JPH0115550Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車等の車輌のパーキングブレー
キ装置に係り、更に詳細には四輪駆動型車輌のパ
ーキングブレーキ装置に係る。

自動車等の車輌に用いられる自動変速機は、一
般にパーキングブレーキ装置を備えており、この
パーキングブレーキ装置は自動変速機の出力軸、
即ち車輪駆動軸に設けられたパーキングロツクギ
ヤと該パーキングロツクギヤに選択的に係合する
パーキングロツクポール部材とを備え、自動変速
装置のセレクトレバーがＰレンジにもたらされた
時にはパーキングロツクポール部材がパーキング
ロツクギヤに係合して車輪駆動軸の回転を阻止す
るようになつている。

ところで、四輪駆動型車輌に於ては、前輪駆動
軸と後輪駆動軸とが接続されて四輪駆動状態にあ
る時には、前輪駆動軸又は後輪駆動軸のいずれか
一方が上述の如きパーキングブレーキ装置によつ
てロツクされれば、四輪全てがロツクされ、車輌
の踏面に対し大きい車輌停止力が生じ、車輌を安
定して駐車できる許容踏面勾配が増大し、車輌を
急斜面のところに於いても安定して駐車すること
ができるようになる。

しかし、一般に四輪駆動型車輌に於ては、例え
ば特開昭56−75220号公報に示されている如く、
前輪駆動軸と後輪駆動軸との接続を行う四輪駆動
制御用クラツチが油圧クラツチにより行われてい
るため、車輌の内燃機関が停止されると、油圧が
消滅し、四輪駆動制御クラツチが非係合状態とな
つて前輪駆動軸と後輪駆動軸の接続が切れ、四輪
駆動状態が維持されなくなり、このためこの時に
は前輪又は後輪のみがロツクされる状態になり、
四輪全てがロツクされる時の如き大きい車輌停止
力を得ることができなくなり、これに従い車輌を
安定して駐車できる許容踏面勾配が小さくなる。

本考案は、内燃機関の運転が停止され、これに
伴い四輪駆動制御クラツチによる前輪駆動軸と後
輪駆動軸の接続が切れていても四輪全てをロツク
でき、常に大きい車輌停止力を得ることができる
四輪駆動型車輌のためのパーキングブレーキを提
供することを目的としている。

かかる目的は、本考案によれば、前輪駆動軸に
取付けられた前輪側クラツチ部材と後輪駆動軸に
取付けられた後輪側クラツチ部材とを互いに同心
に有し、前記前輪側クラツチ部材と前記後輪側ク
ラツチ部材とを選択的にトルク伝達関係に接続す
る四輪駆動制御クラツチを有する四輪駆動型車輌
のパーキングブレーキ装置に於て、前記前輪側ク
ラツチ部材の外周に設けられた前輪用パーキング
ロツクギヤと、前記後輪側クラツチ部材の外周に
設けられた後輪用パーキングロツクギヤと、前記
前輪用パーキングロツクギヤに選択的に係合して
前記前輪側クラツチ部材の回転を阻止する前輪用
パーキングロツクポールレバーと、前記後輪用パ
ーキングロツクギヤに選択的に係合して前記後輪
側クラツチ部材の回転を阻止する後輪用パーキン
グロツクポールレバーと、前記前輪駆動軸と前記
後輪駆動軸の軸線方向に移動されることにより前
記前輪用パーキングロツクポールレバーを前記前
輪用パーキングロツクギヤとの係合位置と離脱位
置との間に移動させる前輪用パーキングロツクカ
ム要素と、前記前輪駆動軸と前記後輪駆動軸の軸
線方向に移動されることにより前記後輪用パーキ
ングロツクポールレバーを前記後輪用パーキング
ロツクギヤとの係合位置と離脱位置との間に移動
させる後輪用パーキングロツクカム要素と、前記
前輪用パーキングロツクカム要素と前記後輪用パ
ーキングロツクカム要素と同軸に担持し該両カム
要素を一括して軸線方向に移動させるパーキング
ロツクロツドとを有する四輪駆動型車輌のパーキ
ングブレーキ装置によつて達成される。

