JPH0117517B2 - - Google Patents

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JPH0117517B2
JPH0117517B2 JP56100236A JP10023681A JPH0117517B2 JP H0117517 B2 JPH0117517 B2 JP H0117517B2 JP 56100236 A JP56100236 A JP 56100236A JP 10023681 A JP10023681 A JP 10023681A JP H0117517 B2 JPH0117517 B2 JP H0117517B2
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JP
Japan
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pitch
solvent
aromatic
weight
phase
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JP56100236A
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JPS581783A (ja
Inventor
Masayoshi Kaji
Minoru Tateno
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Publication of JPH0117517B2 publication Critical patent/JPH0117517B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は新規なピツチの製造法に関する。 更に詳しくは、本発明は実質的に1次キノリン
不溶分を含まない芳香族系組成物を熱処理し、生
成するメゾ相を、該芳香族系組成物から比重差を
利用して分離除去し、β−成分を高濃度に含有す
るピツチを得ることを特徴とするピツチの製造法
に関するものである。 従来から炭素成型物品の製造において、該成型
物品の気孔率の低減、或は密度や強度等の諸性状
を改善するためにコールタールピツチが使用され
ていた。このコールタールピツチは、アルミニウ
ム精錬用電極材の主原料、炭素繊維或は耐火材等
の原料として大きな注目を集めているものでもあ
る。又最近では、このコールタールピツチから製
鋼用のニードルコークスが開発されるにおよん
で、その利用分野は計り知れないものがある。 しかしながらコールタールピツチ中には、もと
もと灰分や炭素質微粒子の他に高分子縮合物が少
量含まれている。これ等はキノリンに不溶なこと
から、キノリン不溶分と呼ばれているものであ
る。一般にコールタールピツチ中にはその様なキ
ノリン不溶分が5〜20重量%程度存在し、そのた
め炭素成型物品の原材料である炭素材等への含浸
及び該炭素材同志の結合効果、或は炭素繊維の製
造の際、その連続紡糸を阻害するものであつた。
従つてその様な用途に使用するためには出来るだ
けキノリン不溶分の少ないもので、しかも易黒鉛
化性であることが望まれていたのである。 しかし、例えば前述のコールタールピツチ中よ
り単に、その中に存在するキノリン不溶分を取り
除いただけでは、すぐれた炭素成型物品を製造す
ることは困難であつた。すぐれた特性を有する炭
素成型物品を得るためには、それに使用する母材
である炭素材はもちろんであるが、バインダー、
或は含浸剤等もそれぞれの炭素成型物品等の製造
に適したものを使用しなければならないのであ
る。すなわち、その炭素成型物品の特性を改善す
るバインダーピツチ或は含浸剤には、β−成分が
より多く存在していることが重要である。 β−成分の定義としては種々の表現があるが、
ここでは次の様にする。例えば芳香族系組成物で
あるコールタールピツチを溶剤によりα,β,γ
成分に分画した場合にそれぞれその一成分として
位置づけられる。α−成分はアントラセン油或は
キノリンに不溶の成分でキノリン不溶分と呼ばれ
るものでピツチ中の高分子物質がこれに当る。こ
