JPH0115862Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、副室付火花点火式内燃機関の燃焼
室、特に、該機関のスキツシユ部の消炎による
HC排出を抑制する燃焼室形状に関する。

［従来技術］ 副室付内燃機関は、一般に、主燃焼室の補助を
する幅室を備え、これにより燃焼の完全化を図る
もので、例えば、実開昭50−114501号及び特開昭
52−45843号公報のものが、この考案に関係する
ものとして揚げられる。

前者は、周囲のスキツシユ部付ピストン凹部と
シリンダヘツド壁面により主燃焼室を形成し、こ
の主燃焼室に、副室内で燃料を噴射着火して生成
した火炎を噴出して主燃焼室の空気利用率を促進
し、燃焼の完全化を図るものである。しかし、こ
のものは圧縮着火式のデイーゼル機関であるた
め、この考案の問題とするスキツシユ部の消炎の
問題は生ぜず、関係のないものである。

次に、後者は第１図に示すように、スキツシユ
部Ｓを設けた主燃焼室Ｍの吸入部大容積部Ｋと排
出部大容積部Ｅに向つて、遍在位置の副室用カツ
プ部Ｃの連通孔ＰとＱから火炎を噴出し、主燃焼
室Ｍの混合気を燃焼し、これにより単一混合気の
使用を確実ならしめるものである。これは、副室
内点火栓により着火を行なう火花点火式内燃機関
に関するもので、この考案に大いに関係するもの
である。

しかしながら、この後者の副室付火花点火式内
燃機関にあつては、燃焼をより迅速に行なわせる
為に、スキツシユ部Ｓを設けてあるが、連通孔Ｐ
とＱは直接スキツシユ部Ｓに向つて設けていない
為、間隙の小さいスキツシユ部内部まで火炎が進
入し難いという問題点があつた。即ち上死点時に
おけるピストンクラウン部とシリンダヘツド壁面
間に生ずるスキツシユ部は狭いほど乱流を効果的
に発生するので、通常１mm程度の狭いものに形成
するのが常識であるが、このようにスキツシユ部
は狭いため火炎が入りにくく、また入つたとして
も冷却による消炎作用により燃焼が止まり、この
ためHCが多く排出する欠点がある。然るに従来
のものは、くさび型燃焼室を主体としている関係
上、このような点についてはなんら言及するとこ
ろはない。

［考案の目的］ この考案は、従来のくさび型燃焼室にとらわれ
ずなされたもので、スキツシユ部によるHC排出
を抑制する副室付火花点火式内燃機関の燃焼室形
状を提供することを目的とする。

［考案の構成］ この考案は前記目的を達成するため、ピストン
凹部とシリンダヘツド壁面によりシリンダ中心線
を中心線とする回転体にて主燃焼室を形成し、前
記シリンダヘツド壁面の中央部に設けた点火栓を
主燃焼室に突出するほぼ半球形状のカツプ部で覆
つて副室を形成し、該副室と前記主燃焼室をカツ
プ部のほぼ円周上等間隔に配置して穿設した複数
の連通孔のみにより連通するように形成し、前記
主燃焼室の周囲にピストンクラウン部とシリンダ
ヘツド壁面によりスキツシユ部を形成し、該全部
の連通孔を前記スキツシユ部に向くように形成し
たものである。

［作用］ 副室内で点火生成した火炎はカツプ部の連通孔
より主燃焼室に向つて四方に噴出し、主燃焼室内
混合気を着火燃焼すると同時に、その火炎方向が
主燃焼室周囲のスキツシユ部に直接的に向いてい
るので、火炎の先端部は間隙の狭いスキツシユ部
の奥深く達することができ、この部分で炎が消え
ることなく押し込まれる。これにより、スキツシ
ユ部で消炎することがないので、HCの排出を抑
制することになる。

［実施例］ 以下、この考案を図面に基づいて説明する。

第２図乃至第４図は、この考案の一実施例を示
す図である。

まず、構成を説明すると、１は吸気弁、２は排
気弁、３は主燃焼室、４はスキツシユ部、５は副
室、６は連通孔、７は点火栓、８はピストン、９
はカツプ部、１０はシリンダヘツド、１１はシリ
ンダブロツクである。

主燃焼室３はピストン８の上面に設けた凹部１
２とシリンダヘツド壁面１３（第４図参照）によ
り形成され、シリンダ中心線Ｘ−Ｘに対して対称
形、即ち回転体として形成される。この場合、シ
リンダヘツド壁面１３が球面の一部半径Ｒとして
形成される場合は、凹部１２の周囲のピストンク
ラウン部１４も球面で形成し、その間に生ずるス
キツシユ部４を有効なものにする。また、上記壁
面１３を円錐体とする場合は同様にクラウン部１
４も円錐体とする。

点火栓７はシリンダヘツド壁面１３の中央部、
即ち、主燃焼室３の中央最高部に設けられ、それ
を覆うように主燃焼室３内に突出するほぼ半球形
状のカツプ部９を取付けて内部に副室５を形成す
る。

