JPH0126646B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、苗植付け装置支持用の左右フロート
と中央のセンサーフロートを後部側の横向き軸芯
まわりで上下揺動自在に設けるとともに、前記セ
ンサーフロートに対して、その前部側を下降方向
に付勢し、かつ、その付勢力を変更設定自在な付
勢力変更設定機構を設け、さらに、前記センサー
フロートの上下揺動に伴つてそのフロートを設定
姿勢に推持すべく苗植付け装置を自動的に駆動昇
降させる機構を設けるとともに、前記苗植付け装
置の全体を走行機体に対して前後軸芯まわりでロ
ーリング自在に装着してある田植機に関する。

この種の田植機は、センサーフロートの姿勢変
化に追随して苗植付け装置が自動的に駆動昇降さ
れるので、耕盤深さの変化や泥面の凹凸変化に拘
らず苗植付け深さの安定化を図るに有効であり、
しかも、苗植付け装置の全体がローリング自在に
構成されているので、走行機体の左右傾動による
苗植付け装置の左右端部での、苗植付け深さのア
ンバランスの発生を少なくできる点でも有用であ
る。

しかしながら、従来では、苗植付装置に対して
左右フロートも中央のセンサーフロートも、同様
な取付け状態で単に並設していたものであるた
め、苗植付け装置のローリング時に左右フロート
が充分な沈下抵抗を生じるように、その左右フロ
ートの重心に近い前後方向での中央部に苗植付け
装置のローリング時の荷重をかけるようにする
と、つまり、フロート前後方向での中央部にフロ
ートの揺動中心を設定すると、耕盤凹部への車輪
の落ち込みによるフロート前端の前上り揺動が、
揺動中心よりも後方側に長く延びるフロート接地
部の大きな沈下抵抗によつて阻害され、センサー
フロートの昇降制御の応答感度が鈍くなる欠点が
有つた。このような欠点を解消するには、各フロ
ートの揺動中心を全体にフロートの後端側に寄せ
てセンサーフロートの感度を良くする、あるい
は、苗植付装置の支持や整地を行うフロートとは
別個にセンサーを設ける、等の手段が考えられる
が、前者のように揺動中心をずらせる手段では、
苗植付け装置のローリング時における左右フロー
トの沈下抵抗が減少して、所期のローリング抑制
の効果が減少してしまう問題があり、後者のよう
に別センサーを用いる手段では、部品点数の増大
化を招くとともに、センサーによる検出位置が、
フロート設置位置を避けるために苗植付け箇所か
ら離れた位置となる傾向があつて、正確な植付け
深さを検出し難いという問題もある。

本発明は、苗植付け装置の支持や植付け面の整
地のために用いられるフロートの、苗植付け装置
に対する取付け方を工夫するだけの簡単な構成
で、苗植付け装置のローリングの防止、ならび
に、センサーフロートによる昇降制御の応答性の
向上を図り、さらに、苗植付け泥土の硬軟状況に
応じて適切な自動制御が行えるようにすることを
目的とする。

上記目的を達成するための本発明の特徴とする
構成は、前記中央のセンサーフロートに対する前
記横向き軸芯の配設位置をフロート後端寄りに位
置させるとともに、左右フロートに対する横向き
軸芯の配設位置をフロート前後方向での中央寄り
に位置させて、前記揺動軸芯に対するセンサーフ
ロートの接地後縁までの突出長さを、前記左右フ
ロートの接地後縁までの突出長さよりも短く構成
し、さらに、前記センサーフロートの設定姿勢を
変更する設定姿勢変更機構を設けるとともに、前
記付勢力変更設定機構と前記設定姿勢変更機構
を、付勢力を大にする変更設定に伴つて自動的か
つ可逆的に、前記センサーフロートの設定姿勢が
前上りになるべく連動連結した点にあり、かかる
構成から次の作用効果を奏する。

