JPH0131919Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、熱間静水圧加圧装置に関する。

（従来の技術） アルゴン等の不活性ガスを圧力媒体とし、1000
〜2000Kg／cm²にも達するガス圧力下で、被処理
体を数百〜2000℃もの高温にして圧縮処理する技
術は、熱間静水圧加圧法（Hot Isostatic
Pressing、以下HIPと略す）と呼ばれる。

また、HIP処理をおこなう装置において、真空
あるいは常圧焼結をおこない、その後高圧ガスを
導入してHIP処理する方法もある。

近年、HIP技術の工業的利用の増大あるいはそ
の用途の拡大とともに、HIP装置そのものに対す
るニーズの多様化が進みつつある。

ところが、工業的利用の面では、生産性向上の
問題があり、とりわけ、HIP処理後の冷却時間の
短縮が求められる。

このため、特開昭61−205761号公報（従来例の
１）および実開昭60−151096号公報（従来例の
２）の技術が知られている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、従来例の１は、高圧容器のネジ蓋
に、熱交換器を設けるとともに、冷却手段として
蓄熱器を用いているため、プレスレフーム形の
HIP装置には適用困難であるし、又、蓄熱器によ
る奪熱量に限度があり、次第に、蓄熱器側の温度
が上昇してガス温と同温度となれば、最早奪熱作
用は生じなくなつてしまうものであつた。また、
蓄熱器設置スペースは高圧容器における炉室有効
容積を阻害するし、このため、阻害しない程度に
すると冷却能力の低下が生じるものであつた。

一方、従来例の２は高圧容器の外周に、冷却ジ
ヤケツトを設けるとともにHIP処理後に断熱層内
外を連通するガス対流通路を形成し、熱ガスを断
熱層の外へ導いて高圧容器で冷却することによ
り、冷却を促進する技術であり、このためには、
高圧容器の設計温度を上げる必要がある（例えば
従来のMAX100℃からMAX150℃に変更され
る）。

ところが、高圧容器は鉄鋼材であるため、この
程度の温度上昇には何ら問題はないが、高圧容器
と上、下蓋とを気密に保つているシール部材にお
いては、一般に高分子材料であるので使用温度の
上昇にともない、その寿命は著しく低下する。

本考案は、従来の問題点に鑑み、高圧容器の設
計温度を上げ、かつ、シール部材を有効に冷却す
ることで、HIP処理後の冷却時間を短縮し、生産
性の向上を図つた熱間静水圧加圧装置を提供する
ことを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は、外周壁に冷却ジヤケツト２を有する
高圧容器１の上、下開口部に、シール部材４を介
して上蓋３及び下蓋５が嵌挿されて高圧室６が形
成されており、該高圧室６内に断熱層７及びヒー
タ８が配置されている熱間静水圧加圧装置におい
て、前記目的を達成するために次の技術的手段を
講じている。

すなわち、本考案は、高圧容器１の上、下開口
部端面１ａ，１ｂの少なくとも何れか一方側の端
面１ａ，１ｂに、環形状の第２冷却ジヤケツト１
１を容器軸方向に重ね合わせて設け、該第２冷却
ジヤケツト１１の内周面１１ｂに嵌挿した蓋３，
５を前記シール部材４を介して高圧容器１の内周
面に嵌合したことを特徴とするものである。

（作用） 第１図、第２図に示す如く、高圧容器１の外周
壁に設けられた冷却ジヤケツト２と共に、第２冷
却ジヤケツト１１にも冷媒を矢印Ｂの如く環状に
流すと、より高圧容器１の冷却面積が増加され、
容器１の冷却は促進される。

この第２冷却ジヤケツト１１は、高圧容器１の
端面１ａ，１ｂに容器軸方向に重ねて設けられ、
しかも該ジヤケツト１１の内周面１１ｂに嵌挿し
た蓋３，５をシール部材４を介して高圧容器１の
内周面に嵌合していることから、高圧容器１の冷
却はもちろん、シール部材４の冷却も効果的に行
われる。

（実施例） 本考案の実施例を第１図及び第２図を参照して
詳述する。

第２図において、１は高圧容器であり、外周壁
に冷却ジヤケツト２を有し、このジヤケツト２に
矢印Ａの如く冷媒を流通可能である。高圧容器１
の上開口部にシール部材４を介して上蓋３が嵌挿
され、又、高圧容器１の下開口部にはシール部材
４を介して下蓋５が嵌挿され、ここに、高圧室６
が内部に形成されている。７は断熱層で倒立コツ
プ形状とされて高圧室６内に配置されており、こ
の断熱層７の内側に、ヒータ８を有し、炉床９上
の被処理物１０をHIP処理可能とされている。

