手をパネル
   ボツクス側板に固定する緊締具を設けたことを特
   徴とするコンバインの保安用取手。