1.概要
従来、例えば特許文献1(特開2019-075461号公報)に記載の伸縮性樹脂層を作製するための樹脂組成物では、加熱して成形するにあたり、成形時に組成物の硬化性をコントロールすることが難しく、粘度が過度に上がりやすいという問題があった。また、この熱硬化性樹脂組成物から硬化物を作製すると硬化物が高弾性率化しやすく、封止材の低応力化が困難であった。
これに対し、本実施形態の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、硬化助剤(C)と、共役ジエン化合物を含む重合性化合物(d1)の重合体であるラジカル重合性成分(D)と、ラジカル重合開始剤(E)と、無機充填材(F)と、を含有する。封止用樹脂組成物の100℃での粘度は、0.15Pa・s以下である。封止用樹脂組成物が、熱硬化性の樹脂であるエポキシ樹脂(A)だけでなく、ラジカル重合性成分(D)を含有し、更にラジカル重合性成分(D)が共役ジエン化合物を含む重合性化合物(d1)の重合体であることで、封止用樹脂組成物から作製される硬化物を低弾性率化しやすく、かつ封止用樹脂組成物を加熱して成形時の粘度を上昇させにくくできる。また封止用樹脂組成物の100℃での粘度が、0.15Pa・s以下であることで封止用樹脂組成物を塗布する場合の実装部品3下へのより均一な充填性及び良好な充填速度を達成しうる。これにより、加圧下で加熱することにより封止用樹脂組成物から封止材4を作製するにあたり、成形時の粘度を上昇させにくくできる。
本実施形態では、封止用樹脂組成物においてラジカル重合性成分(D)が共役ジエン化合物を含む重合性化合物の重合体であることで、封止用樹脂組成物から作製される硬化物の残留応力を低く維持することができる。これにより、電子デバイス1における封止材4を、封止用樹脂組成物から作製しても、封止材4に内在する応力を低くすることができる。また、封止用樹脂祖組成物から作製される封止材4は、共役ジエン化合物を含む重合性化合物の重合体も重合して作製されるため低弾性率化できる。これにより、電子デバイス1に熱が加えられても基板にダメージを与えにくい。このため、電子デバイス1は優れた信頼性を有することができる。
また、従来、電子デバイスにおける封止材を作製するために封止用材料を加熱しながら成形する際に、封止用材料が低弾性率化すると、加熱時の粘度が高くなることがあった。それにより、封止用材料を電子デバイス1における基材2と実装部品3との間の隙間に十分に充填することが困難となることがあった。これに対し、本実施形態の封止用樹脂組成物中では共役ジエン化合物を含む重合性化合物(d1)の重合体であるラジカル重合性成分(D)が比較的低分子量の状態で存在する。そのため、封止用樹脂組成物の成形時の粘度を上昇させにくく、流動性を維持しやすい。また、封止用樹脂組成物を更に加熱させることで、ラジカル重合開始剤(E)により、二重結合性の官能基を有する、共役ジエン化合物を含む重合性化合物の重合体(ラジカル重合性成分(D))の硬化反応が進行し、封止用樹脂組成物の高分子量化が可能となる。このため、封止用樹脂組成物から作製される硬化物を高靭性化させることもできる。
このように、本実施形態では、封止用樹脂組成物を加熱して成形するにあたっても、優れた成形性を確保することができ、電子デバイス1における基材2と実装部品3との間の隙間に、封止用樹脂組成物の未充填を生じにくくして封止材4を作製できる。そして、電子デバイス1における封止材4を低弾性率化できることで、電子デバイス1を低応力化でき、電子デバイス1の信頼性を向上することができる。
また、本実施形態の封止用樹脂組成物は、上記のとおり、加熱しても良好な流動性を維持することができるため、ファインピッチ化及びファインギャップ化(例えばピッチ100μm及びギャップ25μmのようなファイン化)の場合、並びに実装部品のサイズが大きい場合(例えばラージダイ)の場合にも、電子デバイス1における基材2と実装部品3との間の隙間に未充填を生じにくくすることができる。
2.詳細
以下、本実施形態の封止用樹脂組成物、及び電子デバイス1の詳細について説明する。なお、本明細書において「A及び/又はB」という表現は、「A」、「B」、又は「A及びB」のいずれかを意味する。
<封止用樹脂組成物>
本実施形態の封止用樹脂組成物は、上記のとおり、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、硬化助剤(C)と、共役ジエン化合物を含む重合性化合物(d1)の重合体であるラジカル重合性成分(D)と、ラジカル重合開始剤(E)と、無機充填材(F)と、を含有する。封止用樹脂組成物の100℃での粘度は、0.15Pa・s以下である。このため、封止用樹脂組成物から硬化物を作製するにあたり、硬化物を低弾性率化しやすく、かつ成形時の粘度を上昇させにくい。
封止用樹脂組成物の備える好ましい特性(物性)について説明する。
封止用樹脂組成物は、100℃に加熱した場合の粘度が、0.12Pa・s以下であればより好ましく、0.10Pa・s以下であれば更に好ましい。なお、封止用樹脂組成物は、100℃での粘度は、レオメータを用いて、回転速度1rpmの条件で測定することにより得られる。
封止用樹脂組成物の25℃における粘度は、50Pa・s未満であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物を成形するにあたって、常温(25℃)付近の温度であっても、すなわち封止用樹脂組成物を予め加熱しなくても、例えばジェットディスペンスによる塗布作業性、及び吐出安定性が向上しうる。また、この場合、半導体素子等の実装部品3の下への良好な充填性を達成しうる。封止用樹脂組成物の25℃における粘度は、30Pa・s以下であればより好ましく、20Pa・s以下であれば更に好ましい。封止用樹脂組成物の25℃における粘度の下限は特に制限されないが、例えば0.1Pa・s以上であってよい。
上述の封止用樹脂組成物の好ましい特性は、より具体的には、以下で説明する組成の成分を適宜調整することにより、実現可能である。ただし、封止用樹脂組成物の有する物性は、上記で説明した物性のみには限定されない。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、図1に示すように、電子デバイス1において、基材2と実装部品3との間を封止する封止材4に好適に用いることができる。例えば、封止用樹脂組成物は、封止用材料40であってよく、具体的にはアンダーフィル材として好適に用いることができる。封止用樹脂組成物が封止用材料40(アンダーフィル材)として用いられると、電子デバイス1における基材2と実装部品3との間の隙間に介在する封止用樹脂組成物の未充填を生じにくくして封止材4を作製できる。
次に、封止用樹脂組成物に含まれうる成分について、詳細に説明する。
[エポキシ樹脂]
本実施形態では、封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含有する。本実施形態において、エポキシ樹脂(A)は、熱硬化性の成分である。エポキシ樹脂(A)は、封止用樹脂組成物の硬化物に耐熱性を付与しうる。
エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)と芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)とを含む。すなわち、封止用樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)と芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)とのうち一方又は両方を含有することが好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びビスフェノールS型エポキシ樹脂、並びにこれらの樹脂の誘導体からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。ビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)は、特にビスフェノールF型エポキシ樹脂を含有することが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物に、より良好な熱硬化性を付与できる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、2つのフェノール骨格が1つのメチレン鎖を介して結合した化合物である。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、フェノール骨格中に置換基を有していてもよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)の100℃での粘度は、例えば0.01Pa・s以上0.50Pa・s以下であることが好ましい。
芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)は、封止用樹脂組成物の保存安定性を維持しながら、封止用樹脂組成物に、より良好な熱硬化性を付与できる。
芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)は、芳香環と、芳香環に結合するアミノ基と、1分子中に3つ以上のエポキシ基とを有することが好ましい。すなわち、芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)は、3官能以上であることが好ましい。
芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)は、芳香環と、芳香環に結合するアミノ基、アミノ基に結合するエポキシ基、及び芳香環に結合するアミノ基とは別の位置に結合するエポキシ基を備えることがより好ましい。すなわち、芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)は、3つ以上のエポキシ基を有する場合、少なくとも1つが、芳香環に結合するアミノ基に結合していることが好ましい。
芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)の具体的な例としては、例えばN,N-ジグリシジル-p-グリシジルオキシアニリン等を挙げることができる。なお、芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)は、前記の化合物に限らない。
芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)の100℃における粘度は、0.01Pa・s以上0.50Pa・s以下であることが好ましい。
封止用樹脂組成物は、上記のビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)と、芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)との両方を含有することがより好ましい。この場合、封止用樹脂組成物における成分の適度な硬化反応を進行させやすく、このため、封止用樹脂組成物から作製される封止材で良好に基材2と実装部品3との間の隙間を封止しやすい。
封止用樹脂組成物が、ビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)と芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)とを含有する場合、エポキシ樹脂(A)に対するビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)と芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)との合計量の質量割合は、10質量%以上90質量%以下であれば好ましい。
封止用樹脂組成物がビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)及び芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)を含有する場合、封止用樹脂組成物全量に対するビスフェノール型エポキシ樹脂(A1)及び芳香族アミノエポキシ樹脂(A2)合計含有量は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上35質量%以下であればより好ましく、20質量%以上30質量%以下であれば更に好ましい。この範囲内であれば、封止用樹脂組成物の流動性をより良好に維持しやすく、基材2と実装部品3との間の隙間により良好に充填しやすい。また、この場合、封止用樹脂組成物から作製される硬化物の、加熱による応力を低減することができる。
封止用樹脂組成物においてエポキシ樹脂(A)に含まれうる成分は、上記で説明したものに限らず、上記以外の、エポキシ基を有する樹脂を含有してもよい。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、硬化剤(B)を含有しうる。この場合、封止用樹脂組成物を硬化させるにあたって、硬化剤(B)がエポキシ樹脂(A)と反応することにより、エポキシ樹脂(A)の硬化をさせやすくできる。
硬化剤(B)は、例えばアミン系硬化剤、酸無水物、フェノール化合物、チオール化合物、イミダゾール系硬化剤からなる群から選択される少なくとも一種を含む。
アミン系硬化剤は、例えば、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタンから選択される少なくとも一種の成分を含みうる。
酸無水物は、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸及びポリアゼライン酸無水物からなる群から選択される一種以上の成分を含みうる。
フェノール化合物は、例えば1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーのうちいずれも含みうる。フェノール化合物は、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニル型ノボラック樹脂、トリフェニルメタン型樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、及びビフェニルアラルキル樹脂からなる群から選択される一種以上の成分を含みうる。
チオール化合物は、例えば1分子内に1個以上のチオール基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーのうちいずれも含みうる。チオール化合物の具体的な例は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
イミダゾール系硬化剤の具体的な例は、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等からなる群から選択される少なくとも一種を含みうる。
なお、硬化剤(B)の具体的な例は、前記に限られない。
封止用樹脂組成物における、エポキシ樹脂(A)に対する硬化剤(B)との当量は、0.5以上2.0以下の範囲内であることが好ましく、0.8以上1.2以下の範囲内であればより好ましい。この範囲内であれば、封止用樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)の硬化性をより良好にできる。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、硬化助剤(C)を含有しうる。
封止用樹脂組成物が硬化助剤(C)を含有すると、封止用樹脂組成物の保存安定性に寄与しうる。また、この場合、封止用樹脂組成物を硬化させるにあたって、硬化反応の速度をコントロールできうる。なお、硬化助剤(C)は、硬化促進剤を含む。硬化促進剤は、封止用樹脂組成物において、硬化性の成分の反応の進行を促す機能を有する。本実施形態では、硬化助剤(C)を含有させることで、封止用樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)を硬化させるにあたって過剰に硬化反応が進行しすぎるのを抑制しうる。言い換えれば、硬化助剤(C)は、封止用樹脂組成物の硬化の反応性を過剰に高めにくく、かつ良好な硬化速度で硬化を進行させることができる。このため、封止用樹脂組成物の成形時の温度上昇等によって、封止用樹脂組成物が硬化し始めても、急激な硬化の進行をしにくくできることで、成形途中で流動性を損ないにくい。これにより、封止用樹脂組成物が基材2と実装部品3との間に充分に充填されてから、封止用樹脂組成物を硬化させやすい。
硬化助剤(C)は、キレート化合物を含有することが好ましい。この場合、キレート化合物中の金属原子がエポキシ樹脂(A)における酸素原子を配位しうるため、封止用樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)の過度な熱硬化反応を抑制しうる。これにより、封止用樹脂組成物の保存安定性をより向上させうる。また、この場合、封止用樹脂組成物の粘度の過度な上昇も抑制されうる。このため、封止用樹脂組成物の流動性もより良好に維持可能である。
キレート化合物は、例えばアルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンアセトアセテート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、及びジルコニウムテトラアセチルアセトネートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む。キレート化合物は、アルミニウムアセチルアセトネートを含有することが好ましい。
