JPH0115162Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、高周波大電力装置、たとえば電子レ
ンジもしくは放送機器用のマグネトロンまたはＸ
線管等のノイズフイルタとして使用される高耐電
圧の貫通形コンデンサに関する。

最近、放送機器等の産業用機器、Ｘ線医療機器
のみならず、電子レンジ等にもUHF、VHF帯の
大電力の電磁波が利用されるようになり、その利
用度が高まるにつれて、これら機器から漏洩する
電磁波による雑音公害の防止が重要な課題になつ
ている。こうした雑音公害防止のため、従来より
各種のノイズフイルタが提案されている。

第１図は此種のノイズフイルタの構成要素とし
て使用されていた貫通形コンデンサの従来例を示
し、貫通孔２，３を開口させた両面に、互に独立
した電極４，５および共通電極６を有する磁器コ
ンデンサ１の、前記共通電極６を、接地金具７の
浮上り部７ａ上に半田付けなどの手段で固着する
と共に、前記磁器コンデンサ１の貫通孔２，３お
よび接地金具７の貫通孔８，９内に、シリコンゴ
ム等の弾力性に富む絶縁チユーブ１０，１１を被
せた貫通導体１２，１３を、磁器コンデンサ１の
電極４，５上に半田付け固定された電極接続体１
４，１５に、半田付け等の手段によつて挿着し、
更に磁器コンデンサ１のまわりをエポキシ樹脂等
の絶縁樹脂１６で被覆した構造となつている。１
７，１８は絶縁カバーである。

前記貫通導体１２，１３は、絶縁チユーブ１
０，１１を被せた直杆部１２ｂ，１３ｂの外形が
円形になつていて、その一端に平板状のタブ端子
部１２ａ，１３ａをプレス加工して作成してあ
る。なお、前記絶縁チユーブ１０，１１は、絶縁
樹脂１６の硬化収縮時またはヒートサイクル試験
時等における残留応力を緩和させ、耐温度特性や
絶縁耐電圧特性を向上させるために設けたもので
ある。

上記構造の貫通形コンデンサを使用して高周波
大電力装置のノイズフイルタを構成するには、た
とえば第２図に示すように、貫通導体１２，１３
における直杆部１２ｂ，１３ｂの一端にインダク
タンスコイル１９，２０等を接続する。インダク
タンスコイル１９，２０等の接続にあたつては、
高周波電流が流れることから、半田付け接続は不
適当であつて、インダクタンスコイル１９，２０
の一端を貫通導体１２，１３の内部に挿入し、そ
の部分を押潰す圧着接続２１によらなければなら
ない。半田付けでは、高周波電流が流れた時に半
田が溶けてしまうからである。ところが、従来の
貫通形コンデンサは、インダクタンスコイル１
９，２０を接続する部分にある程度の大きさの引
張力が加わると、圧着接続２１がその引張力に耐
えられなくなり、直杆部１２ｂ，１３ｂから脱け
出てしまうことがあつた。

また、貫通導体１２，１３の加工工程が、丸棒
または丸管等の素材から所定寸法で切出す工程
と、タブ端子１２ａ，１３ａ等の平板状の部分を
プレス加工する工程の２工程が必要となり、工程
数が多く、コスト高になる欠点もあつた。しか
も、タブ端子部１２ａ，１３ａをプレス加工する
場合に、そのプレス位置に寸法誤差を生じ、外部
受金具等に挿着する際に、電気的、機械的接続上
のトラブルを生じ易い。

更に、貫通導体１２，１３の直杆部１２ｂ，１
３ｂの外形が円形であるから、これに絶縁チユー
ブ１０，１１を被せて係止するためには、絶縁チ
ユーブ１０，１１の内径を直杆部１２ｂ，１３ｂ
の外径より若干小径の円形としなければならず、
絶縁チユーブ１０，１１への貫通導体１２，１３
の挿入作業が面倒になる。しかも、貫通導体１
２，１３を挿着したとき、絶縁チユーブ１０，１
１が径方向に伸び、その分だけ弾力性が失われる
ため、残留応力に対する緩和作用も低下する。

