JPH0112464Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、例えば各種の時計、カメラ、電子レ
ンジ、ポータブル．ビデオ．テープ．レコーダま
たはポケツトベル等において、報音用として使用
される音響変換器に関する。

従来技術とその問題点 この種の音響変換器としては、圧電型等のもの
も知られているが、最近、2KHz前後の低周波領
域に共振点を持つ電磁型のものが注目されてい
る。この電磁型音響変換器は、振動板を直流的な
磁界と、交流的な磁界との磁気的相互作用により
励振して、振動音を得るものである。

第１図はこの種の前記電磁型音響変換器の従来
例における断面図であり、コイル２を巻装した鉄
心３を有するヨーク４の上面に、前記コイル２及
び鉄心３から成る電磁石を包囲する如く、フエラ
イトマグネツトもしくはプラスチツク成形マグネ
ツト等の円筒状の永久磁石５を配置すると共に、
該永久磁石５の上端面に円板状の振動板６を装架
することにより、音響変換部を構成し、この音響
変換部を非磁性金属材料または合成樹脂等より成
る円筒状ケース１の底部開口部に、圧入等の手段
によつて装着した構造となつている。７はヨーク
４と共に前記ケース１の底部開口部に装着される
端子基板であり、前記コイル２のコイル端末を導
通接続させるピン状の端子８，９を植設してあ
る。更に、音圧レベルを向上させるため、振動板
６の前面にある前記ケース１の面板部１０１に放
音開口部１０を設けてある。

しかしながら、この第１図に示す構造では、端
子８，９に対するコイル端末の接続、或いはプリ
ント回路基板への実装に当つて、半田デイツプ処
理を行なうと、放音開口部１０等を通つて音響変
換部の内部にフラツクスが侵入し、振動板６の支
持端面に付着して振動板６を固着させ、或いは振
動板６と鉄心３の先端面との間に介在し、振動特
性及び音響特性を著しく劣化させ、更には振動板
６を腐食させる等の問題を生じる。これを避ける
目的で、フラクツクス洗浄を行なつた場合にも、
洗浄液が音響変換部の内部に入るため、同様の問
題を生じる。

その解決手段として、従来は第２図に示すよう
に、ケース１と該ケースの上端に嵌合装着される
放音筒体１１との間の嵌合端面間に、周囲をＯリ
ング１２によつて水密に密閉した防水シート１３
を張設するか、または第３図に示すように、振動
板６の全周を熔接イする等の手段を採つていた。

しかし、第２図の防水構造では、防水シート１
３が洗浄液の出口となる放音開口部１０とは反対
側のケース内底部に張設されるため、洗浄液の蒸
発、排除に時間がかかり過ぎる難点があること、
防水構造が複雑になるためコスト高になること等
の難点がある。

一方、第３図の防水構造では、振動板６の熔接
によりその振動特性が変動してしまうこと、コス
ト高になること等の難点を生じる。

更に、前記防水シート１３は、特別の用途、例
えば防水腕時計用報音器としての用途等を除い
て、半田デイツプ処理及びフラツクス洗浄等の各
処理を行なつた後は不要になるのであるが、第２
図及び第３図の従来構造では、防水構造が当該音
響変換器と一体化されていて、後で取外すことが
できないため、音圧レベル等の低下を招いてしま
うと言う難点があつた。

本考案の目的 そこで本考案は、上述する従来の欠点を除去
し、簡単かつコストの安価な構造で、音響変換部
内部へのフラツクスや水の侵入を確実に阻止で
き、しかも後で必要に応じて簡単に取外すことの
可能な防水構造の音響変換器を提供することを目
的とする。

本考案の構成 上記目的を達成するため、本考案は、音響変換
部と、該音響変換部を内蔵し該音響変換部の放音
側に開口部を有するケースとを備える音響変換器
において、前記ケースの前記開口部を開口させた
外面に凹溝を設け、該外面上に、一面側に粘着層
を有する防水シートの前記粘着層側を、一部が前
記凹溝にかかるように、かつ、前記開口部を閉塞
するように粘着させたことを特徴とする。

実施例 第４図は本考案に係る音響変換器の正面断面
図、第５図は同じくその平面図である。図におい
て、第１図乃至第３図と同一の参照符号は同一性
ある構成部分を示している。この実施例では、ケ
ース１の放音開口部１０を開口させた前面部分１
０１の外面に凹溝１４を設ける一方、該外面上
に、シート状またはフイルム状の基体１５１の一
面側に粘着層１５２を有する防水シート１５を、
一部が前記凹溝１４にかかるように粘着させ、該
防水シート１５によつて放音開口部１０を閉塞し
た構造となつている。