封止用樹脂組成物が硬化助剤(C)を含有する場合、エポキシ樹脂(A)に対する硬化助剤の質量割合は、0.01質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上1.5質量%以下であればより好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であれば更に好ましい。この範囲内であれば、封止用樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)の硬化性を良好にでき、基材2と実装部品3との間の隙間を封止用樹脂組成物の硬化物で十分に封止することができる。
硬化助剤(C)に対するキレート化合物の含有量は、20質量%以上100質量%以下であれば好ましく、30質量%以上90質量%以下であればより好ましく、50質量%以上70質量%以下であれば更に好ましい。
[ラジカル重合性成分]
ラジカル重合性成分(D)は、共役ジエン化合物を含む重合性化合物(d1)の重合体である。ラジカル重合性成分(D)の数平均分子量は、10,000以下であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物を基材2と実装部品3との間に充填するにあたり、封止用樹脂組成物の粘度を過度に上昇させにくくすることができる。これにより、封止用樹脂組成物から封止材を作製するにあたって、重合体を含有するにもかかわらず封止用樹脂組成物の成形時の流動性を維持でき、未充填を生じにくくすることができる。また、封止用樹脂組成物から作製される封止材4を低弾性率化できる。このため、封止用樹脂組成物から電子デバイス1における封止材4を作製すると、封止材4の応力を低めることができ、電子デバイス1に不良を生じにくくすることができる。なお、本開示において、「重合体」には、共重合体を含みうる。
ラジカル重合性成分(D)は、重合性化合物(d1)を重合させることで得られる。ラジカル重合性成分(D)は、数平均分子量が10,000以下である場合、プレポリマーであってもよい。またラジカル重合性成分(D)は、例えば重合性化合物(d1)が複数の共役ジエン化合物を含む場合、複数の共役ジエン化合物のブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。
重合性化合物(d1)は、共役ジエン化合物を含む。共役ジエン化合物は、1分子内に少なくとも2つの不飽和結合を有し、かつ隣り合う二重結合が単結合を介して連結している化合物である。共役ジエン化合物は、例えば1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、1,3-ペンタジエンからなる群から選択される少なくとも一種を含む。なお、共役ジエン化合物は、後述のビニル芳香族化合物とは区別される。詳細は後述する。
本実施形態では、ラジカル重合性成分(D)は、共役ジエン化合物を含む重合性化合物(d1)の重合体であるため、ラジカル重合性成分(D)は、共役ジエン化合物に由来するラジカル重合性の官能基を有しうる。ラジカル重合性官能基は、例えばエチレン性不飽和基である。
ラジカル重合性成分(D)は、共役ジエン化合物を含みかつビニル芳香族化合物を含まない重合性化合物(d2)の重合体(D1)と、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを含む重合性化合物(d3)の重合体(D2)と、のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。すなわち、ラジカル重合性成分(D)は、重合体(D1)と重合体(D2)とのうち少なくとも一方を含むことが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物を基材2と実装部品3との間に充填するにあたり、封止用樹脂組成物の粘度をより上昇させにくくできる。これにより、封止用樹脂組成物から封止材を作製するにあたって、重合体を含有するにもかかわらず封止用樹脂組成物の成形時のより良好な流動性を維持でき、基材2と実装部品3との間の隙間に未充填を生じにくくすることができる。また、封止用樹脂組成物から作製される封止材4を低弾性率化できる。このため、封止用樹脂組成物から電子デバイス1における封止材4を作製すると、封止材4の応力を低めることができ、電子デバイス1に不良を生じにくくすることができる。
重合体(D1)は、共役ジエン化合物を含み、かつビニル芳香族化合物を含まない重合性化合物(d2)を重合させることで得られる。重合体(D1)の数平均分子量は、10,000以下であることが好ましい。
重合性化合物(d2)は、少なくとも1種の共役ジエン化合物を含む。重合性化合物(d2)における共役ジエン化合物は、上記で説明した重合性化合物(d1)における共役ジエン化合物と同様である。重合性化合物(d2)は、複数の共役ジエン化合物を含んでもよい。重合性化合物(d2)は、共役ジエン化合物のモノマー、オリゴマー、及びプレポリマーからなる群から選択される少なくとも一種であってよい。重合性化合物(d2)が複数の共役ジエン化合物を含む場合、共重合体であってもよく、例えば複数の共役ジエン化合物のブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。
重合体(D1)は、例えば1,3-ブタジエンの重合体であるポリブタジエン、及び2-メチル-1,3-ブタジエンの重合体であるポリイソプレンを含みうる。
重合体(D1)は、重合性化合物(d2)に共役ジエン化合物以外の成分を含んでもよい。重合性化合物(d2)における、共役ジエン化合物以外の成分の割合は、重合性化合物(d2)全量に対して、例えば50mol%未満であることが好ましい。なお、重合性化合物(d2)における共役ジエン化合物以外の成分の割合は、重合性化合物(d2)全量に対して、0mol%であってもよい。
重合体(D2)は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを含む重合性化合物(d3)を重合させることで得られる。例えば、重合体(D2)は、重合性化合物(d3)に含まれるビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを共重合させることで得られる。例えば、重合体(D2)は、少なくとも一種のビニル芳香族化合物と、少なくとも一種の共役ジエン化合物とを共重合することで合成される。重合体(D2)の数平均分子量は、10,000以下である。
重合性化合物(d3)には、少なくともビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とが含まれる。
ビニル芳香族化合物は、例えばスチレン骨格を有する化合物である。スチレン骨格を有する化合物とは、少なくともベンゼン環と、このベンゼン環に結合するビニル基とを有する化合物をいう。具体的には、スチレン骨格を有する化合物としては、例えばスチレン、α―メチルスチレン、β-メチルスチレン、及び置換基を有するスチレンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を挙げることができる。置換基を有するスチレンは、ベンゼン環におけるビニル基に対するo位、m位、又はp位のいずれかに置換基を有していてもよく、また複数の置換基を有していてもよい。
重合性化合物(d3)における共役ジエン化合物は、上記で説明した重合性化合物(d1)又は重合性化合物(d2)に含まれる共役ジエン化合物と同様である。なお、共役ジエン化合物は、ビニル芳香族化合物とは区別される。本開示において、例えば、芳香環を有し、かつ芳香環に単結合を介して連結する共役ジエンを有する化合物は、ビニル芳香族化合物に含まれる。
重合体(D2)は、例えばスチレンモノマーと1,3-ブタジエンモノマーとの共重合体を含み、すなわちポリスチレン-ブタジエン共重合体を含む。
重合体(D2)は、重合性化合物(d3)にビニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物以外の成分を含んでもよい。重合性化合物(d3)におけるビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物以外の成分の割合は、重合性化合物(d3)全量に対して、例えば50mol%未満であることが好ましい。なお、重合性化合物(d3)におけるビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物以外の成分の割合は、重合性化合物(d3)全量に対して、0mol%であってもよい。
ラジカル重合性成分(D)は、1,4-トランス構造、1,2-ビニル構造、及び1,4-シス構造からなる群のうち少なくとも一種の構造を含みうる。1,4-トランス構造は、例えば下記式(I)で示される単位構造を含む。1,2-ビニル構造は、例えば下記式(II)で示される単位構造を含む。1,4-シス構造は、例えば下記式(III)で示される単位構造を含む。
このうち、ラジカル重合性成分(D)は、1,4-トランス構造と1,2-ビニル構造とを有することが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物の成形時の粘度をより低い粘度で維持することができ、加熱した場合にもより優れた流動性を発揮することができる。
