JP3791647B2 - 高圧アニール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス基板等に成膜したシリコン膜を加熱して特性を改善するための高圧アニール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は米国特許第5167716号に記載の半導体薄膜の製造方法および装置に関するものである。
図において、112および113は二重壁で構成された圧力容器である。95は石英容器であり、115は石英容器95の底部材である。45は石英容器95内に設けられた基板を載せるタワーである。石英容器95と底部材115とは、石英容器95と底部材115のフランジを重ね合わせるようにして接続している。フランジの重ね合わせは底部材115のフランジの下部に閉止材56を介して設けたアクチュエータ77により行うようになっている。118,120はシール材であり、124,125はヒータである。127,128は冷却プレートである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した米国特許第5167716号に記載の半導体薄膜の製造方法および装置に示された石英容器95のフランジと底部材115のフランジの接続は、底部材115の下部に設けたアクチュエータにより行われるので、底部材115の下部に複数本の大きなアクチュエータを設けなければならず、装置全体が大がかりになり、装置重量も大きくなる。また、半導体薄膜の製造装置は、クリーンな環境に設置されるので、アクチュエータに油圧を用いると、油圧によるクリーンルームへの汚染があり、アクチュエータに空気圧を用いると、必要とする力が大きいため、アクチュエータの大型化が避けられない。圧力容器内に接続装置を設けると圧力容器が大型化し、コストアップになるなどの問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解決するために創案されたもので、上部内部容器と下部内部容器の接続をコンパクトな接続装置で行うようにしてクリーンルームへの汚染を防止するとともに、圧力容器を小型化し、コストの低減を図ることができる高圧アニール装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ガラス基板等に成膜したシリコン膜を加熱して特性を改善するための高圧アニール装置であって、ステンレス製の上部圧力容器と下部圧力容器とから成る外部圧力容器と、石英製の上部内部容器と下部内部容器とから成る内部容器と、外部圧力容器と内部容器との間に設けた加熱装置とを有し、上部圧力容器と下部圧力容器の接続は、該容器の接続部に設けたフランジ同志を挟持するように外嵌した接続装置により行い、上部内部容器と下部内部容器の接続は、該容器の接続部に設けたフランジ同志を、下部内部容器の下部に設けた膨張室を加圧することにより下部内部容器を押し上げ当接して行うようにした高圧アニール装置が提供される。
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記接続装置は、上部圧力容器と下部圧力容器の接続部に設けた外周部に多数の凹凸の歯形部を形成したフランジと、該フランジを上下に挟持するように外嵌する断面コ字状のクランプリングとから成り、該クランプリング内側の上下の突起部には、フランジの歯形部と同形の多数の凹凸の歯形部を形成しており、上部圧力容器と下部圧力容器を接続するときは、クランプリングの凹部にフランジの凸部を合わせて嵌入した後、クランプリングを回動して嵌入したフランジの凸部とクランプリングの凹部の位置をずらすことによって行うようにした。
【0007】
次に本発明の作用について説明する。
ガラス基板等に成膜したシリコン膜の特性を改善するのに、シリコン膜を加熱すると同時に、高圧で熱処理される。シリコン膜は金属などによる汚染を防止するため、石英製の内部容器内で熱処理される。石英製の内部容器は、石英製の内部容器だけでは高圧に耐えられないので、圧力容器内に設けられる。石英製の内部容器内は汚染防止のため、圧力容器内雰囲気よりわずかに高圧に保持されており、そのため上下の内部容器を気密に接続する接続装置が必要である。上部圧力容器と下部圧力容器の接続は、この圧力容器の接続部に設けたフランジ同志を挟持するように外嵌した接続装置により行い、上部内部容器と下部内部容器の接続は、該容器の接続部に設けたフランジ同志を、下部内部容器の下部に設けた膨張室を高圧ガスで加圧することにより下部内部容器を押し上げ当接して行うので、クリーンルームへの汚染を防止することができ、また、圧力容器を小型化し、コストの低減を図ることができる。なお、圧力容器のフランジ間にはゴム製のガスケットが挟持されており、内部容器のフランジ間には耐熱製のOリングが挟持されていて気密保持を行う。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の高圧アニール装置の側断面図である。図2ないし図4は図1の一部拡大図で、図2は大気圧時の各容器の接続状況を示す図、図3は圧力容器加圧時の各容器の接続状況を示す図、図4は膨張室加圧時の各容器の接続状況を示す図である。図5は圧力容器の接続装置の一部拡大図である。
