JP3547787B2 - リング形圧造製品の成形方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ナット素材等の、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したリング形圧造製品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナット素材の成形は、図6に示す工程にしたがって行われていた。まず、剪断工程において、剪断ダイスとカッタとを用いて、長尺の丸線をその直径よりも小さい一定寸法ずつ剪断して背の低い円柱形のワーク61を形成する。
【0003】
その場合、上記のように丸線の直径よりも小さい寸法で剪断すると、剪断されたワーク61が歪な形状になったりバリができやすく、圧造ダイスやパンチの成形孔に正確に入らないおそれがある。そこで、第1圧造工程において、第1の圧造ダイスとパンチの間で打圧することにより、整形されたワーク62を得る。
【0004】
次に、第2圧造工程において、第2の圧造ダイスとパンチを用いて、一端側の外周に傾斜面64を設けてさらに偏平化されたワーク63が成形される。第3圧造工程では、上記のワーク64を表裏反転させて第3の圧造ダイスとパンチの間で打圧することにより、上記の傾斜面64を形成した側の外周の角縁に面取り66が施されるとともに、反対側の外周に傾斜面67を設けたワーク65が成形される。
【0005】
続く第4圧造工程では、ワーク65を再度反転させて第4の圧造ダイスとパンチの間で打圧することにより、傾斜面67が形成された側のもう一方の外周の角縁に面取り69が施され、また、両端面の中央部にそれぞれ凹陥部70、71が穿設されて、その一方の凹陥部70の口縁に面取り72が施されたワーク68が成形される。
【0006】
最後に第5圧造工程において、第5の圧造ダイスとパンチにより、両凹陥部70、71を貫通して孔73が打ち抜かれるとともに、残った内周の角縁に面取り74が施される。これにより、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したナット素材75が成形される。
【0007】
すなわち、従来は、ナット素材75を成形するに際して5回の圧造工程が必要であって、いわゆる5ダイス5ブロー式のナットホーマーが使用されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、5ダイス5ブロー式ホーマーでは成形効率が悪いばかりでなく、ホーマー自体も高価なものとなり、また、段取り変えを行う際の機械調整も面倒とならざるを得なっかた。
本発明は上記の実状に鑑み開発されたもので、3ダイス3ブロー式ホーマーを使用可能なように工程短縮を行い、設備費の低減と工程数の低減を図ることで安価なコストのリング形圧造製品の成形方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のリング形圧造製品の成形方法は、主にこのような事情を背景として完成されたものであって、せん断工程と複数の圧造工程を組み合わせてリング形圧造製品を製造する工程において、3ダイス3ブロー式ホーマーを使用したせん断工程および3つの圧造工程から構成され、せん断工程は、せん断ダイスとカッタにより長尺の丸線をその直径よりも長さの方が大きい一定寸法ずつせん断して背の高い円柱形のワークを形成することを特徴とし、3つの圧造工程は、第1の圧造ダイスとパンチにより前記せん断工程で得られたワークを背の低い円柱形に圧潰する第1圧造工程と、第2の圧造ダイスとパンチにより、前記第1圧造工程で得られたワークの両端面の中心部にそれぞれ凹陥部を形成するとともに、該両凹陥部の口縁及び外周の一側端の角縁に面取りを施す第2圧造工程と、第3の圧造ダイスとパンチにより、前記第2圧造工程で得られたワークに前記両凹陥部間を貫通させる孔を打ち抜くとともに、外周の他側端の角縁に面取りを施す第3圧造工程とが順次連続して実施される構成とした。
【0010】
【作用】
本発明の作用は以下のとおりである。まず、剪断工程において、長尺の丸線が一定寸法ずつ剪断されて、直径よりも高さの方が大きい背の高い円柱形のワークが形成される。このように、背の高い円柱形に剪断する場合は、ワークの外周は線引き状態の平滑な面に維持され、また、両端面も平滑な剪断面となる。