すなわち、苗植付け装置に対するフロートの取
付け方を、そのフロートに対する揺動中心との関
連で、左右フロート側では、その揺動中心からの
接地後縁までの長さを長くする事によつて、ロー
リングに抗して苗植付け装置を安定的に支持させ
る事ができるとともに、中央のセンサーフロート
側では、その揺動中心からの接地後縁までの長さ
を短くして、フロート後部の沈み込みによる泥押
え反力が小さくなるように構成する事により、耕
盤凹部への車輪の沈み込みによるセンサーフロー
トの前上り揺動を感度良く行わせられ、それによ
つてセンサーフロートの上下動を制御基準とする
苗植付け装置の昇降制御の応答性を高められるよ
うになつた。

そして、苗植付け泥土が硬質の場合には付勢力
を大にして、フロートの上下揺動を基にする自動
昇降機構の制御感度を鈍くし、泥面の凹凸をフロ
ートの押え込みによつて均平にさせて泥面凹凸が
自動制御系の制御基準にならないようにすると共
に、同時に、フロートを前上りに姿勢設定して泥
面の凹凸に対する乗り上げを良好に行わせるよう
にし、そして逆に、泥土が軟質の場合は付勢力を
小にして制御感度を敏感にし、フロートの上下揺
動に伴う昇降機構の追従性を高めると共に、同時
に、フロート後部側の沈み込みによる泥面のかく
乱などのトラブルを回避させるべく、前記フロー
トを水平気味に姿勢設定して、苗植付け泥土の硬
軟に応じて適切な制御が行える。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

左右の操向用前輪１，１と駆動後車輪２，２を
ケース３に内装のギアトランスミツシヨンで連動
連結し、前記左右の前車輪１，１を前後水平軸芯
まわりで背反昇降自在に設けると共に、エンジン
４を搭載したフレーム５を前記ミツシヨンケース
３の前部側に連結し、前記左右後車輪２，２間に
搭乗座席６を設けると共に、その前部に操縦部７
を配置して、走行機体８を構成し、そして昇降用
駆動装置９を連結した四連リンク機構１０を介し
て機体後方に、駆動昇降自在にかつ前後軸芯まわ
りでローリング自在に苗植付け装置１１を連設し
て、乗用型の田植機を構成してある。

前記苗植付け装置１１を構成するに、前記リン
ク機構１０に対してローリング自在に連結された
植付けケース１２に、苗植付け装置支持用の左右
フロート１３ａ，１３ｂと中央のセンサーフロー
ト１３ｂを横方向に間隔をへだてて並設すると共
に、前記ミツシヨンケース３の動力取出軸１４と
植付けケース１２の入力軸１５を連動連結し、そ
して左右方向に一定ストロークで往復移動する苗
のせ台１６と、フロート通過後の泥面に側面視に
おいて同一位置に苗を植付ける機構１７…を設け
てある。

前記センサーフロート１３ｂを前記苗植付けケ
ース１２に取付けるに、第２図に示すように、ロ
ツド１８で連結された一対のＬ字状アーム１９，
２０を、前記植付けケース１２に対してその前後
に横軸まわりで揺動固定自在に取付け、前部側ア
ーム１９とフロート前部のブラケツト２１を腰折
れリンク機構２２を介して連結すると共に、後部
側アーム２０とフロート後部のブラケツト２３を
横軸２４を介して枢支連結してあり、前記左右の
フロート１３ａをケース１２に取付けるに、前記
後部側アーム２０の枢支軸５３を植付けケース１
２の横方向に延設して、その軸５３の両側部分に
アーム５４…を固着し、このアーム５４の遊端と
フロート後部側のブラケツト５５を、前記センサ
ーフロート１３ｂの横向き揺動軸芯Ｐと同芯状の
横軸５６で枢支連結すると共に、フロート前部側
のブラケツト５７と植付けケース１２を腰折れリ
ンク５８を介して連結してあり、そして前記枢支
軸５３に、ほぼ上下軸芯まわりで腰折れ自在な操
作具５９を連設すると共に、前記枢支軸５３まわ
りの係合部を形成したガイド６０をケース１２に
取付け、かつ前記係合部に係合する部材ｅを腰折
れ操作具５９に設けると共に、その部材ｅを係合
方向に付勢するツル巻きバネを操作具５９の腰折
れ部分に設け、もつて枢支軸５３まわりでの操作
具５９の揺動位置変更固定によつてフロート１３
ａ，１３ａ，１３ｂの上下揺動軸芯を同時に上下
方向に位置変更させる事により、それに追従して
センサーフロート１３ｂの前部側アーム１９と腰
折れリンク機構２２の連結軸芯が上下に位置変更
され、センサーフロート１３ｂを平行移動させる
状態で苗植付け深さを変更できるようにしてあ
る。

