JPH0126415B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はＶベルト式無段変速機等に用いる伝動
Ｖベルトに関するものである。

この種伝動Ｖベルトとしては、例えば特開昭55
−100443号公報に開示されているようなものが知
られている。この伝動Ｖベルトは第１図及び第２
図に示すように複数のバンド素子１ａ，１ｂ，１
ｃ，１ｄを層状に重ね合せてなるエンドレスバン
ド１を具え、該エンドレスバンドをその幅方向に
抱持し、その内周面（最内側におけるバンド素子
１ｄの内周面）と摩擦接触する多数のＶ形ブロツ
ク２をエンドレスバンド１の長手方向に隙間なく
配列して設けた構成にする。

かかる伝動Ｖベルトは、Ｖ形ブロツク２の両側
傾斜面２ａを第２図に示す如くプライマリプーリ
３及びセカンダリプーリ４のＶ溝対向面５に摩擦
係合させて、これら両プーリ３，４間に第１図の
如く掛け渡すことにより実用に供する。この実用
中、プライマリプーリ３の回転はそのＶ溝対向面
５と摩擦係合するＶ形ブロツク２、エンドレスバ
ンド１、セカンダリプーリ４のＶ溝対向面５と摩
擦係合するＶ形ブロツク２を介してセカンダリプ
ーリ４に伝達され、伝動Ｖベルトは所定の動力伝
達機能を司どるが、ここでプライマリプーリ３の
Ｖ溝対向面５を相対的に接近又は遠去けると同時
にセカンダリプーリ４のＶ溝対向面５を相対的に
同量だけ離反又は接近させることにより、伝動Ｖ
ベルトと両プーリ３，４との摩擦係合円弧径を変
えれば、両プーリ３，４間の伝動比が連続的に変
化し、無段変速機として構成可能である。

そして、各Ｖ形ブロツク２は第２図に示すよう
に、ベルト走行方向両側に配して突起２ｂ及び窪
み２ｃを有し、突起２ｂを一側に隣接したＶ形ブ
ロツク２の窪み２ｃに貫入させると共に、窪み２
ｃに他側に隣接したＶ形ブロツク２の突起２ｂを
貫入させる。これにより各Ｖ形ブロツク２はベル
ト走行方向に対し直角な方向の位置を両側のＶ形
ブロツク２により規制され、この方向にＶ形ブロ
ツク２同志の位置ずれを生じないよう工夫してあ
る。

しかして、伝動Ｖベルトはその製造中及び使用
中を問わず、その耐久性向上のためにＶ形ブロツ
ク２の板厚合計値からエンドレスバンド１の周長
を減じたタイト代を最適値に調整しておく必要が
あり、当該作業は１個のＶ形ブロツク２をタイト
代が最適となるような板厚のものと交換してこれ
を行なうのが普通である。

しかし、上記従来の伝動Ｖベルトにあつては、
各Ｖ形ブロツク２が突起２ｂ及び窪み２ｃにより
隣接したＶ形ブロツクに係合した状態で隙間なく
配列されているため、タイト代調整作業に当り１
個のＶ形ブロツクを引抜くことができず、従つて
エンドレスバンド１を各Ｖ形ブロツク２から一旦
外し、各Ｖ形ブロツク２をばらばらにした後再組
立てする際に１個のＶ形ブロツクを他の板厚のも
のと交換する手順に頼らざるを得ず、タイト代調
整作業が頗る面倒であつた。

本発明はかかる従来の問題点に着目し、１個の
Ｖ形ブロツクをタイト代調整用に伝動Ｖベルト組
立状態のままでも取外しできるように構成し、も
つて上記問題点を解決した伝動Ｖベルトを提供し
ようとするものである。

以下、図示の実施例により本発明を詳細に説明
する。

本発明においては、第３図乃至第５図に示すよ
うな３種のＶ形ブロツク６〜８を用意する。

Ｖ形ブロツク６は第３図に示すように、プーリ
Ｖ溝対向面５に摩擦係合する両側傾斜面６ａと、
一対のエンドレスバンド１（第１図及び第２図参
照）が摩擦接触するバンド接触面６ｂとを有す
る。Ｖ形ブロツク６には更に、バンド接触面６ｂ
間より立上がり、エンドレスバンドの外周面にか
ぶさつてこれをその幅方向に抱持するフツク６ｃ
を一体に設けると共に、該フツクのベルト走行方
向両側に突起６ｄ及び窪み６ｅを設ける。