重合体(D1)は、重合体(D1)全体に対して、1,4-トランス構造を1mol%以上50mol%以下含むことが好ましい。重合体(D1)は、重合体(D1)全体に対して1,2-ビニル構造を1mol%以上50mol%以下含むことが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物の成形時の粘度を更に低い粘度で維持することができ、加熱した場合にもより優れた流動性を発揮することができる。なお、上記における「重合体(D1)全体」とは、「重合体(D1)を構成する全構造単位」を意味する。
重合体(D2)は、重合体(D2)全体に対して、1,4-トランス構造を1mol%以上50mol%以下含むことが好ましい。重合体(D2)は、重合体(D2)全体に対して1,2-ビニル構造を1mol%以上50mol%以下含むことが好ましい。この場合、重合体(D1)と同様、封止用樹脂組成物の成形時の粘度を更に低い粘度で維持することができ、加熱した場合にもより優れた流動性を発揮することができる。なお、上記における「重合体(D2)全体」とは、「重合体(D2)を構成する全構造単位」を意味する。
ラジカル重合性成分(D)における1,4-トランス構造、1,2-ビニル構造、及び1,4-シス構造の割合は、核磁気共鳴スペクトルを測定することにより、1,4-トランス構造、1,2-ビニル構造、及び1,4-シス構造各々に対応するピークを読み取り、得られたピークの積算量の比に基づき算出できる。具体的には、核磁気共鳴スペクトルにおける13C-NMR又は1H-NMRを測定することにより、炭素-炭素二重結合部分における炭素原子、又は炭素-炭素二重結合の炭素に結合する水素原子に対応する、それぞれのピークを読み取り、得られたピークの積算量の比から計算することにより算出可能である。
本実施形態では、封止用樹脂組成物におけるラジカル重合性成分(D)は25℃で液状であることが好ましい。封止用樹脂組成物におけるラジカル重合性成分(D)が液状であることで、封止用樹脂組成物の粘度を過度に高めにくくでき、流動性をより良好に維持できる。
封止用樹脂組成物全量に対するラジカル重合性成分(D)の含有割合は、0質量%超15質量%以下であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物の成形時の粘度を更に低い粘度で維持することができ、加熱した場合にも更に優れた流動性を発揮することができ、かつ封止用樹脂組成物から作製される硬化物をより低弾性率化しやすい。
ラジカル重合性成分(D)が重合体(D1)を含有する場合には、ラジカル重合性成分(D)全量に対する重合体(B1)の含有割合は、10質量%以上100質量%以下とすることができる。ラジカル重合性成分(D)が重合体(D2)を含有する場合には、ラジカル重合性成分(D)全量に対する重合体(D2)の含有割合は、0質量%超100質量%以下とすることができる。また、ラジカル重合性成分(D)が重合体(D1)と重合体(D2)との両方を含有する場合には、ラジカル重合性成分(D)全量に対する重合体(D1)及び重合体(D2)の合計量の割合は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
なお、封止用樹脂組成物は、上記で説明したラジカル重合性成分(D)以外のラジカル重合性の成分(ラジカル重合性の化合物)を含んでもよい。
[ラジカル重合開始剤]
ラジカル重合開始剤(E)は、上記のラジカル重合性成分(D)に応じて、適宜の開始剤を採用することができるが、ラジカル重合開始剤(E)は、例えば熱ラジカル開始剤、及び光ラジカル開始剤からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む。
熱ラジカル開始剤としては、有機過酸化物を挙げることができる。有機過酸化物は、1分子中に少なくとも一つの-O-O-結合を有する。有機過酸化物としては、例えば1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(4,4-ジ―(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン)プロパン)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカルボネート、t-ヘキシルパーオキシ-ベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)バレレート、及びジ-(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を挙げることができる。なお、有機過酸化物の例は前記に限られない。
本実施形態の封止用樹脂組成物から封止材を作製するにあたっては、封止用樹脂組成物を基材と基材にフェイスダウンで実装された実装部品との間の隙間に注入させることで充填する。ラジカル重合開始剤(E)が熱ラジカル開始剤を含有する場合、封止用樹脂組成物が加熱されていても、封止用樹脂組成物は、より良好な粘度を維持しながら前記隙間を埋めることができる。封止用樹脂組成物が硬化する前に、封止用樹脂組成物を低粘度化でき、流動性を高めることができる。特に、本実施形態ではラジカル重合性成分(D)における共重合体(D1)と重合体(D2)とのうち少なくとも一方を含んでいるにもかかわらず高粘度化しにくく、加熱温度が、ラジカル重合開始剤(E)の分解温度に到達すると、ラジカル重合性成分(D)の硬化反応を進行させることができる。
ラジカル重合開始剤(E)は、1分間半減期温度が200℃以下の成分を含有することが好ましく、190℃以下であればより好ましく、180℃以下であれば更に好ましい。ラジカル重合開始剤(E)が、1分間半減期温度が前記範囲内である成分を含有すると、封止用樹脂組成物から電子デバイス1における封止材4を作製するにあたり、温度を制御しやすい。すなわち、封止用樹脂組成物の流動性を高めるために加熱してもすぐには硬化反応がしない温度で流動させ充填させることができ、またはんだの溶融しない程度の温度で硬化反応を進行させることができる。そのため、電子デバイス1における封止材4を効率よく作製することができる。ラジカル重合開始剤(E)が、1分間半減期温度が200℃以下の成分を含有する場合、当該成分の1分間半減期温度は、150℃以上であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物から封止材を作製する際の封止用樹脂組成物の流動性と硬化性とをコントロールしやすい。本実施形態では、ラジカル重合開始剤(E)は、1分間半減期温度が176℃以下の成分を含有する。
ここで、重合開始剤における「半減期」とは、所定の温度において、重合開始剤の濃度が初期値の半分に減少するまでの時間をいう。「1分間半減期温度」とは、重合開始剤の半減期が1分である温度をいう。重合開始剤の1分間半減期温度は、重合開始剤を溶解させ所定の温度で熱分解をさせることで、初期濃度と、1分間経過後の濃度とから一次反応の近似式を用いて算出することができる。
光ラジカル開始剤としては、例えばベンゾフェノン系重合開始剤、アセトフェノン系重合開始剤、アシルホスフィン系重合開始剤、及びチオキサントン系重合開始剤からなる群から選択される少なくとも一種の成分を挙げることができる。
封止用樹脂組成物において、ラジカル重合性成分(E)に対するラジカル重合開始剤(C)の含有割合は、0質量%超15質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。
封止用樹脂組成物は、上記のエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化助剤(C)、ラジカル重合性成分(D)、及びラジカル重合開始剤(E)を含有するものであるが、封止用樹脂組成物は、以下に示す成分を含有することも好ましい。例えば、封止用樹脂組成物は、リン酸(G)とリン酸ポリエステル(H)とを更に含有することも好ましい。以下、リン酸(G)及びリン酸ポリエステル(H)について詳細に説明する。
[リン酸]
リン酸(G)は、下記式(1)で示す構造を有する。
封止用樹脂組成物がリン酸(G)を含有すると、後述のリン酸ポリエステル(H)による封止用樹脂組成物中の分散性の向上の効果を促進しうる。リン酸(G)は、リン酸ポリエステル(H)と混合することで調製された混合物で封止用樹脂組成物に配合されていることが好ましい。
[リン酸ポリエステル]
封止用樹脂組成物は、リン酸ポリエステル(H)を含有することが好ましい。封止用樹脂組成物がリン酸ポリエステル(H)を含有すると、封止用樹脂組成物中に含まれる成分の分散性を高めやすい。
さらに、封止用樹脂組成物がリン酸ポリエステル(H)を含有すると、封止用樹脂組成物から作製される硬化物のCTE低減の効果を阻害しにくい。すなわち、封止用樹脂組成物の硬化物のCTEを低く維持することができる。
封止用樹脂組成物は、リン酸(G)とリン酸ポリエステル(H)とを含有する場合、後述の無機充填材(フィラー)(F)の割合を高めても、フィラーの分散性を低下させにくい。このため、封止用樹脂組成物のフィラー(F)の割合を容易に高めることができ、封止用樹脂組成物から作製される硬化物のCTEを低めることをより容易に達成しやすい。