上述の如き構成によれば、パーキングロツクロ
ツドが軸線方向に移動されれば、これに伴い前輪
用パーキングロツクカム要素と後輪用パーキング
ロツクカム要素とが共に軸線方向に移動して前輪
用パーキングロツクポールレバーと後輪用パーキ
ングロツクポールレバーとが各々前輪用パーキン
グロツクギヤと後輪用パーキングロツクギヤとに
係合し、必ず前輪用クラツチ部材と後輪用クラツ
チ部材の両方が各々回転阻止状態になる。これに
より四輪駆動用制御クラツチが非係合状態になつ
ている前輪駆動軸と後輪駆動軸とが互いに切り離
されていても必ず前輪と後輪が各々ロツクされ、
車輌駐車時に大きい車輌停止力が得られるように
なる。

上述の如き前輪と後輪の全ての車輪のロツクは
車輌の走行制動用のホイールブレーキ系とは全く
個別の系続にて、即ち内燃機関より各車輪へ回転
動力を伝達する動力伝達系の一部をなす四輪駆動
制御装置である、所謂トランスフア部分にて全て
行われ、これによりパーキングブレーキとして安
全性に優れたものになる。

また本考案によるパーキングブレーキ装置に於
ては、前輪用パーキングロツクギヤと後輪用パー
キングロツクギヤとが各々四輪駆動制御用クラツ
チの前輪側クラツチ部材と後輪側クラツチ部材と
に設けられ、そして前輪用パーキングロツクカム
要素と後輪用パーキングロツクカム要素とは共に
一つのパーキングロツクロツドに取付けられてい
ることから、構造簡単にして全輪ロツク作用が確
実に行われるようになる。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図は本考案によるパーキングブレーキ装置
の一つの実施例を示す概略縦断面図、第２図は第
１図のＡ矢視図である。これらの図に於て、１は
図示されていない自動変速機装置の出力軸である
ところの後輪駆動軸を、２は後輪駆動軸１の外周
に同軸に嵌合した前輪駆動軸を各々示している。
後輪駆動軸１は、図示されていない推進軸、差動
歯車装置等を経て図示されていない後輪に接続さ
れ、前輪駆動軸２は、該軸に固定された駆動スプ
ロケツト３、チエーン４、従動スプロケツト５、
軸６及び図示されていない差動歯車装置等を経て
図示されていない前輪に接続されている。

７は後輪駆動軸１と前輪駆動軸２とを選択的に
接続する四輪駆動制御クラツチを示しており、ク
ラツチ７は、後輪駆動軸１に取付けられた後輪側
クラツチ部材８と前輪駆動軸２に一体に設けられ
た前輪側クラツチ部材９とを互いに同心に有し、
油圧室１０に油圧が供給されてピストン１１が図
にて右方へ移動している時には両クラツチ部材を
トルク伝達関係に接続する接続状態になり、後輪
駆動軸１と前輪駆動軸２とを回転動力伝達関係に
接続するようになつている。

後輪側クラツチ部材８と前輪側クラツチ部材９
とはその外径寸法が互に等しくなつており、それ
ら両クラツチ部材の外周面には各々後輪用及び前
輪用パーキングロツクギヤ１２，１３が形成され
ている。パーキングロツクギヤ１２，１３には
各々後輪用及び前輪用パーキングロツクポールレ
バー１４，１５に設けられたポール部１６，１７
が選択的に係合するようになつている。パーキン
グロツクポールレバー１４，１５は、各々一端を
軸１８，１９によつて図示されていない固定部材
に枢支され、捩りばね２０，２１によつてポール
部１６，１７がパーキングロツクギヤ１２，１３
との係合より離脱する方向へ付勢されている。パ
ーキングロツクポールレバー１４，１５には各々
半円錐台状の凹部２２，２３が形成されており、
この凹部にはこれに整合する形状の後輪用及び前
輪用パーキングロツクカム要素２４，２５が各々
係合している。このカム要素２４，２５は、一つ
のパーキングロツクロツド２６に同軸に接続さ
れ、該ロツドによつて担持されてガイド部２７に
案内されつつ第１図にて左右方向、即ち軸線方向
へ同時に一括駆動されるようになつている。ま
た、ロツド２６とカム要素２４及び２５との間に
は緩衝用ばね２８，２９が設けられている。ロツ
ド２６は、図示されていない自動変速装置のセレ
クトレバーに接続され、セレクトレバーがＰレン
ジにもたらされたとき第１図で見て右方へ軸線方
向移動するようになつている。