【0011】
続いて、第1圧造工程では、上記の剪断工程で得られたワークが圧潰されて、背の低い円柱形に成形されるが、剪断工程で得られたワークは外周面並びに両端面が平滑に維持されているから、第1圧造工程で得られるワークもそのまま平滑な加工面を有する。すなわち、剪断工程の次にワークの整形工程を設けることは不要となる。
【0012】
次の第2圧造工程では、第1圧造工程で得られた背の低い円柱形のワークの両端面にそれぞれ凹陥部が形成され、それと同時に、その両凹陥部の口縁と、外周の一端側の角縁に面取りが施される。
【0013】
最後に第3圧造工程において、第2圧造工程で得られたワークに対して、両凹陥部を貫通させる孔が打ち抜かれ、併せて、外周の残りの角縁に面取りが施される。それにより、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したリング形圧造製品が完成される。
【0014】
【実施例】
以下、本発明方法の一実施例を図1〜図5によって説明する。本実施例はナット素材を製造する場合を例示する。
【0015】
本実施例のナットホーマーはいわゆる3ダイス3ブロー式であって、図1において、ホーマー本体1に装置されたダイスブロック2には、その一端側の前面に形成された後退面2aに2個の装置孔3、4が並んで形成され、一方の装置孔3に、長尺の丸線の供給パイプ5に接続された剪断ダイス6が嵌着され、他方の装置孔4に、突き出しダイス7が進退自由に嵌装されている。また、丸駒カッタ9を嵌着したカッタレバー8が、両装置孔3、4の前面の間での揺動自由に設けられている。
【0016】
ダイスブロック2の突出面2bには、3個の装置孔11が水平方向に間隔を開けて形成され、それぞれにダイスホルダ12〜14が嵌装されており、その内、同図の上側から1番目と3番目のダイスホルダ12、14は、その前端側が分離された可動部12a、14aとなっていて、図示しないばね弾力に抗して押し込み可能となっている。その可動部12a、14a及びダイスホルダ13の前面の中心には、上側から順次に第1〜第3の圧造ダイス15a〜15cが嵌着されている。
【0017】
そのダイスブロック2の突出面2bの前方には、図示しないラムがダイスブロック2に接離する方向の往復運動可能に装置されており、そのラムの前面に3個のパンチホルダ17a〜17cが突設されて、各パンチホルダ17a〜17cの先端面に上記した各圧造ダイス15a〜15cと対をなす第1〜第3のパンチ18a〜18cが嵌着されている。
【0018】
第1圧造ダイス15aの成形孔20a内には、図2に示すように、先端面を傾斜させたダイススリーブ21が成形孔20aの口縁から少し引っ込んで嵌着され、その中に、突き出しピンを兼ねた、先端を鈍角に尖らせたダイスピン22が、後端を図示しないカムと係合させて進退自由に嵌装されている。そのダイスピン22aの先端は、後退位置にあるときには、同図に示すように可動ホルダ12aが押し込まれた際のダイススリーブ21aの先端と対応し、前進位置にあるときには、可動ホルダ12aが前方に戻った際の成形孔20aからさらに突出するようになっている。
【0019】
第1圧造ダイス15aと対をなす第1パンチ18aは、その成形孔24aの口縁が傾斜面となっているとともに、その成形孔24a内に同じく先端を鈍角に尖らせたパンチピン25aが一定寸法引っ込んで嵌装されている。
【0020】
第2圧造ダイス15bには、図3に示すように、前端側を少し拡径した成形孔20bが形成されて、その段付き部分に面取り形成用の傾斜面27が形成されているとともに、成形孔20b内に、突き出しピンを兼ねたダイスピン22bが、同じくカム駆動により、先端が傾斜面27と対応する位置と成形孔20bから突出する位置の間で進退自由に嵌装され、その先端面に、ワークの一面側に凹陥部を形成しかつその口縁に面取りを施すための成形部28が形成されている。
【0021】
その第2圧造ダイス15bと対をなす第2パンチ18bにはパンチピン25bが突設され、その先端面にワークの他面側に凹陥部を形成しかつその口縁に面取りを施すための成形部29が形成されている。
【0022】
