JPH0114799Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は超高真空用の分子ポンプに関し、特に
ねじ溝ポンプ部を有するねじ溝付き軸流分子ポン
プに関するものである。

ねじ溝付き軸流分子ポンプは、あとに図面を用
いて説明するが、動翼および静翼が交互に配置さ
れた軸流翼車ポンプ部と、この軸流翼車ポンプ部
の吐出側に配置され、ねじ溝付き外筒の中で内筒
が回転する構成又は外筒内でねじ溝付き内筒が回
転する構成のねじ溝付きポンプ部とから成つてお
り、超高真空において極めて効果的に動作する。
しかしながら従来のこの種のねじ溝付き分子ポン
プでは、これもあとに詳しく説明するが、排気ガ
ス中にある固形化し易い物質或いは塵埃などがね
じ溝の末端に近いところに付着堆積して排気速度
を低下させる。そのため或る時間使用すると装置
を分解してこの付着堆積物を除去する必要がある
が、従来の装置ではその構造上、これもあとに詳
しく説明するが、装置の分解、付着堆積物の除
去、およびそのあとの組立て調整が多大の時間と
費用を要するという欠点があつた。

したがつて本考案の目的は使用中に付着した堆
積物を僅かの時間と費用で除去することのできる
ねじ付き軸流分子ポンプを得ようとするものであ
る。

本考案によれば、円筒状の真空容器内に、動翼
および静翼が交互に配置された軸流翼車ポンプ部
と、この軸流翼車ポンプ部の吐出側に同軸に、少
なくとも一方の筒にねじ溝を付けた回転する内筒
及び離脱可能に固定された外筒から成るねじ溝ポ
ンプ部とを収容して構成され、しかして該外筒は
該内筒より吐出側に長く伸びその伸びた部分だけ
内側に露出し且つ径方向に該真空容器内壁に接す
るような大きさを有している軸流分子ポンプにお
いて、前記外筒が単一の構体から成るときには該
外筒全体が、該外筒が前記内側に露出した部分の
外筒台部と残りの外筒本体とから成るときには少
なくとも該外筒台部が、前記軸方向に分割可能に
構成されていることを特徴とするねじ溝付き軸流
分子ポンプ部が得られる。

次に図面を参照して詳細に説明する。

第１図は従来のねじ溝付き軸流分子ポンプの構
造を示す断面図である。この分子ポンプは多数の
動翼１および静翼２が交互に配置された軸流翼車
ポンプ部と、この翼車ポンプ部の吐出側に動翼１
と同様に回転する内筒４およびねじ溝つきの外筒
５からなるねじ溝ポンプ部６とから構成されてお
り、静翼２及び外筒５は真空容器７によりポンプ
ベース８に押え付けられ固定されており、それら
の外周は真空容器内壁に接していて、真空容器を
上方に抜き取ることは出来るが両者の中間には極
力気体が残らぬようにしてある。なお９は各静翼
と組になつて用いられるスペーサである。しかし
このような構成の従来の分子ポンプでは、排気す
るガスの中に固形化し易い物質や塵埃が混入して
いると、ねじ溝ポンプ部６の内筒４から吐出側に
ガスを圧縮排気した時に、外筒５の吐出側及びポ
ンプベース８に固形化物質や塵埃が付着堆積す
る。そしてこれらの付着堆積物１０が多くなる
と、ポンプの到達真空度及び排気速度の低下をま
ねくため、ポンプを分解し、付着堆積物１０を取
り除きかつ洗浄する必要がある。

上記のポンプを分解するときは、まず真空容器
７を上方に抜き取り、スペーサ９および静翼２を
外す（静翼は中央で２つに分割可能）。次いで外
筒５を引き抜く順序で行い、ポンプ吐出側を露出
させて吐出側を洗浄することができる。しかしな
がら長時間使用してもし外筒５に図に１０で示す
ように大きくなつた付着堆積物が生じると、その
付着堆積物が内筒４にぶつかり外筒５を引き抜く
ことができなくなるので、このようなときは外筒
５を引抜く前に内筒４を外しておかねばならなか
つた。周知のように内筒４は高速回転するために
精密なバランス取りが必要で、その作業は高度な
技術を要する。従つて前記のように洗浄前に内筒
４を外し外筒５を抜き取るようにして分解したと
きは、洗浄後に内筒４を再取付けする時は特殊装
置及び測定機を用いての精密なバランス取りが必
要である。このため実際にはポンプ製造元に調整
を依頼しなければならず、先にも述べたように、
多大の時間と費用を要するという欠点があつたの
である。