上述の如き構成によれば、自動変速装置のセレ
クトレバーがＰレンジにもたらされ、ロツド２６
が第１図で見て右方軸線方向へ移動すると、これ
に伴いカム要素２４及び２５が、各々軸線方向移
動してパーキングロツクポールレバー１４，１５
の凹部２２，２３に係合し、前記両レバーを捩り
ね２０，２１のばね力に抗して第２図で見て時計
廻り方向へ回動させ、ポール部１６，１７を各々
パーキングロツクギヤ１２，１３に係合させるよ
うになる。この係合により、後輪側クラツチ部材
８と前輪側クラツチ部材９とが共に同時に回転阻
止状態となり、ついては後輪駆動軸１及び前輪駆
動軸２が共に同時に回転を阻止され、所謂全輪ロ
ツク状態になる。これによりクラツチ７が切られ
ていても後輪駆動軸１と前輪駆動軸２とが同時に
ロツクされ、前輪及び後輪が共にロツクされる。
これにより大きい車輌停止力が生じ、車輌を安定
して駐車できる許容踏面勾配が大きくなり、車輌
を大きい傾斜面のところに於ても安定して駐車す
ることができるようになる。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について
詳細に説明したが、本考案は、上述の実施例に限
られるものではなく、本考案の範囲内にて種々の
実施例が可能であることは当業者にとつて明らか
であろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による四輪駆動型車輌のパーキ
ングブレーキ装置の一つの実施例を示す概略縦断
面図、第２図は第１図のＡ矢視図である。 １……後輪駆動軸、２……前輪駆動軸、３……
駆動スプロケツト、４……チエーン、５……従動
スプロケツト、６……軸、７……クラツチ、８…
…後輪側クラツチ部材、９……前輪側クラツチ部
材、１０……油圧室、１１……ピストン、１２，
１３……パーキングロツクギヤ、１４，１５……
パーキングロツクポールレバー、１６，１７……
ポール部、１８，１９……軸、２０，２１……捩
りばね、２２，２３……凹部、２４，２５……パ
ーキングロツクカム要素、２６……パーキングロ
ツクロツド、２７……ガイド部、２８，２９……
緩衝用ばね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前輪駆動軸に取付けられた前輪側クラツチ部材
   と後輪駆動軸に取付けられた後輪側クラツチ部材
   とを互いに同心に有し、前記前輪側クラツチ部材
   と前記後輪側クラツチ部材とを選択的にトルク伝
   達関係に接続する四輪駆動制御クラツチを有する
   四輪駆動型車輌のパーキングブレーキ装置に於
   て、前記前輪側クラツチ部材の外周に設けられた
   前輪用パーキングロツクギヤと、前記後輪側クラ
   ツチ部材の外周に設けられた後輪用パーキングロ
   ツクギヤと、前記前輪用パーキングロツクギヤに
   選択的に係合して前記前輪側クラツチ部材の回転
   を阻止する前輪用パーキングロツクポールレバー
   と、前記後輪用パーキングロツクギヤに選択的に
   係合して前記後輪側クラツチ部材の回転を阻止す
   る後輪用パーキングロツクポールレバーと、前記
   前輪駆動軸と前記後輪駆動軸の軸線方向に移動さ
   れることにより前記前輪用パーキングロツクポー
   ルレバーを前記前輪用パーキングロツクギヤとの
   係合位置と離脱位置との間に移動させる前輪用パ
   ーキングロツクカム要素と、前記前輪駆動軸と前
   記後輪駆動軸の軸線方向に移動されることにより
   前記後輪用パーキングロツクポールレバーを前記
   後輪用パーキングロツクギヤとの係合位置と離脱
   位置との間に移動させる後輪用パーキングロツク
   カム要素と、前記前輪用パーキングロツクカム要
   素と前記後輪用パーキングロツクカム要素と同軸
   に担持し該両カム要素を一括して軸線方向に移動
   させるパーキングロツクロツドとを有する四輪駆
   動型車輌のパーキングブレーキ装置。