JPH0132305B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上利用分野） 本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金
の熱処理用加熱炉において、高温域の加熱炉の排
ガスで加熱した空気を他の低温域の加熱炉の昇温
に利用する加熱炉における排ガスの相互利用方法
に関するものである。

（従来技術とその問題点） 従来のこの種の加熱炉は、第３図に示すように
単独の燃焼式バツチ炉に形成されてあり、各加熱
炉ａで生成される排ガスは当該加熱炉ａの排ガス
吐出管ｂを通じて熱交換器ｃに供給され、該熱交
換器ｃによつて送風機ｄからの空気を加熱してこ
の加熱空気をバーナｅの燃焼用空気に使用してい
る。

しかしながら、このような構造によれば、加熱
炉ａの排ガスは、当該加熱炉ａの燃焼用空気の予
熱にのみ利用されるだけで、材料の予熱に直接利
用することができないものである。

又、アルミニウム合金の品質上の問題として、
低温域加熱においては燃焼生成ガスとの接触によ
る結露が発生し、アルミニウム合金材料の表面腐
食や高温酸化より品質を損なうことは周知の通り
であり、この対策として加熱炉ａの燃焼室ｆ内に
熱輻射管ｇを配設し、該熱輻射管ｇによる間接加
熱で燃焼ガスが材料に直接接触しない方法を採用
している。

しかしながら、この方法では、設備費や運転維
持費に多大な費用を要するという問題点がある。
本発明はこのような問題点を解消し、加熱炉相互
の排ガスを利用して空気加熱し、アルミニウム合
金材料の結露による表面腐蝕や高温酸化による品
質の低下を防止すると共に省エネルギーを図るこ
とを目的とした加熱炉における排ガスの相互利用
方法を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本発明の加熱炉に
おける排ガスの相互利用方法は、バツチタイプ燃
焼式加熱炉を複数基配設してアルミニウム又はア
ルミニウム合金を加熱処理する方法において、熱
処理するサイクルを一定時間宛ずらして夫々運転
を行い、バーナが最大燃焼中である最も高温域で
稼動中の加熱炉の排ガスを熱交換器を介して加熱
された高温空気を他の最も低温域にあたる加熱炉
に導入して燃焼生成ガスの露点温度以上まで処理
材の初期加熱に利用し、その後自己のバーナによ
り高温域にまで加熱され、その排ガスを他の低温
域にある加熱炉の昇温に前記と同様に利用するこ
とを特徴とするものである。

（作用） 複数基の加熱炉の熱処理サイクルを一定時間宛
ずらして夫々運転を行い、バーナが最大燃焼中で
ある高温域の加熱炉からの排ガスを低温域にある
加熱炉に熱交換器を介して加熱された高温空気を
導入して低温域にある加熱炉を燃焼生成ガスの露
点温度にまで昇温させるものであり、この温度に
まで加熱された炉は、その後、自己のバーナによ
り高温域にまで加熱され、その排ガスを他の低温
域にある加熱炉の昇温に前述同様にして利用する
ものである。

（実施例） 本発明の実施例を図面について説明すると、１
ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄはアルミニウム又はアルミ
ニウム合金の熱処理用加熱炉で、材料加熱室１１
と、この材料加熱室１１内に連通する循環送風器
２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄを夫々配設した燃焼室３
ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄとを有し、各燃焼室３ａ〜
３ｄに排ガス吐出管４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄを
夫々連結、連通してある。

さらに、これらの排ガス吐出管４ａ〜４ｄには
熱交換器５ａ，５ｂ，５ｃ，５ｄを配設してあ
り、各熱交換器５ａ〜５ｄに送風機６ａ，６ｂ，
６ｃ，６ｄからの配管７ａ，７ｂ，７ｃ，７ｄを
設けてこれらの配管７ａ〜７ｄに切替弁８ａ，８
ｂ，８ｃ，８ｄを介して熱風供給管９ａ，９ｂ，
９ｃ，９ｄと夫々の燃焼室３ａ〜３ｄを加熱する
バーナ１０ａ，１０ｂ，１０ｃ，１０ｄに燃焼用
空気を供給する供給管１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，
１２ｄを夫々連結、連通してある。

又、加熱炉１ａの熱風供給管９ａは加熱炉１ｃ
の燃焼室３ｃに、加熱炉１ｂの熱風供給管９ｂは
加熱炉１ｄの燃焼室３ｄに、加熱炉１ｃの熱風供
給管９ｃは加熱炉１ａの燃焼室３ａに、加熱炉１
ｄの熱風供給管９ｄは加熱炉１ｂの燃焼室３ｂに
夫々連通してある。

１３は排ガス吐出管４ａ〜４ｄの出口である煙
突である。

このように構成した複数基の加熱炉１ａ〜１ｄ
の運転パターン、即ちサイクルは、概ね８〜16時
間であり、一定時間宛、運転開始時間を順次ずら
したプログラムパターンによつて運転を行うもの
である。

即ち、第２図に示すように、加熱炉１ａ内に装
入された材料は、初期温度Ｔ１から燃焼生成ガス
の露点DPまでのＡ間を、加熱炉１ｃの高温域Ｔ
２から均熱温度Ｔ３の間C′の排ガスを利用して加
熱する。又、加熱炉１ｂの抵温域Ｂの加熱は、加
熱炉１ｄの高温域D′の排ガスを利用する。以下、
同様にして抵温域Ｃにある加熱炉１ｃは加熱炉１
ａの高温域A′の排ガスを、低温域Ｄにある加熱
炉１ｄは加熱炉１ｂの高温域B′を夫々交番的に
利用するものである。

