JPH0114722Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内燃機関の油圧式弁隙間調整装置に
係り、とくに、新規なチエツクボール弁を具備す
る弁間隙調整装置に関するものである。

内燃機関において、カムの動きを吸排気弁に伝
えて、その開閉を行う場合に、弁間隙の設定およ
び調整を省くために、例えば、第１図に示すよう
な油圧式弁間隙調整装置が用いられている。

第１図において、油圧式弁間隙調整装置１は、
シリンダーヘツド２にスライド自在に装着されて
おり、その本体をなす有底のシリンダー３の底壁
３ａは、カム４に圧接している。

シリンダー３内には、有頂筒状のピボツト５お
よび有底筒状のプランジヤー６が、その開口端同
士を接して、スライド自在に嵌合され、それらの
内部によつて、リザーバー７が形成されている。

シリンダー３の内外周、およびプランジヤー６
の外周要所にそれぞれ形成された環状の溝で油路
８，９が設けられており、かつ油路８と９は、シ
リンダー３に穿設された小孔１２により連通し、
また油路９は、プランジヤー６の側胴に穿設され
た小孔１３により、リザーバー７と連通してい
る。

オイルギヤラリー１１から供給される油は、上
記油路８，９および小孔１２，１３を経て、リザ
ーバー７へ送られる。

ピボツト５は、シリンダー３の上端内面に係止
されたストツパー１４によつて抜け止めされてお
り、ピボツト５の上端頭部５ａには、吸排気弁の
軸またはロツカーアーム（いずれも図示略）によ
つて、断続的な荷重が作用する。

プランジヤー６の底壁６ａと、シリンダー３の
底壁３ａとの間で、高圧室１５が形成されてお
り、その中に配設された伸張性のリターンばね１
７は、チエツクボール弁１６を介して、底壁６ａ
の下面を押圧している。

上記チエツクボール弁１６は、チエツクボール
１８とリリーフばね１９、およびこれらを保持す
るリテーナー２１とから成つており、チエツクボ
ール１８は、底壁６ａに設けられた油孔２２に圧
接して、高圧室１５からリザーバー７への油の流
れを阻止している。

カム４が回転して、その大径部４ａがシリンダ
ー３の底壁３ａを押圧することにより、シリンダ
ー３は、図示されていない弁ばねの弾力に抗して
上昇し、吸排気弁を開く。

ピボツト５を介して、プランジヤー６に下方へ
の荷重が作用すると、チエツクボール弁１６は閉
じ、高圧室１５内の油圧は大きくなつて、少量の
油が、シリンダー３とプランジヤー６との徴小間
隙を通つて逃げて行く。従つてピボツト５は、少
量だけシリンダー３内に進入する。

カム４の回転によりシリンダー３が下降して、
ピボツト５およびプランジヤー６に対する荷重が
減ずると、リターンばね１７の弾力によつて、ピ
ボツト５およびプランジヤー６は僅かに上方に移
動する。この時、高圧室１５内の圧力はリザーバ
ー７内のそれよりも低くなつて、チエツクボール
弁１６が開き、高圧室１５の減少した油量に相当
する油が、リザーバー７から高圧室１５へ供給さ
れる。

すなわち、カム４が回転して、シリンダー３が
上下動する毎に、チエツクボール弁１６が開閉し
て、高圧室１５への油の補給が行われる。

弁間隙調整装置１に荷重が作用していないと
き、すなわち、吸排気弁が閉じていて、シリンダ
ー３がカム４の小径部（ベースサークル）に圧接
しているときには、チエツクボール１８と油孔２
２との間には、徴少間隙が存在することが望まし
い。

この徴少間隙があると、吸排気弁の開弁初期、
すなわち、弁間隙調整装置１に荷重が作用し始め
て、プランジヤー６が下降し始めるとき、高圧室
１５内の少量の油が、チエツクボール１８と油孔
２２との徴少間隙を通つてリザーバー７へ逃げ
る。その後、チエツクボール１８が油孔２２に圧
接して、チエツクボール弁１６が閉じられる。

チエツクボール１８と油孔２２との間に、この
ような隙間を設けておくことによつて、カム４の
小径部の精度誤差、ならびにカム軸の撓みによ
る、弁開閉作用への影響が吸収される。

上記の従来の装置へおけるチエツクボール１６
は、リリーフばね１９とリテーナ２１とが別個の
部品で形成されているので、その組付工数および
加工費が大となる欠点があつた。

またリテーナー２１が、リリーフばね１９がチ
エツクボール弁１８を保持する構造になつている
ので、弁間隙調整装置１を組立てるときには、チ
エツクボール１８を底壁６ａに圧接させた状態で
セツトしなければならず、不便であつた。

さらに、チエツクボール１８を油孔２２に圧接
するリリーフばね１９が等ピツチであるため、チ
エツクボール弁１６の開弁初期において大きな流
量が得られず、弁間隙調整装置１の伸長動作が遅
れて、正常な弁開閉動作に支障を来す惧れがあつ
た。

本考案の目的は、上記したような従来のチエツ
ク弁におけるリリーフばねおよびそのリテーナー
を、１つの部品からなる螺旋状のリリーフばねを
もつて構成することにより、上記した従来装置の
不具合を解消した油圧式弁間隙調整装置を提供す
ることにある。

