JPH0121107Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ラツクピニオン型舵取装置に係り、
特に走行車輪に操舵力を伝達するトラツクロツド
がラツク軸の中央部に連結されているセンター・
テイクオフ・タイプのラツクピニオン型舵取装置
に関するものである。

一般に、センター・テイクオフ・タイプのラツ
クピニオン型舵取装置は、ラツク軸の往復動を伝
達して走行車輪を転向させるトラツクロツドをラ
ツク軸両端面に連結せず、ラツク軸の中間部に、
ラツクハウジングに形成した長孔を介してボルト
等により連結したものであり、このラツク軸の軸
方向の移動端を規制するために、トラツクロツド
を連結するための一対のボルトによつてラツク軸
上にストツパ部材を固定し、このストツパ部材の
端面を上記ラツクハウジングの長孔端面に干渉さ
せてラツク軸を停止させるようにしていた。

このような従来の舵取装置は、ラツクハウジン
グが金属から構成され、ストツパ部材としては金
属製又は樹脂製のいずれかのものが用いられてい
た。そのストツパ部材が金属製の場合には、充分
な強度を有しているので、ストロークを制限する
機能には信頼性があるが、金属同士の大きな衝突
音が発生し好ましくない。又、樹脂製ストツパの
場合には、衝突音を減少させるという効果はある
が、ストローク制限機能には充分な信頼性を得る
ことができないという欠点があつた。

本考案は上記欠点に鑑みなされたものであつ
て、上記ストツパ部材とハウジング長孔端面との
干渉時の衝撃を、該ストツパ部材に設けたバネの
弾発力によつて吸収させることにより、ストロー
ク制限機能の信頼性を保持しつつ、衝突音を減少
させることができるラツクピニオン型舵取装置を
提供することを目的とし、その特徴とするところ
は、ラツク軸に固設されラツクハウジングのスト
ツパ部と干渉して該ラツク軸のストロークエンド
を規制するストツパ部材を備え、このストツパ部
材には、その干渉端面に内方部を拡巾させた凹陥
部を穿設し、該凹陥部内の拡巾部分に断面ハツト
状をなす干渉部材の両端係止部を係合案内させる
とともに、該干渉部材と上記凹陥部底面との間に
バネを弾装して該干渉部材の頂部外面をストツパ
部材の干渉端面より外方に突出弾支させるように
したことにある。

以下、図示実施例に基づいて本考案を説明す
る。第１図はセンター・テイクオフ・タイプのラ
ツクピニオン型舵取装置を示し、ラツクハウジン
グ１内に摺動自在に支持されたラツク軸２の一端
部にはラツク歯３が形成され、他方端には一対の
ボルト４，５が螺合されラツクハウジングに設け
られた長孔６から突出している。このボルト４，
５にはそれぞれラツク軸２の軸方向に沿つて延び
るトラツクロツド（図示せず）が連結され、これ
らトラツクロツドの他方端部に連結された一対の
操向車輪は、ラツク軸２の往復動に伴なつて左右
いずれかの方向に転向される。また、上記ラツク
歯３には図示しないステアリングハンドルによつ
て回転されるピニオン７が噛合され、ステアリン
グハンドルの回転をピニオン７およびラツク軸２
を介して操向車輪の左右方向への偏位として伝達
する従来周知のラツクピニオン型舵取装置が構成
されている。

上記ラツクハウジングの長孔６は、ラツク軸２
が軸方向に移動可能な長さに亘つて穿設されてお
り、この部分のラツクハウジング１外周はハウジ
ング内に異物が侵入するのを防止するための可撓
性材料からなるブーツ８によつて覆われている。
ラツク軸２上には上記一対のボルト４，５によつ
てストツパ部材９が固定されており、ラツク軸２
の左右方向への移動量は、このストツパ部材９が
上記長孔６の軸方向端面６ａ，６ａに干渉するこ
とによつて規制される。

