JPH0128357B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、沸騰水型原子炉の炉心において十字
形制御棒の間に配置される燃料集合体に関する。

沸騰水型原子炉の炉心に現在用いられている最
もありふれた燃料集合体は、四角形の断面を有す
る細長い単一のボツクス（box）の中に収容され
た例えば64個の細長い燃料棒を備えた燃料棒のバ
ンドル（bundle）によつて構成されており、燃
料集合体を使用する際には、前記ボツクスの長手
方向の軸線はほぼ垂直になり、このボツクスが燃
料棒を通過する冷却水の流れを制御する。燃料棒
は、被覆用管の中にある燃料のペリツト（小さい
球状体）から成り、また、燃料集合体のボツクス
は、炉心の中にある支持板に設けた開口に接続す
るように意図された底部と、炉心の中のグリツド
に当接して支持するように意図された頂部とを有
する。この種の燃料集合体は、例えば、米国特許
第3697375号に一層詳細に記載されている。

前記の知られている燃料集合体の使用に際して
は、ボツクスの中に生じる流れの抵抗のために、
冷却水を燃料棒のバンドルに沿つて加圧状態にし
てボツクスを強制的に通さなければならない。し
たがつて、内部に過大な圧力が存在し、この過大
な圧力のためにボツクスの平たい側面に曲げ応力
が生じる。過度に高い温度におけるこの曲げ応力
と、同時に起こる中性子放射とのために、クリー
プ変形等の都合のわるい永久変形を生じる可能性
がある。この永久変形を無理のない範囲内に制限
することを可能にするためには、ボツクス用とし
て厚い金属シート材料を使用しなければならな
い。64個の燃料棒から成る燃料集合体のボツクス
においては、通常、約３ミリメートルの厚さの金
属シート材料が使用される。燃料棒のバンドルの
断面が大きいと、中性子束が変動するようにな
る。その理由は、中性子束は冷却水の上記含有量
が変るとそれにつれて変り、そのために、中性子
束は断面の中央において最小になるからである。

このため、上述の従来の燃料集合体は沸騰水型
原子炉での反応性が低くかつ中性子分布が不均一
で、中性子の浪費が多く燃料の利用効率が低い。

本発明は上記したような従来の燃料集合体の問
題を解消するためになされたものであり、中性子
の節約を大きく果たすことができかつ燃料効率の
高い燃料集合体を提供することを目的とする。

本発明によれば、沸騰水型原子炉の炉心におい
て十字形制御棒の間に配置される燃料集合体の
各々は、別々になつた細長い複数個のボツクス
と、これら細長いボツクスのそれぞれの中に配置
されている細長い燃料棒のバンドルと、間隔を置
いた別々の第１及び第２の端部部材とを有し、こ
れらの端部部材は、前記複数個のボツクスが互い
に間隔を置いて配置されて非沸騰減速水のための
十字形の細長い空間を形成するように、前記ボツ
クスの全部の両端のそれぞれを取り付けており、
前記第１及び第２の端部部材が前記炉心の中で支
持できるようになつている。

従つて、本発明の構成では、例えば単一のボツ
クス中に64個の燃料棒を有する従来の燃料集合体
に代えて、16個の燃料棒からそれぞれ成る４個の
バンドルを含みかつ非沸騰バイパス水の空間で分
離される４個のボツクスを有した、ほぼ同じ外形
寸法を備えた燃料集合体を他の構成部分を変更す
ることなく設けることができ、それぞれの燃料棒
を減速水により近づけて燃焼度に対する中性子束
勾配を均等化することが可能で、また各ボツクス
の小寸法化によつてボツクスを従来の厚さ３ミリ
メートルよりも薄い厚さ約１ミリメートルの金属
シート材料で作ることが可能であり、このためク
リープ変形等の永久変形を最小限にし、かつ壁面
積がほぼ二倍に増加したにもかかわらず中性子吸
収構造材料を少なくすることができる等の利点が
ある。強さの点から言つて前記ボツクスはその隅
部が大きな半径を有するように形成することが望
ましい。バンドル内の他の燃料棒より直径の小さ
な燃料棒が隅の位置に適当に挿入される。減速効
果を改良し、燃料棒バンドル内の中性子束および
発生動力をさらに均一にするための方法は、バン
ドルの内方部分における１個の燃料棒の代りに、
冷却水および減速水を自由に貫流させる１個の空
の燃料棒管を設けることである。振動を阻止する
ために、燃料集合体のボツクスを、第１および第
２の端部部材の間の１つまたは１つより多い位置
において連結部材に連結することができる。