のα−成分は普通の溶剤には溶けないものであ
り、例えばバインダーピツチ或は含浸剤として使
用するには、あまり好まれず、むしろ種々の障害
をもたらす場合もある。 又、γ−成分はベンゾール可溶分と呼ばれるも
ので、軽質油分を多く含むため、炭素成型物品の
バインダー、或は含浸剤として使用するには、該
軽質油分が焼成時に揮発分として飛散し、焼成歩
留りを低くするためかえつて炭素成型物品の物性
を悪くするのである。 一方、β−成分は前述の溶剤分画において(ベ
ンゾール不溶分−キノリン不溶分)と定義される
もので、炭素成型物品に使用した場合に、すぐれ
た粘結性を有するものとして出来るだけ多く含有
していることが望ましいのである。 このβ−成分は、従来から各用途において注目
されており、例えば炭素成型物品にコールタール
ピツチをバインダーとして使用する場合、同一の
軟化点を有するものであるならば、前述のβ−成
分の多いピツチ程、成型物品の焼成物が緻密で、
かつ強固になるため、すぐれたバインダーピツチ
であると評価されている。その理由はβ−成分が
炭素成型物品の母材として使用する炭素材である
コークスに対してすぐれた湿潤性を示し、しかも
高い炭化歩留を支える点であるとされている。炭
素成型物品の製造に使用する含浸剤においても前
述の理由と同じくβ−成分が多い程、又α−成分
の少ないもの程、より含浸剤としての性能が良い
ことも知られている。 又、最近ピツチを原料とする高強度炭素繊維が
注目されているが、ピツチ中に前述のα−成分を
多量に含むと、その紡糸の際に、これ等が繊維径
の不均一や、糸切れを引き起し、好ましい原料で
あるとは言えないのである。更に、紡糸したピツ
チ系炭素繊維を炭化するに先立つて行なわれる不
融化処理を速やかに完了するためには、原料ピツ
チがより重質であることが望まれている。すなわ
ち、ピツチ系炭素繊維に用いるピツチはα−成分
が出来るだけ少なく、α−成分に次ぐ重質成分で
あるβ−成分が多いもの程良いのである。 本発明の目的はこの様に多方面に応用されるβ
−成分を多量に含有し、しかもα−成分の含有量
の少ないピツチを製造する方法を提供するもので
ある。 ところで一般にコールタールピツチを熱処理す
ればする程、前述のβ−成分が増加することは良
く知られている。しかし同時にα−成分も増加す
る。このα−成分とはコールタールピツチ中に、
もともと灰分や炭素質微粒子、或は高分子縮合物
として存在し、キノリンに不溶であることから、
キノリン不溶分と呼ばれていることは前述した。 しかし、コールタールピツチを熱処理すればキ
ノリン不溶分の増加が認められ、この増加したキ
ノリン不溶分は偏光顕微鏡の視野で光学的異方性
を示す。本発明においては、この異方性を示す相
をメゾ相と呼び、もともと原料に入つているα−
成分であるキノリン不溶分(以下1次QIと称す)
とは区別することにする。このメゾ相は、キノリ
ンに不溶の液晶物質であり、炭化歩留が高く、加
熱すると、ある程度は流動性を示すが、前述のβ
−成分とは明確に一線を画しており、流動性も劣
つている。従つて前述のα−成分と同じく、種々
の欠点を有するこのメゾ相の発生を出来るだけ抑
えながら、β−成分の濃度を可及的に高めること
が望ましいのである。しかし、通常は何ら手段を
講ずることなく、原料を減圧蒸留して、軽質分を
除去して、β−成分の濃度を相対的に高めるとい
う方法が採用されている。 当然のことながら、そこにはメゾ相を含むこと
になり、それ以上にβ−成分の濃度を高めようと
するならば、それにつれてメゾ相の量も増大する
ことになり、利用効果は半減する。 本発明は、熱処理過程で生成するメゾ相を有効
的に分離除去することにより、β−成分を高濃度
に取り出す方法を提供するものである。メゾ相が
生成した場合、該メゾ相を溶剤分画法により分離
除去することは可能であるが、メゾ相を取り出す
ことを目的とするならばともかく、本発明はβ−
成分を高濃度に含むピツチを取り出すことを目的
としており、その方法として、通常は抽出操作に
加えて、過或は遠心分離等を行なつてメゾ相を
分離除去しなければならない。しかしその様な方
法は繁雑で、あまり効率のよい方法とは言えない
のである。 本発明者等は前述の如く、β−成分を高濃度に