Ｖ形ブロツク７も第４図に示すように上記Ｖ形
ブロツク６と同じ形状及び同じ寸法に構成し、プ
ーリＶ溝対向面５（第２図参照）に摩擦係合する
両側傾斜面７ａと、一対のエンドレスバンド接触
面７ｂと、エンドレスバンドをその幅方向に抱持
するフツク７ｃと、突起７ｄとを有する。しか
し、Ｖ形ブロツク７にはＶ形ブロツク６の窪み６
ｅのような窪みを設けず、この代りに突起７ｄと
同様な突起７ｅを突起７ｄに整列させてこの突起
と反対のフツク７ｃの側に設ける。

Ｖ形ブロツク８は第５図に示すように、Ｖ形ブ
ロツク６，７と同じくプーリＶ溝対向面５（第２
図参照）に摩擦係合する両側傾斜面８ａと、一対
のエンドレスバンド接触面８ａとを有するも、フ
ツクや突起や窪みを設けず、バンド接触面８ｂ間
より立上がる隆起部８ｃを一体に設ける。そし
て、隆起部８ｃの隆起端面に開口する切欠き溝８
ｄを形成し、この切欠き溝はその底部を第５図ｂ
に８ｅで示す如く直角方向に屈曲させると共に、
幅をＶ形ブロツク６，７の突起６ｄ，７ｅが第５
図ｂに仮想線で示す位置へ侵入可能な大きさとす
る。

このように構成したＶ形ブロツク６〜８は第６
図及び第７図のように配列して１本の伝動Ｖベル
トを組立てる。なお、これらの図では図面が判り
易くなるようにＶ形ブロツク間に隙間があるよう
にして描いたが、実際にはＶ形ブロツク間は前記
のタイト代を持つて密接されている。

１本の伝動Ｖベルトを組立てるに当つては、Ｖ
形ブロツク７，８を各１個用意し、他は全てＶ形
ブロツク６でまかなう。そして、Ｖ形ブロツク６
を順次同じ向きにして、その突起６ｄを隣りのＶ
形ブロツク６の窪み６ｅ内に貫入させつつ組合せ
てゆき、このようにして組合せた各Ｖ形ブロツク
６をループ状に配列する。これにより向い合うこ
ととなつた一対のＶ形ブロツク６−１及び６−２
はＶ形ブロツク６−１の窪み６ｅとＶ形ブロツク
６−２の突起６ｄとが向い合い、Ｖ形ブロツク６
−１の窪み６ｅにＶ形ブロツク７の突起７ｄを貫
入させてＶ形ブロツク７を組付ける。その後各ブ
ロツク６，７のバンド接触面６ｂ，７ｂにエンド
レスバンド１を当てがつてこれらエンドレスバン
ドの組付けを行ない、この状態でＶ形ブロツク８
をエンドレスバンド１の内周側からＶ形ブロツク
６−２及び７間に押入、介挿する。この時Ｖ形ブ
ロツク６−２の突起６ｄ及びＶ形ブロツク７の突
起７ｅを切欠き溝８ｄの開口部より侵入させ、そ
の後Ｖ形ブロツク８を第６図中下方に押動させて
突起６ｄ，７ｅを切欠き溝屈曲底部８ｅ内に貫入
させると共に、Ｖ形ブロツク８を隣接ブロツク６
−２，７に整列させる。

かくて、各Ｖ形ブロツク６，７，８は相互に整
列した位置に抑止され、ベルト走行方向に対し直
角な方向の各Ｖ形ブロツク同志の位置ずれを生ず
ることがなく、プーリ３，４（第１図参照）間に
掛け渡して実用する時、これらプーリに各Ｖ形ブ
ロツク６，７，８が衝突して生じる騒音および各
Ｖ形ブロツク６，７，８の対向面の摩耗を防止で
きる。

そして、タイト調整に当つては、Ｖ形ブロツク
８を前記組立ての場合と逆の順序で逆の方向へ押
動することによりエンドレスバンド１の内周側に
引抜くことができ、これを伝動Ｖベルトの分解な
しに、即ちエンドレスバンド１を一旦外して各Ｖ
形ブロツクをばらばらにしなくても行なえる。そ
の後、所定のタイト代が得られる別の厚さのブロ
ツク８を上記組立て時と同様にしてＶ形ブロツク
６−２及び７間に押圧、介挿することにより、タ
イト代調整が完了し、この作業も伝動Ｖベルトの
分解なしに、即ち各Ｖ形ブロツクをばらばらにし
ないで行なうことができる。

かくして、本発明伝動Ｖベルトは上述の構成に
より、１個のＶ形ブロツク８をタイト代調整用に
伝動Ｖベルト組立状態のままでも着脱できるよう
にしたから、当該Ｖ形ブロツク８を厚さの適切な
ものと交換してタイト代調整する作業を、伝動Ｖ
ベルトの分解なしに行なえ、この作業が極めて簡
単となる。

