JPH0123328Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は枕に関し、より詳しくは適度のクツシ
ヨン性と良好な通気性とを兼備した枕に関する。

〔従来技術〕

人間に安眠をもたらす上で枕が非常に重要な役
割を担つていることは、例えば旅先などで日頃使
い慣れない枕を使用した際、なかなか寝つかれな
かつたり、寝起きが悪かつたりするなどの経験を
通じて誰しもが熟知しているところである。

そして、使用感の良い理想的な枕を追及して従
来からその充填物に種々の工夫を凝らされてきて
おり、例えばクツシヨン性を得るために充填物と
して綿のみならず羽毛やパンヤ、スポンジなどが
用いられたり、通気性を得るためにそば殻類や豆
類が充填物として用いられたりしている。また頭
を冷やすという観点から冷却性を重視した陶器枕
も提供されている。

しかしながら、これらの従来例については、ク
ツシヨン性が良すぎて頭が不安定となつたり、通
気性は良いとしてもクツシヨン性が悪かつたり、
充填物に虫が湧いて長期の使用に耐え得なかつり
するなど、理想的な枕からは程遠いのが実情であ
つた。

一方、本考案の出願人は、従来例としての枕に
みられた種々の問題点を解決するものとして、既
に実願昭59−101297号に係る枕を提案している。

第４図を参酌してこれをさらに詳しく説明すれ
ば、粒状物２２を充填した通気性を有する袋体２
１とクツシヨン材２３とを積層し、これを通気性
を有する外皮２４で覆つてなる枕がこれであり、
前記粒状物２２を充填した通気性を有する袋体２
１の中はテープ２５により独立した多数の室２６
に区画されており、これらの各室２６にはそれぞ
れ粒状物２２が充填されてなるものである。な
お、図中の２７は袋体２１を構成する布地、２８
と２９とは縫着部を示す。

したがつて、上記の枕によればクツシヨン材２
３の存在により適度なクツシヨン性が得られる一
方で、粒状物２２を充填した袋体２１がクツシヨ
ン材２３に積層されているために適度な硬さを得
ることができ、しかも通気性にも優れたものとな
つている。

しかし、クツシヨン材２３として使用する素材
は従来からある綿や羽毛などであるため、クツシ
ヨン性が良すぎる傾向があつたり、あるいは通気
性の点で改良の余地があるなど未だ解決すべき課
題を残すものであつた。

また、実開昭54−65714号公報には、発泡体か
らなるクツシヨン芯材を被覆体で圧縮被覆し、該
被覆体外袋は通気性を有し、且つ枕の長辺方向に
複数のポケツトを画成し、該ポケツトの空隙にポ
リエチレンビーズを充填した枕が示されている。
しかし、この公知の枕において、ポリエチレンビ
ーズは通気性に欠け、発泡体芯材を圧縮被覆して
程良いクツシヨン性をもたせるのは困難である。

また、実開昭52−102419号公報には、クツシヨ
ン材を充填した複数の小袋を枕用袋本体に収納し
た枕が示されている。しかし、この公知の枕で
は、通気性に欠け、クツシヨン性が良すぎて頭が
不安定になる。

また、実開昭51−16612号公報には、難燃性合
成樹脂小片と発泡樹脂とを２層に分離して封入し
た枕が示されている。しかし、この公知の枕で
は、頭により合成樹脂小片の位置ずれが生じ、頭
の当る部分が凹没しすぎて使用後に復元しない不
具合がある。

〔考案の目的〕

したがつて本考案の目的は、通気性と程良いク
ツシヨン性とを備えた枕を提供するにある。

〔考案の構成〕

本考案によれば、通気性を有する外袋の中に通
気性を有する中袋を設け、該中袋に通気性を有す
るテープ材により複数の隔室を画成するととも
に、該中袋の上布部を前記外袋の上布部に縫着し
刺し縫い部を形成して外布の上布部にキルテイン
グ加工を施し、前記隔室に小孔を有する粒状物を
充填し、前記外袋の中袋を除く内部空間に可撓筒
状物を充填している。

