JPH0113814Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はプランジヤシリンダを回転可能とし、
燃料噴射時期を進めたり、遅らせることを可能と
した分配型燃料噴射ポンプに関するものである。

従来の分配型燃料噴射ポンプにおいては、その
プランジヤシリンダがプランジヤヘツドに圧入さ
れ、固定されており、カムデイスクをタイミング
アドバンスタイマーピストンで回転することによ
り、プランジヤリフト時期を変化させてその燃料
噴射時期を変化させていたが、これには油圧タイ
マー室等の場所と複雑な機構を必要とした。

即ち、内燃機関の始動進角には、特別の補機の
機構によりタイマーピストンを進めることが必要
で、更に製作上の場所及び機構に限界があるため
に、タイミング進角の範囲が狭いという問題があ
つた。

また、機関のアイドル時に燃料の噴射率を低く
して使いたい時においても、その噴射率を変化さ
せる機構が設けられていなかつた。

そこで燃料を噴射するプランジヤがプランジヤ
シリンダから露出する部分にコントロールスリー
ブを嵌合し、該プランジヤが前記スリーブの所定
の位置に来ると燃料がポンプハウジング内に噴
出・還流することにより燃料噴射率を調節するよ
うにした実開昭55−127868号公報及び実開昭57−
2254号公報の考案がある。

これらの先行技術は、プランジヤ内に前記コン
トロールスリーブが配置されている位置に燃料出
口を有する燃料通路を設け、プランジヤの前後動
でこの燃料出口が前記スリーブから露出すると、
燃料噴射圧によつてポンプハウジング内に燃料を
噴射・還流し、気筒側に噴射する燃料の噴射率を
調整するものである。

そしてこれら先行技術の燃料噴射率の調整は前
記スリーブの位置を移動させて行うものであり、
前記先行技術のうち、前者は機関の状態変化を電
気的に検出して電磁アクチユエータにより前記コ
ントロールスリーブを移動させて燃料噴射率を調
節するものであり、後者の先行技術は、ガバナに
よつて移動させるようにしているものである。

ところで、前記コントロールスリーブを設けた
燃料噴射ポンプにおいて、プランジヤに設けた前
記燃料通路からスリーブ内面に設けた逃げ溝を通
じて燃料をポンプハウジング内に噴射・還流させ
る連絡通路を設けると共に、ポンプハウジング内
の油圧変化に応動して前記スリーブを回転させる
油圧アクチユエータを設けることにより、燃料噴
射開始時期を調節できるようにした特開昭54−
12035号公報の発明がある。

ところでこの先行技術は、前記燃料噴射量調節
の外に燃料噴射時期をも調整可能としたものであ
るが、プランジヤの燃料吸い込みタイミングは固
定して燃料噴射開始時期だけを変化させるように
したために、噴射時期を大きく変化させると吸い
込み時期と噴射時期とが干渉するという問題があ
る。したがつて、この先行技術の噴射時期調整可
能範囲は、広い範囲とすることができず、６気
筒、８気筒などの出力の大きい大型の内燃機関に
適用することは実用的でなく、又、前記２つのタ
イング調整をそれぞれ別部材で行うために、相対
位置が変動して相互のタイミングが狂うと圧力変
動が発生しキヤビテーシヨンを起すという欠点が
ある。

本考案は、以上の問題を解決するために成され
たものであり、内燃機関の始動進角を特別の補機
を用いず、しかもタイミング調整が確実でキヤビ
テーシヨンなどを起す危険がなく、広い燃料噴射
時期調整範囲を有し、しかも従来どおり噴射率を
調節できる分配型燃料噴射ポンプを提供すること
を目的としている。

以上の目的を達成するための本考案の分配型燃
料噴射ポンプの構成は、回転しながら往復動して
燃料を噴射するプランジヤと、燃料の流入通路及
び各気筒への流出通路を有し、且つ回動自在とし
たプランジヤシリンダと、該プランジヤシリンダ
を回動させる噴射時期調整装置と、前記燃料流入
通路に通ずる燃料供給通路を備えたプランジヤヘ
ツドとを設けたことを特徴とするものである。

本考案は、燃料を吸い込む燃料流入通路と噴出
させる燃料流出通路とを共にプランジヤシリンダ
に設けているので、噴射時期を調整するためにプ
ランジヤシリンダを回動させても、燃料噴射ポン
プが燃料を吸い込むタイミングと噴出させるタイ
ミングとが干渉する危険がなく、ベストタイミン
グを保持するように作用する。

以下図面を参照して噴射時期調整を手動により
行うようにした本考案の一実施例を説明するが、
第１図は本考案の実施例における分配型燃料噴射
ポンプの要部側断面図である。