なお、上述した例ではＶ形ブロツク８の隆起部
８ｃにおける切欠き溝８ｄに屈曲底部８ｅを設定
して、切欠き溝８ｄに侵入した突起６ｄ，７ｅの
外脱を防止するよう構成したが、この代りに第８
図の構成にしてもよい。本例では、切欠き溝８ｄ
の底部を屈曲させず、これに第８図ｂの如く侵入
した突起６ｄ，７ｅの上方において切欠き溝８ｄ
を横切る透孔８ｆを隆起部８ｃに形成し、これら
透孔に押込んだピン９により夫々突起６ｄ，７ｅ
が切欠き溝８ｄから外脱するのを防止する。

かかる本例の構成においても、ピン９を取外し
た状態でＶ形ブロツク８をタイト代調整に当りエ
ンドレスバンド１の内周側からＶ形ブロツク７及
び６−２間に押入させることができ、これを伝動
Ｖベルトの分解なしに行なえることから、前記実
施例と同様本発明の目的を達することができる。
なお、ピン９は図示例のように２本でなくとも突
起６ｄ，７ｅと係合可能であれば一本でもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の伝動Ｖベルトを一対のプーリ間
に掛け渡して示す側面図、第２図ａは同じくその
Ｖ形ブロツクの正面図、第２図ｂは同Ｖ形ブロツ
クの側面図、第３図は本発明伝動Ｖベルトに用い
るＶ形ブロツクで、第３図ａ、第３図ｂ、第３図
ｃは夫々その平面図、正面図、側面図、第４図は
本発明伝動Ｖベルトに用いる他のＶ形ブロツク
で、第４図ａ、第４図ｂ、第４図ｃは夫々その平
面図、正面図、側面図、第５図は本発明伝動Ｖベ
ルトに用いる更に他のＶ形ブロツクで、第５図ａ
第５図ｂ、第５図ｃは夫々その平面図、正面図、
側面図、第６図は本発明伝動Ｖベルトのタイト代
調整部を示す平面図、第７図は同じくその側面
図、第８図は第５図に示すＶ形ブロツクの変形例
で、第８図ａ、第８図ｂ、第８図ｃは夫々同Ｖ形
ブロツクの平面図、正面図、側面図である。 １……エンドレスバンド、３，４……プーリ、
５……プーリＶ溝対向面、６〜８……Ｖ形ブロツ
ク、６ａ，７ａ，８ａ……両側傾斜面、６ｂ，７
ｂ，８ｂ……バンド接触面、６ｃ，７ｃ……フツ
ク、６ｄ，７ｄ，７ｅ……突起、６ｅ……窪み、
８ｃ……隆起部、８ｄ……切欠き溝、８ｅ……切
欠き溝屈曲底部、８ｆ……透孔、９……ピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ エンドレスバンドを具え、該エンドレスバン
   ドの内周面と摩擦接触する多数のＶ形ブロツクを
   エンドレスバンドの長手方向へ隙間なく配列して
   設け、前記各Ｖ形ブロツクの両側傾斜面を夫々プ
   ーリのＶ溝対向面に摩擦係合させて用いる伝動Ｖ
   ベルトにおいて、前記Ｖ形ブロツクのうち相隣れ
   る２個を残して他のＶ形ブロツクに夫々ベルト走
   行方向両側に配して突起及びこの突起が貫入する
   窪みを設け、前記２個のＶ形ブロツクのうち一方
   のＶ形ブロツクのベルト走行方向両側に夫々、該
   一方のＶ形ブロツクに隣接する前記他のＶ形ブロ
   ツクのうちの１個のＶ形ブロツクに形成した前記
   窪みに貫入する突起及び別の突起を設けると共
   に、他方のＶ形ブロツクに、これを前記エンドレ
   スバンドの内側から該Ｖ形ブロツクに隣接する前
   記他のＶ形ブロツクのうちの１個のＶ形ブロツク
   及び前記一方のＶ形ブロツク間に挿入する時、こ
   れら両ブロツクの前記突起及び前記別の突起が侵
   入可能な切欠き溝を設け、該切欠き溝に侵入した
   両突起の外脱を防止する手段を前記他方のＶ形ブ
   ロツクに設け、該他方のＶ形ブロツクを除く全て
   のＶ形ブロツクに前記エンドレスバンドの外周面
   にかぶさつて該エンドレスバンドをその幅方向に
   抱持するフツクを設けたことを特徴とする伝動Ｖ
   ベルト。