JPH0123327B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本発明は、コンバイン等のクローラー式走行装
置を持つた移動車両の変速装置に関する発明であ
る。

(ロ) 従来技術 従来から油圧クラツチ式の主変速装置を動力伝
達系統の上手側に、歯車摺動式の副変速装置を下
手側に配置した技術は、特公昭36−20963号公報
や特開昭51−85126号公報の如く公知であり、ま
たＨ型の変速ガイド溝を具備した変速装置は実開
昭55−15189号公報の如く公知とされているので
ある。

(ハ) 発明が解決しようとする問題点 本発明は、入力軸の周囲に油圧クラツチ軸を複
数本並べ、入力軸の回転をそれぞれ油圧クラツチ
軸上の油圧クラツチ装置にて変速し、前進数段・
後進数段の主変速装置を構成し、該主変速装置の
下段に歯車摺動式の副変速装置を設け、油圧クラ
ツチ式変速装置が中立位置の時に主クラツチ装置
が無くとも副変速装置の操作が出来るようにした
ものである。

また、穀稈が嵌装状態か濡れているか、とか、
水稲・麦・ビール麦・大豆等の如く対象刈取穀稈
の種類に応じて、主クラツチの切断操作無しにて
変速ガイド溝を左右に移動させて副変速を操作す
ることにより、最適の変速レンジに構成できるよ
うに、副変速操作を可能としたものである。

また、１本の主変速溝を選べばその中に作業走
行速度と路上走行速度が構成されているので、変
速レバーの一方向回動を主とした操作のみで長時
間の作業が軽快に行えるように構成したものであ
る。

(ニ) 問題を解決するための手段 本発明の目的は以上の如くであり、次に該目的
を達成する為の構成を説明すると。

入力軸１の周囲に、２本併置した前進油圧クラ
ツチ軸２，４と、その側方の後進油圧クラツチ軸
３の３本の油圧クラツチ軸を配置し、該３本の油
圧クラツチ軸上の油圧クラツチ歯車を入力軸１上
の歯車と噛合させ、後進油圧クラツチ軸３上の歯
車３２と前進油圧クラツチ軸４上の歯車３３を噛
合し、前進油圧クラツチ軸２上の歯車２６と前進
油圧クラツチ軸４上の歯車３４とが噛合する歯車
３６を有する副変速軸５を下方に配置し、該副変
速軸５上に歯車摺動式副変速装置を設け、油圧ク
ラツチ式変速装置の制御バルブの操作を縦方向と
し、歯車摺動式副変速装置の摺動歯車の操作を横
方向とした１本の変速レバー２２により操作すべ
く、レバーガイド溝をＨ型としたものである。

(ホ) 実施例 本発明の目的・構成は以上の如くであり、次に
添付の図面に示した実施例の構成を説明すると。

第１図はクローラー式走行装置を備えたコンバ
インの全体側面図である。

クローラー式の走行装置１８を駆動スプロケツ
ト１０で駆動する。

ミツシヨンケース９内の変速装置が要部であ
り、該ミツシヨンケース９の両側に突出する左右
の駆動軸８Ｌ，８Ｒに駆動スプロケツト１０が固
設されている。

コンバインは各装置が、クローラー式の走行装
置の上に搭載されている。先端に分草板１３を突
出し、該分草板１３にて分草した後に引起し装置
１２にて倒伏穀稈を引き起こす。

それと同時に株元部を刈取装置１６で刈り取
り、株元搬送装置１４にて縦搬送装置１６の下位
まで搬送する。

縦搬送装置１６にて長短稈調節し乍ら脱穀装置
１９のフイードチエーン２７へ受け継ぐ。穂先部
は上部搬送装置２３にて、脱穀装置１９の扱胴入
口まで運ばれる。脱穀装置１９内で脱穀し、排藁
チエーンにて排稈を排稈処理装置２１へ運び処理
する。

第２図はミツシヨンケース９内部の断面図、第
３図は同じく伝動線図、第４図はミツシヨンケー
ス９の軸の配置を示す図面、第５図は変速レバー
２２のレバーガイド溝を示す図面である。

ミツシヨンケース９の上部より突出した入力軸
１の端部に入力プーリー６２が設けられており、
該入力プーリー６２へエンジンからＶベルトによ
り動力が伝えられる。

第４図に示す如く入力軸１の周囲に油圧クラツ
チ装置を軸架する前進油圧クラツチ軸２、後進油
圧クラツチ軸３、前進油圧クラツチ軸４が配置さ
れる。

入力軸１上に３枚の固設歯車２４，２５，７０
が固設されており、前進油圧クラツチ軸２・後進
油圧クラツチ軸３・前進油圧クラツチ軸４上の油
圧クラツチ装置の油圧クラツチ歯車と常時噛合し
ている。

まず、入力軸１上の小径の固設歯車２５には、
前進油圧クラツチ軸２上の油圧クラツチ装置４７
の油圧クラツチ歯車２９と、後進油圧クラツチ軸
３上の油圧クラツチ装置４９の油圧クラツチ歯車
３０と、前進油圧クラツチ軸４上の油圧クラツチ
装置５１の油圧クラツチ歯車３５と同じ歯数の歯
車が常時噛合している。

