JPH0118815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のピストン装置に関し、その
目的は、ピストンリングのシール性を向上したこ
とである。

内燃機関のピストンのリングは、ピストンに設
けられたリング溝内に嵌合されているが、リング
の背面とリング溝壁面との間に常時隙間が形成さ
れ、且つピストン上昇時にはリングの下面とリン
グ溝下面とが圧接し、リングの上面とリング溝の
上面との間に隙間が形成される。またピストン下
降時にはリング上面とリング溝上面とが圧接し、
リング下面とリング溝下面との間に隙間が形成さ
れる。このピストンの上昇並びに下降時には問題
はないが、ピストンの上昇端から下降に移る時
と、下降端から上昇に移る時にフラツタリングが
発生し、リングの上下面に隙間が同時にできて、
これが背面に常に形成されている隙間と連通す
る。その結果、リング周りにオイルの通路ができ
てオイル消費量が増大する。

また、リング溝の上面と下面とには、燃焼室に
近い側の上面の方が温度が高く、このリング溝の
上下面にピストンの昇降動で交互に接するリング
は、その上面並びに下面に伝達される熱の温度に
差があり、リングの温度分布は不均一となる。そ
の結果、リングが熱影響によつて変形し、これも
シール機能を阻害する要因ともなつている。

本考案は上記従来の問題点を簡単な構造によつ
て解決したものである。以下本考案の実施例につ
いて図面により説明する。

第１図において１はピストン、２はリング、３
はリング２が摺接するシリンダライナである。

本考案は第２図で明らかなように、リング２が
嵌合するリング溝４において、リング２の上面２
ａが接触するリング溝４の上面４ａに所要幅の凹
溝５を設け、リング２の上面２ａには前記環状の
凹溝５に隙間を有して突入する環状の突起６を形
成したものである。

本考案は上記の通りの構造であるから、第３図
Ａに示すようにピストン１の上昇時にはリング２
の下面はリング溝４の下面に接触し、第３図Ｃに
示すようにピストン１の下降時にはリング２の上
面２ａは凹溝５以外のリング溝４の上面４ａに接
触し、何れにおいてもリング２の背面の隙間に通
じる隙間は形成されず、シール作用を確保してい
る。また、第３図Ｂに示すようにピストン１の下
降時あるいは上昇時のフラツタリング発生時には
リング２の上下面に隙間が形成するが、上面２ａ
に設けた突起６と、これを小さな隙間を介して受
入れるリング溝４の上面４ａの凹溝５とによるラ
ビリンスパツキングでシール作用を行い、リング
２の背面の隙間との連通は遮断される。従つて、
フラツタリングによるオイルの流通は阻止され、
オイル消費量を減少させるものである。

さらに、第３図Ｃの状態で明らかなように、リ
ング２の上面２ａがリング溝４の上面に接触する
面積は凹溝５の形成によつて従来の全面接触に比
較して小さくなつている。このことは、高温側の
リング溝４の上面４ａからリング２の上面２ａへ
の伝達熱量が低減されることになり、リング２の
上下面の温度差がなくなり均一な温度分布となる
ので熱影響による変形は発生せず本来のシール機
能を確保するものである。

以上のように本考案によると、リング溝の上面
に凹溝を設け、リングの上面に前記環状の凹溝に
隙間を有して突入する環状の突起を設けた簡単な
構造によつてフラツタリング発生時にラビリンス
パツキング作用にてシールを保持させるものであ
るから、オイル消費量を低減させる効果と、前記
凹溝の形成によりリング上面への高温熱伝達を抑
制し、リングの上下面の温度差をなくすものであ
るから、リングの熱変形を阻止し、シール機能を
確保する効果とを有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の正面図、第２図は要部拡大断
面図、第３図は本考案の作動状態の説明図であ
る。 １……ピストン、２……リング、４……リング
溝、５……凹溝、６……突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストンのリングが嵌合するリング溝の上面に
   所要幅の環状の凹溝を設け、前記リング溝に嵌合
   するリングの上面に前記凹溝の幅より小幅であ
   り、かつ凹溝内に隙間を有して突入する環状の突
   起を形成したことを特徴とする内燃機関のピスト
   ン装置。