JPH0114762B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はスライドフアスナーの仕上加工装置に
おけるフアスナーチエーン送りグリツパーの改良
に関するものである。

従来の技術 １対のフアスナーチエーンをチエーン送り位置
決め装置と関連させて所定寸法の長さに同時に牽
引移送するフアスナーチエーン送りグリツパーと
して、例えば特公昭49−44243号に開示されてい
るものが知られており、このものは移送ラインの
途中において前半の工程のグリツパーと把持交換
をして、１対のフアスナーチエーンの移送を引継
ぎ、その先端を把持して同時に牽引移送するもの
で、チエーン送り位置決め装置が所定寸法を検出
することにより、１対のフアスナーチエーンの移
送を同時に停止し、フアスナーチエーンのスペー
ス部で切断を行つた後、更に製品排出位置まで移
送を行うように構成されているもので、牽引移送
中にフアスナーチエーンが伸張されて１対のフア
スナーチエーンに長さの違いが生じてもこれに対
処する手段は何もとられていなかつた。

発明が解決しようとする問題点 連続長尺フアスナーチエーンは、繊維材より編
織されたテープにより構成されているため、仕上
加工工程の牽引移送中に温度、湿度の影響を受け
牽引力によりフアスナーチエーンが伸張すること
があり、特に寸法の長い製品にあつては１対のフ
アスナーチエーンにおいて長さの差が生じ易く、
しかるにチエーン送り位置決め装置により所定寸
法を検出して、１対のフアスナーチエーンの移送
を同時に停止するため、１対のフアスナーチエー
ンを所定寸法に切断する場合、互いにそのスペー
ス部の切断位置の位置付けが異り、次位のフアス
ナーエレメントから等距離のところで切断が行な
われないので、次位のフアスナーチエーンの先端
部への蝶棒、箱体の取付けが正確な位置で行なわ
れず、不良製品の発生の原因の１つとなつてい
た。

問題点を解決するための手段 本発明は、前記のような問題点を解決するため
になされたもので、先端にフアスナーチエーンを
把持するチエーン把持部を備え、かつ互いに独立
して前方向にのみ移動可能に構成した１対のフア
スナーチエーン把持機構を有し、該１対のフアス
ナーチエーン把持機構の間に、ピニオンを備えた
常時後方へ付勢されている摺動ブロツクを設け
て、該ピニオンとフアスナーチエーン把持機構に
設けた各ラツクとを夫々噛合連結させると共に、
１対のフアスナーチエーン把持機構に夫々カムに
よつてチエーン把持部を開閉する把持部開閉機構
を組込んだことを特徴とするフアスナーチエーン
送りグリツパーであつて、１対のフアスナーチエ
ーンを互いに独立して同時に移送する際に、牽引
のためフアスナーチエーンが伸張されて各フアス
ナーチエーンの間に長さ寸法の差が生じた場合、
フアスナーチエーン把持機構をその寸法の差に対
応して各別にフアスナーチエーンの移送ができる
ようにしたものでこれにより１対のフアスナーチ
エーンの切断位置が正確に位置付けされ、次位の
フアスナーチエーンの蝶棒、箱体の取付けが正確
な位置で行われるようにしたものである。

実施例 本発明の実施例について説明すると、本発明の
フアスナーチエーン送りグリツパーは主として例
えば第７図に示すようにスライドフアスナー仕上
加工装置の後半の工程に用いられるグリツパーで
あつて、チエーン送り位置決め装置と関連してフ
アスナーチエーンを牽引移送し、そして切断した
フアスナーチエーンを機外に排出するために用い
られるものである。

