JPH0123220B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は鍔部の内周面に、鍔部にかゝる複数条
の内歯状の歯元部と直角に屈曲整列した歯末部と
を有する部品の製造方法に関する。

従来技術 第１図イのように例えば円板から内歯状で、歯
元部Waの一部を残して歯末部Wbを円筒状に屈
曲したものを製造するには、歯先が中心に向うよ
うな形状で残るようなダイとパンチの組合わせた
全型を用いて打抜き、その後歯元部Waをそのま
ま残すように少し小径の穴を穿設したダイに、板
厚分の２倍とクリヤランスの２倍分だけ小径とし
たパンチで歯末部を同一方向に折り曲げることに
よつて製造されていた。然しこのような方法で
は、部品が比較的大きなものでは歯部の長さはあ
る程度長くとれ、歯末部の長さの設定も自由であ
るが、小さな部品で歯末部の長さを比較的長く欲
しい場合には、この方法では所望の長さの歯部を
有するものは製造することができなかつた。又鍔
部の内周側から突出した円筒部を作成し、該円筒
部の周囲を鍔面側から軸方向に沿つて軸心に対し
鋭角の刃先を有するパンチを用いて剪断加工し、
歯部以外を除去する方法もある。この場合は歯末
部の長さは比較的長く製造することができるがパ
ンチとダイによる剪断加工であり、パンチとダイ
間のクリアランスが殆んど零に近いため剪断加工
による板材内の破断面Ｐは、第７図イに示すよう
にパンチ、ダイの剪断刃先より板材内に発生する
夫々の破断面Ｐの進行方向は合致することなく進
行したのち、夫々の破断面Ｐの間が最小になつた
所で切断されるので、切断部にバリが発生し易
く、面が綺麗にできず、且パンチ、ダイの工具寿
命も短かいという不都合があつた。

目 的 従つて本発明は小部品で内歯状の複数個の歯元
部Waを残して、その同じ巾の歯末部Wbを同一
方向に軸心と平行に折り曲げた歯末部Wbの長さ
の長い部品の製造において、切断部にバリの発生
がなく、且パンチ、ダイの工具寿命のながい製造
方法を提供しようとするものである。

解決手段 本発明は、部品Ｗの中間成形体Ｗ１の円錐形部
Ｗ１ｅを断面形状が部品Ｗ２の基部Ｗ２ｄの穴形
状の成形穴のテーパ部に装入し該ダイの同軸上に
位置しダイのテーパ穴のテーパ角度より鋭角のテ
ーパ角度をもち複数個の歯末部Ｗ２ｂを打抜く打
抜き刃及び歯元部Ｗ２ａを打抜く打抜き刃とを具
備した打抜きパンチにより前記中間成形体の円錐
形部Ｗ１ｅと鍔部Ｗ１ｃを内歯状に打抜き、その
後歯末部Ｗ２ｂを鍔部Ｗ２ｃに対し直角に折り曲
げるものである。