リン酸ポリエステル(H)は、下記式(2)で示す構造を有しうる。
式(2)中、R1、R2、及びR3は、例えば各々独立にアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基からなる群から選択される置換基である。R1、R2、及びR3は、各々独立に長鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。なお、R1、R2、及びR3のうち少なくとも一つは水素原子であってもよい。すなわち、リン酸ポリエステル(H)は、リン酸(G)の式(1)中における、少なくとも2つの水素原子が各々独立にR1、R2、及びR3で置換された化合物である。
式(2)中、R1、R2、及びR3は、少なくとも1つがポリエステル構造を有する置換基であってもよい。すなわち、R1,R2及びR3のうちの1つがポリエステル構造を有する置換基である場合、その他が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、及びポリオキシアルキレン基から選択される少なくとも一種であってよい。また、R1,R2及びR3のうちの2つがポリエステル構造を有する置換基である場合、その他が水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選択される少なくとも一種であってよい。R1,R2及びR3がすべてポリエステル構造を有する置換基である場合、ポリエステル構造を有する置換基はすべて同じポリエステル構造を有する置換基でもよく、それぞれ独立に異なるポリエステル構造を有する置換基でもよい。なお、ポリエステル構造は、ジカルボン酸とジオールとから得られるエステル基を有する重合体、ヒドロキシカルボン酸の重縮合によって得られるエステル基を有する重合体、ラクトン等の環状エステル化合物の開環重合によって得られる重合体を含む。
置換基R1、R2、及びR3は、リン原子を含んでいてもよく、例えばリン酸ポリエステル(H)は、例えば下記式(3)で示されるポリリン酸から誘導される化合物であってよい。すなわち、リン酸ポリエステル(H)は、1分子内にリン原子を2つ以上有していてもよい。
式(3)において、nは2以上である。リン酸ポリエステル(H)が式(3)から誘導される場合、式(3)における水素原子の少なくとも2つがアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基からなる群から選択される基で置換されていればよい。また、リン酸ポリエステル(H)は、末端にヒドロキシ基を有していてもよい。なお、n=1の場合、式(1)で示されるリン酸(G)に相当する。
リン酸ポリエステル(H)は、前記に限られず、例えば適宜のアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル等をリン酸エステル化剤で反応させた反応物を含んでもよい。
リン酸ポリエステル(H)の具体的な製品の例は、例えばビッグケミー・ジャパン株式会社製のBYK-Wシリーズ(例えば、BYK-W9010等)、DISPERBYKシリーズ(例えばDISPERBYK-111等)等に含まれうるリン酸ポリエステルを挙げることができる。
封止用樹脂組成物全量に対するリン酸ポリエステル(H)の質量割合は、0質量%超100質量%未満であることが好ましく、0.01質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、0.02質量%以上50質量%以下であることが更に好ましく、0.05質量%以上10質量%未満であることが特に好ましい。
また、封止用樹脂組成物は、リン酸(G)とリン酸ポリエステル(H)との両方を含有すると、封止用樹脂組成物中における成分の分散性を更に向上できる。そのため、封止用樹脂組成物の分散性がより高められているため、良好な流動性を維持可能である。これにより、封止用樹脂組成物で基材2と実装部品3との間の隙間で流動させやすく、そのため封止材4を隙間に充分に充填させやすい。
封止用樹脂組成物が後述のシリカ(F1)を含有する場合、シリカ(F1)に対する、リン酸(G)とリン酸ポリエステル(H)との合計の質量割合は、0.05質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物の硬化物のCTEをより低めることができうる。シリカ(F1)に対する、リン酸ポリエステル(H)の質量割合は、0.1質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましく、0.2質量%以上0.4質量%以下であれば更に好ましい。この場合、封止用樹脂組成物により良好な流動性を付与することができ、これにより封止用樹脂組成物を隙間に更に充填しやすい。
[無機充填材(F)]
本実施形態の封止用樹脂組成物は、無機充填材(F)を含有しうる。無機充填材(F)は、封止用樹脂組成物から作製される硬化物の線膨張係数(CTE)の低下に寄与することができる。また、封止用樹脂組成物が上述のリン酸(G)とリン酸ポリエステル(H)とを含有する場合には、無機充填材(F)を含有していても、封止用樹脂組成物の分散性を低下させにくい。このため、封止用樹脂組成物の粘度の過度な上昇は生じにくく、流動性を維持でき、かつチクソ性を悪化させにくくすることができる。これにより、封止用樹脂組成物は、無機充填材(F)の含有量を増加させても、流動性が悪化しにくく、かつ封止用樹脂組成物の線膨張係数を低くすることができる。
無機充填材(F)は、シリカ(F1)を含有することが好ましい。シリカ(F1)の少なくとも一部がカップリング剤により表面処理されていることも好ましい。この場合、封止用樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(A)とシリカ(F1)との相溶性を向上でき、封止用樹脂組成物の分散性の向上に更に寄与することができる。また、この場合、封止用樹脂組成物の100℃に加熱した場合の粘度を低めやすい。カップリング剤は、例えばシランカップリング剤である。シランカップリング剤としては、例えばエポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びフェニル基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を有する化合物が挙げられる。シランカップリング剤は、フェニル基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。すなわち、シリカ(F1)の少なくとも一部が、フェニル基を有するシランカップリング剤により表面処理されていることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物の分散性を更に向上させることができる。
無機充填材(F)がシリカ(F1)を含有する場合、シリカ(F1)は、第一のシリカフィラー(F11)と、第一のシリカフィラー(F11)とは平均粒径の異なる第二のシリカフィラー(F12)とを含むことが好ましい。本開示における「平均粒径」は、体積平均径である。体積平均径は、レーザー回折・散乱法で測定して得られる粒度分布から算出される。粒度分布は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定でき、レーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えば株式会社堀場製作所製のLA-960シリーズを挙げることができる。
第一のシリカフィラー(F11)の平均粒径は、0.1μm以上1.5μm以下であることが好ましく、この場合の第一のシリカフィラー(F11)の粒度分布における標準偏差は、0.01以上1.0未満であることが好ましい。また、第二のシリカフィラー(F12)の平均粒径は、第一のシリカフィラー(F11)の平均粒径に対して10%以上50%以下であり、かつ第二のシリカフィラー(F12)の粒度分布における標準偏差が0.01以上1.0未満であることが好ましい。ここで、本開示における「粒度分布における標準偏差」とは、粒度分布の広狭を示す指標である。粒度分布における標準偏差により、粒子の粒径が揃っているか否かを判断できる。粒度分布における標準偏差は、次のようにして算出することができる。上記の平均粒径(体積平均径)と同様に、レーザー回折・散乱法で測定して得られる粒度分布において、各々の粒子の粒径のデータと、平均粒径とから標準偏差が算出できる。封止用樹脂組成物におけるシリカ(F1)のうち第一のシリカフィラー(F11)及び第二のシリカフィラー(F12)の各々におけるシリカ粒子は、粒度分布における標準偏差が0.01以上1.0未満であると、封止用樹脂組成物の粘度をより低めることができる。これにより、封止用樹脂組成物は、流動性を確保できる。このため、封止用樹脂組成物で、基板と半導体素子との間の隙間を封止するにあたって、より優れた成形性を達成可能である。