第3圧造ダイス15cの成形孔20c内には、図4に示すように、ダイススリーブ21cがカム駆動による進退自由に嵌装されている。そのダイススリーブ21cの先端は、後退位置にあるときには、同図に示すように可動ホルダ14aが押し込まれた際の成形孔20cの先端よりも一定寸法突出し、前進位置にあるときには、可動ホルダ14aが前方に戻った際の成形孔20cからさらに突出するようになっている。そのダイススリーブ21c内には、打ち抜き用のダイスピン23cが相対的摺動自由に固設され、上記の可動ホルダ14aが押し込まれた場合に、ダイスピン23cの先端がダイススリーブ20cの先端の前方に突出するようになっている。
【0023】
第3圧造ダイス15cと対をなす第3パンチ18cには、前端側を少し拡径した成形孔24cが形成されて、その段付き部分に面取り形成用の傾斜面30が形成されている。その成形孔24cには、図1に示すように、パンチスリーブ32が駆動杆33を介したカム駆動による進退自由に嵌装されている。そのパンチスリーブ32の先端は、後退位置にあるときには図4に示すように傾斜面30と対応し、前進位置にあるときには、成形孔24cから突出するようになっている。なお、パンチスリーブ32の後端は、駆動杆33に形成された通孔34を介して、パンチホルダ17cの側面に開口された排出口35に連通されている。
【0024】
続いて、本実施例の作動を説明する。
図1において、供給パイプ5を通って供給される連続した丸線の先端が剪断ダイス6を通して丸駒カッタ9内に一定寸法突出すると、カッタレバー8が側方に揺動することにより、図5の符号41に示す直径よりも高さの方が大きい背の高い円柱形のワークが形成され、突き出しダイス7の進出によりそのワーク41がカッタレバー8の前面に突き出され、図示しないトランスファ部材により第1圧造ダイス15aの前面に搬送される。
【0025】
ワーク41は、直径よりも長さの方が大きい背の高い円柱形にせん断されるのであるから、外周は線引き状態の平滑な面に維持され、また、両端面も平滑なせん断面となる。したがって、ワーク41の加工面を平滑にするための整形工程は不要となる。
【0026】
引き続いてラムが前進することにより、可動ホルダ12aが押し込まれつつ第1圧造ダイス15aと第1パンチ18aとの間で第1工程の圧造成形が行われ、図5の符号42に示すように、両端の外周縁に傾斜面が付けられ、また、両端面に少しの凹みが設けられた背の低い略円柱形のワークが成形される。
【0027】
その後、ラムが後退して可動ホルダ12aが前方に戻りつつダイスピン22aが進出することにより、そのワーク42が第1圧造ダイス15aの前面に突き出され、トランスファ部材により第2圧造ダイス15bの前面に搬送される。
【0028】
次にラムが前進すると、第2圧造ダイス15bと第2パンチ18bとの間で第2工程の圧造成形が行われて、図5の符号43に示すワークが成形される。この第2圧造工程では、図3にも示すように、ダイスピン22bとパンチピン25bの成形部28、29により、ワークの両端面にそれぞれ凹陥部44、45が形成されると同時に、その両凹陥部44、45の口縁に面取り46、47が施され、また、第2圧造ダイス15bの成形孔20bの斜面27により、外周の一端側の角縁に面取り48が施される。
【0029】
ラムが後退すると、ダイスピン22bが進出することによりワーク43が第2圧造ダイス15bの前面に突き出され、トランスファ部材により第3圧造ダイス15cの前面に搬送される。
【0030】
再度ラムが前進すると、第3圧造ダイス15cと第3パンチ18cとの間で第3工程の圧造成形が行われる。この第3圧造工程では、第2圧造工程で得られたワーク43に対して、図4に示すように、パンチピン23により両凹陥部44、45を貫通させる孔49が打ち抜かれ、併せて、第3パンチ18cの成形孔24cの斜面30により、外周のもう一方の角縁に面取り50が施される。それにより、内外周4箇所の角縁に面取り46、47、48及び50の施されたリング形のナット素材51が成形される。
【0031】
孔開けに伴って生じた切り屑は、パンチスリーブ32の中空から駆動杆33の通孔34を通って排出口35から排出される。
【0032】
上記のナット素材51は、ダイススリーブ21c及びパンチスリーブ32の進出により第3圧造ダイス15cの前面に突き出され、トランスファ部材により回収位置に搬送され、または、その位置で自然落下して取り出される。
【0033】