上述の如く、本考案においては、音響変換部を
内蔵するケース１の放音開口部１０を、防水膜シ
ート１５によつて閉塞してあるから、半田デイツ
プ時に音響変換部の内部に半田付けフラツクスが
侵入することがない。このため、フラツクスによ
つて振動板６が固着されたり、ギヤツプが変化す
る等の事態を回避し、振動特性及び音響特性の優
れた音響変換器を実現することができる。また、
フラツクスが侵入することがないので、フラツク
ス洗浄工程が不要になると共に、フラツクス洗浄
液の侵入による振動特性及び音響特性の変動を招
く余地がない。

また、フラツクス洗浄後は必要に応じて当該防
水シート１５をケース１から剥離して取外すこと
ができるから、機器に組込んだ状態での、前記防
水シート１５にる音圧レベルの低下を防止するこ
とができる。しかも本考案においては、防水シー
ト１５を、一部が前記凹溝１４にかかるように粘
着させてあるから、前記凹溝１１と防水シート１
５との隙間から指またはピンセツト等を差込んで
防水シート１５の端縁を挟み、防水シート１５を
剥離することができる。このため、防水シート１
５の剥離作業が非常に容易になる。

前記防水シート１５としては、第６図に示すよ
うに、金属薄膜を基体１５１とし、その一面側に
粘着層１５２を形成した構造のもの、または第７
図に示すように、一面側に蒸着等の手段によつて
金属薄膜１５３をラミネートした樹脂フイルムま
たはシートで成る基体１５１の他面側に、粘着層
１５２を形成したもの等が考えられる。特に、第
６図の実施例の場合は、粘着層１５２との馴じみ
の良好な樹脂で構成された基体１５１の一面側
に、透湿性が極めて低く、機械的強度が大で、し
かも展延性に優れた金属薄膜１５３を形成し、樹
脂フイルムまたはシートで成る基体１５１を金属
薄膜１５３で補強した積層構造となる。このた
め、基体１５１を例えば20〜50μm程度の極めて
薄いフイルムとすると同時に、金属薄膜１５３を
も例えば８〜10μm程度の薄層とすることが可能
となり、薄くて音響特性を損なうことがなく、し
かも防水性、柔軟性に優れ、機械的強度及び粘着
力が大で、信頼性の高い防水シートが得られる。

本考案の効果 以上述べたように、本考案は、音響変換部と、
該音響変換部を内蔵し該音響変換部の放音側に開
口部を有するケースとを備える音響変換器におい
て、前記ケースの前記開口部を開口させた外面に
凹溝を設け、該外面上に、一面側に粘着層を有す
る防水シートの前記粘着層側を、一部が前記凹溝
にかかるように、かつ、前記開口部を閉塞するよ
うに粘着させたことを特徴とするから、簡単かつ
コストの安価な構造で、音響変換部内部へのフラ
ツクスやフラツクス洗浄液の侵入を確実に阻止で
き、しかも後で必要に応じて簡単に取外すことの
可能な防水構造の音響変換器を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は電磁型音響変換器の従来例を示す断面
図、第２図は同じく別の従来例における断面図、
第３図は同じく別の従来例における断面図、第４
図は本考案に係る音響変換器の断面図、第５図は
同じくその平面図、第６図は防水シートの別の実
施例における断面図、第７図は同じく別の実施例
における断面図である。 １……ケース、２……コイル、３……鉄心、４
……ヨーク、５……永久磁石、６……振動板、１
０……放音開口部、１４……凹溝、１５……防水
シート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 音響変換部と、該音響変換部を内蔵し該音響
   変換部の放音側に開口部を有するケースとを備
   える音響変換器において、前記ケースの前記開
   口部を開口させた外面に凹溝を設け、該外面上
   に、一面側に粘着層を有する防水シートの前記
   粘着層側を、一部が前記凹溝にかかるように、
   かつ、前記開口部を閉塞するように粘着させた
   ことを特徴とする音響変換器。 (2) 前記防水シートは、金属シートの一面側に前
   記粘着層を形成したもので成ることを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項に記載の音響
   変換器。 (3) 前記防水シートは、金属をラミネートした樹
   脂シートに前記粘着層を形成したもので成るこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載の音響変換器。 (4) 前記音響変換部は、電磁石及び永久磁石の磁
   気的相互作用により、前記電磁石の磁極に対し
   て空隙を介して対向させた振動板を励振するも
   ので成ることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項に記載の音響変換器。