JPS6122058Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ラツクピニオン型舵取装置に係り、
特に操向車輪に操舵力を伝達するタイロツドがラ
ツク軸の中央部に連結されているセンター・テイ
クオフ・タイプのラツクピニオン型舵取装置に関
するものである。

一般に、センター・テイクオフ・タイプのラツ
クピニオン型舵取装置は、ラツク軸の往復動を伝
達して操向車輪を転向させるタイロツドをラツク
軸両端面に連結せず、ラツク軸の中間部に、ラツ
クハウジングに形成した長孔を介してボルト等に
より連結したものであり、このラツク軸の軸方向
の移動端を規制するために、タイロツドを連結す
るための一対のボルトによつてラツク軸上にスト
ツパ部材を固定し、このストツパ部材の端面を上
記ラツクハウジングの長孔端面に干渉させてラツ
ク軸を停止させるようにしている。そして、スト
ツパ部材の外側には樹脂等からなる軸受を嵌着さ
せ、この軸受をハウジング長孔の側壁に摺接させ
ることにより、ラツクハウジング内でラツク軸が
安定した状態で往復動しうるように支持してい
る。

しかしながら、従来の舵取装置では、軸受外面
とハウジング長孔の側壁との間にクリアランスを
設けると、走行時に打音を生じ又剛性感の不足を
引き起こし、逆にクリアランスをなくすと摩擦抵
抗が増大してしまう。このような欠点を除くため
には、ストツパ部材と軸受内面および軸受外面と
ハウジング内壁とのそれぞれの寸法公差をできる
だけ小さくしなければならないコスト高となり、
しかもガタを完全になくすことは事実上不可能で
あつた。

本考案は以上の点に鑑みなされたもので、スト
ツパ部材と軸受の内面との間に、ハウジングから
の荷重を吸収する緩衝部を設けることにより、摩
擦抵抗を減少させつつハウジングと軸受とのガタ
を完全になくすことができるラツクピニオン型舵
取装置を提供するものである。

以下、図示実施例に基づいて本考案を説明す
る。第１図はセンター・テイクオフ・タイプのラ
ツクピニオン型舵取装置を示し、ラツクハウジン
グ１内に摺動自在に支持されたラツク軸２の一端
部にはラツク歯３が形成され、他方端には一対の
ボルト４，５が螺合されラツクハウジングに設け
られた長孔６から突出している。このボルト４，
５にはそれぞれラツク軸２の軸方向に沿つて延び
るタイロツド（図示せず）が連結され、これらタ
イロツドの他方端部に連結された一対の操向車輪
は、ラツク軸２の往復動に伴なつて左右いずれか
の方向に転向される。また、上記ラツク歯３には
図示しないステアリングハンドルによつて回転さ
れるピニオン７が噛合され、ステアリングハンド
ルの回転をピニオン７およびラツク軸２を介して
操向車輪の左右方向への偏位として伝達する従来
周知のラツクピニオン型舵取装置が構成されてい
る。

上記ラツクハウジングの長孔６は、ラツク軸２
が軸方向に移動可能な長さに亘つて穿設されてお
り、この部分のラツクハウジング６外周はハウジ
ング内に異物が侵入するのを防止するために円筒
部材８およびブーツ９によつて覆われている。ラ
ツク軸２上には上記一対のボルト４，５によつて
ストツパ部材１０が固定されており、ラツク軸２
の左右方向への移動量は、このストツパ部材１０
が上記長孔６の軸方向端面６ａ，６ｂに干渉する
ことによつて規制される。

そして、このストツパ部材１０の外周には樹脂
等から形成された軸受１１が嵌着されており、ラ
ツク軸２が往復動する際には、この軸受１１の外
面が上記ハウジングの長孔６の側壁６ｃを摺動す
ることによりラツク軸２を支持している。