このように本実施例によれば、従来5つの圧造工程を必要としていたナット素材の成形が、せん断工程において、丸線をその直径よりも長さの方が大きい一定寸法ずつせん断して背の高い円柱形のワークを切り出すこととしたので、ワークの整形工程等が不要となり、圧造工程数を少なくすることができ、その結果、3ダイス3ブロー式のホーマーでできるようになった。
【0034】
なお、本発明方法は、上記実施例に示したナット素材に限らず、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したリング形圧造製品を成形する場合全般に広く適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明方法によれば、従来5回の圧造工程を要していたリング形圧造製品の製造が3回の圧造工程だけで済み、すなわち3ダイス3ブロー式の圧造機で対応することが可能となる。そのため、加工効率が向上されるとともに、圧造機自体が安価にできて設備が低減され、ひいては製造コストを大幅に低減することができる。また、3工程のみであるから、段取り変えも短時間で行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るナットホーマーの一部切欠平面図である。
【図2】第1圧造工程部分の拡大断面図である。
【図3】第2圧造工程部分の拡大断面図である。
【図4】第3圧造工程部分の拡大断面図である。
【図5】本実施例に係るナット素材の製造工程の説明図である。
【図6】従来のナット素材の製造工程の説明図である。
【符号の説明】
6:剪断ダイス 9:丸駒カッタ 15a〜15c:圧造ダイス 18a〜18c:パンチ 27、30:斜面 28、29:成形部 41、42、43:ワーク 44、45:凹陥部 46、47、48、50:面取り 49:孔 51:ナット素材
【産業上の利用分野】
本発明は、ナット素材等の、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したリング形圧造製品の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナット素材の成形は、図6に示す工程にしたがって行われていた。まず、剪断工程において、剪断ダイスとカッタとを用いて、長尺の丸線をその直径よりも小さい一定寸法ずつ剪断して背の低い円柱形のワーク61を形成する。
【0003】
その場合、上記のように丸線の直径よりも小さい寸法で剪断すると、剪断されたワーク61が歪な形状になったりバリができやすく、圧造ダイスやパンチの成形孔に正確に入らないおそれがある。そこで、第1圧造工程において、第1の圧造ダイスとパンチの間で打圧することにより、整形されたワーク62を得る。
【0004】
次に、第2圧造工程において、第2の圧造ダイスとパンチを用いて、一端側の外周に傾斜面64を設けてさらに偏平化されたワーク63が成形される。第3圧造工程では、上記のワーク64を表裏反転させて第3の圧造ダイスとパンチの間で打圧することにより、上記の傾斜面64を形成した側の外周の角縁に面取り66が施されるとともに、反対側の外周に傾斜面67を設けたワーク65が成形される。
【0005】
続く第4圧造工程では、ワーク65を再度反転させて第4の圧造ダイスとパンチの間で打圧することにより、傾斜面67が形成された側のもう一方の外周の角縁に面取り69が施され、また、両端面の中央部にそれぞれ凹陥部70、71が穿設されて、その一方の凹陥部70の口縁に面取り72が施されたワーク68が成形される。
【0006】
最後に第5圧造工程において、第5の圧造ダイスとパンチにより、両凹陥部70、71を貫通して孔73が打ち抜かれるとともに、残った内周の角縁に面取り74が施される。これにより、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したナット素材75が成形される。
【0007】
すなわち、従来は、ナット素材75を成形するに際して5回の圧造工程が必要であって、いわゆる5ダイス5ブロー式のナットホーマーが使用されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、5ダイス5ブロー式ホーマーでは成形効率が悪いばかりでなく、ホーマー自体も高価なものとなり、また、段取り変えを行う際の機械調整も面倒とならざるを得なっかた。