前記左右のフロート１３ａの上下揺動軸芯Ｐ
は、それらの左右フロート１３ａの後端寄りに位
置されていて、その上下揺動軸芯Ｐからの接地後
縁までの突出長さｌを十分長くして、苗植付け装
置１１を安定的に支持できるようにすると共に、
前記センサーフロート１３ｂの揺動軸芯Ｐは、そ
のフロート前後方向での中央寄りに位置されてい
て、揺動軸芯Ｐからの接地後縁までの突出長さl₁
を前記左右フロート１３ａの突出長さｌよりも短
かくして、センサーフロート１３ｂの沈み込みに
よるその前部側フロート部分の前上り揺動を敏感
に行なわせられるようにしてある。

第１図ないし第３図に示すように、前記センサ
ーフロート１３ｂの前部側を下降方向に付勢する
機構２５を、その付勢力を人為的に変更設定自在
に設け、前記フロート１３ｂの上下揺動に伴つて
そのフロート１３ｂを設定姿勢に維持すべく前記
苗植付け装置１１を自動的に駆動昇降させる機構
２６を設け、前記フロート１３ｂの設定姿勢を変
更する機構２７を設け、かつ前記付勢力変更設定
機構２５と設定姿勢変更機構２７を連動機構４３
で連動連結して、付勢力の変更設定とフロート１
３ｂの設定姿勢の変更を１本の操作具２８で同時
的に行なえるようにしてある。

前記付勢力変更設定機構２５を構成するに、前
記腰折れリンク機構２２において、その下部リン
ク２２ａを腰折れ軸芯よりも延長させ、かつ、上
部リンク２２ｂをアーム１９に対する連結軸芯よ
りも延長させると共に、その延長部に部材２を連
設し、そして前記操作具２８を前記座席６の一側
において横軸３０まわりで揺動自在に設けて、そ
の操作具２８に連動のアーム４７と前記下部リン
ク２２ａの延長部にわたつて、インナーワイヤ３
１ａとそれに連設の引つ張りスプリング３２を、
そのスプリング３２を下部リンク側に連結して設
け、かつアウターワイヤ３１ｂを、前記連動アー
ム４７の近くに配置の固定部材３３と前記連設部
材２９にわたつて設けてある。

前記苗植付け装置昇降機構２６を構成するに、
前記駆動装置９を、四連リンク機構１０の上部リ
ンク１０ａに連結のシリンダ３４と、それの制御
用バルブ３５から構成して、そのバルブ３５に対
する操作部としてのスプール３５ａを押し引き操
作するためのシフトフオーク３６を軸３７に設け
ると共に、その軸３７に戻しバネ５２を付設した
アーム３８を連設して、このアーム３８と前記下
部リンク２２ａの中間部をインナーワイヤ３９ａ
で連結し、そして後述する姿勢変更機構２７のホ
ルダー４１と前記上部リンク２２ｂのアーム連結
部近くにわたつてアウターワイヤ３９ｂを連結し
て、もつて耕盤の凹凸による前記フロート１３ｂ
の上下揺動に伴つて苗植付け装置１１を駆動昇降
させて、そのフロート１３ｂを設定姿勢に自動的
に維持させるようにしてある。

前記シフトフオーク軸３７に操作具４８のボス
４９を外嵌し、かつその操作具４８を、前記座席
６に対して前記付勢力設定用操作具２８とは反対
側に位置させると共に、ボールデテント機構５０
によつてバルブスプール３５ａを中立状態に維持
するアーム５１をボス４９に連設し、もつてフロ
ート１３ｂの下降付勢力に抗するボールデテト機
構５０の作用で苗植付け装置１１の持上げ位置を
固定できると共に、前記フロート１３ｂの下降付
勢力に抗する操作具４８の操作で苗植付け装置１
１を人為的に駆動上昇させる事ができ、かつ前記
アーム５１をスプール操作域から外す事によつ
て、前記自動昇降機構２６がフロート１３ｂの上
下揺動に追従する自動制御の形態に切換えられる
ようにしてある。