含有したピツチを製造することを目的として、鋭
意研究した結果、本発明を完成するに到つた。 本発明者等は1次QIを含まないピツチを加熱
することにより、2次的に発生したメゾ相は非常
に粘着性に富み、メゾ相同志或は他の固体物質に
付着し易い性質を有することを知見した。これは
明らかに原料ピツチ中に潜在的に存在する1次
QI、或は1次QIを含んだピツチを加熱すること
により2次的に発生したメゾ相とは、その状態を
異にするものである。1次QIを含まないピツチ
を加熱することで2次的に発生したメゾ相はお互
に融合し、大きくなりついにその比重差のため沈
降するようになる。そして該沈降物を分離除去し
た残りの成分が極めて、β−成分に富むことが判
明したのである。 すなわち本発明は、 (1) 1次キノリン不溶分が0.5重量%以下の芳香
族系組成物又は、1次キノリン不溶分を0.5重
量%以上含む芳香族系組成物を過又は遠心分
離等により、該1次キノリン不溶分を0.5重量
%以下にした芳香族系組成物、或は1次キノリ
ン不溶分が0.5重量%以上の芳香族系組成物に
溶媒を混合した後、過又は遠心分離等によ
り、該1次キノリン不溶分を0.5重量%以下に
するか、又は該溶媒で処理した場合にピツチゾ
ーンにおいて、沈降する不溶性相を分離除去し
て、1次キノリン不溶分を0.5重量%以下にし
た芳香族系組成物を実質的に酸素の存在しない
雰囲気下において、340℃〜500℃の温度範囲で
熱処理し、2次的に発生するメゾ相を、芳香族
系組成物との比重差を利用し、分離除去し、β
−成分を高濃度に含有したピツチを得ることを
特徴とするピツチの製造法。 (2) 芳香族系組成物の溶媒処理に使用する溶媒が
脂肪族系及び芳香族系溶媒であることを特徴と
する特許請求の範囲第1項記載のピツチの製造
法。 である。 1次QIを除いたピツチ中のβ−成分の濃度は、
該ピツチの熱処理の進行に伴つて高くなるが、あ
る点で最高値を示し、その後はほぼ一定の値で推
移する。この最高値を示す点でこのピツチはほと
んどの場合、既にメゾ相を含有している。本発明
が画期的であるゆえんは、この様にβ−成分を高
濃度に含有した状態のピツチよりメゾ相を溶剤分
画、或は過、遠心分離といつた繁雑な操作を一
切することなく分離除去できる点にある。 1次QIを含まない芳香族系組成物を加熱して
生成させたメゾ相は非常に粘着性に富み、メゾ相
同志が簡単に融合する。本発明はその様に融合し
て肥大化したメゾ相をピツチとの比重差を利用沈
降分離除去するものである。通常このピツチの比
重が1.2で、肥大化したメゾ相の比重は約1.4であ
る。この比重差によりメゾ相は簡単に沈降する。
生成したメゾ相が、前述の如く非常に粘着性に富
んでいることから、スクレーパー等の器具、或は
撹拌翼等に該メゾ相を掻き上げる装置、例えば網
状撹拌翼等を取り付けて、該メゾ相を分離除去す
ることも可能である。 1次QIを含む芳香族系組成物であるピツチを
同様に熱処理しても、生成したメゾ相は粘着性に
乏しいため、ピツチ自体が熱可塑性を有する時点
では該メゾ相同志は融合せず、そのためメゾ相の
顕著な沈降は見られない。又スクレーパー、或は
撹拌翼にも付着せず、メゾ相のみをその時点で分
離除去することは困難である。メゾ相のみを取り
出すことを目的とするならば、従来はキノリン等
の溶媒を用いて洗い取ることが行なわれていたの
であるが、本発明の様にメゾ相以外の成分を取り
出して使用することはあまり考えられていなかつ
たのである。 本発明により、メゾ相を分離除去したピツチは
そのままでもかなりβ−成分が高い濃度に達して
いるが、更に減圧蒸留を行なつて、メゾ相を分離
除去した残りの成分を濃縮すれば、一層β−成分
を高濃度に含有したピツチに改質することが出来
る。又、該メゾ相を溶剤分画により分離除去し、
β−成分を高濃度に含有したピツチを製造するこ
とも可能であるが、メゾ相を分離するために、前
述の原料の溶媒処理により使用したと同じ溶媒を
用いるとすばやく沈降させることが出来る。この
場合β−成分が最高濃度に得られる様に脂肪族系
溶媒と芳香族系溶媒の混合比率を決めるのが望ま
しい。その後、該混合溶媒を蒸留により取り除け