軸受１１の詳細な構成について、第２図〜第４
図により説明する。上記ストツパ部材１０はラツ
ク軸２の軸方向に沿つて配置された角柱状をな
し、軸受１１はこのストツパ部材１０の長手方向
側面の形状に略合致した矩形の摺動部１１ａとこ
れら両側摺動部１１ａを連結する結合部１１ｂと
を有している。また、この摺動部１１ａの内壁に
は長手方向に伸びる複数の平行した突部１１ｃが
形成されており（第４図ａ参照）、これら両側突
部１１ｃの頂部間の間隔ｌはストツパ部材１０の
幅Ｂよりも若干小さく形成されているので、締め
しろを有するはめあいとなつている。しかもスト
ツパ部材１０に装着された状態で摺動部１１ａ外
面とハウジング長孔６の側壁６ｃとのクリアラン
スが零となるよう構成されている。従つて、軸受
１１は摺動部１１ａ内壁の各突部１１ｃによつて
ストツパ部材１０の側面に密着するとともに、摺
動部１１ａのフラツトな外面は常にハウジング長
孔６の側壁６ｃに摺接している。以上のように軸
受１１を構成したことにより、軸受１１とストツ
パ部材１０およびハウジング１との間のガタを完
全になくすことができ、しかも軸受１１とハウジ
ング１との間に加わる荷重は上記突部１１ｃが緩
衝材として吸収するので摩擦抵抗を減少させるこ
とができる。さらに、軸受１１、ストツパ部材１
０およびハウジング長孔６の各接触部における寸
法公差を粗くすることができる。また、上記突部
１１ｃは樹脂の射出成形により一体的に製作する
ものであるから、コストの上昇を招くこともな
い。なお、軸受１１内壁に設ける突部１１ｃの形
状は、本実施例に示したもの（第４図ａ）に限ら
ず、第４図ｂ〜ｄに示すようにストツパ部材１０
との接触面に多数の凹凸を有するものであれば同
様の効果が得られることはいうまでもない。

また、軸受１１自体に緩衝部としての突部１１
ｃを設けることなく、ストツパ部材１０との間に
ゴム等の弾性体から成る緩衝部材１２を挾持させ
るようにした場合にも、上記実施例と同様に摩擦
抵抗を増大させずにガタをなくすことができる。

以上述べたように本考案によれば摩擦抵抗を増
大させることなく軸受のガタを零とすることがで
きるので、走行時の打音の解消および剛性感の向
上を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るラツクピニオ
ン型舵取装置を示す縦断面図、第２図は第１図の
−線に沿う断面図、第３図は軸受の一実施例
を示し、ａは平面図、ｂは一部を断面とした側面
図、第４図ａ〜ｄは軸受突部の種々の例を示す
図、第５図は他の実施例を示す横断面図である。 １……ラツクハウジング、２……ラツク軸、
４，５……ボルト、６……ハウジング長孔、７…
…ピニオン、１０……ストツパ部材、１１……軸
受、１１ｃ，１２……緩衝部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ラツクハウジング内に往復動自在に支持され
   たラツク軸と、このラツク軸に噛合されステア
   リングハンドルの回転によつて回転されてラツ
   ク軸を移動させるピニオンと、上記ラツク軸に
   螺合されて、上記ハウジングに形成された軸方
   向長孔から突出するとともにその突出部に、操
   向車輪を転向させる一対のタイロツドがそれぞ
   れ連結された一対のボルトと、上記ラツク軸上
   にこれらボルトを介して固定され、ラツク軸の
   移動時に上記ハウジング長孔の軸方向端面に干
   渉してラツク軸の往復動を規制するストツパ部
   材と、このストツパ部材に嵌着され、ラツク軸
   の往復動に伴なつて上記ハウジング長孔の両側
   壁に沿つて摺動する軸受とを備えたラツクピニ
   オン型舵取装置において、上記ストツパ部材と
   密着する軸受内壁面に緩衝部を設けたことを特
   徴とするラツクピニオン型舵取装置。 (2) 軸受内壁面に設けた緩衝部が複数の突部であ
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のラツクピニオン型舵取装置。 (3) 軸受内壁面に設けた緩衝部が軸受とストツパ
   部材との間に挾持された弾性体であることを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   ラツクピニオン型舵取装置。