第１図は本発明のフアスナーチエーン送りグリ
ツパーの平面を、第２図はその側面を示すもの
で、１対のフアスナーチエーンを互いに独立して
同時に移送するように１対のグリツパーホルダー
４，４が互いに平行に設けられており、その先端
にはフアスナーチエーンの先端部を把持するチエ
ーン把持部１を備え、その後半部は、係止段部９
の部分までグリツパー胴体１８内に摺動自在に嵌
合されていて、グリツパー胴体１８の前方にのみ
突出可能に構成されている。そしてグリツパーホ
ルダー４のグリツパー胴体１８内の嵌合部分に
は、その内側面に第１ラツク１０が設けられてい
る。平行に設けられた１対のグリツパーホルダー
４，４に挾まれたグリツパー胴体１８の中央部に
は、摺動自在な摺動ブロツク１２が圧縮スプリン
グ１９によつて常に後方に付勢された状態で設け
られている。この摺動ブロツク１２の上面には第
１ピニオン１１が設けられており、各グリツパー
ホルダー４の後半の嵌合部に設けた第１ラツク１
０，１０と夫々噛合連結されている。そして移送
する力はグリツパー胴体１８から摺動ブロツク１
２を通して第１ピニオン１１と第１ラツク１０，
１０の噛合部分に伝えられ、フアスナーチエーン
を把持する１対のグリツパーホルダー４，４によ
つて移送が行われる。ところでフアスナーチエー
ン送りグリツパーは１対のフアスナーチエーンを
把持して同持に移送を行い、第７図に示すように
フアスナーチエーンを挾持した係合部がフアスナ
ーエレメントに当接して所定寸法を検出するよう
にしたチエーン送り位置決め装置２５が作動する
とフアスナーチエーン送りグリツパーが停止され
るのであるが、移送中にフアスナーチエーンの伸
張が起らず、１対のフアスナーチエーンの長さに
差が生じない時には１対のグリツパーホルダー
４，４は第１図に示すように同じ位置を保有し、
摺動ブロツク１２上に設けた第１ピニオン１１も
回動せずに１対のグリツパーホルダー４，４は同
時に移送を停止する。この時は次位のフアスナー
チエーンの双方のフアスナーエレメントが同時に
チエーン送り位置決め装置に当接しているため、
双方ともフアスナーチエーンのスペース部の正確
な位置で切断が行われることになる。移送中にフ
アスナーチエーンの伸張が起きて、１対のフアス
ナーチエーンの長さに差が生じた時には、第３図
に示すようにグリツパーホルダー４を各別に作動
して一方のグリツパーホルダーは停止するが、他
方の長さの伸張したフアスナーチエーンを把持し
たグリツパーホルダーは更に移送を続けて、共に
次位のフアスナーチエーンのフアスナーエレメン
トにチエーン送り位置決め装置が当接した状態で
フアスナーチエーンを停止させるようにしたもの
である。従来においては、１方のフアスナーチエ
ーンのフアスナーエレメントにチエーン送り位置
決め装置２５が当接するとグリツパー機構が停止
するため、移送中に長さの伸びたフアスナーチエ
ーンのフアスナーエレメントがまだチエーン送り
位置決め装置２５に当接しないうちに停止させら
れるため、この様な状態で切断装置２６が作動す
ると他方のフアスナーチエーンはスペース部の正
しい位置で切断が行なわれないことになる。

そこで本発明のフアスナーチエーン送りグリツ
パーは第３図および第４図に示すように各別にグ
リツパーホルダー４を作動させるようにしたもの
で、第３図における上側のグリツパーホルダー４
（図面上においては上側に示しているが実際には
第７図に示すように夫々水平関係にある。）は、
テープの伸張のない正常な長さのフアスナーチエ
ーンを把持しているグリツパーホルダー４であつ
て、チエーン送り位置決め装置に次位のフアスナ
ーエレメントが当接してフアスナーチエーンの移
送が停止されるが、他方の下側のグリツパーホル
ダー４は、テープが伸張して長さが変化したフア
スナーチエーンを把持しているグリツパーホルダ
ー４であつて、チエーン送り位置決め装置に次位
のフアスナーエレメントが当接するまでフアスナ
ーチエーンの移送が続けられる。そして双方のフ
アスナーチエーンを共にチエーン送り位置決め装
置に当接した状態で停止させて、次位のフアスナ
ーエレメントから等しい長さ位置で切断を行なわ
せるものである。次に第３図に示す各グリツパー
ホルダー４，４と摺動ブロツク１２に設けた第１
ピニオン１１との作動について説明すると、上側
のグリツパーホルダー４は、次位のフアスナーエ
レメントがチエーン送り位置決め装置に当接する
ことにより移送は停止させられるが、フアスナー
チエーン送りグリツパー自体は、他方のフアスナ
ーチエーンが停止するまで移送が行われるので、
上側のグリツパーホルダー４は所定の停止位置を
保持するため、グリツパー胴体１８が移送される
にしたがつてグリツパー胴体１８より次第に突出
するように構成されている。上側のグリツパーホ
ルダー４の停止にともない、その嵌合部に設けた
第１ラツク１０と噛合う第１ピニオン１１が、グ
リツパー胴部１８の移動にしたがつて反時計方向
に回動され、これにより第１ピニオン１１と噛合
う下側のグリツパーホルダー４を右方へ移動する
力が働くが、グリツパーホルダー４には係止段部
９が設けられていて、これがグリツパー胴体１８
と当接して、前方へは移動できるが、後方には移
動できないようになつているので、第１ピニオン
１１は第１ピニオンが設けられている摺動ブロツ
ク１２を圧縮スプリング１９に抗して左方へ移動
して、上側のグリツパーホルダー４を前方に突出
させるように働く。したがつて上側のグリツパー
ホルダー４は移送にしたがつて次第にグリツパー
胴体１８から突出して停止位置を保持することに
なる。そして把持しているフアスナーチエーンが
切断されると緊張力がなくなるため圧縮スプリン
グ１９の後方への付勢力により上側のグリツパー
ホルダー４は突出位置より元の嵌合位置に復帰す
る。他方下側のグリツパーホルダー４は、その係
止段部９をグリツパー胴体１８に当接した状態で
フアスナーチエーン送りグリツパーの移送にした
がつてフアスナーチエーンが移送中に伸長した長
さだけ更に移送され、他方のチエーン送り位置決
め装置に当接して停止する。したがつてこの状態
では双方のフアスナーチエーンが共に次位のフア
スナーエレメントが夫々のチエーン送り位置決め
装置に当接しており、この様な状態で切断装置を
作動すれば、双方のフアスナーチエーンを共に正
しい切断位置において切断することができること
になる。そして双方のフアスナーチエーンが切断
した後は前方向に突出していた上側のグリツパー
ホルダー４が前述したとおり圧縮スプリング１９
により元の位置に復帰するので、送り終了時の製
品の排出においては双方のフアスナーチエーンは
互いにそろつた状態で整然と機外へ排出される。
またフアスナーチエーン送りグリツパーが始点に
復帰してフアスナーチエーンを把持する時には双
方のグリツパーホルダー４，４がそろつた状態で
同時に確実に把持することができる。