本発明は上記の実状に鑑み開発されたもので、3ダイス3ブロー式ホーマーを使用可能なように工程短縮を行い、設備費の低減と工程数の低減を図ることで安価なコストのリング形圧造製品の成形方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のリング形圧造製品の成形方法は、主にこのような事情を背景として完成されたものであって、せん断工程と複数の圧造工程を組み合わせてリング形圧造製品を製造する工程において、3ダイス3ブロー式ホーマーを使用したせん断工程および3つの圧造工程から構成され、せん断工程は、せん断ダイスとカッタにより長尺の丸線をその直径よりも長さの方が大きい一定寸法ずつせん断して背の高い円柱形のワークを形成することを特徴とし、3つの圧造工程は、第1の圧造ダイスとパンチにより前記せん断工程で得られたワークを背の低い円柱形に圧潰する第1圧造工程と、第2の圧造ダイスとパンチにより、前記第1圧造工程で得られたワークの両端面の中心部にそれぞれ凹陥部を形成するとともに、該両凹陥部の口縁及び外周の一側端の角縁に面取りを施す第2圧造工程と、第3の圧造ダイスとパンチにより、前記第2圧造工程で得られたワークに前記両凹陥部間を貫通させる孔を打ち抜くとともに、外周の他側端の角縁に面取りを施す第3圧造工程とが順次連続して実施される構成とした。
【0010】
【作用】
本発明の作用は以下のとおりである。まず、剪断工程において、長尺の丸線が一定寸法ずつ剪断されて、直径よりも高さの方が大きい背の高い円柱形のワークが形成される。このように、背の高い円柱形に剪断する場合は、ワークの外周は線引き状態の平滑な面に維持され、また、両端面も平滑な剪断面となる。
【0011】
続いて、第1圧造工程では、上記の剪断工程で得られたワークが圧潰されて、背の低い円柱形に成形されるが、剪断工程で得られたワークは外周面並びに両端面が平滑に維持されているから、第1圧造工程で得られるワークもそのまま平滑な加工面を有する。すなわち、剪断工程の次にワークの整形工程を設けることは不要となる。
【0012】
次の第2圧造工程では、第1圧造工程で得られた背の低い円柱形のワークの両端面にそれぞれ凹陥部が形成され、それと同時に、その両凹陥部の口縁と、外周の一端側の角縁に面取りが施される。
【0013】
最後に第3圧造工程において、第2圧造工程で得られたワークに対して、両凹陥部を貫通させる孔が打ち抜かれ、併せて、外周の残りの角縁に面取りが施される。それにより、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したリング形圧造製品が完成される。
【0014】
【実施例】
以下、本発明方法の一実施例を図1〜図5によって説明する。本実施例はナット素材を製造する場合を例示する。
【0015】
本実施例のナットホーマーはいわゆる3ダイス3ブロー式であって、図1において、ホーマー本体1に装置されたダイスブロック2には、その一端側の前面に形成された後退面2aに2個の装置孔3、4が並んで形成され、一方の装置孔3に、長尺の丸線の供給パイプ5に接続された剪断ダイス6が嵌着され、他方の装置孔4に、突き出しダイス7が進退自由に嵌装されている。また、丸駒カッタ9を嵌着したカッタレバー8が、両装置孔3、4の前面の間での揺動自由に設けられている。
【0016】
ダイスブロック2の突出面2bには、3個の装置孔11が水平方向に間隔を開けて形成され、それぞれにダイスホルダ12〜14が嵌装されており、その内、同図の上側から1番目と3番目のダイスホルダ12、14は、その前端側が分離された可動部12a、14aとなっていて、図示しないばね弾力に抗して押し込み可能となっている。その可動部12a、14a及びダイスホルダ13の前面の中心には、上側から順次に第1〜第3の圧造ダイス15a〜15cが嵌着されている。
【0017】
そのダイスブロック2の突出面2bの前方には、図示しないラムがダイスブロック2に接離する方向の往復運動可能に装置されており、そのラムの前面に3個のパンチホルダ17a〜17cが突設されて、各パンチホルダ17a〜17cの先端面に上記した各圧造ダイス15a〜15cと対をなす第1〜第3のパンチ18a〜18cが嵌着されている。
【0018】