実施例 以下本発明の実施例を図面にもとづき説明す
る。第３図より第５図に示す打抜き工程は、プレ
ス機台に固定の下台１上にダイホルダ２に保持さ
れたダイ３が設置されている。ダイ３には第１図
イに示す部品Ｗの中間成形体Ｗ１即ち円形平板か
ら中心部を円錐形状に深絞りして底を打抜いた円
錐形部Ｗ１ｅを隙間のないように嵌装するテーパ
穴３ａと、このテーパ穴３ａの底に鍔部Ｗ１ｃが
ダイ３の上面３ｂに支えられた状態で円錐形部Ｗ
１ｅの先端を支える段部３ｃが形成され、続いて
円錐形体Ｗ１ｅの内径と等しい径の小径部３ｄと
なり、更に逃し穴３ｅ、大径の逃し穴３ｆとなつ
て穴が貫通され、その下方に切屑排出口３ｇが開
口されている。そしてテーパ穴３ａ、小径部３ｄ
はその軸心と直角方向の断面形状が、部品Ｗの複
数個の基部Wdを有する鍔部Wcの穴形状、即ち
本例では梅花形の５弁の花弁状をなしている。ま
た、ダイ３の上端外周は、中間成形体Ｗ１の鍔部
Ｗ１ｃの外周より小径の円筒状をなし、その部に
ノツクアウト４が摺動可能に嵌装され、ダイ３と
の間に介装されたばね５によつて常時上方に付勢
されている。ノツクアウト４はダイホルダ２に保
持されたノツクアウトガイド６によつて押し上げ
点が規制されており、このノツクアウト４の上面
から図示しない搬送具により中間成形体Ｗ１が搬
送される。一方、ダイ３と同軸上にストリツパ７
が図示しないラムに固定された上台８に締結され
たパンチホルダに取付けたスプレツダ９の穴に摺
動可能に保持されるとともに貫通穴１０が穿設さ
れ、その貫通穴１０の断面形状はダイ３の穴と同
形の梅花形の花弁状である。ストリツパ７の貫通
穴１０に嵌装され、相対的な摺動が可能な打抜き
パンチ１１は、上端の鍔部１１ａがパンチホルダ
とスプレツダ９に挾着されるとともにキーにより
ダイ３と正しく嵌合するように位相合せが行なわ
れている。そして打抜きパンチ１１のパンチ部１
１ｂの軸直角断面はダイ３の穴と同形となつてお
り、軸心と直角の打抜き刃１１ｃにつづいて下方
はダイ３のテーパ穴３ａのテーパ角度αより鋭直
のテーパ角度βをもつた円錐体１１ｄとなつてお
り、その小径部の径は中間成形体Ｗ１の円錐形部
Ｗ１ｅの円径より僅かに小さく、その形状は部品
Ｗの屈曲歯末部Wbの内周位置に、歯末部Wbと
等しい巾の複数条の溝１１ｅが軸方向に削設され
て、円錐体１１ｄと溝１１ｅの稜線が打抜き刃を
形成している。また、打抜きパンチ１１の上方中
心穴には摺動可能な駆動杵１２が遊嵌されて下端
は軸心に対称に植設された３〜４本の押し棒１３
が打抜きパンチ１１の鍔部１１ａを貫通してスト
リツパ７の上端面に接し、流体圧によつて常時下
方に押圧されている。

次に第６図に示す屈曲工程は、プレス機台に固
定の下台１上にダイホルダ２に保持されたダイ１
４が設置されている。ダイ１４は第１図イの部品
Ｗの歯末部の外径と同径のダイ穴１４ａが貫通さ
れており、ダイ１４の下方に貫通穴１５ａを穿設
したノツクアウトガイド１５、更にその下方にば
ね受板１６を配設し、ダイ穴１４ａにはノツクア
ウト１７の小径部１７ａが、ノツクアウトガイド
１５の貫通穴１５ａにはノツクアウト１７の大径
部１７ｂが摺動可能に遊嵌され、ノツクアウト１
７の大径部１７ｂとばね受板１６との間に介装さ
れたばね１８によつてノツクアウト１７は常時上
方に付勢されている。一方ダイ１４の同軸上にス
トリツパ１９が図示しないラムに固定された上台
８に締結されたパンチホルダ２０の穴に摺動可能
に保持されるとともに貫通穴１９ａが穿設され、
その貫通穴１９ａに相対的な摺動が可能な屈曲パ
ンチ２１が嵌装される。屈曲パンチ２１の外径及
びストリツパ１９の貫通穴１９ａの内径は部品Ｗ
の歯末部Wbの内径と同径であり、屈曲パンチ２
１の先端に中間成形体Ｗ１の円錐形部Ｗ１ｅおよ
びダイ穴１４ａへの挿入を容易にするためのテー
パ２１ａが削設してある以外は前記打抜き工程の
構造と同一であるので説明を省略する。