ばよい。 次に本発明を詳述する。 本発明で使用する原料は石油系又は石炭系の芳
香族系組成物である。石油系芳香族系組成物とし
ては、石油系重質油、ピツチ等が、石炭系芳香族
系組成物としてはコールタール及び/又はコール
タールピツチ等がある。このうち、特に石炭系芳
香族系組成物が、炭素成型物品或は炭素繊維の原
料として好ましいものである。いづれにしても、
原料としては、1次QIが0.5重量%以下のもので
なければならない。 芳香族系組成物中に、1次QIを0.5重量%以上
含む場合は、過又は遠心分離等により、該1次
QIを0.5重量%以下にするか、或は該芳香族系組
成物に脂肪族系溶媒及び芳香族系溶媒を混合した
後、過又は遠心分離等により、該1次QIを0.5
重量%以下にするか、又は該混合溶媒で処理した
場合に、ピツチゾーンにおいて沈降する不溶性相
を分離除去して、1次QIを0.5重量%以下にして
おかなければならない。 本発明において溶媒を用いて1次QIを0.5重量
%以下にする方法については本発明と同じ出願人
による特願昭51−141133号に記載してあるが、そ
の要部を引用する。 本発明者等は、従来より知られている芳香族系
組成物であるピツチ類の溶剤分析を詳細に検討し
ている間に、以下に述べる重大な事実を発見し
た。すなわち、例えばコールタールのような芳香
族系組成物を溶剤分析するに当り、その組成物と
芳香族系溶媒に対して貧溶媒である脂肪族系溶媒
を、その組成物に加温状態で芳香族系溶媒と同時
に混合し、次いで放冷または冷却することにより
不溶性相物質が生成する。ただし、この時の各溶
媒の組合せと芳香族系組成物との構成比率は適当
に選択しなければならない。 芳香族系組成物に対する溶媒の混合による不溶
性相の析出状態の理解のために、組成図を用いて
説明する。以下、本文中の記号は、その時点での
第1図中の組成点に対応する。 芳香族系組成物と芳香族溶媒を、その溶媒の沸
点以下の温度に加熱しながら混合し、放冷または
冷却する(A点)。この混合物は、通常常温では
液状である。これに脂肪族系溶媒を徐々に添加し
て行くと、B点で板状結晶様の不溶性相の析出が
始まる。さらに脂肪族系溶媒を加え続けると、C
点では析出した不溶性相が容器の底部に沈着する
ようになる(D点)。D点以後は、脂肪族系溶媒
を加え続けても、不溶性相の状態は変化しない。
D点の組成物に、芳香族系溶媒を混合加熱し、放
冷または冷却すると、E点で再び板状結晶様の不
溶性相が析出する。さらに芳香族系溶媒を加える
と、板状結晶様の不溶性相となる(F点)。次い
で加える溶媒を、脂肪族系に戻すと、G点に至り
不溶性相は粒状に変わり始め、H点以後では全て
粒状になる。 このような溶媒の混合による不溶性相の析出状
態の変化において、A点からB点までの領域は、
場合によつては油状のものが沈降するので、オイ
リゾーンと称する。B点からC点までの領域では
板状結晶様の析出物となるので、クリスタルゾー
ンと称し、D点の存在する領域では黒色ピツチ状
物質が現われるので、ピツチゾーンと称する。前
述の説明通り、E点からF点を経てG点に至る間
は、再びクリスタルゾーンであるが、H点の存在
する領域での不溶性相はスラリ状を呈するので、
スラリゾーンと称する。 ピツチゾーンでの析出物は1次QIを含有する
不溶性相で容器底部に一体となつて沈澱し、通常
芳香族系組成物の軟化点(R&B法)以上の軟化
点を示すが、不溶性相の分離そのものは極めて容
易である。これは脂肪族系溶媒の添加による効果
である。 一方、上澄液は該溶媒に溶解しているか或はコ
ロイド分散している成分で粘着性の乏しい黒色液
体である。すなわち溶媒を用いて芳香族系組成物
であるピツチを該溶媒により沈降する成分と上澄
液とに分けるのである。これ等の各領域の範囲は
使用する溶媒の組合せによつても変わる。その例
を第1表例1、例2に示す。第2表に例挙するよ
うな相互に完全には溶解せず或る割合の組成で
は、一方の成分が析出するような溶媒の組合せに
おいては芳香族系組成物と芳香族系溶媒を混合
し、次いで脂肪族系溶媒を混合する際、その添加
につれて同様に不溶性相を析出させることも出来
る。
【表】
【表】
【表】 芳香族系組成物としては、例えばコールタール