上記小孔を有する粒状物には、多孔質のセラミ
ツク粒、あるいは小孔が穿設されたプラスチツク
粒、ガラス粒などを用いるのが好ましい。

また、上記可撓筒状物には、中低圧ポリエチレ
ンパイプなどで形成された例えば外径が約８mm程
度の合成樹脂材を例えば約10mm程度の長さに切断
したチツプ片を用いるのが好ましい。

〔実施例〕 以下、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

外袋１は上布部２と下布部３とから構成され、
その側縁相互に縫合部４を有して形成されるもの
であり、通気性を有する布地が使用される。

前記外袋１の中には、これも通気性を有する布
地などを用いて形成された中袋５が配備される。
この中袋５は、上布部６と下布部７との間に通気
性のある布製テープなどのテープ材８が縫着され
て区画形成された複数の隔室９を有している。隔
壁として機能するテープ材８の上布部６の縫い付
け位置から下布部７の縫い合せ部１０までの立上
り幅は約８mm程度が好適であるが、必ずしもこれ
に限定されるものではない。

外袋１内に配備された中袋５は、両者の上布部
２，６相互が一体的に縫着され、外袋１の上布部
２にはキルテイングとしての複数条の刺し縫い部
１１が形成される。もちろん、この刺し縫い部１
１は、中袋５の上布部６にテープ材８の一側縁を
縫着する際に外袋１の上布部２とも同時的に縫着
することで形成するものであつてもよい。また中
袋５における上布部６と下布部７との側縁相互の
縫着は第２図に示すように外袋１の上布部２と一
体的に行つて縫着部１２を形成するのが好ましい
が、必ずしもこれに限らず、外袋１の上布部２と
は別体として縫着するものであつてもよい。

このようにして形成された外袋１と中袋５との
うち、中袋５の各隔室９にはそれぞれ粒状物１３
が充填される。この粒状物１３は、直径が10mm程
度の多孔質のセラミツク粒なとが好ましい。一
方、外袋１にあつて、粒状物１３が充填された中
袋５を除く内部空間には可撓筒状物１４が充填さ
れる。

この可撓筒状物１４は、第３図に示すように外
径が約８mm程度で長さが約10mm前後の円筒状に形
成された中低圧ポリエチレンパイプが好ましい。

〔考案の効果〕

このようにして構成された枕は、粒状物が充填
された中袋が外袋に一体的に縫着されているので
位置ずれせず、使用者の頭に良くなじませること
ができ、しかも粒状物の存在により通気性が良く
熱の放散も早く、かつ睡眠中に粒状物が首すじな
どに圧接することから指圧効果も期待することが
できる。またクツシヨン材としての可撓筒状物は
従来のクツシヨン材に比較して通気性が非常によ
く、さらには粒状物と一体となつて適度な硬さを
伴つた程良いクツシヨン性を得ることができる。

特に可撓筒状物は押圧力を解除した後の復元力
に優れ、その素材としての性質と相俟つて長期に
亘つて常に新しさを失わずに使用することがで
き、人々に安眠をもたらす優れた効果を奏するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面中、第１図ないし第３図は本考案の実施例
を示し、第１図は全体斜視図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ線拡大断面図、第３図は可撓筒状物の斜視
図であり、第４図は従来の枕の部分拡大断面図を
示す。 １……外袋、２……上布部、３……下布部、４
……縫合部、５……中袋、６……上布部、７……
下布部、８……テープ材、９……隔室、１０……
縫い合せ部、１１……刺し縫い部、１２……縫着
部、１３……粒状物、１４……可撓筒状物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 通気性を有する外袋の中に通気性を有する中袋
   を設け、該中袋に通気性を有するテープ材により
   複数の隔室を画成するとともに、該中袋の上布部
   を前記外袋の上布部に縫着し刺し縫い部を形成し
   て外布の上布部にキルテイング加工を施し、前記
   隔室に小孔を有する粒状物を充填し、前記外袋の
   中袋を除く内部空間に可撓筒状物を充填したこと
   を特徴とする枕。