このように構成されたプレス用金型を使用して
部品Ｗが成形される製造方法を説明する。部品Ｗ
の中間成形体Ｗ１の平らな鍔部Ｗ１ｃと円錐形部
Ｗ１ｅの成形は、前工程において金属板より打抜
かれた円板を、絞り加工によつて中心に円錐形部
Ｗ１ｅが数工程で成形され、成形後、底を打抜く
穴抜き工程は周知のプレス工程を経て製作され
る。この中間成形体Ｗ１はコンベア、シユート又
はトランスフア機構によつて搬送具の受取り位置
に送られると、搬送具が中間成形体Ｗ１の鍔部Ｗ
１ｃを両側より水平に把持し、トランスフア機構
により水平移動してダイ３と同軸となる位置に搬
送され、中間成形体Ｗ１がノツクアウト４の上面
に載置。その後搬送具が退避すると、図示しない
カムの回転によりラムと一体の上台８が次第に下
降する。先づストリツパ７の下端が中間成形体Ｗ
１の鍔部Ｗ１ｃを押し、ノツクアウト４がばね５
の力に抗して押し下げられ、鍔部Ｗ１ｃがダイ３
の上面３ｂにストリツパ７の下端で押し付けられ
るとともに中間成形体Ｗ１の円錐形部Ｗ１ｅはダ
イ３のテーパ穴３ａに嵌装され、円錐形部Ｗ１ｅ
の先端はダイ３の段部３ｃに押しつけられる。ラ
ムの引続く下降により、上台８と一体のパンチホ
ルダ９とともに打抜きパンチ１１が下降し、打抜
きパンチ１１先端の円錐体１１ｄが中間成形体Ｗ
１の円錐形部Ｗ１ｅの小径より当接し、円錐体１
１ｄの打抜き刃がテーパ穴３ａの打抜き刃と協働
して、先端側より順次打抜き切断し第４図の状態
になる。中間成形体Ｗ１の円錐形部Ｗ１ｅは部品
Ｗの歯末部Wbとなる部分の両側が切断され、切
落される部分が外方に押し出される。打抜きパン
チ１１先端の円錐体１１ｄのテーパ角度βは、中
間成形体Ｗ１の円錐形部Ｗ１ｅおよびダイ３のテ
ーパ穴３ａのテーパ角度αより鋭角であるので、
ラムの下降にともない円錐形部Ｗ１ｅの先端より
順次切断が行なわれる。更にラムの引続く下降に
より、上台８とともに打抜きパンチ１１は更に下
降をつづけて切断を行ない、最後に打抜き刃１１
ｃとダイ上面３ｂの打抜き刃により歯元部Ｗ２
ａ、基部Ｗ２ｄを打抜き（第５図）、切屑を逃し
穴３ｅ，３ｆ、切屑排口３ｇを介してプレス機外
へ排出する。ラムが上昇するとストリツパ７、打
抜きパンチ１１も上昇し、ノツクアウト４がばね
５の力により中間成形体Ｗ２を第３図の位置迄押
し上げる。搬送具が前進して鍔部Ｗ２ｃを側方よ
り把持して次工程の屈曲工程へ搬送し、次の新し
い中間成形体Ｗ１がノツクアウト４上に搬送され
る。

前記打抜き工程より搬送具により搬送された中
間成形体Ｗ２は、屈曲工程のノツクアウト１７の
上面に載置される。搬送具が退避し、図示しない
カムの回転によりラムと一体の上台８が下降する
と、ストリツパ１９の下端が中間成形体Ｗ２の鍔
部Ｗ２ｃを押し、ダイ１４の上面１４ｂとの間で
挾着する。ラムの引続く下降により上台８ととも
に屈曲パンチ２１も下降し、中間成形体Ｗ２の円
錐形状の歯末部Ｗ２ｂをダイ穴１４ａとの間で鍔
部Ｗ２ｃに対し直角に屈曲する。ラムが上昇する
とストリツパ１９、屈曲パンチ２１も上昇し、ノ
ツクアウト１７がばね１８の力により部品Ｗを押
し上げ、次のトランスフア機構により搬送具でプ
レス機外に排出される。