本考案は上述する従来の欠点を除去し、貫通導
体に接続されたリード線、インダクタンスコイル
等が貫通導体から脱け出るのをほぼ完全に防止で
き、しかも貫通導体の加工コスト、材料コストが
安価で、かつ絶縁チユーブによる応力緩和作用が
高く、耐電圧特性、耐温度特性に優れた貫通形コ
ンデンサを提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本考案は、貫通孔を
開口させた両面に電極を有する磁器コンデンサの
前記電極の一方を、接地金具上に固着すると共
に、前記貫通孔内を貫通させた貫通導体を、前記
電極の他方に導通させた貫通形コンデンサにおい
て、前記貫通導体は、前記貫通孔を貫通して外部
へ導出された直杆部の一端に、前記直杆部に圧着
接続される貫通導体の抜け止めとなる止具を圧着
したことを特徴とする。

以下実施例たる添付図面を参照し、本考案の内
容を具体的に説明する。第３図Ａは本考案に係る
貫通形コンデンサの分解斜視図、第３図Ｂは同じ
く組立断面図である。図において、第１図と同一
の参照符号は機能的に同一性ある構成部分を示し
ている。図に示すように、本考案においては、貫
通孔２，３を貫通して外部へ導出される貫通導体
１２，１３の直杆部１２ｂ，１３ｂの一端に、止
具２２，２３を圧着してある。この実施例では、
止具２２，２３はリング状の金属体で構成し、こ
れを直杆部１２ｂ，１３ｂに押し潰して圧着して
ある。

このような止具２２，２３があると、第４図に
拡大して示すように、直杆部１２ｂ，１３ｂに圧
着接続２１されたリード線またはインダクタンス
コイル１９，２０等が、直杆部１２ｂ，１３ｂか
ら脱け出ようとしても、止具２２，２３によつて
阻止されるもので、引張力に対して非常に強くな
る。しかも止具２２，２３は圧着によつて貫通導
体１２ｂ，１３ｂに取付けてあるから、取付け作
業が容易であり、また高周波電流が流れても半田
付けの場合と異なつて取付強度が低下することも
ない。

貫通導体１２，１３は、この実施例では、金属
板材を使用して構成され、その直杆部１２ｂ，１
３ｂは長さ方向に沿つて板材を２つに折畳んだ構
造となつている。すなわち、第５図Ａの展開図に
示すように、タブ端子部１２ａ，１３ａとなる部
分の下方に、中心線０に関して左右対称となる如
く、２つの耳片１２b₁，１２b₂，１３b₁，１３b₂
を連設し、該耳片１２b₁，１２b₂，１３b₁，１３
b₂を中心線０に沿つて折畳むことにより、直杆部
１２ｂ，１３ｂを形成するもので、直杆部１２
ｂ，１３ｂの断面形状は、第５図Ｂに示すよう
に、ほぼ矩形状となる。

このような構造であると、貫通導体１２，１３
は、金属板材をプレス加工することにより、一工
程で一挙に製作できるから、加工コスト、材料コ
ストの安価な量産性の高い貫通導体１２，１３を
得ることができる。

また、タブ端子部１２ａ，１３ａと直杆部１２
ｂ，１３ｂとを同時成形できるので、これらの仕
上り寸法精度が高く、外部との電気的、機械的接
続の信頼性の高いものが得られる。

更に、絶縁チユーブ１０，１１を被せる直杆部
１２ｂ，１３ｂが断面矩形状となるため、第６図
に拡大して示すように、絶縁チユーブ１０，１１
の内周面は、直杆部１２ｂ，１３ｂの各稜角部ａ
〜ｂに線状に圧接するが、面積の大きい各面イ〜
ニとの間はギヤツプg₁によつて隔てられるか、ま
たは弱く接融する程度となる。このため、貫通導
体１２，１３の直杆部１２ｂ，１３ｂを絶縁チユ
ーブ１０，１１内に圧入するときの力が小さくて
済み、絶縁チユーブ１０，１１の挿着作業を非常
にスムーズに行なうことができる。しかも、絶縁
チユーブ１０，１１を挿着した状態で、絶縁チユ
ーブ１０，１１の内周面と各面イ〜ニとの間に前
記ギヤツプg₁が形成されることから、このギヤツ
プg₁も残留応力緩和部分として働くようになり、
絶縁樹脂１６の硬化収縮時またはヒートサイクル
試験時の残留応力に対する応力緩和作用が従来の
ものより著るしく向上する。