またはコールタールピツチを出発原料とし、それ
に芳香族系溶媒と脂肪族系溶媒とを、常圧下常温
から140℃で混合すると、前述の組成図のピツチ
ゾーンにおいて、該溶媒に溶けない不溶性相が生
ずる。一方その上澄液は該溶媒に溶解している
か、或はコロイド分散しているものとなる。 使用する芳香族系溶媒は、何ら限定されるもの
ではなく、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフ
タレン、アントラセン、フエナントレンあるいは
それらの混合物等、構成成分が芳香族炭化水素で
あればよいが、通常コールタール蒸留で得られる
クレオソート油、アントラセン油或はデイレード
コーカー副生油など比較的重質油が好ましい。一
方、脂肪族系溶媒においても、n−ヘキサン、ナ
フサ、灯軽油、燃料重油等、構成成分が脂肪族炭
化水素であれば何ら限定されることはない。 1次QIを0.5重量%以下にしたピツチにするた
めに、そのピツチゾーンにおける不溶性相を分離
除去しなければならないが、それには静置分離、
液体サイクロン、過、遠心分離等或はそれ等の
組み合せ方式が採用出来る。そして、溶媒処理芳
香族系組成物の特性を高めるために本発明では常
圧或は減圧蒸留操作を行ない、使用した溶媒等の
低沸点分を除去する。 この様にして、芳香族系組成物中の0.5重量%
以上の1次QIを0.5重量%以下の固体粒子にする
ことが出来る。本発明においては、1次QIが0.5
重量%以下の芳香族系組成物を実質的に、酸素の
存在しない雰囲気、例えば窒素気流中で340℃〜
500℃で熱処理する。340℃以下ではβ−成分を高
濃度にするには、時間がかかりすぎ反対に500℃
以上ではメゾ相の発達が早く、急速に不融不溶性
となりコークス化が促進されるのであまり高い温
度にする必要はない。 ここで生成したメゾ相は極めて粘着性に富むた
め、お互に融合し、増大するため芳香族系組成物
との比重差により簡単に沈降する。そのため諸沈
降物の分離除去が非常に容易である。本発明の特
徴はここにある。 本発明により発生したメゾ相は前述の如く粘着
性を有するため、該メゾ相を分離除去するのに、
スクレーパー、或は撹拌機等を用いて掻き上げる
ことにより除去することも可能である。メゾ相に
粘着性があるため遠心分離或は過等では機械類
或は過面等にメゾ相が付着し、該メゾ相の分離
除去が著しく困難となり、経済的損失は大きい。 原料中に1次QIを含んでいる芳香族系組成物
を熱処理しても、2次的に生成したメゾ相には粘
着性がない。従つてメゾ相同志の融合があまりな
いためメゾ相はさほど増大せず、顕著な沈降現象
は見られない。芳香族系組成物である該ピツチよ
り、メゾ相を分離除去したピツチは前述のβ−成
分を高濃度に含有したものとなる。更に、常圧或
は減圧蒸留することにより軽質油分を除去すれ
ば、一層高濃度にβ−成分を含有するピツチを製
造することが出来る。 次に実施例を用いて説明する。 実施例 1 1次キノリンに不溶分の含有率が0.07重量%、
軟化点(R&B)が85℃のコールタールピツチ
800gを容量1の熱処理容器に採り、器壁との
間に約2mmの間隙を有するリボン型撹拌翼にて掻
き上げ撹拌しながら、窒素雰囲気の常圧下で430
℃で4時間加熱処理した。比重差で沈降したメゾ
相を分離除去した残りのピツチの分析を行なつて
第3表の様な結果を得た。
【表】 又、この時のピツチの比重は1.2、メゾ相の比
重1.4であつた。 この様にして得られたピツチを20mmHgの減圧
下で最高温度380℃で蒸留して、濃縮したところ、
ピツチの性状は第4表の様になつた。
【表】 この様に製造したピツチには多量のβ−成分が
存在していることがわかる。 実施例 2 1次キノリン不溶分2.5重量%のコールタール
軟ピツチに芳香族系軽油(JIS K−2254による初
留点191℃、乾点328℃)1/6部を70℃で混合撹拌
し、放冷後、工業用ガソリン4号(JIS K−
2201)を1/2部加え混合した。ピツチゾーンにお
いて沈降した不溶性相を分離除去した上澄液を減
圧蒸留した。得られたピツチの軟化点(R&B)
は83℃、キノリン不溶分は0.05重量%であつた。 このピツチ800gを容器1の熱処理容器に採