なお、本実施例の部品に限られることなく、例
えば第１図ロに示すようなドーナツ状の容器の形
体をした部品においても同じように成形すること
ができる。この場合はダイ３のテーパ穴３ａの肉
厚は丁度中間成形体が冠せられる厚さと、ノツク
アウト４は外周縁の下端を押し上げるように一部
改造する必要がある。

効 果 以上詳述したように、本発明は花弁状の穴を有
するダイに中間成形体の円錐形部と合致するテー
パ穴を穿設し、テーパ穴のテーパ角度αより鋭角
のテーパβを削設した打抜きパンチで、先端より
順次部品の歯末部を切断した後、打抜きパンチの
軸心に直角の打抜き刃で歯元部及び基部を打抜く
工程と、その後歯末部を鍔部と直角に屈曲する工
程を配置する製造方法を用いたので、小部品にお
いて、穴の大きさに比し歯末部の長さを長く製造
することが可能となり、その長さを相当の自由度
で選択できる。また、切断方法に鍔部Ｗ１ｃ側か
ら圧縮ぎみに打抜くのでなくテーパ小径部から長
いテーパパンチ１１によつて切り進む方法を採用
しているため、第７図ロに示す如くパンチ、ダイ
の打抜刃先端から板材内に発生する夫々の破断面
を合致するように、パンチ、ダイの打抜刃のクリ
アランスを適宜採用することができるので、部品
の切断部にバリの発生するのを防止することがで
き、そのためバレル研磨等の２次加工が不用とな
り、また径の小さい方から長いテーパパンチ１１
によつて打抜くため歯末部に無理な荷重がかゝら
ずつぶれるなどの変形が少ない。更にパンチ、ダ
イの工具寿命をながく保持することができるの
で、経済的効果がある等の特徴を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図イは本発明で製造する部品の斜視図、第
１図ロは本発明で製造する他の部品の斜視図、第
２図は本発明の打抜き工程の中間成形体及び金型
の斜視図、第３図は中間成形体を打抜き工程の金
型上に搬送してきた状態の金型断面図、第４図は
中間成形体を打抜き切断している状態の金型縦断
面図、第５図は中間成形体を打抜き切断が完了し
た状態の金型縦断面図、第６図は屈曲工程におい
て歯末部を屈曲した状態の金型縦断面図、第７図
イは剪断方法による板材内の破断面の発生状態を
示す図、第７図ロは打抜き方法による板材内の破
断面の発生状態を示す図である。 ２……ダイホルダ、３……ダイ、３ａ……テー
パ穴、４……ノツクアウト、７……ストリツパ、
９……スプレツダ、１１……打抜きパンチ、１４
……ダイ、１７……ノツクアウト、１９……スト
リツパ、２０……スプレツダ、２１……屈曲パン
チ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鍔部から内歯状に配列した複数個の歯の歯末
   部がすべて同方向に直角に屈曲して穴の軸心と平
   行に整列する部品の製造方法において、中央部が
   絞り加工によつて円錐形に成形され底を打抜かれ
   た前記部品の中間成形体の円錐形部をダイの軸直
   角断面形状が前記部品の鍔部の歯元部と同形の穴
   のテーパ部に装入し、該ダイのテーパ部の角度よ
   り鋭角のテーパを有し複数個の歯末部を打抜く打
   抜き刃及び鍔部の歯元部を打抜く打抜き刃とを具
   備するパンチによつて内周面に複数個の歯部を打
   抜く工程と、その後円錐形状の歯を鍔部に対し直
   角に屈曲する工程とを含んでいることを特徴とす
   る内歯状に屈曲した複数歯を有する部品の製造方
   法。