又、入力軸１上の中径の固設歯車７０には後進
油圧クラツチ軸３上の油圧クラツチ装置５０の油
圧クラツチ歯車３１と、前進油圧クラツチ軸４上
の油圧クラツチ装置５２の油圧クラツチ歯車５３
と同じ歯数の歯車が２枚常時噛合している。

故に前進油圧クラツチ軸２、後進油圧クラツチ
軸３、前進油圧クラツチ軸４上の４７，４９，５
１のどの油圧クラツチ装置が接続しても同じ回転
となり、同様に油圧クラツチ装置５０，５２の油
圧クラツチ装置が接続しても同じ回転数の同じ方
向の回転となる。

ただし、前進油圧クラツチ軸２上の油圧クラツ
チ装置４８への入力回転は特に速くされている。
入力軸上の３枚の固設歯車のうち大径の固設歯車
２４が一枚だけ油圧クラツチ装置４８の油圧クラ
ツチ歯車２８と常時噛合しており、６個の油圧ク
ラツチ装置の中では特に速い回転となるように構
成されている。この油圧クラツチ式変速装置は前
進第４速の速度を得るものであり、第５図の図面
Ｆ４，Ｆ８の速度である。

Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３及びＦ５，Ｆ６，Ｆ７は刈取
等の作業の為の前進作業速度段であり、Ｆ４及び
Ｆ８は作業走行を止めて路上走行する為の前進路
上速度段に設定している。

その他の前進、後進、変速段数を変えているの
は固設歯車２６，３２，３３，３４である。

まず、後進油圧クラツチ軸３は固設歯車３２が
前進油圧クラツチ軸４上の固設歯車３３と常時噛
合しているので、副変速軸５に回転が伝えられな
い時には、前進油圧クラツチ軸４が逆転軸の役目
をし、後進油圧クラツチ軸３上の油圧クラツチ装
置は後進第１速、第２速となる。

又、前進油圧クラツチ軸２上の固設歯車２６が
副変速軸５上の固設歯車３６と常時噛合し、前進
油圧クラツチ軸４上の固設歯車３４も副変速軸５
上の固設歯車３６と常時噛合しているが、固設歯
車２６の方が大きく３４の方が小さいので前進油
圧クラツチ軸２上の油圧クラツチ装置４７，４８
は前進第２速、第４速、前進油圧クラツチ軸４上
の油圧クラツチ装置５１，５２は前進第１速、第
３速となる。

前進第１速は、入力軸１の固設歯車２５より前
進油圧クラツチ軸４上の油圧クラツチ歯車３５へ
伝わり、油圧クラツチ装置６１の接続にて、固設
歯車３４より副変速軸５上の固設歯車３６へ伝え
られる。

前進第２速は、入力軸１上の固設歯車２５より
前進油圧クラツチ軸２上の油圧クラツチ歯車２９
に伝わり、油圧クラツチ装置４７の接続により固
設歯車２６から副変速軸５上の固設歯車３６へ伝
わる。

前進第３速は、入力軸１上の固設歯車７０より
前進油圧クラツチ軸４上の油圧クラツチ歯車５３
へ伝わり、油圧クラツチ装置５２の接続により固
設歯車３４から副変速軸５上の固設歯車３６へ伝
えられる。

前進第４速は、入力軸１上の固設歯車２４より
前進油圧クラツチ軸２上の油圧クラツチ歯車２８
に伝わり、油圧クラツチ装置４８の接続により固
設歯車２６より、副変速軸５上の固設歯車３６へ
伝えられる。

後進第１速は入力軸１上の固設歯車２５より後
進油圧クラツチ軸３上の油圧クラツチ歯車３０に
伝わり、油圧クラツチ装置４９の伝動により、後
進油圧クラツチ軸３上の固設歯車３２から前進油
圧クラツチ軸４上の固設歯車３３，３４を介して
副変速軸５上の固設歯車３６へ伝えられる。

後進第２速は入力軸１上の固設歯車７０より後
進油圧クラツチ軸３上の油圧クラツチ歯車３１へ
伝わり、油圧クラツチ装置５０の接続により後進
油圧クラツチ軸３上の固設歯車３２から、前進油
圧クラツチ軸４上の固設歯車３３，３４を介し
て、副変速軸５上の固設歯車３６へ伝えられる。

次に、副変速軸５と、第６軸の間で副変速装置
が構成されている。

副変速軸５上の２連摺動歯車３８，３７のうち
小径の歯車３７が第６軸上の２連歯車３９，４０
のうち大径の方４０と噛合することにより副変速
低が得られ、３８と３９が噛合することにより副
変速高が得られる。

副変速低により、後進２速、前進４速、即ち、
Ｒ１，Ｒ２，Ｆ１，Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４の変速段が
得られ、副変速高によりＲ３，Ｒ４，Ｆ５，Ｆ
６，Ｆ７，Ｆ８が得られる。