第1圧造ダイス15aの成形孔20a内には、図2に示すように、先端面を傾斜させたダイススリーブ21が成形孔20aの口縁から少し引っ込んで嵌着され、その中に、突き出しピンを兼ねた、先端を鈍角に尖らせたダイスピン22が、後端を図示しないカムと係合させて進退自由に嵌装されている。そのダイスピン22aの先端は、後退位置にあるときには、同図に示すように可動ホルダ12aが押し込まれた際のダイススリーブ21aの先端と対応し、前進位置にあるときには、可動ホルダ12aが前方に戻った際の成形孔20aからさらに突出するようになっている。
【0019】
第1圧造ダイス15aと対をなす第1パンチ18aは、その成形孔24aの口縁が傾斜面となっているとともに、その成形孔24a内に同じく先端を鈍角に尖らせたパンチピン25aが一定寸法引っ込んで嵌装されている。
【0020】
第2圧造ダイス15bには、図3に示すように、前端側を少し拡径した成形孔20bが形成されて、その段付き部分に面取り形成用の傾斜面27が形成されているとともに、成形孔20b内に、突き出しピンを兼ねたダイスピン22bが、同じくカム駆動により、先端が傾斜面27と対応する位置と成形孔20bから突出する位置の間で進退自由に嵌装され、その先端面に、ワークの一面側に凹陥部を形成しかつその口縁に面取りを施すための成形部28が形成されている。
【0021】
その第2圧造ダイス15bと対をなす第2パンチ18bにはパンチピン25bが突設され、その先端面にワークの他面側に凹陥部を形成しかつその口縁に面取りを施すための成形部29が形成されている。
【0022】
第3圧造ダイス15cの成形孔20c内には、図4に示すように、ダイススリーブ21cがカム駆動による進退自由に嵌装されている。そのダイススリーブ21cの先端は、後退位置にあるときには、同図に示すように可動ホルダ14aが押し込まれた際の成形孔20cの先端よりも一定寸法突出し、前進位置にあるときには、可動ホルダ14aが前方に戻った際の成形孔20cからさらに突出するようになっている。そのダイススリーブ21c内には、打ち抜き用のダイスピン23cが相対的摺動自由に固設され、上記の可動ホルダ14aが押し込まれた場合に、ダイスピン23cの先端がダイススリーブ20cの先端の前方に突出するようになっている。
【0023】
第3圧造ダイス15cと対をなす第3パンチ18cには、前端側を少し拡径した成形孔24cが形成されて、その段付き部分に面取り形成用の傾斜面30が形成されている。その成形孔24cには、図1に示すように、パンチスリーブ32が駆動杆33を介したカム駆動による進退自由に嵌装されている。そのパンチスリーブ32の先端は、後退位置にあるときには図4に示すように傾斜面30と対応し、前進位置にあるときには、成形孔24cから突出するようになっている。なお、パンチスリーブ32の後端は、駆動杆33に形成された通孔34を介して、パンチホルダ17cの側面に開口された排出口35に連通されている。
【0024】
続いて、本実施例の作動を説明する。
図1において、供給パイプ5を通って供給される連続した丸線の先端が剪断ダイス6を通して丸駒カッタ9内に一定寸法突出すると、カッタレバー8が側方に揺動することにより、図5の符号41に示す直径よりも高さの方が大きい背の高い円柱形のワークが形成され、突き出しダイス7の進出によりそのワーク41がカッタレバー8の前面に突き出され、図示しないトランスファ部材により第1圧造ダイス15aの前面に搬送される。
【0025】
ワーク41は、直径よりも長さの方が大きい背の高い円柱形にせん断されるのであるから、外周は線引き状態の平滑な面に維持され、また、両端面も平滑なせん断面となる。したがって、ワーク41の加工面を平滑にするための整形工程は不要となる。
【0026】
引き続いてラムが前進することにより、可動ホルダ12aが押し込まれつつ第1圧造ダイス15aと第1パンチ18aとの間で第1工程の圧造成形が行われ、図5の符号42に示すように、両端の外周縁に傾斜面が付けられ、また、両端面に少しの凹みが設けられた背の低い略円柱形のワークが成形される。
【0027】
その後、ラムが後退して可動ホルダ12aが前方に戻りつつダイスピン22aが進出することにより、そのワーク42が第1圧造ダイス15aの前面に突き出され、トランスファ部材により第2圧造ダイス15bの前面に搬送される。
【0028】
次にラムが前進すると、第2圧造ダイス15bと第2パンチ18bとの間で第2工程の圧造成形が行われて、図5の符号43に示すワークが成形される。この第2圧造工程では、図3にも示すように、ダイスピン22bとパンチピン25bの成形部28、29により、ワークの両端面にそれぞれ凹陥部44、45が形成されると同時に、その両凹陥部44、45の口縁に面取り46、47が施され、また、第2圧造ダイス15bの成形孔20bの斜面27により、外周の一端側の角縁に面取り48が施される。