又、燃焼生成ガスの露点温度DPから高温域温
度Ｔ２及び均熱域、即ち、他の加熱炉に排ガスを
利用しない間は、自己の燃焼空気予熱に該排ガス
を使用するように切替弁を切替えるものである。

以上の作用を図に示した装置によりさらに詳し
く説明すると、各加熱炉の加熱室内の材料は、燃
焼室で温度設定された熱風により加熱され、その
手段としては通常、循環送風機２ａ〜２ｄによる
対流伝熱方式である。

今、加熱炉１ｃは運転開始後、５〜８時間を経
過した高温域であつてそのバーナ１０ｃは最大燃
焼中であり、別な加熱炉１ａは運転開始直後の低
温域である。

この場合、加熱炉１ｃからの高温排ガスは、吐
出管４ｃを経て熱交換器５ｃを通過中に、送風器
６ｃからの空気を加熱したのち煙突１３から放出
される。

一方、熱交換器５ｃで加熱された空気は、切替
弁８ｃにより熱風供給管９ｃを通じて前記加熱炉
１ａの燃焼室３ａに導入され、循環送風機２ａに
よつて材料加熱室１１に供給されて材料温度がガ
スの露点以内の低温域（運転開始後、１〜３間）
を越えるまで加熱する。

その後、この低温域から脱出すると、その温度
を適宜な検知器で検出させることにより該加熱炉
１ａのバーナ１０ａが点火して直火燃焼加熱に転
換され、所定のヒートパターンに従つて昇温する
ものである。この加熱炉１ａのバーナ１０ａが点
火すると同時に他方の加熱炉１ｃ側の切替弁８ｃ
が切替わり、吐出管４ｃからの排ガスは供給管１
２ｃを通じて自己の加熱炉１ｃのバーナ１０ｃに
燃焼用空気として使用されるものである。

このような排ガスの相互利用は、設定されたプ
ログラムパターンに従つて複数基の加熱炉１ａ〜
１ｄを運転することにより行われ、低温域では他
の加熱炉からの熱風で加熱し、中温域においては
自己の排ガスを燃焼用空気の加熱として利用し、
さらに、高温域では他の低温域にある加熱炉の加
熱に利用し、又、均熱域では自己の燃焼空気よう
に再び使用するものである。

この際、各加熱炉１ａ〜１ｄの温度を適宜の検
知器で検知して所定の温度域に達すれば切替弁の
切り替え等を自動的に行つて連続運転を可能にし
ているものである。

なお、以上の実施例においては、排ガスにより
熱交換器を介して加熱された空気を加熱炉に導入
しているが、材料の表面腐蝕や酸化をもたらして
もよいものであるならば排ガスを直接、加熱炉に
導入するようにしてもよい。又、使用する加熱炉
は２基以上であれば容易に実施できる。

又、各加熱炉の高温排ガス、熱交換器より送出
される高温空気を共通のダクトに導入させるよう
にして、該共通ダクトより高温排ガス又は高温空
気を低温域の加熱炉に送入するように構成しても
よく、この場合には、前記実施例のような特定の
加熱炉同士の相互排ガス利用ではなく任意の加熱
炉同士で排ガスを自由に利用することができるも
のである。

（発明の効果） 以上のように本発明の加熱炉における排ガスの
相互利用方法によれば、バツチタイプ燃焼式加熱
炉を複数基配設してアルミニウム又はアルミニウ
ム合金を加熱処理する方法において、熱処理サイ
クルを一定時間宛ずらして夫々運転を行い、バー
ナが最大燃焼中である最も高温域で稼動中の加熱
炉の排ガスを熱交換器を介して加熱された高温空
気を他の最も低温域にあたる加熱炉に導入して燃
焼生成ガスの露点温度以上まで処理材の初期加熱
に利用し、その後、自己のバーナにより高温域に
まで加熱され、その排ガスを他の低温域にある加
熱炉の昇温に前記と同様に利用することを特徴と
するものであるから、従来の加熱炉のような電気
加熱或いは熱輻射管式の間接加熱の設備が全く不
要となつて設備費の低減を図ることができると共
に排ガスで熱交換した加熱空気で処理材の初期昇
温を行うから、低温域加熱における燃焼生成ガス
の接触による材料の結露による表面腐蝕や高温酸
化による品質の低下を防止でき、排ガスの有効利
用による省エネルギー効果を実現させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す全体の装置の簡
略配置図、第２図はその運転パターンを示すタイ
ムスケジユール図、第３図は従来の装置の簡略配
置図である。 １ａ〜１ｄ……加熱炉、４ａ〜４ｄ……排ガス
吐出管、５ａ〜５ｄ……熱交換器、８ａ〜８ｄ…
…切替弁、９ａ〜９ｄ……熱風供給管、１０ａ〜
１０ｄ……バーナ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ バツチタイプ燃焼式加熱炉を複数基配設して
   アルミニウム又はアルミニウム合金を加熱処理す
   る方法において、熱処理するサイクルを一定時間
   宛ずらして夫々運転を行い、バーナが最大燃焼中
   である最も高温域で稼動中の加熱炉の排ガスを熱
   交換器を介して加熱された高温空気を他の最も低
   温域にあたる加熱炉に導入して燃焼生成ガスの露
   点温度以上まで処理材の初期加熱に利用し、その
   後自己のバーナにより高温域にまで加熱され、そ
   の排ガスを他の低温域にある加熱炉の昇温に前記
   と同様に利用することを特徴とする加熱炉におけ
   る排ガスの相互利用方法。