この副変速の高低を変速レバー２２の左右回動
で副変速用摺動歯車３７，３８を摺動すべくし、
変速レバー２２の前後回動により、油圧クラツチ
式変速装置の制御バルブを動かして、６個の油圧
クラツチ装置の油路の選択をすべく構成すると、
第５図の如く変速ガイド板をＨ型に構成すること
ができる。

第６軸上には左右の油圧式走行クラツチ装置兼
油圧ブレーキ装置用の油圧シリンダー６１Ｌ，６
１Ｒが設けられており、摺動歯車４５Ｌ，４５Ｒ
を摺動させて内歯歯車４４Ｌ，４４Ｒとの噛合を
断接することにより走行クラツチを構成してい
る。

摺動歯車４５Ｌ，４５Ｒはデイスクブレーキ装
置の摩擦板の保持体も兼ねており、油圧シリンダ
ー６１Ｌ，６１Ｒの重なる側方への移動により走
行クラツチ断のあと、徐々に走行ブレーキ装置４
６Ｌ，４６Ｒが作動する。５４は駐車ブレーキ装
置である。

第７軸７上には左右の減速歯車装置４１Ｌ，４
１Ｒ，４２Ｌ，４２Ｒが設けられており、駆動輪
である第８軸８上の最終歯車４３Ｌ，４３Ｒと噛
合している。

第４図において示す如く、入力軸１の周囲に油
圧クラツチ軸である前進油圧クラツチ軸２、後進
油圧クラツチ軸３、前進油圧クラツチ軸４が配置
されており、後進油圧クラツチ軸３上の歯車は入
力軸１の入力軸１と前進油圧クラツチ軸４上の歯
車と噛合している。副変速軸５上の歯車は、前進
油圧クラツチ軸４と前進油圧クラツチ軸２上の噛
合する位置にある。

第５図は主変速と副変速の変速ガイド板６３の
レバーガイド溝を示している。

変速レバー２２の１本によりＨ型に構成すれば
前進８段、後進４段の変速を主クラツチ操作なし
で行うことができるのである。

(ヘ) 発明の効果 本発明は以上の如く構成したので、次のような
効果を奏するものである。

第１に、３本配置した前進油圧クラツチ軸２と
後進油圧クラツチ軸３と前進油圧クラツチ軸４の
中で、前進油圧クラツチ軸４が後進用の逆転軸を
兼用することが出来るので、別に逆転軸を設ける
必要がなく、軸を１本減らして後進付きの変速装
置をコンパクトに構成することが出来たものであ
る。

第２に、作業走行から路上走行への変速操作
は、副変速操作をすることなく、ガイド溝の前後
の溝内を直線的に操作するだけで済むので、操作
が簡単となるのである。

即ち、作業走行から路上走行へ移行する時はそ
のまま増速できるので、圃場から圃場への移動時
の操作能率が大幅に向上するものである。

第３に、本発明の副変速速度段は、穀稈が嵌装
状態か濡れているか、とか、水稲、麦・ビール
麦・大豆等の如く対象刈取穀稈の種類に応じて、
変速ガイド溝を左右に移動させて副変速を操作す
ることにより、最適の変速レンジに構成できるの
で、各刈取穀稈に応じた最適の速度段を設定する
ことができるのである。

第４に、１本の主変速溝を選べばその中に作業
走行速度と路上走行速度が構成されているので、
変速レバーの一方向回動を主とした操作のみで長
時間の作業が軽快に行えるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図はクローラー式き走行装置を持つた移動
車両のうちコンバインの全体側面図、第２図はミ
ツシヨンケースの断面図、第３図は変速装置の伝
動線図、第４図は軸の配置を示すミツシヨンケー
スの側面図、第５図は変速ガイド板の平面図であ
る。 １…入力軸、２…前進油圧クラツチ軸、３…後
進油圧クラツチ軸、４…前進油圧クラツチ軸、５
…副変速軸、３８，３９…副変速用摺動歯車。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 入力軸１の周囲に、２本併置した前進油圧ク
   ラツチ軸２，４と、その側方の後進油圧クラツチ
   軸３の３本の油圧クラツチ軸を配置し、該３本の
   油圧クラツチ軸上の油圧クラツチ歯車を入力軸１
   上の歯車と噛合させ、後進油圧クラツチ軸３上の
   歯車３２と前進油圧クラツチ軸４上の歯車３３を
   噛合し、前進油圧クラツチ軸２上の歯車２６と前
   進油圧クラツチ軸４上の歯車３４とが噛合する歯
   車３６を有する副変速軸５を下方に配置し、該副
   変速軸５上に歯車摺動式副変速装置を設け、油圧
   クラツチ式変速装置の制御バルブの操作を縦方向
   とし、歯車摺動式副変速装置の摺動歯車の操作を
   横方向とした１本の変速レバー２２により操作す
   べく、レバーガイド溝をＨ型としたことを特徴と
   する変速装置。