【0029】
ラムが後退すると、ダイスピン22bが進出することによりワーク43が第2圧造ダイス15bの前面に突き出され、トランスファ部材により第3圧造ダイス15cの前面に搬送される。
【0030】
再度ラムが前進すると、第3圧造ダイス15cと第3パンチ18cとの間で第3工程の圧造成形が行われる。この第3圧造工程では、第2圧造工程で得られたワーク43に対して、図4に示すように、パンチピン23により両凹陥部44、45を貫通させる孔49が打ち抜かれ、併せて、第3パンチ18cの成形孔24cの斜面30により、外周のもう一方の角縁に面取り50が施される。それにより、内外周4箇所の角縁に面取り46、47、48及び50の施されたリング形のナット素材51が成形される。
【0031】
孔開けに伴って生じた切り屑は、パンチスリーブ32の中空から駆動杆33の通孔34を通って排出口35から排出される。
【0032】
上記のナット素材51は、ダイススリーブ21c及びパンチスリーブ32の進出により第3圧造ダイス15cの前面に突き出され、トランスファ部材により回収位置に搬送され、または、その位置で自然落下して取り出される。
【0033】
このように本実施例によれば、従来5つの圧造工程を必要としていたナット素材の成形が、せん断工程において、丸線をその直径よりも長さの方が大きい一定寸法ずつせん断して背の高い円柱形のワークを切り出すこととしたので、ワークの整形工程等が不要となり、圧造工程数を少なくすることができ、その結果、3ダイス3ブロー式のホーマーでできるようになった。
【0034】
なお、本発明方法は、上記実施例に示したナット素材に限らず、本体がリング形をなしてその内外周4箇所の角縁に面取りを施したリング形圧造製品を成形する場合全般に広く適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明方法によれば、従来5回の圧造工程を要していたリング形圧造製品の製造が3回の圧造工程だけで済み、すなわち3ダイス3ブロー式の圧造機で対応することが可能となる。そのため、加工効率が向上されるとともに、圧造機自体が安価にできて設備が低減され、ひいては製造コストを大幅に低減することができる。また、3工程のみであるから、段取り変えも短時間で行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るナットホーマーの一部切欠平面図である。
【図2】第1圧造工程部分の拡大断面図である。
【図3】第2圧造工程部分の拡大断面図である。
【図4】第3圧造工程部分の拡大断面図である。
【図5】本実施例に係るナット素材の製造工程の説明図である。
【図6】従来のナット素材の製造工程の説明図である。
【符号の説明】
6:剪断ダイス 9:丸駒カッタ 15a〜15c:圧造ダイス 18a〜18c:パンチ 27、30:斜面 28、29:成形部 41、42、43:ワーク 44、45:凹陥部 46、47、48、50:面取り 49:孔 51:ナット素材
Claims (1)
- せん断工程と複数の圧造工程を組み合わせてリング形圧造製品を製造する工程において、
3ダイス3ブロー式ホーマーを使用したせん断工程および3つの圧造工程から構成され、
前記せん断工程は、せん断ダイスとカッタにより長尺の丸線をその直径よりも長さの方が大きい一定寸法ずつせん断して背の高い円柱形のワークを形成することを特徴とし、
前記3つの圧造工程は、
第1の圧造ダイスとパンチにより前記せん断工程で得られたワークを背の低い円柱形に圧潰する第1圧造工程と、
第2の圧造ダイスとパンチにより、前記第1圧造工程で得られたワークの両端面の中心部にそれぞれ凹陥部を形成するとともに、該両凹陥部の口縁及び外周の一側端の角縁に面取りを施す第2圧造工程と、
第3の圧造ダイスとパンチにより、前記第2圧造工程で得られたワークに前記両凹陥部間を貫通させる孔を打ち抜くとともに、外周の他側端の角縁に面取りを施す第3圧造工程とが順次連続して実施されることを特徴とするリング形圧造製品の成形方法。
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