JPH0131773Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えばボルト軸の先端で固定対象物
を締付けうるようにした締付けボルトに関し、特
に、ドライバー等の工具を使用することなく手締
めできる上に、締付けトルクを増大できるように
した締付けボルトに関する。

〔従来技術〕

一般に、ボルト軸と、該ボルト軸の基端側にＬ
字状に屈曲して設けられたレバーとからなり、該
レバーを手動で回転操作することにより、前記ボ
ルト軸に締付けトルクを与えるようになつた手締
め専用の締付けボルトは知られている。

ところで、この種の締付けボルトにあつては、
周囲に壁や種々の部材が立設された所でボルトを
締付ける場合に、Ｌ字状に屈曲したレバーが周囲
に壁や部材等に当つて、該レバーを回転操作でき
ないことがある。

このため、従来技術では、レバーの寸法を小さ
くすることによつて、該レバーが周囲の壁や部材
等に当らないようにしている。しかし、レバーの
寸法を小さくした場合には、ボルト軸に付与され
る締付けトルク自体が小さくなり、ボルトが簡単
にゆるんでしまうという欠点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上述した従来技術の欠点に鑑みなされ
たもので、本考案が解決しようとする問題点は、
回転操作されるノブとボルト軸との間に遊星歯車
減速機構を介装することによつて、ノブに適用さ
れるトルクに比較して大きな締付けトルクをボル
ト軸に与え、確実にゆるみを防止できるようにし
た締付けボルトを提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上述した問題点を解決するために本考案が採用
する構成は、回転操作されるノブと、該ノブの内
側中央に突設され、該ノブと一体的に回転する太
陽歯車と、該太陽歯車の周期に配設され、固定部
材を介して回転方向に固定可能なリングギアと、
該リングギアと太陽歯車とに噛合し、該太陽歯車
のまわりを自転しつつ公転する遊星歯車と、該遊
星歯車を回転可能に支持し、該遊星歯車の公転に
応じて回転する支持板と、該支持板の中央から軸
方向下向きに突設され、該支持板と一体的に回転
するボルト軸とからなる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図ないし第３図に
基づいて説明する。

第１図、第２図は本考案の第１の実施例を示し
ている。

図において、１は作業者の指先等によつて回転
操作されるノブで、該ノブ１は合成樹脂等の材料
によつて有底筒状に形成され、軸方向に僅かに凸
湾曲状となつた底部１Ａと、該底部１Ａの外周か
ら軸方向下向きに延設された円筒部１Ｂとからな
り、該円筒部１Ｂの開口端には後述のリングギア
３に係止し、該リングギア３の抜止めを行う環状
突起１Ｃが設けられている。また、該円筒部１Ｂ
の外周面にはローレツト切りが施され、ノブ１の
回転操作を容易化できるようになつている。２は
ノブ１の内側中央に位置し、底部１Ａから軸方向
下向きに突設された太陽歯車で、該太陽歯車２は
ノブ１と共に一体的に回転するようになつてい
る。

３はノブ１の内側に位置し、太陽歯車２の周囲
に配設されたリングギアで、該リングギア３は有
底筒状に形成され、底部３Ａと円筒部３Ｂとから
なり、底部３Ａの外周側が前記ノブ１の環状突起
１Ｃに係止され、軸方向に抜止めされている。そ
して、前記円筒部３Ｂの内周側には後述の遊星歯
車５に噛合する内歯３Ｃが設けられ、外周側は前
記円筒部１Ｂの内周面との間に小さな隙間が介在
するようになつている。また、前記底部３Ａの中
央には後述のボルト軸８が挿通される挿通孔３Ｄ
が穿設され、該挿通孔３Ｄから径方向に離間した
位置には係合部３Ｅが突設されている。４はリン
グギア３を回転方向に固定する固定部材としての
ピンで、該ピン４は鉄またはステンレス等の金属
材料から棒状に形成され、その一端は前記係合部
３Ｅに係合し、他端は後述する支持部材９の係合
穴９Ｃに係合するようになつている。かくして、
該ピン４がリングギア３の回転を規制するため、
前記ノブ１はリングギア３に対して相対回転する
ようになつている。