前記姿勢変更機構２７を構成するに、前記操作
具２８の揺動軸３０に平行する軸４０にアウター
ワイヤ係合用のＵ字状のホルダー４１を遊嵌する
と共に、前記ホルダー４１の外部側に位置させて
固定部材４２を前記軸４０に設け、かつこの固定
部材４２に軸４０まわりの長孔ａを穿設すると共
に、その長孔ａを通して前記ホルダー４１に螺合
するボルトｂを設けて、前記ホルダー４１の軸４
０まわりでの揺動位置の固定操作により、前記イ
ンナーワイヤ３９ａの伸び吸収操作を機体外部側
から操作性良く行なえるようにし、そして前記軸
４０の他端側と前記操作具２８の夫々にアーム４
４，４５を連設すると共に、そのアーム４４，４
５どうしを部材４６で連動連結し、このアーム４
４，４５と連動部材４６を連動機構４３として、
１本の操作具２８の揺動操作により、前記付勢力
変更設定機構２５の付勢力を大にする変更設定に
伴つて自動的かつ可逆的に、フロート１３ｂの設
定姿勢が前上りになるようにしてある。

前記連動機構４３において、アーム４７に対す
るインナーワイヤ３１ａの連結孔ｃ…、及びアー
ム４４に対するアウターワイヤ３９ｂに連係の連
動部材４６の連結孔ｄ…を、夫々軸３０を中心に
半径方向に間隔をへだてて設け、その連結箇所の
変更によつて、前記操作具２８による付勢力とフ
ロート設定姿勢角度の連動相関を設定変更自在に
構成してある。

尚、本発明を歩行型の田植機に適用させるも良
い。

また、前記センサーフロート１３ｂにおいて、
第４図に仮想線で示すように、フロート長手方向
に位置変更固定自在なフロート部分ｆを設けて、
センサーフロート１３ｂの上下揺動の感度を調節
設定できるように構成するも良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る田植機の実施例を示し、第
１図は全体側面図、第２図は制御系統図であり、
第３図は操作具関係の詳細図である。第４図はフ
ロートの配置平面図であり、第５図は左右フロー
トの側面図である。 １１…苗植付け装置、１３ａ…左右フロート、
１３ｂ…センサーフロート、２５…付勢機構、２
６…昇降機構、２７…姿勢変更機構、ｌ，l₁…突
出長さ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 苗植付け装置支持用の左右フロート１３ａと
   中央のセンサーフロート１３ｂを後部側の横向き
   軸芯Ｐまわりで上下揺動自在に設けるとともに、
   前記センサーフロート１３ｂに対して、その前部
   側を下降方向に付勢し、かつ、その付勢力を変更
   設定自在な付勢力変更設定機構２５を設け、さら
   に、前記センサーフロート１３ｂの上下揺動に伴
   つてそのフロート１３ｂを設定姿勢に維持すべく
   苗植付け装置１１を自動的に駆動昇降させる機構
   ２６を設けるとともに、前記苗植付け装置１１の
   全体を走行機体８に対して前後軸芯まわりでロー
   リング自在に装着してある田植機において、前記
   中央のセンサーフロート１３ｂに対する前記横向
   き軸芯Ｐの配設位置をフロート後端寄りに位置さ
   せるとともに、左右フロート１３ａに対する横向
   き軸芯Ｐの配設位置をフロート前後方向での中央
   寄りに位置させて、前記揺動軸芯Ｐに対するセン
   サーフロート１３ｂの接地後縁までの突出長さl₁
   を、前記左右フロート１３ａの接地後縁までの突
   出長さｌよりも短く構成し、さらに、前記センサ
   ーフロート１３ｂの設定姿勢を変更する設定姿勢
   変更機構２７を設けるとともに、前記付勢力変更
   設定機構２５と前記設定姿勢変更機構２７を、付
   勢力を大にする変更設定に伴つて自動的かつ可逆
   的に、前記センサーフロート１３ｂの設定姿勢が
   前上りになるべく連動連結してある事を特徴とす
   る田植機。