連通孔６は主燃焼室３と副室５を連通するよう
にカツプ部９に穿孔されるのであるが、その位置
はシリンダヘツド壁面１３に沿つて又はその付近
に設け、更に、その方向（即ち副室内生成火炎の
噴出方向）を壁面１３に沿うよう、つまり、スキ
ツシユ部４に向うよう、円周上４個等間隔に設け
る。勿論個数は４個以外でもよい。

スキツシユ部４はピストン８の圧縮上死点時に
おいて、主燃焼室３（凹部１２）に向つて乱流
（押し出し気流）が生ずるよう適当な間隙（通常
は１mm前後）を周囲全部に亘つて形成する。

なお、排気上死点時においては、排気弁及び吸
気弁がオーバラツプして若干リフトしているのが
通常であるので、そのリフト分、ピストンクラウ
ン部１４に弁頭付近の当接干渉を避けるべく逃げ
を形成するものとする。

次に上記実施例の作用を説明する。

(1) 吸入行程時 ピストン８が排気上死点から下降した吸入行程
に入らんとすると、このとき吸気弁１が若干開き
始めているので、吸気ポート１５から混合気が主
燃焼室３に弁とシートの間から流入する。

このとき、連通孔６は壁面１３付近の位置で、
かつこれに沿つて穿孔されているので、新気が連
通孔６を通つて、カツプ部９内の副室５にも流入
する。そして副室５及び主燃焼室３内に存在する
前行程の排気をまだ開いている排気弁２を通して
排気ポート１６へ排出する。やがて、排気弁２は
閉じるので、新気（燃料と空気の予混合体）が引
き続き吸気弁１からシリンダ１７に入り、これを
みたす。

(2) 圧縮並びに点火燃焼行程時 ピストンが下死点から上方に向うとき、やがて
吸気弁も閉じるので、混合気はシリンダ内にて圧
縮され、圧縮上死点において、主燃焼室３の小容
積内に圧縮される。このとき、スキツシユ部４附
近にあつた混合気は押しつぶされ、凹部３に向つ
て周囲から流入し、細かい渦流を伴つた乱流を生
ずる。もちろん、吸入スワールも加わつていると
その乱れは更に強化される。

副室５は主燃焼室３と連通孔６によつて連通し
ているので、同様に乱流を伴つて圧縮され侵入し
て来た混合気に対し点火栓の放電点火により着火
燃焼し、火炎として連通孔６から噴出する。

従つて、連通孔６から噴出する火炎は噴流とな
つて、四方から主燃焼室３の上層部に向うので、
その混合気はこの噴流火炎により燃焼し、前述の
乱流の作用により急速に火炎伝播する。

一方、連通孔６からの噴出火炎は壁面１３に沿
つて進み、その方向がスキツシユ部４に向つてい
るので、狭い間隙で形成されたスキツシユ部４の
奥深くまで押入ることができる。従つて、火炎は
この間隙内で周囲の冷却作用により消滅すること
はないので、該附近の混合気は完全に燃焼し、急
速燃焼の実効を上げると共に、消炎によるHC排
出を抑制することになる。

これにより、希薄混合気の使用域において、安
定した燃焼を実現でき、燃費の大幅な向上ができ
る。

［考案の効果］ 以上説明して来たように、この考案によれば、
その構成を連通孔の位置をシリンダヘツド壁面付
近に設け、かつ、連通孔の方向をスキツシユ部に
向うようにしたため、間隙が狭く火炎の入りにく
い、また、入つた場合でも火炎伝播が非常に遅く
なるスキツシユ部の中へ火炎を押しこむことがで
き、より迅速に燃焼室内の混合気を燃焼させ、い
わゆる急速燃焼により、希薄混合気使用域での、
安定した燃焼を実現でき、燃費の大幅な向上がで
きるという効果が得られる。更にスキツシユ部内
での消炎によるHCの生成を押えることができる
という効果が得られる。

なお、この考案は、シリンダヘツド壁面が山形
状に限らず、平面状のものにも同様に適用でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の燃焼室の上面図、第２図はこの
考案の燃焼室の縦断面図、第３図は第２図の上面
図、第４図は第２図のＡ−Ａ線による縦断面図で
ピストンが下降した状態を示す図である。 図面に現わした符号の説明、１……吸気弁、２
……排気弁、３……主燃焼室、４……スキツシユ
部、５……副室、６……連通孔、７……点火栓、
８……ピストン、９……カツプ部、１０……シリ
ンダヘツド、１１……シリンダブロツク、１２…
…凹部、１３……シリンダヘツド壁面、１４……
ピストンクラウン部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン凹部とシリンダヘツド壁面によりシリ
   ンダ中心線を中心線とする回転体にて主燃焼室を
   形成し、前記シリンダヘツド壁面の中央部に設け
   た点火栓を主燃焼室に突出するほぼ半球形状のカ
   ツプ部で覆つて副室を形成し、該副室と前記主燃
   焼室をカツプ部のほぼ円周上等間隔に配置して穿
   設した複数の連通孔のみにより連通するように形
   成し、前記主燃焼室の周囲にピストンクラウン部
   とシリンダヘツド壁面によりスキツシユ部を形成
   し、該全部の連通孔を前記スキツシユ部に向くよ
   うに形成した火花点火式内燃機関の燃焼室。