まず、内燃機関に装着されるこの分配型燃料噴
射ポンプのプランジヤシリンダ１内に摺動自在に
設けられたプランジヤ２は、駆動軸８の矢印Ｒで
示す回転運動を受けると共に、カム９とローラ１
０及びばね１１によつて往復動を繰り返し、１つ
のプランジヤ２でこの機関すべてのシリンダに燃
料を供給するようになつている。

そこで、図示されていない給油ポンプで、ある
程度の圧力まで加圧された燃料は、プランジヤヘ
ツド３から燃料流入通路４経由プランジヤ２の溝
を通つて吸込まれるが、プランジヤ２が回転しな
がら圧縮することによつて、この燃料は燃料流出
通路５から吐出弁１２側に噴射されるようになつ
ている。

そこで本考案では、プランジヤシリンダ１をプ
ランジヤ２及びプランジヤヘツド３に対して相対
的に回転可能に配設しており、本実施例ではプラ
ンジヤシリンダ１のふた部材１Ａのみをプランジ
ヤヘツド３に固定しており、プランジヤシリンダ
１の駆動軸８側端部は、プランジヤヘツド３に固
定した飛び出し防止ストツパ６で係止され、脱落
防止されている。

そこで、プランジヤシリンダ１が回転すると、
燃料流入通路４及び燃料流出通路５も一緒に回転
するが、プランジヤシリンダ１とプランジヤヘツ
ド３との間が相対的にずれても燃料がこれらの通
路を流れるように、プランジヤヘツド３側の燃料
供給通路１３及び燃料圧送通路１４に図示されて
いないスリツト、２段穴、あるいはオフセツト穴
などの加工をしており、プランジヤシリンダ１が
回転しても燃料の吸込み及び圧送は従来通り実施
されるようになつている。

次に、第２図に示すごとく、このプランジヤシ
リンダ１は従来の列型燃料噴射ポンプのプランジ
ヤバーレル回転機構と同様なリンク機構による手
動式噴射時期調整装置１５を使用して矢印Ａ−Ｂ
方向の適宜な位置に回転可能になつている。

第３図はこの分配型燃料噴射ポンプのカム９に
よるカムリフトと、燃料の噴射ストローク及び吸
込ストロークを示す線図であるが、プランジヤ２
の位置、即ちこの内燃機関の位相であるカムリフ
トに対し、上記噴射ストローク及び吸込みストロ
ークをＡで示すごとく遅らせたり、Ｂで示すごと
く進めたりすることができ、またカム９の位置に
よりカムリフトによる燃料の噴射率も変わつてく
る。なお第１図の１６は、燃料噴射率を調節する
コントロールスリーブである。

特に、機関アイドル時にＡで示すごとく噴射時
期を遅らせ、噴射率を標準時の噴射率より低くし
て運転することができる。

以上説明したように本考案の分配型燃料噴射ポ
ンプは、回転しながら往復動して燃料を噴射する
プランジヤと、燃料の流入通路及び各気筒への流
出通路を有し、且つ回動自在としたプランジヤシ
リンダと、該プランジヤシリンダを回動させる噴
射時期調整装置と、前記燃料流入通路に通ずる燃
料供給通路を備えたプランジヤヘツドとを設ける
構成として、プランジヤシリンダをプランジヤの
周囲に回動させて噴射時期調整を行うようにした
ので、該シリンダ内に燃料を吸い込むタイミング
と燃料を噴出させるタイミングとが常に固形され
るので、噴出時期を大きく変化させることがで
き、気筒数の多い大型の内燃機関機関にも有利に
適用することができ、又、従来から使用されてい
るコントロールスリーブをそのまま使用すること
ができるので燃料噴射量の調節も従来どおり可能
で、コンパクトな装置とすることができるという
効果がある。

更に、本考案にタイミングアンドバンス方式を
併用すれば、高級なタイミングコントロールが可
能となり、また、アイドルリタード、始動時進角
及びロードタイミングコントロールを容易に、か
つ確実に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例における分配型燃料噴
射ポンプの要部側断面図、第２図は第１図のプラ
ンジヤシリンダを回転させるリンク機構を示す斜
視図、第３図は第１図の分配型燃料噴射ポンプの
カムによるカムリフトと燃料の噴射ストローク及
び吸込ストロークを示す線図である。 １……プランジヤシリンダ、２……プランジ
ヤ、３……プランジヤヘツド、４……燃料流入通
路、５……燃料流出通路、１３……燃料供給通
路、１５……噴射時期調整装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転しながら往復動して燃料を噴射するプラン
   ジヤと、燃料の流入通路及び各気筒への流出通路
   を有し、且つ回動自在としたプランジヤシリンダ
   と、該プランジヤシリンダを回動させる噴射時期
   調整装置と、前記燃料流入通路に通ずる燃料供給
   通路を備えたプランジヤヘツドとを設けたことを
   特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。