JPH0127516Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は錨鎖庫に関する。

従来の船舶の錨鎖庫においては、第１図側面図
に示すように、運航する前に投錨された錨鎖をウ
インドラス９で巻き上げるのであるが、その際巻
き上げられるチエーン６は外板に取付けられたベ
ルマウス１１に開口するホースパイプ１２内を通
過し、チエーン６についた泥５の一部はホースパ
イプ１２内に設けられた複数の海水吐出口からの
海水１０により落とされ、残部の泥５はフオツク
スルデツキ上のローラタング制鎖器を経てウイン
ドラス９のジブスホイルにて巻き上げられ、チエ
ーンロツカー１内にチエーン６と共に入る。チエ
ーンはチエーンロツカー１の底部４の若干上方を
仕切る仕切板２上に積重され、泥５は上からチエ
ーン６と共に落ちてくる海水により仕切板２の穴
３からチエーンロツカー１の底部４へ落下するこ
とになり、海水はビルジハツト７からパイプ８を
通つて上甲板１６上に設けられたエゼクタ１３で
船外に排出され、泥５のみがチエーンロツカー１
の底部上に残る。

したがつて、このような錨鎖庫においては、下
記のような欠点がある。

(1) 泥が底部に積重するので、これを第２図斜視
図に示す要領で清掃するのであるが、清掃作業
に多大の工数がかゝる。

(2) 泥が底部に積重するためビルジハツトが泥で
詰まり、水の排出ができなくなる。

(3) 作業用穴がチエーンロツカー底部からフオツ
スルデツキまで一線でなく、作業に人力を要す
る。

本考案はこのような事情に鑑みて提案されたも
ので、錨鎖庫底に泥の溜まることを防止し、清掃
作業を極力減少する錨鎖庫を提供することを目的
とする。

そのために本考案は、船側外板に向つて水平面
に対して下り勾配で若干傾斜した底面を有すると
ともにその最下端に比較的大きい開口の凹所を有
するチエーンロツカーと、上流端の上部が上記チ
エーンロツカーの凹所の最外下端にパイプを介し
て連通するとともに上記上流端の下部と略同一レ
ベルの下流端が船側外板に開口する段差付泥水溜
箱と、上記泥水溜箱の上流端上部、下流端にそれ
ぞれ挿入された上流弁、下流弁と、上記泥水溜箱
の上流弁の直下に開口し海水を上記泥水溜箱中に
吐出する海水パイプとを具えたことを特徴とす
る。

本考案の一実施例を図面について説明すると、
第３図は本考案に係る錨鎖庫を具えた船舶を示す
部分側面図、第４図は第３図の錨鎖庫を示す部分
拡大図、第５図は第４図の−に沿つた断面図
である。

上図において、第１〜２図と同一の記号はそれ
ぞれ第１〜２図と同一の部材を示し、１ａは本考
案に係るチエーンロツカーでその底面２６は水平
面に対して若干傾斜している。

１８は底面２６の下端に凹設された比較的大き
い開口部を有するボツクス、１９は前端がボツク
ス１８の最遠下端に接続されたパイプ、２０はパ
イプ１９の下端に上部が弁２１を介して連通する
落差付溜箱、２２は溜箱２０の外板２３寄りの開
口端付近に設けられた弁、２４は海水を底面２６
の上端およびパイプ１９の下端直下にそれぞれ吐
出する海水パイプ、２７は海水パイプ２４に挿入
された海水弁である。

このような構造において、錨鎖庫１ａは上甲板
１６より下部でフオアピークタンク２５の中に両
舷に設けられ、錨鎖庫内は水密構造となつてい
る。

錨鎖庫１ａの底面２６に傾斜をつけ、錨鎖庫１
ａ内の穴３の明いた仕切板２から水１０と泥５が
流入してくるのを流しやすくする。

錨鎖庫１ａの底面２６を流れた水１０と泥５は
錨鎖庫１ａの一番低いボツクス１８にその大きな
開口を通つて容易に入り、その後パイプ１９を通
つて水と泥５の溜箱２０内に入る。