第一のシリカフィラー(F11)の平均粒径は、0.1μm以上1.0μm以下であればより好ましい。また、この場合の第一のシリカフィラー(F11)の粒度分布における標準偏差が0.01以上0.6以下であれば好ましく、0.02以上0.40以下であればより好ましく、0.02以上0.36以下であれば更に好ましく、0.05以上0.36以下であれば特に好ましい。第二のシリカフィラー(F12)の平均粒径は、上記を満たすものであれば特に制限されないが、第二のシリカフィラー(F12)の平均粒径は、例えば0.01μm以上0.75μm以下とすることができる。第二のシリカフィラー(F12)の粒度分布における標準偏差が、0.01以上0.10未満であれば好ましく、0.02以上0.08以下であればより好ましく、0.03以上0.08以下であれば更に好ましく、0.04以上0.06以下であれば特に好ましい。
第一のシリカフィラー(F11)、及び第二のシリカフィラー(F12)の各々は、いずれも湿式シリカであることが好ましい。湿式シリカとは、液体中で合成される非晶質のシリカであり、例えば湿式シリカは、沈降法、及びゾルゲル法からなる群から選択される少なくとも一種の方法で作製可能である。湿式シリカは、特に、ゾルゲル法で作製されることが好ましい。この場合、湿式シリカの粒子の平均粒径を0.1μm以上1.5μm以下といったように比較的小さく抑えることができ、かつ粒度分布のバラつき生じにくくすることができる。すなわち、この場合、第一のシリカフィラー(F11)及び第二のシリカフィラー(F12)の粒子の粒径を揃えることが容易にできる。なお、ゾルゲル法とは、コロイド等の微粒子が溶液中に分散したゾル状態から、流動性のなくなるゲル状態を経て固体物質を得る合成方法であり、合成方法は適宜の方法を採用すればよい。なお、本開示の第一のシリカフィラー(F11)がゾルゲル法で作製されていることは、適宜の第一のシリカフィラー(F11)の粒子を切断し、その断面を観察することで確認できる。具体的には、例えば、封止用樹脂組成物の硬化物を切断し、その切断面を電子顕微鏡等で観察し、切断面におけるシリカの粒径を測定することで、ゾルゲル法で作製されたものであると判断できる。第二のシリカフィラー(F12)、及び後述の第三のシリカフィラー(F13)がゾルゲル法で作製されていることも、第一のシリカフィラー(F11)と同様にして確認できる。
シリカ(F1)は、第一のシリカフィラー(F11)及び第二のシリカフィラー(F12)のいずれとも平均粒径が異なる第三のシリカフィラー(F13)を更に含むことも好ましい。すなわち、封止用樹脂組成物は、第一のシリカフィラー(F11)と、第二のシリカフィラー(F12)と、第三のシリカフィラー(F13)とを含有することも好ましい。シリカ(F1)が第三のシリカフィラー(F13)を含有する場合、第三のシリカフィラー(F13)の平均粒径は、第二のシリカフィラー(F12)の平均粒径よりも小さければ、特に制限されない。第三のシリカフィラー(F13)の粒度分布における標準偏差は、0.01以上0.10未満であれば好ましく、0.02以上0.09以下であればより好ましく、0.03以上0.08以下であれば更に好ましく、0.04以上0.06以下であれば特に好ましい。封止用樹脂組成物が、第三のシリカフィラー(F13)を含有すると、封止用樹脂組成物は、特に流動性をより低めることができ、また封止用樹脂組成物の流動性を低めても、良好なチクソ性を有しうる。第三のシリカフィラー(F13)の質量割合は、シリカ(F1)全量に対して、5質量%以上40質量%以下であることが好ましい。シリカ(F1)全量に対する第三のシリカフィラー(F13)の質量割合が5質量%以上であれば、チクソ性をより良好にでき、40質量%以下であれば、良好な流動性を維持することができる。
シリカ(F1)が第三のシリカフィラー(F13)を含む場合にあっては、第三のシリカ(F13)も、湿式シリカであることが好ましい。この場合、第三のシリカフィラー(F13)もゾルゲル法で作製された湿式シリカであることが好ましい。この場合、第一のシリカフィラー(F11)、第二のシリカフィラー(F12)、及び第三のシリカフィラー(F13)の各々が、粒径の揃ったシリカ粒子となるように調整しやすい。
第一のシリカフィラー(F11)は、カップリング剤により表面処理されていてもよい。シリカフィラーの表面処理は、例えばゾルゲル法で作製された湿式シリカに、カップリング剤(例えばシランカップリング剤)を反応させることで可能である。第二のシリカフィラー(F12)及び第三のシリカフィラー(F13)も同様に、カップリング剤により表面処理されていてもよい。
シリカ(F1)における第一のシリカフィラー(F11)と第二のシリカフィラー(F12)の質量比は、60:40~98:2の範囲内であれば好ましい。シリカ(F1)が第三のシリカフィラー(F13)を更に含む場合、第一のシリカフィラー(F11)と第二のシリカフィラー(F12)と第三のシリカフィラー(F13)質量比は、60:30:10~90:8:2の範囲内であれば好ましい。
無機充填材(F)を含有する場合、封止用樹脂組成物全量に対する無機充填材(F)の含有量は、50質量%以上75質量%以下であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物のCTEをより低めることが可能となる。本実施形態では、比較的無機充填材(F)の割合を多くしても、封止用樹脂組成物の流動性を特に良好に維持できる。そのため、封止用樹脂組成物の隙間への未充填を生じにくくできる。無機充填材(F)の含有量は、50質量%以上70質量%以下であればより好ましく、53質量%以上67質量%以下であれば更に好ましい。
無機充填材(F)は、本開示の効果を阻害しない限りにおいて、シリカ以外の充填材を含有してもよい。
封止用樹脂組成物は、上記以外にも更に適宜の化合物、樹脂、及び添加物等を含有してもよい。以下、封止用樹脂組成物が含有しうる添加剤として好ましい成分について、具体的に説明する。
封止用樹脂組成物は、例えば消泡剤を更に含有してもよい。消泡剤は、封止用樹脂組成物において、封止用樹脂組成物中の発泡を抑える機能(消泡機能)を有しうる。泡(気泡)は、封止用樹脂組成物に含まれうる成分を混合して調製する際に、液体が空気を包むことで形成されうる。それにより、封止用樹脂組成物中に気泡が内包され、封止材にボイドを生じる一因となりうる。封止用樹脂組成物が消泡剤を含有すると、封止用樹脂組成物を調製するにあたり、形成された気泡を破泡したり、抑泡したり、又は脱気したりすることで封止用樹脂組成物の発泡を抑制しやすくすることができる。そのため、封止用樹脂組成物から封止材を作製すると、封止材に更にボイドを生じにくくできる。
消泡剤の具体的な製品の例は、ビッグケミー・ジャパン株式会社製の品名BYK1799等を挙げることができる。なお、消泡剤の例は前記に限られない。
封止用樹脂組成物は、表面調整剤を更に含有してもよい。表面調整剤は、封止用樹脂組成物の表面張力を調整する機能を有しうる。封止用樹脂組成物が表面調整剤を含有すると、封止用樹脂組成物の加熱時の粘度をより調整しやすくできる。特に、本実施形態では、表面調整剤を含有することで、封止用樹脂組成物の100℃に加熱した場合の粘度を更に低めうる。このため、封止用樹脂組成物から封止材を作製するために基材2と実装部品3との間に充填する際の流動性を更に良好にできる。また、表面調整剤は、上記の消泡剤と同様に消泡機能を有していてもよい。
表面調整剤としては、例えばポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合体などを挙げることができる。表面調整剤(F)の具体的な市販品の例は、ビックケミー・ジャパン株式会社製の品名BYK-306、BYK-3441等を挙げることができるが、表面調整剤の例は、前記に限られない。
封止用樹脂組成物は、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤が挙げられる。封止用樹脂組成物がシランカップリング剤を含有すると、封止用樹脂組成物中の成分の相溶性が向上し、封止用樹脂組成物の分散性をより高めやすい。また、封止用樹脂組成物がシリカ(F1)を含有する場合にも、封止用樹脂組成物の分散性をより高めやすい。シランカップリング剤は、適宜のカップリング剤を採用可能であるが、例えば2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤であってもよい。
上記では、封止用樹脂組成物に含まれうる好ましい添加剤について説明したが、添加剤はこれらに限られない。上記以外の添加剤の例としては、例えば適宜のフラックス、粘度調整剤、レベリング剤、低応力剤、及び顔料等が挙げられる。
封止用樹脂組成物は、有機溶剤を含まず、又は有機溶剤の含有割合が0.5質量%以下であることが好ましい。
封止用樹脂組成物は、例えば上記成分を配合し、必要に応じて適宜の添加剤を加えて混合することで得られる。具体的には、封止用樹脂組成物は、例えば次の方法により調製できる。
まず、上記で説明した封止用樹脂組成物に含まれうる成分を、同時に又は順次配合することで、混合物を得る。この混合物を、必要に応じて加熱処理や冷却処理を行いながら撹拌して混合する。