なお、HIP中のプレス軸力はプレスフレーム１
２で担持するものとされている。

１１は第２冷却ジヤケツトであり、前記高圧容
器の上、下開口部端面１ａ，１ｂに容器軸方向に
重ね合されて設けられており、この端面１ａ，１
ｂの幅と略同じ幅で環形状を有し、その縦断面形
状は矩形を有しており、図外装置によりこのジヤ
ケツト１１を介して冷媒が矢印Ｂの如く循環され
る。

更に、前記第２冷却ジヤケツト１０の内周面１
１ｂに嵌挿した上、下蓋３，５は前記シール部材
４を介して高圧容器１の内周面に嵌合され、この
嵌合状態において、第２冷却ジヤケツト１１の端
面１１ａと上、下蓋３，５の係止面３ａ，５ａが
当接される。

また、第２冷却ジヤケツト１１の内周面１１ｂ
と上、下蓋３，５の挿嵌面３ｂ，５ｂは、上、下
蓋３，５の挿嵌において支障がなければ、接して
いてもよい。

ここに、高圧容器１と上、下蓋３，５の冷却面
積が増加され、かつ、シール部材４の近傍で冷却
を行うので、高圧容器１、上、下蓋３，５とシー
ル部材４の冷却を促進する。

また、一般に不活性ガスを圧力媒体とする高圧
処理の場合には、激しい自然対流のため、高圧容
器１の上部が過熱されるので、この容器１の上開
口部端面１ａに設けられた第２冷却ジヤケツト１
１により冷却することが有効である。

他方、HIP装置の中で、真空あるいは常圧焼結
をおこない、その後、高圧ガスを導入してHIP処
理する方法がある。ところが、真空あるいは常圧
状態では、高圧下によるHIP処理とは熱電圧のメ
カニズムが異なり、伝導が主体となり高圧容器の
下部が過熱される。したがつて、この場合には容
器１の下開口部端面１ｂに設けられた第２冷却ジ
ヤケツト１１により冷却することが有効である。

前述のこの第２冷却ジヤケツト１１は、実施例
のように高圧容器１の上、下部両方に設けても、
上、下部のどちらか一方側に設けてもよく、要す
るに過熱部分の冷却を有効におこなう側に設けて
あればよい。

（考案の効果） 本考案によれば、高圧容器１の上、下開口部端
面１ａ，１ｂの少なくとも何れか一方側の端面１
ａ，１ｂに、環状の第２冷却ジヤケツト１１を容
器軸方向に重ね合せて設けたので、高圧容器１及
び上、下蓋３，５の冷却面積が増加され、冷却時
間が短縮できるし、プレスフレーム形のHIP装置
にも適用できる。更に、第２冷却ジヤケツト１１
の内周面１１ｂに嵌挿した蓋３，５をシール部材
４を介して高圧容器１の内周面に嵌合しているの
で、シール部材４は効果的に冷却可能となり、使
用温度上昇にともなうシール部材４の寿命の著し
い低下は防止され、このシール部材４の寿命を大
幅に向上することができる。

また、冷却が効果的に行えるので高圧容器１の
設計温度も上げることが可能となる。

その結果、HIP処理後の冷却時間が短縮され、
生産性が向上される。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の実施例を示し、第１
図は要部断面図、第２図は装置の縦断面図であ
る。 １……高圧容器、１ａ，１ｂ……上、下開口部
端面、２……冷却ジヤケツト、３……上蓋、４…
…シール部材、５……下蓋、６……高圧室、７…
…断熱層、８……ヒータ、１０……被処理体、１
１……第２冷却ジヤケツト、１１ｂ……内周面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 外周壁に冷却ジヤケツト２を有する高圧容器１
   の上、下開口部に、シール部材４を介して上蓋３
   及び下蓋５が嵌挿されて高圧室６が形成されてお
   り、該高圧室６内に断熱層７及びヒータ８が配置
   されている熱間静水圧加圧装置において、 高圧容器１の上、下開口部端面１ａ，１ｂの少
   なくとも何れか一方側の端面１ａ，１ｂに、環形
   状の第２冷却ジヤケツト１１を容器軸方向に重ね
   合わせて設け、該第２冷却ジヤケツト１１の内周
   面１１ｂに嵌挿した蓋３，５を前記シール部材４
   を介して高圧容器１の内周面に嵌合したことを特
   徴とする熱間静水圧加圧装置。