タブ端子部１２ａ，１３ａと直杆部１２ｂ，１
３ｂとの間には、第５図Ａに示すように、間隔g₂
の連設部１２ｃ，１３ｃがあり、この連設部１２
ｃ，１３ｃにはプレス曲げ加工等によつて凹加工
した補強部２４，２５を設けてある。前述の如
く、貫通導体１２，１３は金属板材によつて構成
してあるから、タブ端子部１２ａ，１３ａと直杆
部１２ｂ，１３ｂとの間の連設部１２ｃ，１３ｃ
を、前述のような補強部２４，２５を持たない平
板状の形状とした場合、十分な機械的強度が確保
できず、タブ端子部１２ａ，１３ａに対する外部
接続具（図示しない）の挿脱時に、貫通導体１
２，１３がその連設部１２ｃ，１３ｃの部分で折
れ曲つたり、最悪の場合は破断してしまうことも
あつた。本考案においては、連設部１２ｃ，１３
ｃに前述のような補強部２４，２５を設けてある
ので、この部分の機械的強度が増大し、外部接続
具の挿脱操作に十分に耐え得る貫通形コンデンサ
を得ることができる。しかも、この補強部２４，
２５は曲げ加工によつて形成できるから、貫通導
体１２，１３のプレス加工成形時に同時成形する
ことができる。

なお、第３図Ａ，Ｂの参照符号２６，２７は洗
滌水の注入または絶縁樹脂１６の注入充填を容易
化するために設けた孔である。

以上述べたように、本考案は、貫通孔を開口さ
せた両面に電極を有する磁器コンデンサの前記電
極の一方を、接地金具上に固着すると共に、前記
貫通孔内を貫通させた貫通導体を、前記電極の他
方に導通させた貫通形コンデンサにおいて、前記
貫通導体は、前記貫通孔を貫通して外部へ導出さ
れた直杆部の一端に、前記直杆部に圧着接続され
る外部導体の抜け止めとなる止具を圧着したこと
を特徴とするから、貫通導体に圧着されるリード
線またはインダクタンスコイル等の接続体が、貫
通導体から脱け出るのを止具によつて阻止し、接
続の信頼性を向上させた貫通形コンデンサを提供
することができる。また実施例に示したように、
貫通導体を板材によつて構成し、この板材を長さ
方向に折畳んで直杆部を構成することにより、加
工コスト、材料コストが安価で、しかも直杆部に
被せられた絶縁チユーブの応力緩和作用が高く、
耐電圧特性、耐温度特性に優れた貫通形コンデン
サを提供することができる。更に、タブ端子部と
直杆部との接続部分に曲げ加工による補強部を設
けることにより、タブ端子部に対する外部接続具
の挿脱に対する抵抗力が大きく、安定な貫通形コ
ンデンサを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の貫通形コンデンサの断面図、第
２図はこの貫通形コンデンサを用いたノイズフイ
ルタの構造を示す図、第３図Ａは本考案に係る貫
通形コンデンサの分解斜視図、第３図Ｂは同じく
組立断面図、第４図は本考案の効果を説明するた
めの要部の拡大図、第５図Ａは貫通導体の展開
図、第５図Ｂは同じくその断面図、第６図は本考
案の実施例における効果を説明する要部の拡大断
面図である。 １……磁器コンデンサ、２，３……貫通孔、
４，５，６……電極、７……接地金具、１２，１
３……貫通導体、１２ａ，１３ａ……タブ端子
部、１２ｂ，１３ｂ……直杆部、２２，２３……
止具。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 貫通孔を開口させた両面に電極を有する磁器
   コンデンサの前記電極の一方を、接地金具上に
   固着すると共に、前記貫通孔内を貫通させた貫
   通導体を、前記電極の他方に導通させた貫通形
   コンデンサにおいて、前記貫通導体は、前記貫
   通孔を貫通して外部へ導出された直杆部の一端
   に、前記直杆部に圧着接続される外部導体の抜
   け止めとなる止具を圧着したことを特徴とする
   貫通形コンデンサ。 (2) 前記貫通導体は板材で構成され、前記直杆部
   は板材を長さ方向に折畳んで構成したことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記載
   の貫通形コンデンサ。 (3) 前記貫通導体は、前記直杆部の上方に、前記
   電極の他方と接続されるタブ端子部を一体に連
   設し、かつ、前記直杆部と前記タブ端子部の連
   設部分に曲げ加工による補強部を設けたことを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第２項に記
   載の貫通形コンデンサ。