次に、必要に応じて、この混合物に添加剤を加え、必要に応じて加熱処理や冷却処理を行いながら、再度撹拌して均一に分散されるまで混合する。これにより、封止用樹脂組成物を得ることができる。混合物の攪拌のためには、例えばディスパー、プラネタリーミキサー、ボールミル、3本ロール、及びビーズミルなどを、必要により適宜組み合わせて適用することができる。
封止用樹脂組成物は、例えば加熱することにより、硬化させることができ、これにより封止用樹脂組成物の硬化物が得られる。加熱する際の条件、例えば加熱温度、加熱時間、及び最高加熱温度等は、エポキシ樹脂(A)の種類、及び硬化剤等の種類に応じて適宜調整すればよい。
封止用樹脂組成物の硬化物の25℃における弾性率は、9.0GPa未満であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物から、電子デバイス1における基材2と実装部品3との間の隙間に介在する封止材4を作製しても、封止材4を低弾性率化しやすく、そのため、電子デバイス1を低応力化できるため、電子デバイス1のヒートサイクル安定性を確保することができる。これにより、電子デバイス1に不良を生じにくくでき、電子デバイス1は優れた信頼性を有する。
硬化物の25℃における弾性率は8.5GPa以下であればより好ましく、8.0GPa以下であれば更に好ましい。硬化物の25℃における弾性率の下限は特に制限されない。
本実施形態における25℃の弾性率は、次のように測定し、算出できる。封止用樹脂組成物から、幅10mm及び厚さ3mmの硬化物を作製し、ヘッドスピード1.5mm/s、及び支点間距離48mmの条件で測定する。得られた測定結果に基づき、接線法により算出される。なお、前記寸法は、本実施形態における封止用樹脂組成物の硬化物の寸法を限定するものではない。
封止用樹脂組成物の硬化物の25℃での破壊靭性K1cは、2.5MPa・m1/2以上であることが好ましい。この場合、封止用樹脂組成物から、電子デバイス1における封止材4を作製すると、封止材4にクラックを生じにくくすることができる、このため、電子デバイス1のヒートサイクル信頼性を向上させることができる。特に、電子デバイス1において、2.5次元パッケージ基板及び3次元パッケージ基板等のようにSiを含む基材と、Siを含む実装部品3との間の隙間に封止用樹脂組成物を充填させ封止材を作製してもクラックを生じにくくできる。このため、電子デバイス1における基材2が2.5次元パッケージ基板及び3次元パッケージ基板を用いる場合でも、高いヒートサイクル信頼性を実現可能である。
本実施形態における封止用樹脂組成物の硬化物の25℃での破壊靭性K1cは、3.0MPa・m1/2以上であることがより好ましく、3.2MPa・m1/2以上であることが更に好ましい。封止用樹脂組成物の硬化物の25℃での破壊靭性K1cは、封止用樹脂組成物から長さ50mm、幅10mm、及び厚さ5mmの硬化物を作製し、この硬化物をJIS R1607に準拠して測定することができる。
封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度Tgは、100℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度Tgが100℃以上であれば、封止用樹脂組成物の硬化物の耐熱性を有しうる。ガラス転移温度Tgは、110℃以上であればより好ましい。ガラス転移温度は、例えばTMA(Thermomechanical Analysis)により測定可能である。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、既に述べたとおりアンダーフィル材として好適に用いることができる。封止用樹脂組成物は、特にフリップチップ実装における後供給型のアンダーフィル材として特に好適に用いることができる。
<電子デバイス>
電子デバイス1は、半導体素子等の実装部品3を支持する基材2と、基材2にフェイスダウンで実装される実装部品3と、基材2と実装部品3との間の隙間を封止する封止材4とを備える。封止材4は、上記で説明した液状の封止用樹脂組成物の硬化物からなる。
電子デバイス1及びその製造方法について、具体的に説明する。
図1に、本実施形態の電子デバイス1の例を示す。図1に示す電子デバイス1は、導体配線21を備える基材2と、電極(図1では、バンプ電極33)を備え、バンプ電極33が導体配線21に接合されることで基材2に実装されている実装部品3と、バンプ電極33を覆う封止材4とを備える。封止材4が、上記で説明した封止用樹脂組成物の硬化物からなる。
基材2は、例えばマザー基板、パッケージ基板又はインターポーザ基板である。例えば基材2は、ガラスエポキシ製、ポリイミド製、ポリエステル製、及びセラミック製などの絶縁基板と、その表面上に形成された銅などの導電性の導体配線21とを備える。基材2には、複数の導体配線21が備えられていてもよい。導体配線21は例えば電極パッドを備える。例えば、インターポーザ基板には、ガラス基板を支持基材として、支持基材に貫通電極を形成したガラス貫通電極基板、シリコン基板を支持基材として、支持基材に貫通電極を形成したシリコン貫通電極基板が含まれる。また、基材2は、インターポーザ基板を採用した2.5次元パッケージ基板、3次元パッケージ基板といった積層型のパッケージ基板であってもよい。
実装部品3は、例えば半導体チップである。半導体チップは、例えばBGA(ボール・グリッド・アレイ)、LGA(ランド・グリッド・アレイ)、又はCSP(チップ・サイズ・パッケージ)などの、フリップチップ型のチップである。半導体チップは、PoP(パッケージ・オン・パッケージ)型のチップであってもよい。
実装部品3は、複数のバンプ電極33を備えている。バンプ電極33は、はんだを備える。例えばバンプ電極33は、図1に示すように、ピラー31と、ピラー31の先端に設けられた、はんだバンプ32とを備える。はんだバンプ32は、はんだから作製され、このため、バンプ電極33ははんだを備える。ピラー31は例えば銅製である。実装部品3における複数の電極(バンプ電極33)は、隣り合うバンプ電極33間のギャップが25μm以下であること好ましい。
バンプ電極33の備えるはんだ(例えばはんだバンプ32におけるはんだ)の融点は、特に制限されないが、例えば半導体チップ等の実装部品3を実装する際の実装温度(例えば220~260℃)以下で溶融可能な温度であればよい。また、はんだの組成は、特に制限されず、適宜の組成であってよいが、例えばSn-Ag系はんだ、及びSn-Ag-Cu系はんだとすることができる。なお、はんだを備えるバンプ電極33の構造は上記に限られず、例えばバンプ電極33は、球状のはんだバンプ32(はんだボール)のみを備えてもよい。すなわち、バンプ電極33はピラーを備えなくてもよい。
図1に示す電子デバイス1では、封止材4は、基材2と実装部品3との間の隙間の全体を埋めている。これにより、封止材4はバンプ電極33の全体を覆い、かつバンプ電極33と導体配線21との継ぎ目を覆っている。すなわち、この封止材4は、いわゆるアンダーフィルである。
以下、電子デバイス1の製造方法について一例を挙げて説明する。なお、電子デバイス1の製造方法は、以下に説明する方法に限られず、電子デバイス1において、上記で説明した封止用樹脂組成物で、基材2と実装部品3との隙間を覆って封止することができればよい。
まず、導体配線21を備える基材2と、バンプ電極33を備える実装部品3とを用意し、基材2上に実装部品3を配置し、かつ導体配線21上にバンプ電極33を配置する。
続いて、封止用樹脂組成物を、バンプ電極33を覆うように配置し、封止用樹脂組成物及びバンプ電極33に加熱処理を施すことで、封止用樹脂組成物を硬化させて封止材4を作製し、かつバンプ電極33と導体配線21とを電気的に接続する。ここで、封止用樹脂組成物を配置するとは、固形状の封止用樹脂組成物を封止対象物(例えばバンプ電極33など)に配する場合に限らず、液状の封止用樹脂組成物を封止対象物に塗布すること、液状の封止用樹脂組成物を封止対象物の間の隙間に注入して封止対象物を覆うように配されることを含む。前記の順序は、上記のとおりでなくてもよい。例えば基材2上に実装部品3を配置し、かつ導体配線21上にバンプ電極33を配置した後に、封止用樹脂組成物を、バンプ電極33を覆うように配置してもよい。逆に、封止用樹脂組成物を、バンプ電極33を覆うように配置した後に、基材2上に実装部品3を配置し、かつ導体配線21上にバンプ電極33を配置してもよい。また、製造工程中において、結果的に封止用樹脂組成物を、バンプ電極33を覆うように配置できるのであれば、封止用樹脂組成物をいかなる時期に、実装部品3及び基材2におけるいかなる位置に配置してもよい。
具体的には、図1に示す封止材4を作製する場合、例えばまず、基材2上に封止用樹脂組成物を配置した後、基材2上に実装部品3を、基材2と実装部品3との間に封止用樹脂組成物が介在しかつ導体配線21上にバンプ電極33が配置されるように、配置する。これにより、封止用樹脂組成物を、バンプ電極33を覆うように配置する。また、まず、基材2上に実装部品3を、導体配線21上にバンプ電極33が配置されるように配置した後、基材2と実装部品3との間に封止用樹脂組成物を供給することで、基材2と実装部品3との間に、封止用樹脂組成物を介在させ、かつ封止用樹脂組成物を、バンプ電極33を覆うように配置してもよい。