この時点では外板２３近傍にある弁２２は閉塞
され、弁２１は開放されている。

溜箱２０に接続した海水パイプ２４は泥５と水
１０を船外へ排出するために配設している。

投錨された錨鎖をウインドラス９で巻き上げて
出帆する場合、錨鎖は海底２８の泥５を付着した
まゝベルマウス１１よりホースパイプ１２中へ入
つた時に、ホースパイプ１２の内周に設けられた
海水吐出口から海水１０が吐出して錨鎖の泥５を
洗浄する。

こうして、錨鎖は錨鎖庫１ａの内に入り、その
仕切板２の上に積重され、チエーン６を洗浄した
海水１０がそのまゝウインドラス９から流入する
ためチエーン６に付着していた泥５が海水１０と
共に仕切板２の穴３から錨鎖庫底面２６上に落
ち、傾斜した底面２６に沿つてボツクス１８およ
びパイプ１９を通過して溜箱２０に入る。

その際、溜箱２０とパイプ１９の取合部のバル
ブ２１を閉塞してバルブ２２を開放すると共に、
海水パイプ２４から海水を流入させると、泥５と
海水１０は弁２２を経て船外へ排出される。

こゝで、海水パイプ２４をチエーンロツカー１
ａの底部４ａに設置し、海水弁２７を開いて泥５
を流すこともできる。

このような構造によれば、下記の効果が奏せら
れる。

(1) 錨鎖庫の底部に泥や水が溜まならくなるの
で、錨鎖庫内の壁の腐触を防止することができ
る。

(2) 錨鎖庫の底部の清掃を減少することができ
る。

(3) 錨鎖庫の水を出すためのビルジサクシヨンパ
イプやエゼクタが不要となる。

(4) 排泥が規制されている海域では、段差付泥水
溜箱に泥水を一時溜めて置き、排泥が規制され
ていない海域で排泥することができる。

要するに本考案によれば、船側外板に向つて水
平面に対して下り勾配で若干傾斜した底面を有す
るとともにその最下端に比較的大きい開口の凹所
を有するチエーンロツカーと、上流端の上部が上
記チエーンロツカーの凹所の最外下端にパイプを
介して連通するとともに上記上流端の下部と略同
一レベルの下流端が船側外板に開口する段差付泥
水溜箱と、上記泥水溜箱の上流端上部、下流端に
それぞれ挿入された上流弁、下流弁と、上記泥水
溜箱の上流弁の直下に開口し海水を上記泥水溜箱
中に吐出する海水パイプとを具えたことにより、
清掃容易かつ長寿命の錨鎖庫を得るから、本考案
は極めて有益なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は公知の船舶の錨鎖庫を示す側面図、第
２図は第１図の錨鎖庫の斜視図、第３図は本考案
の錨鎖庫を具えた船舶を示す部分側面図、第４図
は第３図の錨鎖庫を示す部分拡大図、第５図は第
４図の−に沿つた断面図である。 １ａ……チエーンロツカー、２……仕切板、３
……穴、４ａ……底部、５……泥、６……チエー
ン、９……ウインドラス、１０……海水、１１…
…ベルマウス、１２……ホースパイプ、１６……
上甲板、１７……フオツクスルデツキ、１８……
ボツクス、１９……パイプ、２０……溜箱、２１
……弁、２２……弁、２３……外板、２４……海
水パイプ、２５……フオアピークタンク、２６…
…底面、２７……海水弁、２８……海底。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 船側外板に向つて水平面に対して下り勾配で若
   干傾斜した底面を有するとともにその最下端に比
   較的大きい開口の凹所を有するチエーンロツカー
   と、上流端の上部が上記チエーンロツカーの凹所
   の最外下端にパイプを介して連通するとともに上
   記上流端の下部と略同一レベルの下流端が船側外
   板に開口する段差付泥水溜箱と、上記泥水溜箱の
   上流端上部、下流端にそれぞれ挿入された上流
   弁、下流弁と、上記泥水溜箱の上流弁の直下に開
   口し海水を上記泥水溜箱中に吐出する海水パイプ
   とを具えたことを特徴とする錨鎖庫。