また各グリツパーホルダー４，４には夫々チエ
ーン把持部１の開閉を行う把持部開閉機構が設け
られており、第５図および第６図に示すようにカ
ム板へ当接することによりチエーン把持部１が開
放し、またカム板から離脱することにより付勢さ
れたスプリングが働いて閉鎖するように構成され
ている。カム板は第７図に示すように、スライド
フアスナー仕上加工装置の前半のフアスナーチエ
ーンの移送を行う第１のグリツパー２７と、フア
スナーチエーンの把持を変換する位置に始点用カ
ム板２０が、また切断装置２６により所定寸法に
切断したフアスナーチエーンを機外に排出する位
置に終点用カム板２１が夫々設けられている。な
お始点用カム板２０は、フアスナーチエーンの先
端を把持するため、チエーン把持部１を開放して
閉鎖を同一場所で行うため、カム板２０を作用位
置、不作用位置に移送ライン上に出没するように
配設されている。ところでチエーン把持部１の開
閉は、グリツパーホルダー４の中を貫通して設け
た把持部開閉杆５の移動によつて行われるもの
で、２本の把持部開閉杆５，５は、グリツパー胴
体１８の後方に設けた１個のシフター６の把持部
開閉杆５の後端に設けた係止部５ａで係合してい
る。シフター６はグリツパー胴体１８の下方に延
びて設けられたシフターホルダー１５の１端に設
けられ、カム板の当接により回動するレバー７と
連結している。そしてシフターホルダー１５は、
その上面に第２ラツク１４が設けてあり、摺動ブ
ロツク１２に軸支されている第２ピニオン１３と
噛合い、第２ピニオン１３は圧縮スプリング２０
により後方に付勢された摺動ラツクホルダー１６
の下面に設けた第３ラツク１７とも噛合つてい
る。チエーン把持部１の開放は、レバー７の先端
に取付けたカムフロア８がカム板と当接してレバ
ー７が反時計方向に回動し、シフター６が右方に
移動し、係止部５ａと係合して把持部開閉杆５が
右方に移動されることによりリンク３、把持部レ
バー２を作動して行われるものである。そしてチ
エーン把持部１の閉鎖は、チエーン把持部１と把
持部開閉杆５との間に介在させた圧縮スプリング
５ｂによつて積極的に行われる。そしてシフレー
６は、開放時に圧縮スプリング２０に抗して前方
に移動した摺動ラツクホルダー１６の復帰によ
り、第２ピニオン１３が時計方向に回動して第２
ラツク１４を左方へ移動させることにより元の位
置に復帰する。したがつて第１図に示すように把
持部開閉杆に設けた係止部５ａとシフター６との
間に間隙があつてもチエーン把持部１の開閉には
支障がない。そのため、把持部開閉杆５の係止部
５ａとシフター６との係合調整はそれ程正確に行
う必要がなく、また上述の間隙を設けることによ
り、フアスナーチエーンの牽引開始、移送中およ
び牽引終了時にチエーン送りグリツパーに機械的
な衝撃が加えられてもチエーン把持部１の閉鎖状
態を正常に維持することができる。なお第３図に
示すようにグリツパーホルダー４がグリツパー胴
体１８より突出する場合に、把持部開閉杆５もグ
リツパーホルダー４と共に前方に移動し係止部５
ａがシフター６と係合してチエーン把持部１が開
放されることになるが、そのようにならないよう
にグリツパーホルダー４の突出にともなつてシフ
ター６も前方に移動させて把持部開閉杆５の係止
部５ａとシフター６が係合しないように構成され
ている。それは、グリツパーホルダー４の突出と
共に摺動ブロツク１２が前方に移動されるが、第
２ピニオン１３が摺動ブロツク１２に軸支されて
いるため、第２ピニオン１３も前方に移動され、
第２ピニオン１３は摺動ラツクホルダー１６の第
３ラツク１７と噛合つているので時計方向に回動
し、また第２ピニオン１３はシフターホルダー１
５の第２ラツク１４とも噛合つているので、シフ
ターホルダー１５は前方へ移動しシフター６も積
極的に前方に移動され、シフター６は把持部開閉
杆５の係止部５ａとは係合せず、チエーン把持部
１は閉鎖状態を維持することになる。したがつて
双方のグリツパーホルダー４，４がフアスナーチ
エーン索引中においていずれかが前方に突出して
もチエーン把持部１は開放することなく確実に牽
引することができる。