【0009】
図1において、1は高圧アニール装置である。高圧アニール装置1は、ステンレス製の上部圧力容器2aと下部圧力容器2bとから成る外部圧力容器2と、石英製の上部内部容器3aと下部内部容器3bとから成る内部容器3と、外部圧力容器2と内部容器3との間に設けた加熱装置4とを有し、上部圧力容器2aと下部圧力容器2bの接続は、該容器2a,2bの接続部に設けたフランジ2e,2f同志を挟持するように外嵌した接続装置5により行い、上部内部容器3aと下部内部容器3bの接続は、該容器3a,3bの接続部に設けたフランジ3c,3d同志を、下部内部容器3bの下部に設けた膨張室6を加圧することにより下部内部容器3bを押し上げ当接して行うようになっている。
【0010】
圧力容器2の上部圧力容器2aは筒状をしており、上部圧力容器2aの頂部および下部圧力容器2bの底部は、半楕円形体鏡板になっている。ガラス基板等に成膜したシリコン膜の加熱の際、圧力容器2内の圧力を昇圧する。圧力容器2は、上部圧力容器2aのフランジ2eの下面と下部圧力容器2bのフランジ2fとの間に1〜2mmの隙間が発生する。
【0011】
上部内部容器3aは、上部圧力容器2a内に設けられた上部内部容器支持材16と、上部内部容器固定リング17により固定されている。下部内部容器3bは、下部圧力容器2b内に設けられた下部内部容器支持材18と、下部内部容器固定リング19により固定されている。また、下部内部容器3bは、上方に突出するように形成されており、上部内部容器3aと下部内部容器3bを接続するときは、その突出部は、上部内部容器3a内に挿入されるようになっている。内部容器3は、圧力容器2の接続と同時に接続するが、内部容器3の上部内部容器3aのフランジ3cの下面と下部内部容器3bフランジ3dの上面との間に、図3に示すように、1〜2mmの隙間Gが発生する。21は耐熱製のOリングで、上部内部容器3aのフランジ3cの下面と下部内部容器3bのフランジ3dの上面との間をシールする。
【0012】
加熱装置4は、内部容器3の外周を囲むように設けられている。4aは加熱装置4の頂部に設けられた開口である。15はこの開口4aを開閉する蓋で、蓋開閉装置15aによりロッド15bを介して開閉するようになっている。この蓋15は加熱時は閉じており、放冷するときには対流を活発にするため開放する。
【0013】
接続装置5は、上部圧力容器2aと下部圧力容器2bの接続部に設けた外周部に多数の凹凸の歯形部を形成したフランジ2e,2fと、このフランジ2e,2fを上下に挟持するように外嵌する断面コ字状のクランプリング5aとから成り、このクランプリング5a内側の上下の突起部5bには、フランジ2e,2fの歯形部2c,2dと同形の多数の凹凸の歯形部5cを形成しており、上部圧力容器2aと下部圧力容器2bを接続するときは、クランプリング5aの凹部にフランジの凸部を合わせて嵌入した後、クランプリング5aを、図5に示す矢印方向に回動して嵌入したフランジ2e,2fの凸部とクランプリング5aの凹部の位置をずらすことによって行うようになっている。
【0014】
膨張室6は、下部圧力容器2b内の下部内部容器3bの下部に設けられている。膨張室6は上方を開放した円筒状の側壁6aを有しており、膨張室6内には上面にプッシャー7aを有する昇降部材7を嵌入している。昇降部材7は下部内部容器3bを支持しており、膨張室6の底部に設けられた圧力導入部6bから高圧ガスを導入して膨張室6を加圧し、下部内部容器3bを押し上げ、密着して隙間Gをなくすようになっている。7bは膨張室6の外面に二重に設けられたOリングで、膨張室側壁6aとの間をシールする。
【0015】
8は下部圧力容器2b内に設けた下部内部容器3bを支持するステージである。9は熱処理室であり、10はこの熱処理室9内の、下部内部容器3bの上面に設けた基板ステージである。基板ステージ10には複数の基板11が載置されて熱処理される。
【0016】
12は圧力容器2の外面に所要の間隔を持って設けられた水冷ジャケットで、圧力容器2との間に冷却水流路12aを形成している。13は冷却水配管であり、14は排気管である(図1)。20はゴム製のガスケットで、上部圧力容器2aのフランジ2eの下面と下部圧力容器2bのフランジ2fの上面との間をシールする。
【0017】
次に実施形態に基づく作用について説明する。