り、器壁との間に約2mmの間隙を有するリボン型
撹拌翼にて掻き上げ撹拌しながら、窒素雰囲気で
常圧下で430℃で4時間の熱処理を行つた。熱処
理終了後に液温を360℃まで降下させ約30分間撹
拌を続けた。撹拌を止めて液温を約200℃まで冷
却して熱処理容器内のピツチをデカンテーシヨン
により分離除去した残りのピツチの分析を行なつ
た。その結果を第5表に示す。
【表】 このようにして得られたピツチを22mmHgの減
圧下で最高温度380℃で蒸留して濃縮したところ、
第6表に示すようなピツチが得られた。
【表】 比較例 1 実施例2で使用した軟化点(R&B)83℃、1
次キノリン不溶分0.05wt%のピツチを約15mmHg
の減圧下で最高温度380℃で蒸留してβ−成分を
濃縮した。その結果β−成分を50wt%以上に濃
縮しようとすると、α−成分が多量に生成してい
ることがわかつた。第7表にその分析結果を示
す。
【表】 実施例 3 1次キノリン不溶分の含有率が0.10重量%、軟
化点(R&B)が90℃のコールタールピツチ2000
gを、容量3の熱処理容器に採り、イカリ型撹
拌翼で約0.2m/secの周速で撹拌を行いながら窒
素雰囲気の常圧下で420℃で4時間熱処理した。
その後自然冷却で350℃まで降温し、その温度で
1時間保持した後、室温まで放冷した。取出した
固体状のピツチには熱改質容器の底部に相当する
部分にメゾ相とピツチ相との明確な境界が肉眼で
観察された。第8表にメゾ相を分離除去した残り
のピツチの分析値を示す。
【表】 比較例 2 1次キノリン不溶分の含有率が3.2重量%、軟
化点(R&B)が83℃のコールタールピツチ800
gを実施例と同様な条件で熱処理し、熱処理終了
後の状態を観察した。メゾ相の融合は見られずメ
ゾ相はピツチ中に均一分散していた。このピツチ
を分析した結果を第9表に示す。又このピツチよ
りメゾ相を分離除去するために過を行つたとこ
ろ、過面にメゾ相が付着し過効率が悪かつ
た。
【表】 このピツチを更に加熱し続けてもメゾ相の顕著
な沈降は見られずそのまま不融不溶のコークスが
生成した。 次に炭素繊維を作るため表−2に示すピツチを
用いて遠心紡糸機で紡糸したところ8時間にわた
つて連続紡糸することが出来た。比較として表−
7に示すピツチを用いて紡糸したところ、ノズル
のつまりにより糸切れが著しく、連続紡糸が困難
であつた。 以上説明した通り、本発明により製造したβ−
成分を高濃度に含有したピツチは、その用途にお
いて、特にバインダーピツチ、含浸剤、或は炭素
繊維等の原料として有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、溶媒の混合比率と不溶性相の析出状
態を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 1次キノリン不溶分が0.5重量%以下の芳香
    族系組成物又は、1次キノリン不溶分を0.5重量
    %以上含む芳香族系組成物を過又は遠心分離等
    により該1次キノリン不溶分を0.5重量%以下に
    した芳香族系組成物、或は1次キノリン不溶分が
    0.5重量%以上の芳香族系組成物に溶媒を混合し
    た後、過又は遠心分離等により、該1次キノリ
    ン不溶分を0.5重量%以下にするか、又は該溶媒
    で処理した場合にピツチゾーンにおいて、沈降す
    る不溶性相を分離除去して、1次キノリン不溶分
    を0.5重量%以下にした芳香族系組成物を実質的
    に酸素の存在しない雰囲気下において、340℃〜
    500℃の温度範囲で熱処理し、2次的に発生する
    メゾ相を、芳香族系組成物との比重差を利用して
    分離除去し、β−成分を高濃度に含有したピツチ
    を得ることを特徴とするピツチの製造法。 2 芳香族系組成物の溶媒処理に使用する溶媒が
    脂肪族系及び芳香族系溶媒であることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載のピツチの製造法。
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