５，５，…は前記太陽歯車２とリングギア３と
の間に介装され、該太陽歯車２とリングギア３の
内歯３Ｃとにそれぞれ噛合した遊星歯車で、該各
遊星歯車５は太陽歯車２が矢示Ａ方向に回転する
とき、回転が規制されたリングギア３によつて矢
示Ａ方向に案内され該太陽歯車２のまわりを自転
しつつ公転するようになつている。６，６，…は
該各遊星歯車５を後述の支持板７に対して回転可
能に取付けた軸で、該各軸６鉄またはステンレス
等の金属材料から形成され、下端側のねじ６Ａに
よつて支持板７に固着されている。

７は前記各遊星歯車５を軸６を介して回転可能
に支持している支持板で、該支持板７は前記リン
グギア３の底部３Ａと、太陽歯車２および各遊星
歯車５との間に介挿され、各遊星歯車５の公転に
応じて回転するようになつている。８は該支持板
７の中央から軸方向下向きに一体的に突設され前
記リングギア３の挿通孔３Ｄを貫通したボルト軸
で、該ボルト軸８は支持板７と共に鉄またはステ
ンレス等の金属材料から形成され、外周面には後
述のねじ穴９Ｂに螺合するおねじ８Ａが形成され
ている。ここで、該ボルト軸８は支持板７と共に
各遊星歯車５の公転に応じて一体的に回転する
が、該各遊星歯車５の公転は太陽歯車２とリング
ギア３との歯数比によつて所定の減速度でもつて
行われるから、ボルト軸８の回転を減速されるよ
うになり、該ボルト軸８には前記ノブ１に付加さ
れるトルクに比較して減速比に逆比例した大きな
締付けトルクが与えられるようになる。

さらに、９は台座１０上にボルト１１等を介し
て固定された支持部材で、該支持部材９と台座１
０との間には固定対象物１２が挿通される長方形
状の挿通穴９Ａが設けられ、該固定対象物１２は
挿通穴９Ａ内を、例えば図面に対して垂直な方向
に移動可能となつている。また、該支持部材９に
は挿通穴９Ａに連通するねじ穴９Ｂと、該ねじ穴
９Ｂから径方向に離間した係合穴９Ｃとが設けら
れ、該係合穴９Ｃには前記ピン４の他端が軸方向
に変位可能に係合され、ピン４を介してリングギ
ア３の回転を規制するようになつている。そし
て、前記ねじ穴９Ｂにはボルト軸８が螺合され、
該ボルト軸８の先端を前記挿通穴９Ａ内の固定対
象物１２に締着することにより、該固定対象物１
２の位置決めを行うようにしている。

次に、このように構成される締付けボルトの作
用について説明する。

まず、固定対象物１２の先端には、例えばコン
ベア等の側方ガイド（図示せず）が取付けられ、
該側方ガイドの位置を変更するときには、ねじ穴
９Ｂに螺合したボルト軸８をゆるめ、挿通穴９Ａ
内で固定対象物１２を所望の位置へと移動した
後、再びボルト軸８を締付ければよい。

ここで、該ボルト軸８を締付けるには、作業者
がノブ１を把持して、該ノブ１を矢示Ａ方向に回
転操作すれば、太陽歯車２がノブ１と共に矢示Ａ
方向に回転され、該太陽歯車２に噛合した各遊星
歯車５に回転力が伝達される。このとき、リング
ギア３がピン４を介して回転方向に固定されてい
るから、該各遊星歯車５はリングギア３によつて
矢示Ａ方向に案内され、太陽歯車２のまわりを自
転しつつ矢示Ａ方向へと公転するようになる。そ
して、該各遊星歯車５の公転速度は太陽歯車２と
リングギア３との歯数比に基づいて減速されるか
ら、該各遊星歯車５の公転に応じて回転されるボ
ルト軸８は所定の減速度でもつて回転されるよう
になり、該ボルト軸８に、ノブ１に加えたトルク
に比較して大きな締付けトルクを与えることがで
きる。この結果、該ボルト軸８の先端で固定対象
物１２を確実に締着することができ、固定対象物
１２にコンベア等から振動が加えられた場合で
も、ボルト軸８のゆるみを確実に防止することが
できる。

また、第１図中に示すように、ねじ穴９Ｂの近
くに位置して支持部材９に壁９Ｄ等が立設されて
いる場合でも、ノブ１の周囲に作業者の指先を挿
入できる程度のスペースがあれば、該ノブ１を簡
単に回転操作でき、ボルト軸８に大きな締付けト
ルクを与えることができる。

一方、ボルト軸８をゆるめる場合には、ノブ１
を矢示Ａ方向とは逆向きに回転操作すれば、ボル
ト軸８に大きなゆるみ方向のトルクを締付け与で
き、簡単にボルト軸８を緩めることができる。

