JPH0116579Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はゴム成形金型、特にリング状のゴムパ
ツキンを射出成形または注入成形（以下、射出成
形という）する金型のゲートの構造に関するもの
である。

第１図はリング状ゴムパツキンの代表例を示す
もので、断面円形で、外形側に切欠き状の開口１
が形成されている。このゴムパツキンＡは例えば
容器の上端に突設した注入口と、該注入口への螺
入部をもつ蓋との間に介設される。この場合、パ
ツキンＡの上下面は蓋と容器の上端とに圧接され
てシール作用を果し、また押しつぶされたパツキ
ンＡの内径面は蓋の上記螺入部の上部外周に圧接
されたシール作用を果す。

上記のようなゴムパツキンを射出成形するため
の金型としては従来、第２図、第３図および第４
図に示すような形式がある。

第２図に示す金型において１は上型、２は中
型、３は下型であつて、これ等の間に外径側が中
型２により区切られた断面円形でリング状のキヤ
ビテイ４が形成されている。上型１にはスプル５
が垂直方向に形成され、キヤビテイ４の真上に設
けたゲート６によりキヤビテイ４と連通してい
る。この形式の金型はゲート構造が比較的簡単で
あるが、型を開いたときにゴムパツキンの製品の
上部にゲート跡が残る。しかしてゴムパツキンの
上下面はシール性を保持する必要上、突起部が存
在するのは不都合であつて上記形式の金型はシー
ル性が厳格に要求されるゴムパツキン用としては
適当でない。

第３図に示す金型は、キヤビテイ４の内径部全
周にゲート６が形成され、上型１の中央に設けた
スプル５は分割面に沿う円形のランナー７により
ゲート６に接続している。この形式ではパツキン
の上下面を避けて内径面にゲート跡が残るように
している。内径面は上下面ほどの厳格なシール性
は要求されないが、シール性は良好であることが
望ましく、全周にゲート跡が存在するのは好まし
くない。

第４図はキヤビテイ４の内径側の所定の複数個
所にゲート６を形成し、これに上型１に金型の分
割面に対し垂直方向に設けたスプル５を接続して
いる。この場合、ゲート跡を小さくするためには
ゲート長を小さくする必要があるが、ゲートを短
くするとキヤビテイ４とスプル５が近接するので
金型の強度に問題があり、ゲート長l₁を０、３mm
程度ないしそれ以下とすることができない。

従つていずれの場合にもゲート跡を除去する後
加工が必要である。

そこで本考案はキヤビテイの内径側に金型の分
割面に沿つてゲートを形成し、これに金型の分割
面に対し垂直方向に設けたスプルを接続した形式
の金型において、ゴムパツキン内径面のゲート跡
を後加工で除去する必要がない程度に小さくし、
かつ強度的にも問題のない金型のゲート構造を提
供することを目的とするものである。

そして本考案では、ゲートをキヤビテイと連通
する小径部と、スプルと連通し、上記小径部と段
差状に接続する大径部とで構成したので、小径部
と大径部とよりなるゲート全体を長くすること
で、金型におけるキヤビテイとスプルとの間を厚
くできて金型強度が確保できる。そして、型開き
時には、ゴムは上記小径部と大径部との境の段差
部で切断されるから、小径部を短くすることで、
ゲート跡を十分小さくすることができる。

第５図は本考案の実施例の縦断面、第６図は下
型の平面図である。上型１には金型の分割面に対
し垂直方向に上方へ径が広がるテーパ状のスプル
５が形成してあり、その下端は下型３までのびて
いる。リング状で断面円形をなすキヤビテイ４の
内径側とスプル５の先端部との間には、上型１お
よび下型３の分割面に沿つてゲート６が形成して
ある。そして、上記スプル５とゲート６とよりな
るゴム供給通路が、キヤビテイ４の周方向に所定
の間隔をおいて複数個所に形成してある。各ゲー
トにはその中央部に分割面に対し垂直方向の段差
６１が形成してあり、段差６１を境としてキヤビ
テイ４に連通する側は断面積が小さい小径部６ａ
を形成し、スプル５に連通する側は上記小径部６
ａよりはるかに断面積の大きい大径部６ｂとして
ある。なお、２は中型である。

しかして本考案の金型を用いて、ゴムパツキン
を射出成形する際には、ゴム材料をスプル５より
注入し、ゲート６を経てキヤビテイ４内に充填す
る。これを加熱するとキヤビテイ４内のゴム材料
が加硫硬化し、しかる後に上型１および下型３を
開くとゲート６のスプル５側の大径部６ｂのゴム
はスブル５のゴムと一体となつて上型１に伴なつ
て移動し、ゲート６のキヤビテイ４側の小径部６
ａのゴムはキヤビテイ４内の製品と一体に下型に
伴なつて移動し、ゲート６のゴムは段差部６１に
おいて破断される。本考案においてゲート６は大
径部６ｂ、小径部６ａにより構成されており、小
径部の長さl₂を極めて短かくしてもゲート全体と
しては長くすることができるので、キヤビテイ４
とスプル５との間隔を充分大きくとることがで
き、金型の加工上、また強度上の問題は生じな
い。更に小径部６ａを可及的に小さくできるの
で、特にゲート跡を後加工で除去する必要なく、
ゴムパツキンの内径面の充分なシール性が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はリング状ゴムパツキンの断面図、第２
図、第３図、第４図はいずれも従来のゴムパツキ
ン成形用金型の半断面図、第５図は本考案の金型
の半断面図、第６図は本考案の金型の下型の平面
図である。 １……上型、２……中型、３……下型、４……
キヤビテイ、５……スプル、６……ゲート、６ａ
……小径部、６ｂ……大径部、６１……段差、Ａ
……ゴムパツキン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型および下型間にリング状のゴムパツキンを
   射出成形または注入成形するキヤビテイを有し、
   リング状をなすキヤビテイの内径側に金型の分割
   面に沿つてゲートを形成するとともに上型には金
   型の分割面に対しほぼ垂直方向にスプルを形成し
   てその先端をゲートに接続した金型において、上
   記ゲートを上記キヤビテイと連通する小径部と上
   記スプルと連通し上記小径部と段差状に接続する
   大径部とで構成したことを特徴とするゴム成形金
   型のゲート構造。