チエーン送りグリツパーの移送は第７図に示す
ように駆動部２４によつて駆動されるベルト２３
によつて行なわれ、ベルト２３に取付けたチエー
ン送りグリツパーは始点用カム板２０と終点用カ
ム板２１の間にわたつて設けた案内レール２２に
沿つて移動するように構成されている。

なお本発明の実施例の説明においては、上側の
グリツパーホルダー４に伸張のない正常の長さの
フアスナーチエーンが把持され、下側のグリツパ
ーホルダー４に牽引中に伸張したフアスナーチエ
ーンが把持されている例について説明したが、上
側のグリツパーホルダー４と下側のグリツパーホ
ルダー４とは同じ構成を有するのでどちらでも同
じ作動を行うものである。

発明の効果 本発明は、１対のチエーン把持機構を、弾性手
段を備えた摺動ブロツクに設けたピニオンと、１
対のチエーン把持機構に設けた各ラツクとを夫々
噛合連結して構成することにより、１対のチエー
ン把持機構を互いに独立して移送することができ
るようにしてあるため、１対のフアスナーチエー
ンを夫々把持して移送する際、移送中に１方のフ
アスナーチエーンが伸張して他方のフアスナーチ
エーンとの長さに相違が生じても、その寸法の変
移に対応して各別にチエーン送りができるため、
フアスナーチエーンのスペース部における切断が
正確な位置で行うことができ、その結果次位の１
対のフアスナーチエーンの加工が正確な位置で行
うことができるので、作業トラブルが無くなり、
不良製品の発生を著しく減少させることができ
た。特に切断寸法の長い製品においては、フアス
ナーチエーンの長さ寸法の相違が生じ易いのでこ
のようなタイプのものにおいては効果が非常に大
きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のフアスナーチエーン送りの１
対のフアスナーチエーンに寸法差のない場合の関
係位置を示す平面図、第２図は同じく側面図、第
３図は本発明のフアスナーチエーン送りの１対の
フアスナーチエーンに寸法差がある場合の関係位
置を示す平面図、第４図は同じく側面図、第５図
はカム板によりチエーン把持部が開放された状態
の平面図、第６図は同じく側面図、第７図は本発
明のフアスナーチエーン送りグリツパーを取付け
たスライドフアスナー仕上加工装置の概要を示す
図面である。 １……チエーン把持部、４……グリツパーホル
ダー、５……把持部開閉杆、６……シフター、１
０……第１ラツク、１１……第１ピニオン、１２
……摺動ブロツク、１５……シフターホルダー、
１８……グリツパー胴体、２０……始点用カム
板、２１……終点用カム板、２５……チエーン送
り位置決め装置、２６……切断装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 先端にフアスナーチエーンを把持するチエー
   ン把持部を備え、かつ互いに独立して前方向にの
   み移動可能に構成した１対のフアスナーチエーン
   把持機構を有し、該１対のフアスナーチエーン把
   持機構の間に、ピニオンを備えた常時後方へ付勢
   されている摺動ブロツクを設けて、該ピニオンと
   フアスナーチエーン把持機構に設けた各ラツクと
   を夫々噛合連結させると共に、１対のフアスナー
   チエーン把持機構に夫々カムによつてチエーン把
   持部を開閉する把持部開閉機構を組込んだことを
   特徴とするフアスナーチエーン送りグリツパー。