以下、第２図ないし第５図に示す実施例に基
き、本考案の構成を説明する。なお、第１図にお
ける部材と同一機能を果す部材には、同一の符号
を付して説明を省略する。

第２図において、高圧室１５に配設されたチエ
ツクボール弁２５は、チエツクボール１８と、こ
れを保持するリリーフばね２６とで構成されてい
る。

第３図および第４図に示すように、リリーフば
ね２６は、弾性を有する円形の薄板２７に、１対
の不等ピツチの螺旋状のスリツト２８，２９を設
けたものから成つており、リリーフばね２６の中
央部は、第４図に示すように、高さＨを有するよ
うに沈下している。

薄板２７の周縁よりやや内側には、円周方向に
沿う切欠き３１が、等間隔をもつて複数個設けら
れており、かつこの切欠き３１の一端から周縁に
至る切欠きを連設することにより、複数個の板ば
ね３１ａが形成されている。

この板ばね３１ａは、リリーフばね２６をプラ
ンジヤー６の下端部に形成された穴部６ｂに圧入
して固着させる際に、弾発力を生じさせるための
ものである。

チエツクボール弁２５をプランジヤー６に組付
けるには、リリーフばね２６の凹部にチエツクボ
ール１８を載置し、同ばね２６の周面部２６ａを
プランジヤー６の穴部６ｂに圧入させればよく、
その作業は容易である。

このように、チエツクボール１８を油孔２２の
角隅部（すなわち弁シート）に圧接させることな
く、チエツクボール弁２５をプランジヤー６に取
付けることができるとともに、チエツクボール１
８と油孔２２との間に、所定の徴少間隙を予め形
成させておくことができる。

したがつて、吸排気弁が閉じているときに、カ
ム４の小径部（ベースサークル）の精度誤差およ
びカム４のカム軸の撓み等による、動弁系への影
響を吸収させることができる。

また、リリーフばね２６は不等ピツチとなつて
いて、その作動初期における弾発力は小さいの
で、チエツクボール弁２５の流量３２は、第５図
における実線で示すように、従来のチエツクボー
ル弁１６の流量３３に比較して、開弁初期に大き
な値を得ることができる。

従つて、弁隙間調整装置の伸長動作、すなわ
ち、ピボツト５に対する荷重が減少したときの、
ピボツト５が外方へ伸長する動作の応答性が非常
によくなり、特に、高速回転を行う内燃機関にお
いて、正常な弁開閉動作を安定して行うことがで
きる。

以上述べたように、本考案によれば、高圧室内
に配設されるチエツクボール弁のリリーフばね
を、螺旋形の凹状板ばねで構成して、チエツクボ
ールを保持することによつて、従来のチエツクボ
ール弁に使用されていたリテーナーを省略したの
で、部品点数の減少によるコスト低下、および組
付工数の低減を図ることができる。

また、チエツクボールを弁シート圧接させず
に、チエツクボール弁を設定できるので、チエツ
クボールと弁シート間に徴少間隙を得ることがで
き、吸排気弁が閉じているときに、カムのベース
サークルの誤差およびカム軸の撓みを吸収させる
ことができる。

さらに、リリーフばねが、不等ピツチの螺旋で
形成されているので、チエツクボール弁の開弁初
期に大きな流量が得られ、弁間隙調整装置の伸長
動作の応答性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の油圧式弁間隙調整の一例を示
す縦断正面図、第２図は、本考案の一実施例を示
す油圧式弁間隙調整装置の縦断正面図、第３図
は、リリーフばねの平面図、第４図は、リリーフ
ばねの縦断側面図、第５図は、チエツクボール弁
の流量線図である。 １……油圧式弁隙間調整装置、２……シリンダ
ーヘツド、３……シリンダー、３ａ……底壁、４
……カム、５……ピボツト、６……プランジヤ
ー、６ａ……底壁、７……リザーバー、８，９…
…油路、１１……オイルギヤラリー、１２，１３
……小孔、１４……ストツパー、１５……高圧
室、１６……チエツクボール弁、１７……リター
ンばね、１８……チエツクボール、１９……リリ
ーフばね、２１……リテーナー、２２……油孔、
２５……チエツクボール弁、２６……リリーフば
ね、２７……薄板、２８，２９……スリツト、３
１……切欠き、３２，３３……流量。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) カムの回転により吸排気弁を開閉させる動弁
   機構における弁間隙調整を行う装置であつて、 上記装置の本体をなすシリンダーおよびこれ
   に嵌合されているプランジヤーの各底壁間で形
   成される高圧室内に配設されたチエツクボール
   弁を、前記プランジヤーの底壁外面に押圧さ
   れ、かつプランジヤーの底壁に設けられた油孔
   に、微小間隙をもつて対向するチエツクボール
   と、外周部がプランジヤーの底壁に係止され、
   中央部でチエツクボールを背後から弾圧保持す
   る螺旋状のリリーフばねとをもつて構成したこ
   とを特徴とする内燃機関の油圧式弁間隙調整装
   置。 (2) リリーフばねが、中央部が凹入する螺旋状の
   円形板ばねである実用新案登録請求の範囲第(1)
   項に記載の装置。 (3) リリーフばねが、不等ピツチの螺旋状を呈し
   ている実用新案登録請求の範囲第(1)項又は第(2)
   項に記載の装置。