このストツパ部の構造について詳細に説明する
と、ストツパ部材９は、その本体１０が金属素材
から成り、長手方向両端面１０ａ，１０ａにはハ
ウジング１の長孔端面６ａとの干渉時の衝撃を吸
収する緩衝機構が設けられている。すなわち、第
２図および第３図に示すように、金属本体１０両
端面１０ａ，１０ａの下方には、この端面の高さ
ｈの略1/2の高さh′にわたる凹陥部１１が形成さ
れている。この凹陥部１１は内方部が拡巾されて
１１ａ，１１ａと、これに連なる内向きフランジ
１１ｂ，１１ｂとが形成されており、又、このフ
ランジ１１ｂ，１１ｂの外面は上記端面１０ａと
一致している。そして、この凹陥部１１内に金属
又は樹脂等の弾性体から成る断面ハツト状をなす
干渉部材１２が、その頂部を形成する中間壁部１
２ａを外方へ向けて収容されている。尚、この干
渉部材１２は凹陥部１１の高さh′と略等しい高さ
を有している。更に、凹陥部１１の底面１１ｃと
干渉部材１２の中間壁部１２ａとの間にはコイル
バネ１３が弾装され、干渉部材１２を常時外方へ
付勢している。又、干渉部材１２の両側壁１２
ｂ，１２ｂには係止部１２ｃ，１２ｃが設けら
れ、これら係止部１２ｃ，１２ｃが上記フランジ
１１ｂ，１１ｂに係合することにより、干渉部材
１２が凹陥部１１から抜け落ちることを防止して
いる。この係止部１２ｃ，１２ｃとフランジ１１
ｂ，１１ｂとが係合している状態では、第２図に
示すように、干渉部材１２の中間壁部１２ａは、
上記ストツパ部材の本体端面１０ａおよび両フラ
ンジ１１ｂの外面よりも外方へ突出している。

ストツパ部材が以上のように構成されているの
で、操舵角を大きくとつた場合、ラツク軸２がピ
ニオン７を介して軸方向に移動され、ストツパ部
材９が上記長孔の端面６ａ，６ａに干渉してスト
ロークを制限する際に、低荷重の場合であれば、
上記干渉部材１２の中間壁部１２ａ外面のみが端
面６ａ，６ａに接触し上記コイルバネ１３の撓み
によつて衝撃を吸収するので衝突音が発生するこ
とがなく、又、中〜大荷重時には、先ず干渉部材
１２の中間壁部１２ａが上記端面６ａ，６ａに接
触し、次いでこのコイルバネ１３が徐々に圧縮さ
れつつ運動エネルギーを吸収し、ストツパ部材９
とハウジング１との衝突速度を下げることにより
衝突音をなくし、最終的には金属本体１０の上部
端面１０ａが長孔の端面６ａ，６ａに干渉してス
トローク制限機能を果すので、信頼性の高いスト
ローク制限機能と、衝突音の発生防止という２つ
の要求を同時に達成することができる。

以上述べたように、本考案によれば、ストロー
ク制限機能を満足させた上で、フルストローク時
の衝突音がないとともに構造が簡単で組立時の作
業性もよいステアリング装置を提供することがで
きる。

また本考案においては、断面ハツト状をなす干
渉部材を凹陥部内に弾撥支承させるようにしてい
るので、緩衝部材としてたとえば樹脂等を用いる
ことができ、ハツト状頂部による対向ストツパ部
との面衝接作用と相俟ち、より柔軟な緩衝効果を
期待することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図はハウジングとストツパ部材を下面から見た
説明図、第３図はストツパ部材の組付前の状態を
示す斜視図である。 １……ラツクハウジング、２……ラツク軸、６
ａ……ハウジングのストツパ部（ハウジング長孔
の軸方向端面）、９……ストツパ部材、１１……
凹陥部、１２……干渉部材、１２ｃ……係止部、
１３，１４……コイルバネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ラツク軸に固設されラツクハウジングのストツ
   パ部と干渉して該ラツク軸のストロークエンドを
   規制するストツパ部材を備え、このストツパ部材
   には、その干渉端面に内方部を拡巾させた凹陥部
   を穿設し、該凹陥部内の拡巾部分に断面ハツト状
   をなす干渉部材の両端係止部を係合案内させると
   ともに、該干渉部材と上記凹陥部底面との間にバ
   ネを弾装して該干渉部材の頂部外面をストツパ部
   材の干渉端面より外方に突出弾支させたことを特
   徴とするラツクピニオン型舵取装置。