次に添付図面によつて本発明の実施例を説明す
る。

第１図において１は十字形制御棒を示す。４個
の制御棒よりなる群の間には４個の燃料集合体２
よりなる群が配置されている。各燃料集合体は四
角形断面を有する４個のボツクス２ａ，２ｂ，２
ｃ，２ｄを含んでいる。各ボツクスは燃料棒３の
バンドルを含んでいる。前記燃料集合体のボツク
ス２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄはその底部において共
通の第１の端部部材、すなわち底部部材４に連結
され、該底部部材は炉心の集合体支持板に連結さ
れ、かつ冷却水を組立体の４個のボツクスに配分
するようになつている。前記ボツクスは頂部にお
いては共通の第２の端部部材、すなわち頂部ユニ
ツト５に連結されている。ボツクス２は底部部材
４と頂部ユニツト５との間において相互に連結さ
れ、この連結は単数または複数の位置において連
結部材６によつて行われる。第３図に示される如
く、前記ボツクスはその隅が大きな半径を有する
ように形成され、かつ４個の燃料棒３ａは他の燃
料棒３ｂより小さな直径を有している。一つの燃
料棒の代りに貫流管７を使用することができる。

共通の底部部材４および一つの頂部ユニツト５
を有する４個のボツクスによつて燃料集合体を形
成することにより、新規な原子炉と、すでに稼動
中の原子炉の燃料経済を改良することができる。
前記燃料集合体を支持するための試験設計はすで
に提案されている。

集合体の４個のボツクス２の間には十字形の空
隙８があるために蒸気を含まない水が得られるか
ら減速能は増加し、したがつて燃料集合体の断面
に対する中性子束を均一にすると共に、動力の発
生および燃焼をさらに均一にすることができる。
燃料棒バンドル内の濃縮度を変化させる必要は減
少しまたは全くなくなる。二つの燃料集合体の間
の空隙９，１０はボツクス２ａ，２ｂ，２ｃ，２
ｄ間の空隙８より大であるから、中性子束は空隙
９，１０に対し幾分近く位置し、したがつて発生
動力も大となる。第１図の矢印１１によつて示さ
れる如く、ボツクスの燃料棒を再配置することに
より、すなわちボツクスの間の燃料棒バンドルを
転換することにより燃焼が不均一となるのを阻止
することができる。図示の如くボツクス２ａ，２
ｃおよびボツクス２ｂ，２ｄはそれぞれその位置
が変えられる。中性子、発生動力および燃焼を均
一化させる他の方法は燃料棒を空の管と変え、こ
の管を通つて冷却水および減速水が自由に流動し
得るようになすことである。燃料集合体の中心に
棒を配置し、この棒によつて燃料集合体の底部部
材４および頂部ユニツト５を連結保持するように
なすことができる。燃料集合体の４個のボツクス
が相互に連結されるようになつた燃料集合体の設
計においては、該燃料集合体は燃料転換または燃
料交換と関連するある時間後に除去し得る一時的
な十字形吸収棒１２または燃焼可能吸収材を有す
る独立吸収板を有するものとなすことができる。