第２図は本考案の一実施例の構成を示す断面図
である。この第２図の参照数字で第１図と同じも
のは第１図における構成要素と同じものを指して
いる。そして１１は外筒本体で第１図の外筒５よ
りは下部が短かくなつており、その短かくなつた
部分すなわち内筒４より後流の吐出側の部分には
縦方向に分割可能な外筒台部１２が設けられてい
る。なお第３図は上記の外筒台部１２を取出して
斜めからみた図であつて、図からすぐ分るように
ポンプの軸方向に２分割されている。以下第２図
および第３図を併せ参照して説明すると、付着堆
積物１０の大部分は外筒台部１２の内側に付着
し、外筒本体１１の部分にはあまり付着しないた
め、外筒本体１１と付着堆積物１０の間の付着は
強固ではない。従つてポンプ分解にはスペーサ９
静翼２および真空容器７を除去したあと、内筒４
はそのままにして外筒本体１１を容易に上手に引
き抜いて外すことができ、次いで外筒台部１２を
２つに割るようにして外し、吐出部を露出させる
ことができる。従つて内筒４を外すことなく外筒
台部１２およびポンプベース８に付着した堆積物
を取除き洗浄することができ、洗浄後は清浄にな
つた外筒台部１２、外筒本体１１および静翼２を
元どおりに再組上げし、真空容器７で押え付け固
定するだけで分子ポンプを動作させることができ
る。すなわち精密なバランスをとる必要のある内
筒４の再組上げ調整が不要となる。このため分
解、洗浄から組上げ、動作までの時間が大幅に短
縮でき、費用の節減も大きい。

第４図は本発明の第２の実施例の構成を示す断
面図である。先の第２図の実施例と異るのはねじ
溝は内筒２１についており、外筒２２はその長さ
が外筒本体１１と外筒台部１２の合計と同じ、す
なわち第１図の従来分子ポンプの外筒５と同じこ
とであり、且つ第３図の外筒台部１２と同じよう
に外筒２２自体がポンプの軸方向に分割されてい
ることである。この場合も外筒２２を２つに割る
ようにして容易に外して堆積物の取除き洗浄がで
きるので内筒２１は外す必要がない。従つて従来
のような内筒２１の取外し、再度の精密組上げ調
整の必要がないので、時間と費用の的で極めて好
ましいものである。

以上２つの実施例においては外筒に関連した部
分の構成が異なつているように見えるが、共にポ
ンプの軸方向に分割することによつて堆積物が付
着する外筒の吐出側を露出させることができるよ
うにした点で共通している。なお第１の実施例に
おける外筒台部１２および第２の実施例における
外筒２２はいずれも２つに分割できるように説明
したが、これが３つでもよくまたそれ以上でもよ
いことはいうまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のねじ溝付き軸流分子ポンプの構
成を示す断面図、第２図は本考案の一実施例の構
成を示す断面図、第３図は第２図の外筒台部１２
の斜視図、第４図は本考案の第２の実施例の構成
を示す断面図である。 記号の説明：１は動翼、２は静翼、３は軸流翼
車ポンプ部、４は内筒、５は外筒、６はねじ溝ポ
ンプ部、７は真空容器、８はポンプベース、９は
スペーサ、１０は付着堆積部、１１は外筒本体、
１２は外筒台部、２１は内筒、２２は外筒をそれ
ぞれあらわしている。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円筒状の真空容器内に、動翼および静翼が交互
   に配置された軸流翼車ポンプ部と、この軸流翼車
   ポンプ部の吐出側に同軸に、少なくとも一方の筒
   にねじ溝を付けた回転する内筒及び離脱可能に固
   定された外筒から成るねじ溝ポンプ部とを収容し
   て構成され、しかして該外筒は該内筒より吐出側
   に長く伸びその伸びた部分だけ内側に露出し且つ
   径方向に該真空容器内壁に接するような大きさを
   有している軸流分子ポンプにおいて、 前記外筒が単一の構体から成るときには該外筒
   全体が、該外筒が前記内側に露出した部分の外筒
   台部と残りの外筒本体とから成るときには少なく
   とも該外筒台部が、前記軸方向に分割可能に構成
   されていることを特徴とするねじ溝付き軸流分子
   ポンプ。