ガラス基板等に成膜したシリコン膜の特性を改善するのに、シリコン膜を酸化性ガス,還元性ガスまたは不活性なガスの雰囲気中で加熱すると同時に、高圧で熱処理される。大気圧中で、圧力容器2の上部圧力容器2aと下部圧力容器2bを接続すると同時に、内部容器3の上部内部容器3aと下部内部容器3bも接続する。圧力容器2内を加圧すると、接続装置(クランプリング)5には作動用のがたがあるため、上部圧力容器2aのフランジ2eの下面と下部圧力容器2bのフランジ2fの上面との間に、1〜2mmのがた分の隙間が発生する。この隙間は縮み代の大きいゴム製のガスケット20の弾性によりシールされる。一方、この隙間の発生に伴い上部内部容器3aのフランジ3cの下面と下部内部容器3bのフランジ3dの上面との間にも1〜2mmの隙間が発生するが、上部内部容器3aと下部内部容器3bの接続部は内部容器3が高温となるため、縮み代の大きいゴム製のガスケットは使用できず、縮み代の小さい耐熱性のOリング21しか使用できないのでシールが不能になる。内部容器3内はシールがゆるんで内部容器3内に外部からの不純物が侵入しないように、圧力容器内雰囲気より1%f/cm2程度の高圧に保持している。そこで、上部内部容器3aと下部内部容器3bの接続は、この容器3a,3bの接続部に設けたフランジ3c,3d同志を、下部内部容器3bの下部に設けた膨張室6を内部容器3内の圧力により押し下げ力に対抗できる高圧ガスで加圧することにより下部内部容器3bを押し上げ当接して行うようにした。これにより圧力容器2を小型化し、コストの低減を図ることができる。なお、圧力容器2内は、図示しない、高圧ガス供給装置からレギュレータを介して加圧されるが、この高圧ガス供給装置から別のレギュレータを介して膨張室6内に導入すれば、高圧ガス供給装置を別に設ける必要はない。
【0018】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0019】
【発明の効果】
上述した本発明の高圧アニール装置によれば、下部内部容器の下部に設けた膨張室を高圧ガスで加圧して下部内部容器を押し上げ、上部内部容器に当接して接続するので、クリーンルームへの汚染を防止することができ、また、圧力容器を小型化し、コストの低減を図ることができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧アニール装置の側断面図である。
【図2】図1の一部拡大図で、大気圧時の各容器の接続状況を示す図である。
【図3】図1の一部拡大図で、圧力容器加圧時の各容器の接続状況を示す図である。
【図4】図1の一部拡大図で、膨張室加圧時の各容器の接続状況を示す図である。
【図5】接続装置の一部拡大図である。
【図6】従来の米国特許第5167716号に記載の半導体薄膜の製造方法および装置の図である。
【符号の説明】
1 高圧アニール装置
2 外部圧力容器
2a 上部圧力容器
2b 下部圧力容器
3 内部容器
3a 上部内部容器
3b 下部内部容器
4 加熱装置
5 接続装置
5a クランプリング
6 膨張室
7 昇降部材
8 内部容器ステージ
9 処理室
10 基板ステージ
11 基板
16 上部内部容器支持材
17 上部内部容器固定リング
18 下部内部容器支持材
19 下部内部容器固定リング
20 ガスケット
21 Oリング
G 隙間
Claims (2)
- ガラス基板等に成膜したシリコン膜を加熱して特性を改善するための高圧アニール装置であって、ステンレス製の上部圧力容器と下部圧力容器からなる外部圧力容器と、石英製の上部内部容器と下部内部容器とからなる内部容器と、外部圧力容器と内部容器との間に設けた加熱装置とを有し、上記上部圧力容器と下部圧力容器との接続装置は、上部圧力容器と下部圧力容器の接続部に設けた外周部に多数の凹凸の歯形部を形成したフランジと、該フランジを上下から挟持するように外嵌する断面コ字状のクランプリングとからなり、該クランプリング内側の上下の突起部には、フランジの歯形部と同形の多数の凹凸の歯形部を形成しており、上部圧力容器と下部圧力容器を接続するときは、該クランプリングの凹部にフランジの凸部を合わせてクランプリングを嵌入した後、クランプリングを回動して嵌入したフランジの凸部とクランプリングの凹部の位置をずらすことにより行うようにし、上記上部内部容器と下部内部容器との接続は、該容器の接続部に設けたフランジ同士を、上記下部内部容器の下部に設けた膨張室を加圧することにより下部内部容器を押し上げ当接して行うようにしたことを特徴とする高圧アニール装置。
- 上記膨張室は、上記下部内部容器を支持する円板状のプッシャーを有する昇降部材と、上記下部圧力容器の上面に突設され、上方を開放した円筒状の側壁とを有しており、該側壁内に上記昇降部材を嵌入してなる請求項1記載の高圧アニール装置。
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