従つて、本実施例によれば、指先等でノブ１を
回転操作すれば、ボルト軸８に大きな締付けトル
クを与えることができ、該ボルト軸８のゆるみを
簡単な手動操作でもつて確実に防止することがで
きる。また、ノブ１の周囲に指先を挿入できる程
度のスペースさえあれば、該ノブ１を回転操作で
き、壁９Ｄ等が周囲に立設された所にあつても支
障なくボルト軸８に大きな締付けトルクを付与で
きる。

第３図は本考案の第２の実施例を示し、本実施
例の特徴は、リングギアを固定部材を介して壁に
固定し、該リングギアの回転を規制するようにし
たことにある。なお、本実施例において、前述し
た第１図、第２図に示す第１の実施例と同一の構
成要素には同一の符号を付し、その説明を省略す
るものとする。

図中、２１はリングギア３を回転方向に固定す
る固定部材としてのピンで、該ピン２１は鉄また
はステンレス等の金属材料からＬ字状に形成さ
れ、その一端はリングギア３の係合部３Ｅに係合
し、他端は後述の案内溝２２Ａに抜止め状態で係
合するように逆テーパ部２１Ａとなつている。２
２は支持部材９に立設された壁９Ｄにねじ２３，
２３等によつて固着された案内部材で、該案内部
材２２の中央にはねじ穴９Ｂと平行な方向に伸長
する案内溝２２Ａが設けられ、該案内溝２２Ａに
は前記逆テーパ部２１Ａが軸方向に摺動可能に係
合している。ここで、該案内溝２２Ａは逆テーパ
部２１Ａに対応して蟻溝形状に形成され、該逆テ
ーパ部２１Ａの抜止めを行つており、これによつ
て、前記リングギア３はピン２１を介して回転方
向に固定され、軸方向に移動可能となつている。

このように構成される本実施例でも、前記第１
の実施例とほぼ同様の作用効果を得ることがで
き、ボルト軸８に大きな締付けトルクを与えるこ
とができる。

なお、前記各実施例では、太陽歯車２とリング
ギア３との間に４個の遊星歯車５を介装するもの
として示したが、該遊星歯車５の個数は４個に限
らず、１〜３個又は５個以上としてもよいことは
勿論である。また、固定部材としてピン４または
２１を用いたが、これ以外に種々の固定部材を用
いて、リングギア３を回転方向に固定するように
してもよい。

さらに、前記各実施例では、支持部材９に対
し、固定対象物１２を締着する場合を例に挙げて
説明したが、本考案の締付けボルトはこれに限ら
ず、電気スタンドの取付け用または椅子の高さ調
整用等、種々の用途にも適用できるものである。

〔考案の効果〕

以上詳述した通り、本考案によれば、ノブと一
体的に回転する太陽歯車と、固定部材を介して回
転方向に固定可能なリングギアとに遊星歯車を噛
合させ、該遊星歯車の公転に応じてボルト軸が支
持板を介して回転されるようにしたから、ノブを
回転操作すればボルト軸を所定の減速度でもつて
回転でき、ノブに付加されるトルクに比較して大
きな締付けトルクをボルト軸に与えることがで
き、該ボルト軸のゆるみを確実に防止できる。ま
た、ノブをそれ程強い力で回転操作しなくても、
ボルト軸を確実に締付けることができる等、種々
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の第１の実施例を
示し、第１図は締付けボルトの締付け状態を示す
縦断面図、第２図は第１図中の矢示−方向断
面図、第３図は本考案の第２の実施例を示す第１
図と同様の縦断面図である。 １……ノブ、２……太陽歯車、３……リングギ
ア、４，２１……ピン、５……遊星歯車、６……
軸、７……支持板、８……ボルト軸、１２……固
定位対象物、２２Ａ……案内溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転操作されるノブと、該ノブの内側中央に突
   設され、該ノブと一体的に回転する太陽歯車と、
   該太陽歯車の周囲に配設され、固定部材を介して
   回転方向に固定可能なリングギアと、該リングギ
   アと太陽歯車とに噛合し、該太陽歯車のまわりを
   自転しつつ公転する遊星歯車と、該遊星歯車を回
   転可能に支持し、該遊星歯車の公転に応じて回転
   する支持板と、該支持板の中央から軸方向下向き
   に突設され、該支持板と一体的に回転するボルト
   軸とから構成してなる締付けボルト。