燃料集合体の底部には分割十字形部分１３を形
成し、該十字形部分が下方に向つて延び、前記底
部部材４の開口および炉心底部オリフイスを通る
ようにすべきである。したがつて前記底部部材４
は４個の溝孔状通路に分割され、これによつて４
個のボツクスを通る水が均一となり、かつボツク
ス内の流動抵抗が異なる場合においても安定した
流動が行われるようにされている。

燃料集合体ボツクスを４個の小さなボツクスに
分割することにより、ボツクスの表面を大とする
ことができる。このように寸法が小さいために曲
げ応力は減少し、金属シートの厚さを50％以上減
少せしめ得るようになる。ボツクスの材料が相当
減少するために、望ましからざる中性子吸収も軽
減される。同時に蒸気を含まない水に対する空隙
も大となり、かつこの水の分配もさらに均一に行
われるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図はコアー内における複数の燃料集合体の
断面図；第２図は燃料集合体の側面図；第３図は
燃料棒バンドルを有するボツクスの断面図であ
る。 図において２は燃料集合体、２ａ，２ｂ，２
ｃ，２ｄはボツクス、３，３ａ，３ｂは燃料棒、
４は底部部材、５は頂部ユニツト、６は連結部
材、７は貫流管、１２は十字形吸収棒である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 沸騰水型原子炉の炉心において十字形制御棒
   の間に配置される燃料集合体であつて、前記燃料
   集合体の各々は、別々になつた細長い複数個のボ
   ツクスと、これら細長いボツクスのそれぞれの中
   に配置されている細長い燃料棒のバンドルと、間
   隔を置いた別々の第１及び第２の端部部材とを有
   し、これらの端部部材は、前記複数個のボツクス
   が互いに間隔を置いて配置されて非沸騰減速水の
   ための十字形の細長い空間を形成するように、前
   記ボツクスの全部の両端のそれぞれを取り付けて
   おり、前記第１及び第２の端部部材が前記炉心の
   中で支持できるようになつている燃料集合体。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載する燃料集合体
   であつて、前記複数個のボツクスのそれぞれが、
   弧状の隅部がある四角形の断面を有する燃料集合
   体。 ３ 特許請求の範囲第２項に記載する燃料集合体
   であつて、前記複数個の細長いボツクスのそれぞ
   れの中に配置された前記細長い燃料棒のバンドル
   の断面が四角形であり、また、前記各バンドルの
   隅部に位置する燃料棒がこのバンドルの中に位置
   する他の燃料棒より小さい直径を有する燃料集合
   体。 ４ 特許請求の範囲第３項に記載する燃料集合体
   であつて、前記細長い燃料棒の各バンドルが中空
   の管を有し、この間を通つて冷却水と減速水とが
   自由に流れることができるようになつている燃料
   集合体。 ５ 特許請求の範囲第２項に記載する燃料集合体
   であつて、前記ボツクスの長手方向に沿つて、こ
   れらのボツクスを連結する装置を設けてある燃料
   集合体。 ６ 特許請求の範囲第１項に記載する燃料集合体
   であつて、４個だけの前記細長いボツクスを有す
   る燃料集合体。 ７ 特許請求の範囲第６項に記載する燃料集合体
   であつて、前記４個の細長いボツクスの間の空所
   に、燃焼可能な吸収材を有する取り外しできる吸
   収棒が配置されている燃料集合体。 ８ 特許請求の範囲第１項に記載する燃料集合体
   であつて、前記各ボツクスに関連する前記第１及
   び第２の端部部材のうちの１つの端部部材が、こ
   の端部部材の中に複数個の平行なチヤンネルを画
   定する仕切り部材を有する燃料集合体。 ９ 特許請求の範囲第１項に記載する燃料集合体
   であつて、前記複数個の細長い各ボツクスとこれ
   に関連する前記第１及び第２の端部部材との連結
   を解いて両者を分離することができ、また、前記
   細長い燃料棒の各バンドルをこれに関連する前記
   ボツクスの内部から取り外しできるようになつて
   いる燃料集合体。