図1に示す封止材4を作製する場合、例えばまず実装部品3に、バンプ電極33を覆うように封止用樹脂組成物を配置する。続いて、基材2上に実装部品3を、基材2と実装部品3との間に封止用樹脂組成物が介在しかつ導体配線21上にバンプ電極33が配置されるように、配置する。これにより、封止用樹脂組成物を、バンプ電極33を覆うように配置する。
基材2上に封止用樹脂組成物を配置し、又は実装部品3に封止用樹脂組成物を配置する場合は、例えばディスペンサーを用いる方法、スクリーン印刷法、インクジェット法又はディッピング法等で、封止用樹脂組成物を配置する。
封止用樹脂組成物及びバンプ電極33の加熱処理は、例えばリフロー炉等の加熱炉を用いて行う。なお、リフロー炉以外の設備を使用した適宜の方法で加熱処理を行ってもよい。封止用樹脂組成物及びバンプ電極33に加熱処理を施すと、バンプ電極33におけるはんだが溶融することで、バンプ電極33と導体配線21とが電気的に接続され、かつ封止用樹脂組成物が硬化することで封止材4が作製される。これにより、電子デバイス1が得られる。加熱処理の条件は、封止用樹脂組成物の組成に応じて、適宜設定すればよい。加熱処理において、最高加熱温度は、例えば220℃以上260℃以下であることが好ましい。加熱炉で加熱処理をするに際しては、加圧炉内を加圧してもよい。加熱炉内の加圧の条件は適宜設定されるが、例えば昇温速度3~5℃/minで温度100℃以上200℃以下まで加熱させることが好ましい。また加熱炉内の圧力は、0.1MPa以上0.8MPa以下とすることができる。加熱処理をする時間は、例えば30分以上5時間以下であってよい。
上記では、加熱処理の一例を説明したが、前記に限られず、最高加熱温度も、封止用樹脂組成物の組成等に応じて適宜設定すればよい。
本実施形態の封止用樹脂組成物は、基材2が2.5次元パッケージ基板及び/又は3次元パッケージ基板である場合でも、パッケージ基板中のインターポーザとパッケージ上のバンプ電極との間の隙間、及びパッケージ基板中のプロセッサ及びメモリ等の実装部品とインターポーザとの間の隙間に充填してから硬化させることで封止することができる。
以下、本開示の具体的な実施例を提示する。ただし、本開示は実施例のみに制限されない。
1.樹脂組成物の調製
[実施例1~9及び比較例1~4]
後掲の表1中に示す成分を、表1に示す配合割合(質量部)で、ミキサーに投入し、撹拌混合し、3本ロールを用いて、均一に分散させ、樹脂組成物を得た。表1に示す、成分の詳細は、以下のとおりである。
(エポキシ樹脂)
・ビスフェノール型エポキシ樹脂:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製 品名YDF8170。エポキシ当量175eq./g)。
・芳香族アミノエポキシ樹脂:jRR株式会社製 品名636。
(硬化剤)
・硬化剤:アミン硬化剤(日本化薬株式会社製 品名 カヤバードA-A。アミン当量65eq./g)。
(硬化助剤)
・硬化助剤:金属キレート硬化助剤(川研ファインケミカル株式会社製 品名アルミキレートA(W)。アルミニウムトリスアセチルアセトネート)。
(ラジカル重合性成分)
・ブタジエンポリマー:大阪有機化学工業株式会社製 品名 BAC-45(ポリブタジエン末端地アクリレート。数平均分子量10000。1,2-ビニル構造、及び1,4-トランス構造を含有する。25℃で液状。)。
・スチレン-ブタジエンコポリマー1:株式会社クラレ製 品名 L-SBR-820(液状スチレンブタジエンゴム。数平均分子量8500。スチレン構造、1,2-ビニル構造、及び1,4-トランス構造を含有する。)。
・スチレン-ブタジエンコポリマー2:クレイバレー社製 品名Ricon100(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー。数平均分子量4500。スチレン構造、1,2-ビニル構造、及び1,4-トランス構造を含有する。1,2-ビニル構造含有割合70%。スチレン構造含有割合25%。25℃で液状。)。
・スチレン-ブタジエンコポリマー3:クレイバレー社製 品名Ricon181(ブタジエン・スチレン・ランダムコポリマー。数平均分子量3200。スチレン構造、1,2-ビニル構造、及び1,4-トランス構造を含有する。1,2-ビニル構造含有割合30%、スチレン構造含有割合28%。25℃で液状。)
(ラジカル重合開始剤)
・開始剤1:日油株式会社製 品名 パークミルD(ジクミルパーオキサイド。1分間半減期温度175.2℃。)。
・開始剤2:日油株式会社製 品名 パーヘキサHC(1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン。1分間半減期温度149.2℃。)
(無機充填材)
・シリカ1:ゾルゲル法により作製され、フェニル基を有するシランカップリング剤により表面処理されたシリカ(平均粒径1.0μm。粒度分布における標準偏差は0.04以上0.5以下である。)。
・シリカ2:ゾルゲル法により作製され、フェニル基を有するシランカップリング剤により表面処理されたシリカ(平均粒径0.3μm。粒度分布における標準偏差は0.04以上0.5以下である。)。
・シリカ3:ゾルゲル法により作製され、フェニル基を有するシランカップリング剤により表面処理されたシリカ(平均粒径0.1μm。粒度分布における標準偏差は0.04以上0.5以下である。)。
(添加剤)
・リン酸とリン酸ポリエステルとの混合物:ビックケミー・ジャパン株式会社製 品名BYK-W 9010(組成:リン酸ポリエステル含有量90重量%以上100重量%未満、リン酸含有量1重量%以上10重量%未満)。
・リン誘導体:トリフェニルホスフィン。
・消泡剤:ビックケミー・ジャパン株式会社製 品名BYK1799(疎水性粒子とポリシロキサンとの混合物)。
・カップリング剤:エポキシシラン(シランカップリング剤。信越化学工業株式会社製 品名 KBM403)。
・着色剤:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製 品名 MA100)。
2.評価
2.1.粘度(25℃における粘度)
上記1.で調製した樹脂組成物の粘度を、BM型粘度計(東機産業株式会社製 型番 TVB-10)を使用して、温度25℃、ロータNo.6 回転速度20rpmの条件で、測定した。得られた測定結果を表1に示す。
2.2.熱時粘度(100℃における粘度)
上記1.で調製した樹脂組成物の粘度を、レオメータ(アントンパール社製 型番 MCR-10)を使用して、温度100℃、回転速度1rpmの条件で、測定した。得られた測定結果を表1に示す。
2.3.流動性
2枚の平板状のガラス板を幅25μmの間隔(隙間)を空けて、加熱可能な台座(ステージ)上に配置し、ステージの温度を100℃に設定することで、2枚のガラス板を加熱した。ガラス板の温度が100℃に到達してから、25μmの隙間に、上記1.で調製した樹脂組成物を注入し、毛細管現象を利用して隙間を流動させた。樹脂組成物が、注入開始時点から30mmの距離を進むまでの時間を測定した。測定により得られた結果に基づき、以下の基準で評価した。
A:30mm進むまでの時間は、400秒未満である。
B:30mm進むまでの時間は、400秒以上500秒未満である。
C:30mm進むまでの時間は、500秒以上である。
2.4.曲げ弾性率(3点曲げ弾性率)
上記1.で調製した樹脂組成物を、基材上に塗布し、加熱温度100℃、加熱時間2hの条件で加熱し、続いて更に昇温し、加熱温度150℃、加熱時間2hの条件で加熱させることで樹脂組成物を硬化させ、これにより、樹脂組成物の硬化物を得た。
得られた化合物から、試験測定用の長さ70mm、幅10mm、厚さ3mmの試験片を作製し、3点曲げ試験機にて48mmの幅で、ヘッドスピード1.5mm/sの条件により測定し、得られたグラフに基づき、接線法により算出した。得られた結果を、表1に示す。
2.5.破壊靭性(K1c試験)
上記1.で調製した樹脂組成物を、基材上に塗布し、加熱温度100℃、加熱時間2hの条件で加熱し、続いて更に昇温し、加熱温度150℃、加熱時間2hの条件で加熱させることで樹脂組成物を硬化させ、これにより、樹脂組成物の硬化物を得た。
得られた樹脂組成物の硬化物から、試験測定用の試験片(長さL:50mm、幅W:10mm、厚さB:5mm)を作製し、試験片に亀裂長さa:4mmの予亀裂を入れた。JIS R1607(ファインセラミックスの室温破壊靭性試験方法)に準拠して、試験片に速度10mm/minで圧力を加えて、破断するまでの試験力を測定した。得られた測定結果から、下記式(1)及び(2)に基づき、K1c値を算出し、得られた数値を表1に示した。破壊靭性K1cは、値が大きいほどクラックに対する耐性が高いと評価できる。
上記式(1)及び(2)中、Pα:試験片が破壊するまでの最大荷重[kgf]、S:3点曲げ支点間距離[mm]、B:試験片の厚さ[mm]、W:試験片の幅[mm]、a:予亀裂の長さ[mm]である。